愛はステロイド
LOVE LISE BLEEDIG R15+
〔勝手に評価 = ★★★★ = 筋肉!!〕
2024年/アメリカ映画/104分/監督:ローズ・グラス/製作:アンドレア・コーンウェル、オリヴァー・カスマン/脚本:ローズ・グラス、ヴェロニカ・トフィウスカ/撮影:ベン・フォーデスマン/出演:クリステン・スチュワート、ケイティ・オブライアン、エド・ハリス、ジェナ・マローン、アンナ・バリシニコフ、デイヴ・フランコ ほか
【気ままに感想】
『愛はステロイド』…邦題だけみると、いかにもコメディタッチの作品と勘違いしますね。
女性二人の恋物語…なので、そんな概要を聞くと、ちょっぴりお色気もあって、ドタバタ風の、思わず吹き出しちゃうような、うれし・はずかしなロマンスもの…と想像しそうですが、大間違い!です!!(笑)
ハードでバイオレンス、エログロもあり!なので要注意です。
お子さまが目にできるものではありません。
例え、クリステン・スチュワートが好き!というファンの人でも、一定の覚悟をもって見ていただいた方がよいかと思います。
家族連れ…はもちろん、仲良しカップルのひとときの楽しみで…みたいな鑑賞の仕方はしないのが無難。夜、こっそりと一人デバイスで…みたいなシチュエーションがピッタリ??な作品です。
とはいうものの、クリステン・スチュワート、相変わらず可愛らしいですけど。
さて、ということで、これ以上につきましてはネタバレ注意でお願いします。
本作は、ざっくり言えば、女性カップルのバディもの。二人を取り巻く状況から、ずぶずぶと犯罪の深みにはまっていって身を崩すその様は、『テルマ&ルイーズ(1991)』を思い起こさせるようなテーマなのですが、過激さでは本作は負けていません。
おそらく、製作側はこの名作を意識しているはずですが、『テルマ&ルイーズ』はスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスという押しも押されもせぬ大女優の競演…に負けないように、本作ではすっかり貫禄が出てきたクリステン・スチュワートを主役に据えて、そのお相手は、筋肉隆々のケイティ・オブライアンを配置して、かなり濃いキャストとなっています。
何よりも、ケイティ・オブライアンの筋肉のすごいこと!
ボディ・ビルの大会に出るのが目的のヒッチハイカーという設定ですから、当然ながら?身体は見事なもの。ほぼ全編、タンクトップとホットパンツの衣装から出ている肉体のムキムキさは目を見張るものがあります。
なお、本作視聴の後ウィキペディア(英語版)で確認したところ、実際にケイティ・オブライアンはボディ・ビルダの選手だったこともある…ということなので、役作りのために身体を鍛えた…のでしょうが、自らのキャリアを活かせる役であった…ということですね。
この二人の同性愛(この言葉自体、多様性が認められてきている現代では違和感のある言葉のような気がしますが…)を核として物語が進んでいきます。
クリステン・スチュワートの父親のエド・ハリスは、射撃場やらジムのオーナーやらをしている街の有力者ですが、やっている仕事はまさに“力の象徴”のようなものばかり。
どうやら、二人の実の娘も父親の虐待を受けて育ったみたいだけど、姉のジェナ・マローンもクリステン・スチュワートもその父親には逆らえない。
クリステン・スチュワートは同性愛者(あるいはバイセクシャル?)であることを自認?していて、父親が所有するジムの管理運営を担っている、独身のままの人物です。父親とは反目しているが直接対峙することはなく、距離を置いていて、筋肉モリモリの男たちも多くやって来るジムで淡々と仕事をしている姿は、他人の干渉を受け入れない孤高な感じさえ漂わせている。ジムの経営を手伝っている女子職員とは愛情のないセフ〇な関係。葛藤はありながら、父親の存在を無視することができない。
一方、姉のジェナ・マローンは虐待を受けて育った環境をむしろ受け入れているという風に描かれていて、子だくさんだけど夫からもDVを受けている。その夫には依存的で、DVですら受け入れていて、その呪縛から逃れられない。本作の途中でのバイオレンスな展開のきっかけを作ったのも、夫からの暴力によって意識不明の重傷を負ったことによるのだけれど、そのことすら“愛”の姿として受け入れてしまう。
クリステン・スチュワートとの愛に溺れるようになるもう一人の主人公、ケイティ・オブライアンは、ラスベガスの大会に出場して優勝をすることを目標にしている女性ボディ・ビルダですが、ラスベガスへはヒッチハイクで移動する、ホームレス。お金もないので、ときには出会った男との行きずりのS〇Xをして糊口を凌いでいる。
最初の登場のシーンでは、ジェナ・マローンのDV夫に街まで送ってもらった見返りに身体をまかせ…というドロドロの人間関係が描かれています。
監督のローズ・グラスも女性で、本作はいわゆる“女性映画”ですが、女性にとって生易しいお話には仕立てません。
姉が受けたDVに対して悲しみ、激高したクリステン・スチュワートの姿をみて、カッときたケイティ・オブライアンは思わずDV夫を力任せに殴り殺してしまいます。
殺人を犯してしまったケイティ・オブライアンを慰め、かばうためにクリステン・スチュワートは、死体の始末をするのですが、その際にある目的(落とし前)も果たそうとします。
そして、二人はどんどんと事件の深みにはまっていくのですが…。
物語の全体は、虐げている“男たち”VS虐げられている“女たち”という単純な構造がベースになっているのですが、“女たち”も決して一枚岩ではありません。
同じように虐待を受けてきた姉妹でも、価値観の違いが明確に描かれているし、2人のヒロイン?に絡む第三の娘との関係も複雑です。
息苦しくなるような緊張感あるシーンが(ところどころねっとりしたエロティックなシーンを挟んで)続くのですが、女性監督らしい“たおやか”さは敢えて封印しているようにさえ思えます。
ラストのクライマックスでは、ステロイドの多用の副作用で巨人化したケイティ・オブライアンと、巨人に助けられたクリステン・スチュワートも巨人化して雲をかき分けて二人で走っていく幻想的なシーンで、ファンタジーっぽく(とってつけたように)明るいシーンとして描いていて、それによって“救い”を与えていますがそれも一瞬で、それまでは、ずっと虐げられた女性の反逆の物語です。
性自認や性指向が多様化している現代社会において、“かわいいだけ”ではない女性の姿を強烈にアピール・主張する本作は、社会性にも溢れた作品でもあります。
ウンコ、シッコのオープニングから、濃厚で殺伐としたなS〇Xシーン、汗臭ささが臭ってきそうなジムのムキムキ男女の姿、スプラッタな殺戮シーンなどなど、映像的にも鑑賞をしていて何とも落ち着かないビジュアルが続く本作ですが、それでもどこか美しさを失わない作品となっているのは、
クリステン・スチュワートとケイティ・オブライアンの美しい筋肉と、ローズ・グラス監督が表現する、世間に対する冷徹な反抗の視線と二人に対する愛情に満ちた視線のコントラスト
によるものです。
★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★ 傑作!こいつは凄い
★★★ まあ楽しめました
★★ ヒマだけは潰せたネ
★ 失敗した…時間を無駄にした
☆は0.5





























































