ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング
MISSION:IMPOSSIBLE—THE FINAL RECKONING
〔勝手に評価 = ★★★★☆ = お見事!!〕
2025年/アメリカ映画/169分/監督:クリストファー・マッカリー/製作:トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー/脚本:クリストファー・マッカリー、エリック・ジェンドレセンス/撮影:ブレイザー・ダガート/出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、イーサン・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘイリー・ツェーニー、マリエラ・ガリガ、ニク・オファーマン、ハンナ・ワディンガム、シェー・ヴィガム、グレッグ・ターザン・デイヴィス、ロルフ・サクソン、ルーシ・トゥルガリュク、アンジェラ・バセット ほか
【気ままに感想】
すっかり遅くなりましたが…もう、しっかり楽しみました~!!
といえる作品でした。
本シリーズほど、手に汗握りながらも最後はスッキリして観終わることができる作品って…もう、他にないかもしれません???少なくとも“(小屋で観る)映画”では。
そういうまさに“映画としての楽しみ”をガッツリ、しっかり味わえるという点では、「満点!」といってもよいのではないか??
正直に思います。
ちょっと寂しいけど。
本シリーズでも、途中で重要なキャラがぽっくり死んだり、前作では「つづく…」という形式だったし、本作でも、水中アクションは何だか“もったり”していて、全てにおいて完璧!という訳ではないのですが、それでも「とりあえず面白そうなシーンは何でも入れちゃおう!!」みたいなノリの良さが大事!!
少々お話が荒唐無稽だったり、物語がちゃんとつながってなかったり、おかしな点もあるけれど…
「だから、何??(So What?)」
楽しめるからこそ“エンタメ”
そんな原点を、すっかり振り返らせてくれる作品…そんなにないのではないですか??
ふと気づくと、映画の面白さがなくなっているのでは?と感じる。
特に、洋画作品は心躍る大作映画がかなり少なくなっているように思います…感覚的だけど…アニメとかはあるけど(実際統計を見ても2023、2024年の洋画は厳しい…(除くトムクル))。
特にコロナ後は巣ごもり需要という名のNET配信サービスの種類や映画に負けない迫力、ビジュアルのドラマが増え、映像産業の投資規模も(正確ではないけど)小屋にかかる映画からそちらの方にシフトしているのでしょう。
これだけ通信、ICTが進んだ世界で、映画館で映画を観る…というビジネスモデルがもう限界に来ているのかもしれません?
これまでの従来型の映画の楽しみを持続していくためには、映画館で観る、魅せるという特色をいかにしっかり考えて作品を創り、作品のみならずビジネスモデルそのものの差別化を図っていかなければ、もうアニメ作品や子ども向けを意識した作品しか、成り立たないのではないか??と思ったりします…というか、本作を観て実感しました。
繰り返しになりますが、本作でも、アクションシーンやストーリーがすべてパーフェクト!…という訳ではありません。
潜水艦の中で解決のカギとなるユニットを探すシーンでは、潜水艦に侵入しようとしてドアを開ける度に水が浸入してウエイトのバランスが崩れ、ゴロゴロと深海に向かってころがっていく…。
発想としては、よくもそこまで考えましたね~と思うし、セットの中で演じるトムクルにしてみれば、文字通り“命がけ”の撮影シーンになっている…少なくとも絶えず不規則に回転するセットの中で泳ぎながら演じる(しかも、いかにも重くて身動きができなさそうな深海用の耐圧スーツを着て)のは至難の業…だったでしょう!!
ですが、ビジュアルとしてはゆっくり回っているドラム式洗濯機を“ボーッと”観ている感じで、思わす睡魔が襲ってくる??
何せ、ゆっくりクルクル回るものを見続けるのは、睡眠術の常とう手段ですからね。
それから、どういう原理か、知見の無い者にはすっかり理解できない人工知能は、これまたよくわからない、すごい容量のUSB??が接続されたらそれにシステムが飲み込まれてしまう(正確には、AIは“穴”があったら覗き見しないと気が済まない?…どこかのおっちゃんと同じですね(笑))…という原理?
よほど賢いAIっていうのは好奇心旺盛なのでしょうね。もしかしたらすごく正しい現象なのかもしれませんが(そうであればゴメンナサイ)、AIがデバイスの中身を覗きに行くのに“0.1秒も”かかったり、そうして外部にシャットアウトされると、世界中のシステムが一斉に復帰(ウィルスだったら“増殖”してしまって意味がないかと思いますが、AIは自分で勝手に増えたりはしないのでしょう??)したり…。
お約束の“はらはら時限爆弾”もしっかり出てきて、正直詰め込み過ぎが、滑稽な感じさえしてしまいます。
でも!
「スリはタイミング!」って言われたとたんに「オオッ」ってなってしまうのは、さすがに手馴れたシリーズ!
今作で一番の見せ場!イマドキ何で?と思ってしまう、複葉機のセスナを使っての逃亡(辺鄙な場所ですから滑走路が必要なセスナを利用するよりヘリの方が合理的)とその追いかけっこ…に続く、飛行機の羽の上での格闘技。
すごく原始的(笑)で、まるで、ハロルド・ロイドかバスター・キートンのようなアクションシーン。
本シリーズ第1作目での新幹線の屋根でのジョン・ボイドとの格闘シーンの飛行機版とも言える、いかにも“インポッシブル”なミッションのアクションシーンですが、第1作よりも遥かに“実写感”のある本作では、思わず手に力が入っちゃう。
延々とレトロな飛行機の上や下で繰り広げられる(実際は“広い”というより“狭い”ですが)格闘は飛行機好きなトムクルでこそのシーンだと言えるでしょう。
今ならスタジオ撮影とCG処理でお手軽に作っちゃうシーンを、生身の人間で実際に飛びながらやってしまうのは、何だか時代遅れのような感じもしてしまいすが、さすがにこの臨場感はCGではでない…ような気がする。
どんなに安全策を講じていたとしても、生身の人間が飛行機に乗って撮影する、というのはムリができない。ちょっと手違いで事故も起こり得るし、計画通りであっても人間が耐えきれるかどうかはその時のコンディションでも変わって来る…何があるかわからない。
一方で、そのムリのギリギリ限界を見せなければ作品としては面白くないわけですし、どんなムリでもへっちゃらなCGキャラに負けないシーンは実現しない。
生身の人間がやることは、決してヴァーチャルなデジタル世界では表現できない、実写映画の面白はそこに尽きる…トムクルはそれを証明しようとしてるかのようです。
ホントウに最近のトムクルには頭が下がります。
もうすでに還暦も過ぎてしまい、同じようなシーンを撮り続けるのは難しいかもしれませんが、可能であれば本作も“シリーズ最終作”とせずに継続してもらいたい。
それが無理であれば、次世代のトムクルの育成に、トムクル自身のみならず、映画界がこぞって取り組んでいただければ、と切に願います。
本シリーズの魅力の1つで忘れてならないのは、登場人物のキャラクタです。
これも、本シリーズが本作で8作目と積み重ねることで、キャラクタの個性が丁寧に積み重ねられてきたことと、特に、5作目『ミッション:インポッシブル/ローグネイション(2015年)』からずっとクリストファー・マッカリーがメガホンをとっているという一貫性によるもの。
それまでは、毎回監督も変わり、その度に作風が変化しているので、回を重ねるごとにキャラクタの変化もあったのですが、かえってこれが逆にキャラクタを生きたものにしています。
というのも、主人公のイーサン・ハントも含めて、毎回すこしずつ描き方が変わることで、キャラクタの多面性が加わっているように感じられるし、実際の人間も、年齢や経験を重ねていくと、以前とは違う、変化していくことが当たり前だし、それが人間としての成長でもあって、リアリティを与えています。
実際に、胡散臭い、とっつきの悪いおじさんだったヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル)は頼れる気の良い相棒となり、どこか抜けててオタクなサイモン・ペッグはふわふわとした(『宇宙人ポール(2011)』はじめ、いつもの、見慣れたサイモン・ペッグな)人物として登場するものの、シリーズを経ていくと、コメディ・リリーフとしての立ち位置を続けつつも、なくてはならないイーサン・ハントの片腕となっていって、本作ではカッコいいヒーロー的な役割も果たしている…。
こんな印象的なキャラクタを育ててきたシリーズが本作で“おしまい”では超~もったいない!
ヴィング・レイムスは本作でもって自らの命と引き換えに世界を守ったのだけれど、「実は生き延びていました~!!」
って感じで、シリーズ継続と仲良し3人組の復活を期待したい。
ハリウッドでは“よくある話”だと思いますからね!
★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★ 傑作!こいつは凄い
★★★ まあ楽しめました
★★ ヒマだけは潰せたネ
★ 失敗した…時間を無駄にした
☆は0.5