ジュラシック・ワールド/復活の大地
JURASSIC WORLD:REBIRTH
〔勝手に評価 = ★★★ = もうジュラパじゃなくてもいいんじゃない?〕
2025年/アメリカ映画/134分/監督:ギャレス・エドワーズ/製作:フランク・マーシャル、パトリック・ローリー/製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、デニス・L・スチュワート、ジム・スペンサー/キャラクター創造:マイケル・クライトン/脚本:デヴィッド・コープ/撮影:ジョン・マシソン/出演:スカーレット・ヨハンソン、マハーシャ・アリ、ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ルナ・ブレイズ、デヴィッド・ヤーコノ、オドリーナ・ミランダ、フリッピーヌ・ヴェルジュ、ベルシ・シルヴァン、エド・スクライン ほか
【気ままに感想】
振り返ってみると、間違いなく、現在のCG技術、映像技術の進展の原点、起点の1つとなったと言える『ジュラシック・パーク』シリーズの新たな展開となる本作!!
このシリーズがなければ…というか、天才スピルバーグが「恐竜で映画を創りたい!」と思わなければ…あの記念すべき第1作目の『ジュラシック・パーク(1993)』がなければ…今この世に溢れる「AI YouTuber」も居なかった…かもしれない!!(それは言い過ぎか??)
そんな“偉大な”シリーズの3部作の第3弾の始まり!!
…ん!!
それって、まるで訳アリ家族・親族が宇宙の大混乱を巻き起こす、迷惑なお話、“星々戦争”の構造と一緒じゃ…。まさか、あのシリーズと同様に、3部作の3番目になった途端に“残念!”な結果になってしまうのでは…。
う~ん!
何となくそんな予感が的中してしまいそうな、新シリーズの幕開けとなった本作!
やっぱり(笑)、ちょっと困った内容というかクオリティというか、そんな感じになっています。
忘れないうちにきっぱり言っておきたいですが、
「人気シリーズに安心しきって、油断したり手抜きしたり、ご都合で話を結びつけたり、主人公が『実は“例のおっちゃん”の娘でした~』みたいな拍子抜けの取ってつけたようなオチにしたり、そんなことは絶対!するなよ!!力入れて行けよ~!!」
もうそれだけで十分です。
でも、そうはならないのだろうな~。
そんな不安を掻き立てる作品です。
恐竜が出て来なくったって、もうそれだけでドキドキです。
前3部作の主人公スター・ロードことクリス・プラットから、本作ではブラック・ウィドウ姉御、スカーレット・ヨハンソンにバトンタッチ。
スカーレット・ヨハンソンは、ブラック・ウィドウと化して以降、どんどんタフマッチョになって行って、本作ではすっかり頼もしい、元特殊工作員経験者としてのストレートな戦闘スキルの持ち主です。
人体改造してない草薙少佐。キャラは全く被っています。
もう、恐竜とはこれっぽっちも関係ありません。
主人公の専門分野がどんどん恐竜から離れていっている(笑)。
いやいや、もう本作においては出て来る“生物”が“恐竜”であるのかすら分からなくなってしまっています。というのは、本作では、人工的に遺伝子配列を組み立てていって“新種”の…というより“新型”の恐竜を作り上げている…というお話です。
ごくまれに自然に保存されて残っていた恐竜のDNAの欠けた部分を他の生物(爬虫類や両生類)のDNAで補って卵から育てていたシリーズの原点『ジュラシック・パーク(1993)』からは、文字通り飛躍的に科学が進歩して、自由に(適当に)ゲノムを創作して新種の“生物”を作っていっちゃう。
このコンセプトは、前シリーズ最終話『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2022)』でも全面的に取り入れられていましたが、本作はさらに進んで行ってしまって、恐竜は単なる実験動物になってしまっています。
DNAではない、“恐竜”そのものには全く興味も関心もない(見世物としての価値すら見出さない)人々しか(除くジョナサン・ベイリー)出てこないこの新しい『ジュラシック』シリーズ…いったいどこに向かっているのか??
増えすぎた恐竜たちも、環境変化にはついていけなかった…。何せ、あっという間に熱中症やら線状降水帯やらが出現する地球ですからね~。
それに加えて、ブームの移り変わりも激しくて、みんなすっかり恐竜には興味を失っている。一旦、増えすぎて社会に迷惑をかけるようになってくると、現代日本の「クマちゃん達」くらいに、迷惑生物になってしまう。人気の移り変わりは残酷です。
で、ありがたみが薄れてしまった(商売ネタにならなくなった)恐竜たちは人気一転、世間の嫌われ者になって、再び絶滅の危機に晒されています。
そんな恐竜たちにビジネスチャンスを見出したのは、グローバルな製薬会社。
手広いのかニッチなのかわかりませんが、恐竜を新薬開発に利用しよう…あんまりよいアイデアに聞こえないのですが、まあ、そんなことを大企業が考えた!
計画の内容は、陸・海・空のそれぞれ最もサイズのデカい恐竜のDNAをかけ合わせれば、寿命延長の妙薬が開発できる!…ほんとかいな???ちゃんと脚本の科学的なチェックがあったのでしょうか???にわかには信じがたいプロジェクトが着手されます。
冷静に考えれば、それで画期的な新薬が開発できるのであれば、何も“恐竜”にこだわらず、ゾウさんとシロナガスクジラさんとダチョウさんのDNAを使えばそれなりの新薬もできそう…。
まあ、そんな野暮なことは考えず、とにかく恐竜さんたちのDNAを採取することとなります。
ちなみに、おっきな恐竜さんは長命で、DNAの良いとこどりをすれば不老長寿の薬ができる…ちょっと頭が痛くなるようなお話です。前作ではすでにクローン人間だってできそうな技術力があるのに、そんな中坊の考えたような技術がうまくいくのか…。
ということで、計画主導者のグローバル製薬企業のエリートサラリーマン、ルパート・フレンドは、3大恐竜のDNA(血液)を採取するため、恐竜さんの島に行くことにします。
参加メンバーは、戦闘能力に長けたスカーレット・ヨハンソン、その傭兵時代の仲間で密航船の頼れる船長マハーシャラ・アリ、専門家が全くいないのはどうかな~…ということで連れ出されたかのアラン・グランド博士!の弟子、ジョナサン・ベイリー(今までどこに居たの?)。
いずれにせよ、恐竜が放置されて生き残っている“島”に行くことにしますが、実はその島は世界中から立入禁止になっていて、人類の迷惑にしかなっていない“恐竜”との接触は誰もが禁止されています。
つまり、本作のメインキャラはみんな「犯罪者」というか「違法行為」を犯してます。スカーレット・ヨハンソンですら。
実は、本作の主役はもう1組あって、それは、クルーザーで世界一周に挑んでいる一家。
何のバックアップもなしに、娘2人とお父さん、そして上の娘の彼氏の4人だけで大海原を行く…やっぱり無謀な人々です。
もちろん、こちらは違法行為という訳ではないと思いますが、それでも、恐竜さんたちのエリアに迷い込んでしまうのは“お約束”
一家のクルーザーはでっかい海の恐竜「モササウルス」に襲われてあえなく沈没。
そして、マハーシャラ・アリらの船に救出されます。
ここから先のお話は…。
う~ん、語るべきこともないような、予定調和なお話です。
もちろん、あの人は「〇んで~」、その他の良い人たちは「生きて~」、この人はどっちかな~って人はやばいけど「生きて~」…みたいに、全く道を外れない。
お話に関しては、もうあまり語るところのない本作…です(爆)
それでも、本作は全く観る価値がないのか??…というとそうでもなくて、評価したいところは、やっぱり何と言っても、映画界にCG革新をもたらした、このシリーズ。
「腐っても鯛」とまでは言いませんが、ビジュアルと冒険譚には手に汗握ります。
このビジュアルをボ~っと観ているだけでも、本作を鑑賞する価値はあるかも。もっとも、小さなデバイスで観るよりも、やっぱり映画館で観た方がいいようです。
とはいえ、本作の最大の脅威であるディストータス・レックスのビジュアルは賛否両論…というより、ズバリ!批判だらけでしょう。
何せ、作り方からビジュアルまで、何から何まで“某残酷宇宙生物”シリーズの第4作に出てきた“あの”遺伝子操作生物とそっくり。せっかくここまで培ってきたオリジナリティが、そのパクリ1回で台無し…と言ってよいくらい、批判が氾濫しています。
でも、正直、色々言っている人々の言葉にも聞くべき意味があります。
実際、何でこんな映画…というかキャラを撮ってしまったのでしょうかね~。
名前こそ「レックス」と命名されているのですが、すでに出自も立場も“恐竜”ではない“生物”。
悲哀感があればまだしも、すっかり“おばけ”“怪物”扱い。
生命をもてあそんだ(もっとも、悪いのは主人公たちではないですけどね)人間たちの反省もこれっぽっちも描かれない。
それでいて、ビジュアルやハラハラドキドキ感は半端ない。
ホントウに…!
このシリーズ、どこに行くの????
★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★ 傑作!こいつは凄い
★★★ まあ楽しめました
★★ ヒマだけは潰せたネ
★ 失敗した…時間を無駄にした
☆は0.5