ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

MISSION:IMPOSSIBLE—THE FINAL RECKONING

 

〔勝手に評価 = ★★★★☆ = お見事!!〕

 

2025年/アメリカ映画/169分/監督:クリストファー・マッカリー/製作:トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー/脚本:クリストファー・マッカリー、エリック・ジェンドレセンス/撮影:ブレイザー・ダガート/出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、イーサン・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘイリー・ツェーニー、マリエラ・ガリガ、ニク・オファーマン、ハンナ・ワディンガム、シェー・ヴィガム、グレッグ・ターザン・デイヴィス、ロルフ・サクソン、ルーシ・トゥルガリュク、アンジェラ・バセット ほか

 

【気ままに感想】

 

すっかり遅くなりましたが…もう、しっかり楽しみました~!!

といえる作品でした。

本シリーズほど、手に汗握りながらも最後はスッキリして観終わることができる作品って…もう、他にないかもしれません???少なくとも“(小屋で観る)映画”では。

そういうまさに“映画としての楽しみ”をガッツリ、しっかり味わえるという点では、「満点!」といってもよいのではないか??

正直に思います。

ちょっと寂しいけど。

本シリーズでも、途中で重要なキャラがぽっくり死んだり、前作では「つづく…」という形式だったし、本作でも、水中アクションは何だか“もったり”していて、全てにおいて完璧!という訳ではないのですが、それでも「とりあえず面白そうなシーンは何でも入れちゃおう!!」みたいなノリの良さが大事!!

少々お話が荒唐無稽だったり、物語がちゃんとつながってなかったり、おかしな点もあるけれど…

「だから、何??(So What?)」

楽しめるからこそ“エンタメ”

そんな原点を、すっかり振り返らせてくれる作品…そんなにないのではないですか??

 

ふと気づくと、映画の面白さがなくなっているのでは?と感じる。

特に、洋画作品は心躍る大作映画がかなり少なくなっているように思います…感覚的だけど…アニメとかはあるけど(実際統計を見ても2023、2024年の洋画は厳しい…(除くトムクル))。

特にコロナ後は巣ごもり需要という名のNET配信サービスの種類や映画に負けない迫力、ビジュアルのドラマが増え、映像産業の投資規模も(正確ではないけど)小屋にかかる映画からそちらの方にシフトしているのでしょう。

これだけ通信、ICTが進んだ世界で、映画館で映画を観る…というビジネスモデルがもう限界に来ているのかもしれません?

これまでの従来型の映画の楽しみを持続していくためには、映画館で観る、魅せるという特色をいかにしっかり考えて作品を創り、作品のみならずビジネスモデルそのものの差別化を図っていかなければ、もうアニメ作品や子ども向けを意識した作品しか、成り立たないのではないか??と思ったりします…というか、本作を観て実感しました。

 

繰り返しになりますが、本作でも、アクションシーンやストーリーがすべてパーフェクト!…という訳ではありません。

潜水艦の中で解決のカギとなるユニットを探すシーンでは、潜水艦に侵入しようとしてドアを開ける度に水が浸入してウエイトのバランスが崩れ、ゴロゴロと深海に向かってころがっていく…。

発想としては、よくもそこまで考えましたね~と思うし、セットの中で演じるトムクルにしてみれば、文字通り“命がけ”の撮影シーンになっている…少なくとも絶えず不規則に回転するセットの中で泳ぎながら演じる(しかも、いかにも重くて身動きができなさそうな深海用の耐圧スーツを着て)のは至難の業…だったでしょう!!

ですが、ビジュアルとしてはゆっくり回っているドラム式洗濯機を“ボーッと”観ている感じで、思わす睡魔が襲ってくる??

何せ、ゆっくりクルクル回るものを見続けるのは、睡眠術の常とう手段ですからね。

それから、どういう原理か、知見の無い者にはすっかり理解できない人工知能は、これまたよくわからない、すごい容量のUSB??が接続されたらそれにシステムが飲み込まれてしまう(正確には、AIは“穴”があったら覗き見しないと気が済まない?…どこかのおっちゃんと同じですね(笑))…という原理?

よほど賢いAIっていうのは好奇心旺盛なのでしょうね。もしかしたらすごく正しい現象なのかもしれませんが(そうであればゴメンナサイ)、AIがデバイスの中身を覗きに行くのに“0.1秒も”かかったり、そうして外部にシャットアウトされると、世界中のシステムが一斉に復帰(ウィルスだったら“増殖”してしまって意味がないかと思いますが、AIは自分で勝手に増えたりはしないのでしょう??)したり…。

お約束の“はらはら時限爆弾”もしっかり出てきて、正直詰め込み過ぎが、滑稽な感じさえしてしまいます。

でも!

「スリはタイミング!」って言われたとたんに「オオッ」ってなってしまうのは、さすがに手馴れたシリーズ!

今作で一番の見せ場!イマドキ何で?と思ってしまう、複葉機のセスナを使っての逃亡(辺鄙な場所ですから滑走路が必要なセスナを利用するよりヘリの方が合理的)とその追いかけっこ…に続く、飛行機の羽の上での格闘技。

すごく原始的(笑)で、まるで、ハロルド・ロイドかバスター・キートンのようなアクションシーン。

本シリーズ第1作目での新幹線の屋根でのジョン・ボイドとの格闘シーンの飛行機版とも言える、いかにも“インポッシブル”なミッションのアクションシーンですが、第1作よりも遥かに“実写感”のある本作では、思わず手に力が入っちゃう。

延々とレトロな飛行機の上や下で繰り広げられる(実際は“広い”というより“狭い”ですが)格闘は飛行機好きなトムクルでこそのシーンだと言えるでしょう。

今ならスタジオ撮影とCG処理でお手軽に作っちゃうシーンを、生身の人間で実際に飛びながらやってしまうのは、何だか時代遅れのような感じもしてしまいすが、さすがにこの臨場感はCGではでない…ような気がする。

どんなに安全策を講じていたとしても、生身の人間が飛行機に乗って撮影する、というのはムリができない。ちょっと手違いで事故も起こり得るし、計画通りであっても人間が耐えきれるかどうかはその時のコンディションでも変わって来る…何があるかわからない。

一方で、そのムリのギリギリ限界を見せなければ作品としては面白くないわけですし、どんなムリでもへっちゃらなCGキャラに負けないシーンは実現しない。

生身の人間がやることは、決してヴァーチャルなデジタル世界では表現できない、実写映画の面白はそこに尽きる…トムクルはそれを証明しようとしてるかのようです。

ホントウに最近のトムクルには頭が下がります。

もうすでに還暦も過ぎてしまい、同じようなシーンを撮り続けるのは難しいかもしれませんが、可能であれば本作も“シリーズ最終作”とせずに継続してもらいたい。

それが無理であれば、次世代のトムクルの育成に、トムクル自身のみならず、映画界がこぞって取り組んでいただければ、と切に願います。

本シリーズの魅力の1つで忘れてならないのは、登場人物のキャラクタです。

 

これも、本シリーズが本作で8作目と積み重ねることで、キャラクタの個性が丁寧に積み重ねられてきたことと、特に、5作目『ミッション:インポッシブル/ローグネイション(2015年)』からずっとクリストファー・マッカリーがメガホンをとっているという一貫性によるもの。

それまでは、毎回監督も変わり、その度に作風が変化しているので、回を重ねるごとにキャラクタの変化もあったのですが、かえってこれが逆にキャラクタを生きたものにしています。

というのも、主人公のイーサン・ハントも含めて、毎回すこしずつ描き方が変わることで、キャラクタの多面性が加わっているように感じられるし、実際の人間も、年齢や経験を重ねていくと、以前とは違う、変化していくことが当たり前だし、それが人間としての成長でもあって、リアリティを与えています。

実際に、胡散臭い、とっつきの悪いおじさんだったヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル)は頼れる気の良い相棒となり、どこか抜けててオタクなサイモン・ペッグはふわふわとした(『宇宙人ポール(2011)』はじめ、いつもの、見慣れたサイモン・ペッグな)人物として登場するものの、シリーズを経ていくと、コメディ・リリーフとしての立ち位置を続けつつも、なくてはならないイーサン・ハントの片腕となっていって、本作ではカッコいいヒーロー的な役割も果たしている…。

こんな印象的なキャラクタを育ててきたシリーズが本作で“おしまい”では超~もったいない!

ヴィング・レイムスは本作でもって自らの命と引き換えに世界を守ったのだけれど、「実は生き延びていました~!!」

って感じで、シリーズ継続と仲良し3人組の復活を期待したい。

ハリウッドでは“よくある話”だと思いますからね!

 

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品

★★★★  傑作!こいつは凄い

★★★   まあ楽しめました

★★    ヒマだけは潰せたネ

★     失敗した…時間を無駄にした

 

☆は0.5

サブスタンス

THE SUBSTANCE   R15+

 

〔勝手に評価 = ★★★ = 閲覧注意!!〕

 

2024年/アメリカ映画/142分/監督・脚本:コラリー・ファルジャ/製作:コラリー・ファルジャ、ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー/製作総指揮:ニコラス・ライアー、アレクサンドラ・ローウィー/撮影:ベンジャミン・クラカン/出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド、エドワード・ハミルトン=クラーク、ゴア・エイブラムズ、オスカル・ルサージュ、クリスティアン・エリクソン、ヒューゴ・ディゴ・ガルシア ほか

 

【気ままに感想】

 

本作については、スタンリー・キューブリック、デヴィッド・リンチ、デヴィッド・クローネンバーグ、ジョン・カーペンター、ポール・バ―ホーヴェンなどなどのホラー巨匠へのオマージュや影響について多くの人が述べられていますが(「ああ、これか~」みたいな声が思わずでちゃうシーンが満載!)…。

やっぱり!!最もテイストがピッタリくるのは、『ホラー』というより『スプラッタ―』…いややっぱり『ゴア映画』って呼ぶのが良さそうな、ルチオ・フルチ…いやいや、むしろフランク・ヘネンロッターの申し子!!!

…みたいな作品!!です。

そんな本作が、カンヌ国際映画祭では脚本賞、ゴールデングローブ賞では主演女優賞、さらにアカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、メイク賞の5部門にノミネートされてメイク賞を受賞。

作品のジャンル、というかスタイル自体はすっかりB級『ゴア映画』なのに、作品としてはこれだけ評価されているのは、“女性の美の追求”というテーマ性が認められたからでしょうね。

とは言うものの、スタイルそのものが『ゴア映画』の猥雑性を前面に押し出したものとなっているし、えげつなさはまさに、フルチやヘネンロッターなどの諸兄のそれとも負けずとも劣らない。思い切り振り切っているので、多分賛否両論…と配給側も判断したのでしょうか??

作品自体はすでに1年前にカンヌ国際映画祭で発表されているにもかかわらず、日本での公開がようやく今頃(2025年5月)になったのは、受けるかどうか読めなかった…のでしょうね。日の目を見たのはアカデミー賞でそれなりに評価をされたからだと思いますが、それくらい、ちょっと「ぶっ飛んだ」映画であることは間違いありません。

なお、交通の利便性の高いシネコンで鑑賞したとはいえ、平日の公開1週間後にもかかわらず、それなりにお客さん…中高年中心で女性も結構な割合…だったのは、久しぶりにデミ・ムーアが主演をして演技が評価された作品である、ということが往年のファンに届いたのではないと思うのですが、一方で、「途中退出した人も多かった」というNETでの書き込み(この時はほとんど途中退席はなかったですが)があるのは、何となく納得です(笑)

何しろ、本作でのデミ・ムーアの老醜さ、というのも目を覆うほどの過激な描写で、特に中高年の同性の皆さまには心にグサッ!!刺すくらいです…と言いながら、冒頭からしばらくの間のデミ・ムーアは(最近はパッとしないものの(笑))往年のアイドルスターとしての片りんをしっかり見せていて、「さすが、歳をとってもそれなりに美しいものですね~」と感心するくらい。もっとも、物語が進んでいくにつれて、どんどん醜くなってしまうので、そのギャップが“痛い!”のですが…。

ただ、前述のとおり、過激…醜悪なのはデミ・ムーアに限りません。

周辺の人々にしても、本当に「美しい」キャラは皆無…といってよいほど徹底した描写が本作の特徴です。

あ、映像的には「美しい?」ものも多いのですが、中身がドロドロ…という意味での「美しくない」という趣旨ですので、よろしくご理解を。

本作は「美しいビジュアル」と「ゲロゲロのシーン」とが交じり合った作品ですが、お話としては、女性蔑視社会のメタファ…全編に渡って悪意の塊りのような作品です。

と、いうことで…本作を家族や恋人同士で鑑賞するのは控えた方がよろしいでしょう。

 

一時は誰からも愛されるアイドルスターだったデミ・ムーア(演じる主人公)も50歳の誕生日。

さすがに衰えは隠せないものの、レオタードに身を包んで大胆なポーズを披露するエアロビクス番組では長い間レギュラーを勤めていました(というか、看板アイドルだった)。

が、それも誕生日のその日に突然降板を告げられます。

番組視聴者の若返りを狙うプロデューサー(デニス・クエイドが怪演)は、デミ・ムーアに代わる若手のタレントの発掘に取組むことに。

降板させられたデミ・ムーアの心はかき乱されるが、番組(自分)の看板が撤去されるところを車で通りかかり、それに気を取られて赤信号に突入、派手に横転する事故に遭うが奇跡的に軽症で済む。が、ショックで呆然としているデミ・ムーアに、若い男性看護師から『サブスタンス』という違法民間療法のPRデータが入ったUSBを渡されます。

一度はゴミ箱に捨てたものの、お約束どおり(笑)、我慢ができずに手を出して、怪しげなキットを怪しげな場所から手に入れます。

で、やってみたら「あ~ら不思議!」

急激な細胞分裂?が起きて、背中が裂けるとデミ・ムーアの中から若くて美しいマーガレット・クアリーが出てきます。まるで忍法『魔界転生』!ですが、デミ・ムーアも意識を失っているけどしっかり生きていて、“栄養”によって1週間眠り続けます。

新旧の肉体は1週間ごとに眠りと活動を入れ替わるのですが(ここが本作の目玉部分ですが、全く説明できるものではありません。『山田忍法』もびっくり)、入れ替わりがピッタリ1週間を超えてしまうと母体であるデミ・ムーアの肉体の一部が醜く老化してしまいます。

若々しいマーガレット・クアリーは、心機一転リニューアルされたエアロビクス番組の主役に抜擢され、人気も急上昇!老いたデミ・ムーアと入れ替わるのが惜しくなるし、そのだらしない行動にも嫌気がさしてきて、ルールを破って1週間以上にわたって入れ替わりをしないままになるのですが、ところが!

実は若い肉体を維持するには母体の脊髄から栄養を取り出して補給しなければならないのですが、そのうちに、長い間ほったらかしにされたデミ・ムーアの肉体からは栄養が枯渇してしまいます。

その影響で若い肉体が維持できなくなり、仕方なく久しぶりに入れ替わりをするのですが、目覚めた母体(デミ・ムーア)は、すっかり面影もない醜い老婆の姿になってしまうのですが…。

 

美貌とナイスボディが唯一の?評価基準のショービズの世界ですが、その世界でずっと生きてきたデミ・ムーアの精神はすっかり毒されていて、若い肉体を取り戻したい!という願望も、復活したい!という欲望も、全ての基準が“それだけ”

若さを活かして別の道に進もう!なんて発想はこれっぽっちもありません!!

どこまでもセクシー(死語)に、お○りをプリプリ振り回しておっちゃんたちの注目を浴びることしか人生の価値を見出せない。

びっくりするほど徹底した女性蔑視感に満ちた世界です。しかも、当人はその世界でしか生きられない。それを見事に許容しています。

そんな性的差別が徹底した、男女平等参画社会…なんて微塵もない世界を描いているのは、女性監督ならではの皮肉…でしょう。

劇中の『サブスタンス』にしても滑稽なほどに荒唐無稽です。

本作は、ほぼ全編に渡ってキッチュでグロテスク、女性の人格を全く顧みない世界を描き切っています。

でも、描写が極端であればあるほど、この世の中がいかに男女差別、人権が尊重されていないかが、浮き彫りになってきます。

そして、恐くて気色の悪いはずなのに、寂しい世界観です。

文字通り、デミ・ムーアが裸一貫になって真剣勝負で挑む演技なのですが、デミ・ムーアが真剣になればなるほど、迫真の演技になればなるほど、コメディな世界観を感じてしまうのは…ファルジャ監督の思惑通り…ということになるのでしょうか?

少なくとも、在りし日のデミ・ムーアをイメージして鑑賞しようとする往年のファンにとっては…すっかり置いてきぼりの作品…といえそうです。

 

とは言うものの、御歳還暦を超えて、衰えたる…といえども(もしかしたら??画像処理もあったのかもしれませんが)、派手なレオタードに身を包んでプルンプルンするデミ・ムーアには極めて感心!とても歳を感じさせない。

「参りました…」という感覚です。

また、デミ・ムーアの影武者??を演じるマーガレット・クアリーも、しっかり、若返って欲望の塊りとなった中高年女性の性を、違和感なく表現しました。

こちらも熱演。

ちなみに、『サブスタンス』によって、分離した、若い肉体と母体とは、分離の時点では意識・記憶が共通していますが、分離して別の肉体になってからはそれぞれが自我、意識を持っているので、同じ人間(のはず)なのに、行動や思惑が次第にバラバラになっていき、ついにはお互いを憎み、争ったりするようになります。

これも、己の欲望の深さとそれに対する「自己嫌悪」の醜さをストレートに表現していて、この点でも結構鑑賞に際して“覚悟”が必要な…“痛い”内容です。

そんな「処方注意!!」…な作品です(笑)

 

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品

★★★★  傑作!こいつは凄い

★★★   まあ楽しめました

★★    ヒマだけは潰せたネ

★     失敗した…時間を無駄にした

 

☆は0.5

ツイスターズ
TWISTERS

 

〔勝手に評価 = ★★★★ = 直球勝負!〕
 

2024年/アメリカ映画/122分/監督:リー・アイザック・チョン/製作:フランク・マーシャル、パトリック・グローリー/製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、トーマス・ヘイスリップ、アシュリー・ジェイ・サンドバーグ/原案:ジョセフ・コシンスキー/脚本:マーク・L・スミス/撮影:ダン・ミンデル/出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、グレン・パウエル、アンソニー・ラモス、モーラ・ティアニー、ブランドン・ペレア、ダリル・マコーマック、サッシャ・レイン、キーナン・シプカ、ニック・ドダーニ、ハリー・ハデン=ペイトン、トゥンデ・アデビンペ、ケイティ・オブライアン、デヴィッド・コンスウェット ほか
 

【気ままに感想】

30年近く前の名作の続編…ってだれのための作品なの??
まあ、これは本作に限らずアメリカ映画にはこんなのばかり…というのは言い過ぎではなく、この手の作品は多いですよね~。
本作について言えば、若い人はもちろん前作を知らないし、実際にもお話の内容として“続編”という意味はほぼない…というか「全くない」作品なのだから、そういうことにどんな意味があるのだろうか??
主張したいのは『スピルバーグ印!』ということで、宣伝にも「ジュラシックワールドの…」みたいな文句があって、もうこれはスピルバーグの名声を使ったPR戦略に過ぎない…のでしょうね。
こういう売り方をしないとハリウッドでも商業的に成り立たないのでは??という危機感というか不安感に襲われるのでしょうか???
おそらく、そんな風にアピールしないと、製作費の資金調達も(が)難しいのでしょうね。堅実なリターンを求める投資家を相手にすると、どうしてもこんな風にチグハグなことになってしまうものですかね。
製作に携わる人たちは大変です。

でも、本作は、内容については極めて真面目に災害に向き合った、かつ、ラブストーリー、デザスター映画としても直球な内容の、王道作品…悪く言えば予定調和が崩れない、とてもまとまりの良い作品になっています。
人が竜巻にビュンビュン飛ばされていくシーンをリアルに描いているので、子どもたちにもおすすめ!…と言う訳にはいきませんが(映倫はGですけど)、お話としては決して俗悪にならない、悪者も居ない、甘いお菓子のようなだけど良心的な作品です。

主人公は、デイジー・エドガー=ジョーンズが演じる気象学者…というか、気象学、特に“竜巻”を研究テーマとしている学生として登場し、後にアメリカの気象庁?で予報官として働く人物です。
後に明らかになっていくのですが、この人の「竜巻好き」は筋金入りで、中学校の夏休みの自由研究からして精巧なミニチュアを活用した「竜巻のシミュレーション実験」…って、そんな子ども居るの???
なので、学生時代の事故のトラウマ?で現場主義からすっかり足を洗っているものの、仕事ではやっぱりきっかり“竜巻”に関わっている。
何せ、それだけ筋金入りなので、竜巻の動きが読めちゃう人(その原理は別にして)で、そんな特技を備えています。
大学生だったときに、研究仲間と一緒に竜巻の観測をしに出掛けるのですが、その研究内容は、竜巻の中に水分を吸収する素材を投げ込んで、竜巻の勢いを制御できるか…という、何とも野心的なものなのですが、そのためには“ほどよい規模”の竜巻の中に入って素材を竜巻に吸い込ませる必要があります。
小さくてもダメ、大きいと危険なのでなおさらダメなわけですが、お約束通り、とても大きな竜巻に入ってしまい、観察をしていた仲間たち4人のうち、デイジー・エドガー=ジョーンズを除いて3人が竜巻に飲まれて、お空にピューッと飛んで行ってしまう。
残された仲間は、デイジー・エドガー=ジョーンズと竜巻の外で観察作業をしていたアンソニー・ラモスの2人のみ。
お約束のとおり?3人のうちの1人が当時の恋人でやっぱりピューッと飛んで行ってしまいます。
5年後、恋人と仲間を失ってから竜巻地帯から離れて、都会生活を満喫していたデイジー・エドガー=ジョーンズのもとに、未だに竜巻の研究をしているアンソニー・ラモスが事故以来久しぶりに訪れ、研究の協力を求めます。竜巻とは関わりたくない…と思いながら、天性の竜巻少女のデイジー・エドガー=ジョーンズは、いやいやながら(でも内心ワクワクしながら)数日限定という条件で協力を承諾する。
オクラホマの竜巻発生地帯に赴いたデイジー・エドガー=ジョーンズは、アンソニー・ラモスの研究チームと合流するが、そこには、ユーチューバーのストーム・ハンター(竜巻追っかけ)のグレン・パウエル一行も居合わせて、お祭り騒ぎをしてフォロワーにグッズを売ったり、研究チームにちょっかいを出したりしています。
後は、絵に描いたように(笑)、研究チームとストーム・ハンターチームの竜巻追っかけ競争、相次ぐ竜巻の脅威があって、実は研究チームが悪役で、ならず者のハンターチームが善玉だった!というビックリ?なお約束展開。
もちろん、デイジー・エドガー=ジョーンズはハンターチームに鞍替えして、グレン・パウエルとの関係が…という流れです。

お話としても破綻のない、スムーズな流れの作品…という点が好感的。
最初は胡散臭いならず者として登場するストーム・ハンターたちも、商売第一主義的な行動は、実はその資金を被災者支援のボランティア活動費として活用していて、炊き出し(アメリカなので“焚いて”はないけど)にも積極的に取り組んでいて、実はイイやつだった…展開は観客にもやさしい。気持ちが良い作品です。
一方で、これもお約束ですが、研究チームが研究資金を得ていたのは、実は被災者を食い物にしている不動産業者からで、不動産業者は被災地に赴いては被害者の土地を二束三文で買いあさっていた…という真相が後に明らかになる。
デイジー・エドガー=ジョーンズは、研究チームのリーダーであるアンソニー・ラモスを攻めるのですが、当然ながら(笑)、最初は“大人の都合”を振りかざすアンソニー・ラモスも良心に目覚め、研究チームと決裂する。
そして、当然ながら(!)最後は、壊滅的な打撃力を持った超大型竜巻の襲来に対して、学生の頃にやっていた、“竜巻の勢いを制御する”実験の発展形で人々を救おうと奔走します。
猛烈な勢力を持った竜巻が刻一刻と街に襲来しようとする、まさに危機一髪の事態に、デイジー・エドガー=ジョーンズ、アンソニー・ラモス、そしてグレン・パウエルたちは、竜巻の威力を制御することができるのか…???
もう、お分かりですね!

ということで?
お話自体は“それなり”なのですが、何ともすごいのが“竜巻の描写”
もちろん、映像技術が格段に進化している現代…どんなシーンでも表現できるし、スゴイ映像が溢れかえっている今日この頃ですが、本作の“竜巻”は“これまでの竜巻”に比べても決して劣らない…というか、最高の出来!と言ってもよいのでは?(まあ、竜巻作品がこれまでどれだけあったかは…よくわかりませんが(笑))
少なくとも、人間がピューッ、ピューッと飛んでいく描き方はちょっとビックリ、多少心臓に悪いくらいに衝撃的です。
竜巻を、自然現象として描いているというよりも、怪獣映画の“カイジュウ”扱い。情け容赦のない破壊神として描かれています。
まるで、神の意思が自然現象に宿っているかのごとく。
主人公はそれを“読んで”対峙していくのです。
その点では一見の価値ある作品ではないか??…と思います。

本作でよかったのはグレン・パウエル。
『トップガン マーヴェリック(2022)』の、いかにもなライバル役に続いて?本作でも悪役と善玉との中間の微妙な役回り(でも、最後は美味しいところを持って行く人)をそれらしく演じていて、立ち位置的には『スターウォーズ』のハン・ソロ。
結局オイシイ役を嫌味なく演じました。
この嫌味なく…ってところが大事なところですね。
傷心のヒロインの心をガッチリつかんで、かつ、大事なところで活躍する人…1作の中でガラッと印象を変える役を納得感もって演じられるところは、この人のもって生まれた天性なんでしょうね。なかなか得難いキャラです。
すでに30代半ばを過ぎた遅咲き?(子役から役者をやっててキャリアは長いですけど)の俳優さんですが、今後の活躍は結構期待…です!

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★  傑作!こいつは凄い
★★★   まあ楽しめました
★★    ヒマだけは潰せたネ
★     失敗した…時間を無駄にした

☆は0.5

ビーキーパー
THE BEEKEEPER   (PG12)

〔勝手に評価 = ★★★★ = ちからコブ!!〕

2024年/アメリカ映画/105分/監督:デヴィッド・エアー/製作:ビル・ブロック、ジェイソン・ステイサム、デヴィッド・エアー、クリス・ロング、カート・ウィマー/脚本:カート・ウィマー/撮影:ガブリエル・ベリスタイン/出演:ジェイソン・ステイサム、エミー・レイヴァン=ランプマン、ジョシュ・ハッチャーソン、ボビー・ナデリ、ミニー・トライヴァー、フィリシア・ラシャド、ジェレミー・アイアンズ ほか

【気ままに感想】

冴えない“おじさん”(ときには“おばさん”)が、実は元凄腕の特殊工作員、あるいは殺しのプロで、巨悪(大抵はグローバル企業か政府機関)に1人で立ち向かって、凄腕テクニックで次々と敵を倒していく…。
という、お話…いったいいくつあるのか???
何度も何度も何度も何度も…使われてきたこの筋立てですが、よく飽きずに出てきますよね~。およそアクション俳優であれば、一度は演じたことのあるお話、と言っても過言ではない、「金太郎あめ作品」
余りにも、話の中身がない(笑)、当然ながらツッコミどころ満載の「元凄腕特殊工作員『分野』」(もう、ひとつの「分野」と言ってもよいでしょう!)ですので、このツッコミ以外に触れるべきところはない(と言っても過言ではない)ので、今回は“すっかり”ネタバレ注意でお願いします!!

まずは何と言ってもこの題名!!
『ビーキーパー』(『養蜂家』と和訳されている)って何かと思ったら、ズバリ!誰も知らない政府の秘密組織(正確には組織から独立した役職?のようです)の元工作員の「コードネーム」。
つまり“今回の”元凄腕の特殊工作員の元職業名が『ビーキーパー』というものだそう。
よく理解できないのですが(笑)…政府などの様々な機関が機能不全に陥ったり、危機的状況に面したときに“発動”されて、キレイさっぱり片付けてくれて、組織を立ち直らせるための状態に整理してくれる役職?の人を『ビーキーパー』と言っているそうですが、なんでも、「蜂」は巣に危機が訪れると場合によって働き蜂が女王蜂(トップ)を殺したりして「巣」を守るそうで、いわば組織や機関にとって面倒な人を始末する役割を「蜂」に例えて呼んでいる、とのこと。勉強になりますね???
で、もちろん、ジェイソン・ステイサムはこの元『ビーキーパー』なのですが、引退した後、何をしているか…と言えば『養蜂家』…。
ええっ???
元『ビーキーパー』が仕事を引退して今は実際に『養蜂家(ビーキーパー)』してますって…どういうこと??
まったく、これっぽっちも、身分を隠してない…。どこが秘密の役職?…。
確かに、政府の秘密の役職?に『ビーキーパー』なんてものがあるのは、CIAの長官になるまで知らなかった…ほどの(ほんとかよ)、ごく限られた人のみが知る存在なので、一般に『ビーキーパー』を名乗ってもほぼ全く何の支障もないのかもしれませんが、でも、飛行機の搭乗記録まで抹殺されている“秘密の人”が堂々と実際に『養蜂家(ビーキーパー)』しちゃダメ!でしょう!!
少なくともCIAの長官だった人とかには、一発で居場所や身分がバレちゃう。
そういえば、CIAの長官になるような人ですら知らなかった役職?っていったい誰がどう管理したり育成したりしているの???
謎は深まります…(爆)

とまあこのように、冒頭に述べましたように、ほぼ全編に渡ってツッコミどころ満載ですし、室内でバリバリと機関銃を撃たれても、頭を低くして走ったらデスクとかにしか弾が当たらない…というお決まりのシーンもちゃ~んとあって、この「分野」の作品としては、申し分のない設定です。

それでは、いったい本作の特色…っていったい何?
と問われれば、ズバリ!!
“やたらと強いジェイソン・ステイサム”…に尽きると言ってもよい、と思います。
まあ、“やたらと強い”主人公は、この分野の作品には必須ですが、そんな数多いる“やたら強い”人々にも決して引けを取らないのが、本作のジェイソン・ステイサムです。
身長178センチ、体重80㎏前後の普通~の人体型からしても特別にすごい感じはないジェイソン・ステイサムですが、本作においては、とにかく強い。
FBIやCIA、政府要因用のシークレット・サービスが、文字どおり“束になって”かかっていっても、全く歯が立ちません。
ガトリング・ガンまで常備している、“ぶっ飛んだ”現役の『ビーキーパー』や、「ビーキーパーを殺した経験がある」と豪語する“ぶっ飛んだ”傭兵すらも、ほとんど問題になりません。
銃やブービートラップでやっつけられる人も沢山いますが、何と言ってもジェイソン・ステイサムの鉄拳制裁が素晴らしい。
アクションが軽くなくて、ジェイソン・ステイサムの拳で殴られたら「本当に痛そう~!!」と相手の痛みが直接観客に届くような、重たいゲンコツで「力いっぱい」殴ります。
それは、相手が戦いのプロだろうか、ヘタレなハッカーやベンチャー企業の青臭いエグゼクティブだろうがお構いありません。
一応政府の公務員の皆さんは防弾チョッキを着てはいるものの、その上から容赦なく至近距離で弾丸を撃ち込まれたらあばら骨の1、2本、多少の内臓や筋肉は傷ついているでしょうから、やっぱり“痛いはず”。
ジェイソン・ステイサムの通った後は文字通り「ハリケーンが通った跡」みたいになって、床には呻き苦しむ人が累々と横たわっているのです。
観ているだけで思わず“ゲンコツを握りしめてしまう”臨場感にきっと酔いしれるでしょう。
まあ、それに尽きる!と言えば尽きてしまう(笑)
そんな作品です。

すでに述べたように、ジェイソン・ステイサムはちょっとしょぼくれた感じの養蜂家です。
養蜂家…と言い切ってしまっていいのか、ハチを買う巣箱も沢山あるわけではないみたいで、わずかに?7、8箱くらいのようなので、趣味の範囲かもしれません。退職年金があるのか退職金がいい金額なのか、孤独に生活しています。
おそらく、唯一交流があるのが、同じく孤独な老女フィリシア・ラシャド。慈善団体の資金管理をしている女性ですが、あるときパソコンに、“手当”をしないとデータが全て消えてしまう…という警告メッセージが。
思わずコールセンターに連絡をして、言葉巧みな説明に従って、ポチポチとキーボードを叩いていくと…あっと言う間に、慈善団体の資金200万ドルの銀行残高が“0”に!!
まんまと「詐欺」に逢ったことを悟った老女は、拳銃自殺…。
夕食を誘われていたジェイソン・ステイサムは、手塩にかけた蜂蜜の瓶とともに訪問したところが第一発見者に。
運が悪い(あるいは都合が良い)ことに、たまたま滅多に(というか全然)実家に顔を出さない娘(エミー・レイヴァン=ランプマンが好演)と居合わせて、たまたまこの娘がたまたま凄腕のFBI捜査官だったことから、現行犯逮捕(冤罪)。
一応、誤認逮捕だったことが分かり釈放されたジェイソン・ステイサムは、ビーキーパーの組織に連絡をして、詐欺組織の洗い出しを依頼(OBでも依頼できるんだ~)。巧みなネットワークシステムで正体がバレないように仕組まれた『ユナイテッド・データ・グループ(UDG)』といういかにもな会社名が浮上する。
詐欺通話の発信元のUDGの支社に出向いたジェイソン・ステイサムは、会社に雇われただけの警備会社職員やへなちょこなハッカー社員などにもお構いなしで、怒りの鉄拳を食らわせた上に、オフィスにガソリンをまいて爆弾を仕掛けて、結果、オフィスは粉々に。
黒幕を吐かせるために支社を仕切っていたチャラい兄ちゃんの指をチョンパした上で車ごと海にダイブ!させて他の支社について吐かせて、さらに突撃!!
止まることなく、お年寄りを毒牙にかける輩を片っ端から成敗していきます。もうすでにフィリシア・ラシャドの敵討ちの範囲を超えています。
そんなジェイソン・ステイサムの敵となったUDGの親会社トップは、チャラいベンチャーCEO(ジョシュ・ハッチャーソンがチャラい好演技)。ですが、そのお守り役には上記のとおり元CIA長官がしっかりガードしていながら、甘々のお母さまは実は!○○○だった!!というビックリ??設定。
さて、ジェイソン・ステイサムは、見事に生き延びてチャラいベンチャーCEOに一矢…というか天罰を下せるのか???

この、ビックリ設定が、ビックリになっていないのは、すでに予告編でそれとなくネタバレになってしまっているとこが、今風の映画。どうしてこうも我慢できないのでしょうかね~。
まあ、ネタばれててもそれほど大きなダメージがない…のですけど(笑)

本作では、何と言ってもジェイソン・ステイサム!
どんなに攻撃を受けても最後の方まで“無傷”なのはご愛敬ですが、アクションスターとしての本領をいかんなく発揮しています。
お話のスジはイマイチですが、途切れないアクションシーンにおいて、常にピンッ!!と緊張感あるジェイソン・ステイサムの暴力は、まるで研ぎ澄まされた包丁のようにスマートです。
ジェイソン・ステイサムに痛めつけられると、何とも痛そう。相手を倒す…というよりまさに“痛めつける”アクションは、なかなかに「他との差別化ができている!」といえます。

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★  傑作!こいつは凄い
★★★   まあ楽しめました
★★    ヒマだけは潰せたネ
★     失敗した…時間を無駄にした

☆は0.5

 

春の『平山温泉』とその周辺の小さな旅、その2です

 

『平山温泉』にのんびり1泊してからあちこちと寄り道しながら帰るのですが、その前に…『平山温泉』の周辺を散策します。なお、この情報はちょっと古くて2024年春(2月下旬)ですのでご留意を。

 

『平山温泉』は賑やかな温泉街が形成されているような、いわゆる観光地的な温泉地ではなくて、ぽつん、ぽつんと日帰り温泉や温泉宿が点在している、鄙びたのどかな農村の温泉地です。

なので、その風景は”農村”そのもの。

けれども、若い人が新しいことにも手掛けていたりもしていて、その1つが、宿泊をした『上田屋』さんにも近いところにあるこのお店。新しい建物が2棟並んで建っていて、手前がピザのお店。

 

ていて、後ろの建物は手作りのハムなど燻製したものなどを売っているお店になっています。

平山温泉にも新しい風が入ってきているのですね。

 

そんな『平山温泉街?』ですが、一応、中心地の方に歩いていきますと…。

地域の生活の中心?となっている…であろうお店屋さん(『上田商店』)が1軒ありました。日常的に使うものを売ってそうなのはここだけだったので、何かちょっとしたものを買いたいな…と思ったら、ここへ!

 

『上田屋』さんの方から坂を下って、先ほどのお店から右に曲がると、何軒か温泉施設が並んでいて、ここが『平山温泉』の中心地かな~?という感じになってきます。

日帰り温泉『家族温泉ひらおぎ』さんの施設からは、入浴客の楽し気な声が漏れてきます。

 

少し行ったところにある『平山温泉フローラ』さん。美人の湯。

 

店内にはカフェやお土産処もある。

ちょっと立ち寄ってみまして、美人のお湯の元?を購入。

 

もう少し行くと、少し奥まったところに新しい施設がいくつかできているのが見受けられました。

この時期(2024年2月)は、建築中のものだったりしていましたが、どうやら施設も整ってきているようです。

『平山温泉 お宿 湯の蔵』という複合施設で、『平山温泉』も少しずつ現代風な場所もできているようですね。

温泉地としては地味なイメージの平山温泉ですが、柔らかくて気持ちが良い”美人の湯”に加えて、新しい魅力ができてくると、変わっていくのかもしれません。

 

 

新しい建物の地鶏のお店にも、若い人たちが並んでいました。

 

先にご紹介した、この辺の地区で唯一?のコンビニエンスな『上田商店』のある四つ角を右に曲がらずにそのまま進んだところにはお蕎麦屋さんが1軒ありました。

ちょっと地味な感じのお店でしたが、お客さんが結構入って行っていました。

このときはお宿の夕食(前回ご紹介)の前だったのでこのお店には入りませんでしたが。

 

温泉以外は何もない??ような”奥座敷”とも言える長閑な場所にも、時代の変化が来ていました。単に寂れていくばかりではなく、ここでは「温泉」という資源を活かして、若者や旅行者にもアピールする魅力ができてきつつある…都会ではない場所での”地域振興”の1つの例になるとイイな!

率直に感じたことです。

 

さて、『平山温泉』が”奥座敷”なら、周辺地域で表の”顔”といえる観光地…と言えばやはり『山鹿温泉』!!

今回は温泉には入りませんでしたが、古くから形成されてきた、懐かしい『山鹿』の街並みを散策したいと思います!

 

『平山温泉』から『山鹿』の街並までは、車でも10分少々の場所。距離にして7㎞弱の移動になります。

『豊前街道駐車場(観光客用無料駐車場)』(広い!)に車を停めて、観光の中心となる『豊前街道』をのんびり南下します。

町並みは「大正ロマンのまち」というくらいですから、レトロで懐かしいような風景です。

 

『豊前街道』を下ってすぐの場所にある『八千代座』

周辺は観光客向けにも整備されていて、見て楽しい、タイムトラベルの気分。

 

建設110年を超えた(明治43年(1910年)建築)歴史ある芝居小屋『八千代座』

国の重要文化財です。

近くで見ると結構大きい!!

特別の公演がないときも内部の見学可能。この日は、時間を区切って『八千代座』の紹介動画と伝統行事『山鹿燈籠踊り』の公演があっていました。途中からになってしまったのですが、折角なので入ってみます。

 

『八千代座』の舞台の様子です。

天井や周りのスポンサー看板がきらびやか。『山鹿燈籠祭り』は8月15日から17日にかけて行われるお祭りで、「よ~へ~ほ~」の歌いまわしが何とも優雅(笑)

 

公演の後はお待ちかね!!『バックステージツアー』

館内見学です!

 

『山鹿燈籠踊り』の披露してくれた皆さんとの記念撮影もできます!

 

『八千代座』の楽屋。

歴史ある施設だから楽屋裏もレトロですね~。

 

では、舞台下の”奈落”へ行ってみましょう~!!

 

最もビックリするのがこの「廻り舞台」

直径8.4m、重さは3.2トン。支えているレールはドイツ製で1910年の年号が刻印されているとか。

「廻り舞台」は日本発祥、何ともすごい仕掛けを考えたものですね~!

 

こちらは「花道」の下の様子です。

真ん中に見えているのは「スッポン」。奈落から役者さんが登場する仕掛け。役者さんを4人で担ぎ上げて花道に登場させるもの。

 

二階の客室から見た舞台の様子です。

天井広告画がよく見える。広告が賑やかで楽しい~!

 

 

『八千代座』隅々まで見学ができたら、ブラブラと『山鹿』の街を散策してみましょう。

 

山鹿のシンボル?の1つ、『金剛乗寺』の『石門』です。

空海によって開かれたという真言宗の名刹。石門は1804年(文化元年)に造られてとされています。

日本っぽくないデザイン。

 

石門を潜って、『金剛乗寺』さんの様子です。

参道の脇からはボコボコという音を立てています。さすが、温泉の町。

 

こちらも山鹿の街のシンボルとしてよく登場する、『山鹿燈籠民芸館』

館内には多彩な山鹿燈籠が展示されている…ということですが、今回は残念ながら見学せず。

建物は、旧『安田銀行(後、肥後銀行)山鹿支店』で、1925年(大正14年)に建てられた建物で、国の登録有形文化財に指定されています。

 

 

山鹿のお土産といえば…『燈籠もなか』!

ようかんなどの和菓子もある、街道沿いのお店『西益屋』さんへ。昭和初期から創業している老舗です。

 

アットホームな店内には、美味しそうな和菓子が沢山並んでいました。

もちろん!『燈籠もなか』を購入。羊羹もゲット。

このようなお店があるところが歴史の街の魅力の1つですね。

 

 

山鹿の街並をブラブラして、さて、帰りましょうか…と、その前に!

 

前日、梅を見に『谷川梅林』に行ったものの時期が遅くて堪能できるほどみることができなかったのですが(イベント期間だったのに…は前回ご紹介)、未練あって、旅館に置いてあった情報誌などを見てみたら…大牟田の『普光寺』の『臥龍梅』が見ごろとの情報が…!

大牟田なら帰り道だし、ダメ元でも行ってみよう!!

と、寄り道がてら『普光寺』へ!!!

 

梅の季節のイベントはやってました!

ですけど…。やっぱりピークはけっこう過ぎていたみたい。

気候変動の関係でしょうかね~。もっともすでに2月24日(2024年)ですから、終わっていて当たり前なのかな…。

 

梅は結構終わっていましたが、途中には『寒桜(椿寒桜)』が見事なピンク色の花をつけていました。

 

参道を登って、いよいよ福岡県指定天然記念物『臥龍梅』へ。

やっぱり時期は過ぎていましたが、それでも立派な梅です。

 

『普光寺』さんから観る景色。

梅は盛りを過ぎていましたが、青空となって、キレイな風景を楽しむことができました!!

 

ところどころに、花弁が残っていて、これもまた趣のある姿でした。

 

『普光寺』さんの仁王像。

由緒のあるお寺さんです。

 

 

ということで、温泉に浸かりながら、(季節外れになってしまった)梅の花を追いかける小旅行は以上のとおりでした。

しかしながら、満開のお花は観ることができませんでしたが、たとえそれを観ることができなくても、その過程で出会った風景や食、歴史、人々などがあれば、旅は大満足…ですね!

小さな旅ですが、そんなほっこりしたひとときになりました。