春の『平山温泉』とその周辺の小さな旅、その2です

 

『平山温泉』にのんびり1泊してからあちこちと寄り道しながら帰るのですが、その前に…『平山温泉』の周辺を散策します。なお、この情報はちょっと古くて2024年春(2月下旬)ですのでご留意を。

 

『平山温泉』は賑やかな温泉街が形成されているような、いわゆる観光地的な温泉地ではなくて、ぽつん、ぽつんと日帰り温泉や温泉宿が点在している、鄙びたのどかな農村の温泉地です。

なので、その風景は”農村”そのもの。

けれども、若い人が新しいことにも手掛けていたりもしていて、その1つが、宿泊をした『上田屋』さんにも近いところにあるこのお店。新しい建物が2棟並んで建っていて、手前がピザのお店。

 

ていて、後ろの建物は手作りのハムなど燻製したものなどを売っているお店になっています。

平山温泉にも新しい風が入ってきているのですね。

 

そんな『平山温泉街?』ですが、一応、中心地の方に歩いていきますと…。

地域の生活の中心?となっている…であろうお店屋さん(『上田商店』)が1軒ありました。日常的に使うものを売ってそうなのはここだけだったので、何かちょっとしたものを買いたいな…と思ったら、ここへ!

 

『上田屋』さんの方から坂を下って、先ほどのお店から右に曲がると、何軒か温泉施設が並んでいて、ここが『平山温泉』の中心地かな~?という感じになってきます。

日帰り温泉『家族温泉ひらおぎ』さんの施設からは、入浴客の楽し気な声が漏れてきます。

 

少し行ったところにある『平山温泉フローラ』さん。美人の湯。

 

店内にはカフェやお土産処もある。

ちょっと立ち寄ってみまして、美人のお湯の元?を購入。

 

もう少し行くと、少し奥まったところに新しい施設がいくつかできているのが見受けられました。

この時期(2024年2月)は、建築中のものだったりしていましたが、どうやら施設も整ってきているようです。

『平山温泉 お宿 湯の蔵』という複合施設で、『平山温泉』も少しずつ現代風な場所もできているようですね。

温泉地としては地味なイメージの平山温泉ですが、柔らかくて気持ちが良い”美人の湯”に加えて、新しい魅力ができてくると、変わっていくのかもしれません。

 

 

新しい建物の地鶏のお店にも、若い人たちが並んでいました。

 

先にご紹介した、この辺の地区で唯一?のコンビニエンスな『上田商店』のある四つ角を右に曲がらずにそのまま進んだところにはお蕎麦屋さんが1軒ありました。

ちょっと地味な感じのお店でしたが、お客さんが結構入って行っていました。

このときはお宿の夕食(前回ご紹介)の前だったのでこのお店には入りませんでしたが。

 

温泉以外は何もない??ような”奥座敷”とも言える長閑な場所にも、時代の変化が来ていました。単に寂れていくばかりではなく、ここでは「温泉」という資源を活かして、若者や旅行者にもアピールする魅力ができてきつつある…都会ではない場所での”地域振興”の1つの例になるとイイな!

率直に感じたことです。

 

さて、『平山温泉』が”奥座敷”なら、周辺地域で表の”顔”といえる観光地…と言えばやはり『山鹿温泉』!!

今回は温泉には入りませんでしたが、古くから形成されてきた、懐かしい『山鹿』の街並みを散策したいと思います!

 

『平山温泉』から『山鹿』の街並までは、車でも10分少々の場所。距離にして7㎞弱の移動になります。

『豊前街道駐車場(観光客用無料駐車場)』(広い!)に車を停めて、観光の中心となる『豊前街道』をのんびり南下します。

町並みは「大正ロマンのまち」というくらいですから、レトロで懐かしいような風景です。

 

『豊前街道』を下ってすぐの場所にある『八千代座』

周辺は観光客向けにも整備されていて、見て楽しい、タイムトラベルの気分。

 

建設110年を超えた(明治43年(1910年)建築)歴史ある芝居小屋『八千代座』

国の重要文化財です。

近くで見ると結構大きい!!

特別の公演がないときも内部の見学可能。この日は、時間を区切って『八千代座』の紹介動画と伝統行事『山鹿燈籠踊り』の公演があっていました。途中からになってしまったのですが、折角なので入ってみます。

 

『八千代座』の舞台の様子です。

天井や周りのスポンサー看板がきらびやか。『山鹿燈籠祭り』は8月15日から17日にかけて行われるお祭りで、「よ~へ~ほ~」の歌いまわしが何とも優雅(笑)

 

公演の後はお待ちかね!!『バックステージツアー』

館内見学です!

 

『山鹿燈籠踊り』の披露してくれた皆さんとの記念撮影もできます!

 

『八千代座』の楽屋。

歴史ある施設だから楽屋裏もレトロですね~。

 

では、舞台下の”奈落”へ行ってみましょう~!!

 

最もビックリするのがこの「廻り舞台」

直径8.4m、重さは3.2トン。支えているレールはドイツ製で1910年の年号が刻印されているとか。

「廻り舞台」は日本発祥、何ともすごい仕掛けを考えたものですね~!

 

こちらは「花道」の下の様子です。

真ん中に見えているのは「スッポン」。奈落から役者さんが登場する仕掛け。役者さんを4人で担ぎ上げて花道に登場させるもの。

 

二階の客室から見た舞台の様子です。

天井広告画がよく見える。広告が賑やかで楽しい~!

 

 

『八千代座』隅々まで見学ができたら、ブラブラと『山鹿』の街を散策してみましょう。

 

山鹿のシンボル?の1つ、『金剛乗寺』の『石門』です。

空海によって開かれたという真言宗の名刹。石門は1804年(文化元年)に造られてとされています。

日本っぽくないデザイン。

 

石門を潜って、『金剛乗寺』さんの様子です。

参道の脇からはボコボコという音を立てています。さすが、温泉の町。

 

こちらも山鹿の街のシンボルとしてよく登場する、『山鹿燈籠民芸館』

館内には多彩な山鹿燈籠が展示されている…ということですが、今回は残念ながら見学せず。

建物は、旧『安田銀行(後、肥後銀行)山鹿支店』で、1925年(大正14年)に建てられた建物で、国の登録有形文化財に指定されています。

 

 

山鹿のお土産といえば…『燈籠もなか』!

ようかんなどの和菓子もある、街道沿いのお店『西益屋』さんへ。昭和初期から創業している老舗です。

 

アットホームな店内には、美味しそうな和菓子が沢山並んでいました。

もちろん!『燈籠もなか』を購入。羊羹もゲット。

このようなお店があるところが歴史の街の魅力の1つですね。

 

 

山鹿の街並をブラブラして、さて、帰りましょうか…と、その前に!

 

前日、梅を見に『谷川梅林』に行ったものの時期が遅くて堪能できるほどみることができなかったのですが(イベント期間だったのに…は前回ご紹介)、未練あって、旅館に置いてあった情報誌などを見てみたら…大牟田の『普光寺』の『臥龍梅』が見ごろとの情報が…!

大牟田なら帰り道だし、ダメ元でも行ってみよう!!

と、寄り道がてら『普光寺』へ!!!

 

梅の季節のイベントはやってました!

ですけど…。やっぱりピークはけっこう過ぎていたみたい。

気候変動の関係でしょうかね~。もっともすでに2月24日(2024年)ですから、終わっていて当たり前なのかな…。

 

梅は結構終わっていましたが、途中には『寒桜(椿寒桜)』が見事なピンク色の花をつけていました。

 

参道を登って、いよいよ福岡県指定天然記念物『臥龍梅』へ。

やっぱり時期は過ぎていましたが、それでも立派な梅です。

 

『普光寺』さんから観る景色。

梅は盛りを過ぎていましたが、青空となって、キレイな風景を楽しむことができました!!

 

ところどころに、花弁が残っていて、これもまた趣のある姿でした。

 

『普光寺』さんの仁王像。

由緒のあるお寺さんです。

 

 

ということで、温泉に浸かりながら、(季節外れになってしまった)梅の花を追いかける小旅行は以上のとおりでした。

しかしながら、満開のお花は観ることができませんでしたが、たとえそれを観ることができなくても、その過程で出会った風景や食、歴史、人々などがあれば、旅は大満足…ですね!

小さな旅ですが、そんなほっこりしたひとときになりました。

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
JOKER:FOLIE A DEUX   (PG12)

 

〔勝手に評価 = ★★★★ = ジョーカーのお話ではなかった!〕
 

2024年/アメリカ映画/138分/監督:トッド・フィリップス/製作:トッド・フィリップス、エマ・ティリンジャー・コスコフ、ジョセフ・ガーナー/脚本:スコット・シルヴァー、トッド・フィリップス/撮影:ローレンス・シャー/出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダ・グリーソン、キャサリン・キーナー、ザジー・ビーツ、ハリー・ローティー、ビル・スミトロヴィッチ、スティーヴ・クーガン、ジェイコブ・ロフランド、ケン・レオン、シャロン・ワシントン ほか
 

【気ままに感想】

本作の最もビックリした点は、何といっても…
『ジョーカー』のお話ではなかった!!!!!
というところです(もう、ビックリマークをいくつつけてもOK)
正直言って、これを語らないと本作を語ったことにならないので、ここから先は“ネタバレ注意”でお願いします。

本作は、いわゆる?コミックに登場する『バットマン』の世界に住む『ジョーカー』のお話ではありません。
あくまでも、『アーサー・フレックス』(前作に引き続きホアキン・フェニックスが好演!)という一人の“被告人”のお話です。
本作では、前作で5人(ホントウは6人)を殺害した凶悪犯として起訴されている『アーサー』の“裁判”が主題になっています。
ここで争われている争点は、
「アーサーは、『ジョーカー』という人格を有していたのか(二重人格的精神障害があったのか)、それとも自ら善悪を判断できる(責任能力のある)『アーサー』として事件を起こしたのか」
です。
この論点はいかにもアメリカっぽい感じがしますが、いずれにしても、『ジョーカー』は人格として確固として存在するのか、それとも単にアーサーが演じている、ある意味“架空の人物”なのか…ということなのか、が争われ、精神的に正常ではない『ジョーカー』であれば犯罪者としての責任を問うことができず、医療的なケアが必要であり、そうでなければ罪を贖う=凶悪犯罪者として“死刑”…ということになります。
当然ながら、『ジョーカー』であれば、我々がこれまで慣れ親しんできた?残虐なヴィランの代表ともいえる、“アメコミのバットマンの世界での『ジョーカー』”となっていくのですが…。
では、本作のアーサーがやっぱり『アーサー』であったならば???
いったいこの作品の位置づけは何なんでしょうね~???


本作の舞台は、当然ながらニューヨークの顔をした(メタファである)『ゴッサム・シティ』だし、アーサーを起訴して検察の代表として“例の”ハービー・デント検事が裁判を進行していきますし、アーサーの恋人は…レディー・ガガことリー・クインゼルなのだけど、それでも結局はアーサーは『アーサー』としての道を選んでいきます。
ここが最も強烈な“違和感”であり、本作の問題提起になるのですが、
善良で小心者、幼い頃からのDV被害で障がいも負わされてしまった、社会の多くの人から虐げられてきたアーサーが、『アーサー』そのものであれば、罪を負って、おそらく“死刑”となっていく。
これに対して、アーサーが、血も涙もない凶悪なヴィランである『ジョーカー』であったならば、精神異常者として精神病院に入院して医療的なケアを受けることになる。
当然ながら、『アーサー』にこそ適切な治療と精神的にも安定した生活が求められているのだけれど、それは与えられるものではありません。
もし『ジョーカー』であれば、今後はいかなる治療や刑罰によっても更正することもなく残虐な犯罪を繰り返して、多くの無責任なフォロワーを生み出していく、極めて迷惑な男になっていく…というのは原作世界で織り込み済み。本来であれば『ジョーカー』こそが排除?にふさわしい人物…ということになります。
ですが、これもそうはなりません。

本作では、事件から2年間の収監によって精神的にも肉体的にも痛めつけられて衰えた姿のアーサーの姿から始まります。
いきなり痩せこけて骨が皮膚を破って突き出て来るのではないか?と心配になるくらいにダイエットしたホアキン・フェニックスの姿に観客は衝撃を受けます。
そしてその後も、看守のボスのブレンダ・グリーソンをはじめとする拘置所の職員の皆さんに「これでもか!」というくらいに痛めつけられ、どんどん衰えていきます。
絶望を絵に描いたような毎日のアーサーにとって、唯一の慰めとなるのは、『ジョーカー』の熱烈なファンであり、何振り構わぬ“推し活”をしてくるリー・クインゼルと同じ収監者仲間で暴力を振るい続ける看守たちに敵意を抱き『ジョーカー』の反社会性を応援する青年の存在です。
特に、本作のリー・クインゼルは『スーサイド・スクワッド』シリーズのマーゴット・ロビーに負けないくらいに○っていて、しかも“知的”。心理学者というキャラはあいまいになっていますが、まるで『ジョーカー』の仕立て人…と言ってよいほどアーサーを“コントロール”しているようにさえ見えてきます。
そのアーサーも、自分が作り上げた“人格”である『ジョーカー』になっていき、観客も(アーサーさえも)もう、目の前の人間が『ジョーカー』なのか『アーサー』なのか…わからなくなってきます。
もっとも、観客は本作は『アーサー』の物語ではなく、『ジョーカー』の物語であると思って観に来ているし、『バットマン』の世界に慣れ親しんだ者達は当然ながら「いつ『ジョーカー』が覚醒するのか??」と期待をしていて、その点は、リー・クインゼルと同じ立場である…と言ってもよいでしょう。
アーサーが『ジョーカー』の格好をして法廷に現れたときには、映画の世界の人々も、映画を観ている観客も、皆が喝采をして「ようやく『ジョーカー』のお出ましだ~!!」と思ったことでしょう。
ところが!!
“アーサー”は、リー・ギルが演じる元道化師仲間が証人として出廷し、『ジョーカー』の姿をしたアーサーを極度に恐れていることを知って、ショックを受けます。
『ジョーカー』の姿は、多くの弱い人々にとって熱狂すべきキャラクタなのに!
そして、自分と同じ立場で“友達”であった収監者仲間の青年が、ブレンダ・グリーソンら看守によってボコボコにされて、なすすべもなく殺されてしまったことで、心が「ポキン」と折れてしまいます。
アーサーはついに法廷で自分が『アーサー』であることを“主張”し、『ジョーカー』を熱狂的に支持する人々からも全力で逃れ、リー・クインゼルには『アーサー』として受け入れてくれるよう訴えます。
『ジョーカー』としてしか受け入れてくれない世間に対して、アーサーは命をかけて(死刑の宣告を覚悟して)ありのままの自分を主張しようとします。
そして、リー・クインゼルからも『ジョーカー』ではないアーサーを拒絶されて、アーサーは『アーサー』としてラストを迎えることに…。
衝撃のラスト…と言ってもよいでしょう…に、『ジョーカー』の映画を観に来たはずの観客は、とてつもない後味の悪さを味わうことになるわけです。

よくよく考えてみれば“本当の自分”を取り戻したアーサーは、本来幸福になるはずだった…。
普通の映画であったならば、そうであるべきでした。
ところが、本作はそうではありません。
好き嫌いや評価が分かれている本作ですが、観客の期待を、きれいサッパリ裏切ってくれたうえに、これ以上もない“最悪の”ラストを描いた作品であったことは、間違いはありません。

本作におけるホアキン・フェニックスについては、“演技”はもちろんのことその“役作り”には本当にビックリします。
すでに述べましたとおり、ガリガリに痩せて骨が突き出た姿には衝撃すら感じるもので、ここまで役作りに取組む役者魂には頭が下がります。
拘置所での過酷な生活を送ってきたアーサーを演じるには、前作よりもさらにビジュアルで悲惨さを表現する必要があったのですが、その悲惨な姿とともに、法廷でのふてぶてしい、相手に恐怖を与える姿、破壊された法廷からぶっちぎりのスピードで街を駆け抜ける姿…逞しさと弱さと両極端の“肉体”を1つで表現するホアキン・フェニックスは、一世一代の役作り…と言って過言ではありません。
役作りのために身体を極端に改造する役者としては、ロバート・デ・ニーロやクリスチャン・ベイルが代表とも言えますが、それらにも負けないホアキン・フェニックス…最近になってますます活躍しています。演技でも鬼気迫る姿を見せていて、目が離せない役者になってきました。
それから、やっぱりレディー・ガガ。
エンタメ業界ではカリスマですが、女優としてもいきなり『アリー/スター誕生(2018)』でアカデミー主演女優賞にノミネートされるなど、役者としても才能があった…ということを本作でも改めて実感することとなりました。
これほどまでにないくらいにみすぼらしいホアキン・フェニックスのジョーカーと、レディー・ガガのハーレイクインとでどんな“恋愛もの”になっているのか…ある意味「恐いもの見たさ」で劇場に足を運んだ人も多かったと思うのですが、何とも!!
きちんと「ロマンス」になっているのは、レディー・ガガの“演技力”によるものですね~。
スゴイ人です。

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★  傑作!こいつは凄い
★★★   まあ楽しめました
★★    ヒマだけは潰せたネ
★     失敗した…時間を無駄にした

☆は0.5

現在(2024年10月)すでに秋を迎えようという時点で半年以上も前の『観梅』の話をするのもかなり間が抜けた感じもしないわけではありませんが…次回の観梅の季節にはまだまだ時間もありますので、まあ…良し!ということにしてください(笑)

 

で、2024年2月、梅の花を観に行きがてら温泉で一泊!という予定での小旅行です!

 

今回のメインターゲットは、『八女 夢たちばな 観梅会』

毎年2月に開催されるこのイベントは、福岡県八女市立花町にある、『谷川梅林』を会場に3日間だけ開放される観梅イベントです。

『谷川梅林』は梅の生産者の市有地なので、このイベント期間外は入場できない、という、ピンポイントのイベントです。

2024年は、2月23日(祝)から25日(日)の3連休で開催。

2月下旬って…梅の時期には遅くない???

という疑問も頭をよぎったものの、わざわざ?この時期に開催するわけだし、梅も種類が本当に沢山あるのだからまあ、一見の価値もあるだろう…!ということで、初めて訪れることに…。

 

では、早速FUKUOKAからGO!!!

 

    

まずは、腹ごしらえ!

八女に行くたびに寄ってみたい!と思っていた、気になるお店『そば季里 史蔵(ふみのくら)』さん。

いつも沢山人が並んでいるので、残念!と思いながら何度も前を通り過ぎておりましたが、今回は、しっかり『史蔵』さんに入ることを目的に、多少早めに開店時間の前に行ってみたら…2組目!!でした。

でも、あっという間に行列が…早めに行って正解でした。

 

中は、古民家風の小さなお店。そばを挽いて打つところからされる。中にそんな機械もちゃんとある。

レトロ感満載のお店です。

いかにも、伝統的建造物保存地区の八女福島らしい。

 

ここは『史蔵』さん、定番のお昼の膳『きこり』で。何と1000円のリーズナブルな価格設定のコースです(2024年2月時点)。

まずは、冷たいお蕎麦と天ぷら。そばは期待通りのツルシコですが、野菜の天ぷらがとても美味しい。地元の早春の素材です。この天ぷらで一杯行けそう(昼間からなので残念!)。

 

そして、ソバの実のごはん、香の物と小鉢、メインはそば粉とお豆腐のハンバーグです。いずれもやさしい味で、美味しくいただきました。

いただいた蕎麦湯が実は大変オイシイ!!ついつい何杯も飲んでしまいそう。

 

お上品な量の膳ですので、少し物足りない(笑)ので『そば茶アイス』を追加で注文。320円(同当時)で結構な量のアイスが出てきました!

そば茶の風味がしっかりしていて程よい甘みとマッチング。これは良かった!!

 

 

 

車は観光にはとても便利な、観光物産館の公共駐車場に停めたので、道すがら少しだけ、街中を散策。

 

何度か訪れている場所ですが、レトロな情緒豊かで飽きない風景です。

 

 

では、『谷川梅林』へ移動しましょう!!

 

会場となっている『谷川梅林』には駐車場がないので、少し離れた『八女市立花運動場』が臨時駐車場になって、『八女市役所立花支所』から臨時バスで移動します。

 

バスに乗ってあっという間に会場近くのバス停へ到着。

『谷川梅林』までは細い路地を歩いて移動。途中の案内に従って会場へ。

 

『八女 夢たちばな観梅会』の会場に到着~!!!

あれ?

梅…終わってる…???

この3日間のみの会期に併せて来たわけですが…やっぱり不安は的中しましたね。2月の下旬は梅には遅いよね~。

 

ほとんど梅は終わっている感じでしたが、お祭りはやっています。

梅の残りを探しつつ、お祭り会場を散策!!

 

『谷川梅林』の敷地の中には洞窟が!

この建造物は、旧日本軍の格納庫として造られたものだそうでそれを平成7年に「ワインセラー」として整備したもの。お祭りの期間中はこの中では『竹あかり幻想の世界』と題して、竹あかりの展示がされていました。

 

ちなみに、ワインセラー部分の様子はこんな感じでした。立入りは禁止されていましたが…今も使われているのでしょうか??

 

竹あかりの展示はこんな感じ…。

小学生の作品も展示されているのですが、結構キレイ!確かに幻想的です。

 

大きな集合作品も。

 

さて、ほぼ終わりになっている、と言ってもやっぱり梅は観たい!!

お祭りの会場となっているところからさらに登ったところにも梅林がありましたので、そちらの方を見てみます。

ところどころ梅が残っていました!

 

最盛期にはもっとすごいことになっていたのでしょうが、この時点でも梅林全体を見るとこんな風に鑑賞ができました。

 

梅も種類によっては花がまだまだ残っている木も。

 

丘の上の方を除くと全体的なこんな感じで、う~ん!あとせめて1週間くらい前に開会していくれていたらな~。

本心です。

 

それでもお祭りの方はまあまあの人出。バザー会場(農産物・特産物販売エリア、飲食エリア)も絶えず人が居て賑わっています。

 

ちょっとブームが去った感があるタピオカドリンク?

久留米のお店『TORAKANEKO』さんも出店されていました。リーズナブルな価格で、なかなかオイシイ。

ここでは、やっぱり八女と言えば”お茶”!

お茶の販売もやっていましたが、こちらも大サービス!!でした。

 

さて、せっかくここ(八女立花)まで来たのに、観梅も中途半端でもったいない?

感じが拭えないので、会場に近い場所にある『立花ワイン』さんのワイナリーにも寄ってみました!!

 

八女は果物の産地。

そんな八女地方で採れるオイシイ果物、農作物を原料として、1992年からワインづくり(最初はキウィのワインから)を始めたのが『立花ワイン』さん。

今では、イチゴ(あまおう)をはじめ、様々な農作物をワインにしています。

 

ワイン醸造所に併設されているショップでは『立花ワイン』さんの製品が販売されています。

その種類にはちょっとびっくり。いろいろ飲んでみたいけど、種類が多すぎて一度に全部は…無理ですね(笑)

試飲も色々とできる!のですが、さすがに車で移動の今回は”お預け”です。

 

ワイン醸造所も見学。それぞれのタンクにそれぞれのワインが造られている。同時にいくつもの種類のワインが。

醸造所の方いわく、どんな果物や野菜でもワインにできる(作る)そうですが、やはり葡萄ほどの水分と糖分をもった果物はなく、他の果物だと果汁に糖分を加えないと十分な発酵にはならないそう。ただ、糖分は発酵しますので、ワインが甘くなる、ということはありません(アルコール分も低いものが多い)。

代表的な銘柄、「あまおうワイン」と「キゥイワイン」を購入。

どちらも、イチゴとキゥイの香りが活きたワインですが、キゥイは酸っぱいのと、あまおうは気が抜けた甘さで…やっぱり葡萄には勝てませんかね?

でも、話のタネには良さそう。一度は経験してよいお酒ではないでしょうか。

 

 

さて、駐車場の場所までシャトルバスで戻ってきたところ、気になる看板が…。

『さげもん』!

『さげもん』は柳川での女の子の節句の祝いに飾るもの…と、地域の風習として知られています。

女の子の節句といえばお雛さますが、各地でもお雛さまだけでなく、色々なものを飾る風習があるようです。

八女は柳川にも地理的に近いので、親しみのあるものかもしれません。

で、その看板に惹かれて道行くと…。

 

一軒のお家…本当に民家なのですが、ご自宅を一般開放して『さげもん』を展示していらっしゃる方が居られました!

ホントウにキレイ!!

入場料をいただくわけでもなく、ボランティアでされているようで、でも、こういう方が居られて地域の活性化、というものも図られていくのでしょうね。

しっかり目の保養、鑑賞をさせていただきました。

 

では、『八女』の地にも別れを告げて、宿泊先である熊本県山鹿市の『平山温泉』に向かいましょう。

途中『道の駅鹿北 小栗郷』にて休憩。

ここは、福岡県と熊本県の県境にある道の駅です。

 

お店自体はそれほど大きなものではありませんが、地元産のものが並んでいました。

もうそろそろ夕方近い時間帯だったので品物はこんな感じ。

 

それにしても目についたのはこの”たまご”!!

色んな種類の卵が沢山!しかもお安い!!

この辺りは卵の産地なのかしら??

 

卵に加えて気になったのが、この『あか牛牛丼』!!

写真を見たらよだれが出て来るような美味しそうな牛丼です。

夜もご馳走なので、残念ですがパスせざるを得ない。今度はこの牛丼を目当てに来たいもの。

 

 

では、熊本県に入って、今回の宿泊地『平山温泉』に向かいます。

 

本日の宿泊先は、『平山温泉 上田屋』さん

平山温泉の温泉街から少し東に離れた高台にあるお宿。8つの離れでできたこじんまりとした静かな佇まいのお宿です。

 

8つの離れの中でも広い方ではないのですが、それでも十二分にゆったりした空間のお部屋。

 

それぞれのお部屋に温泉露天風呂付き。

 

泉質はアルカリ性単純硫黄泉、少しとろみのある”美肌の湯”です。

お湯もたっぷりで気持ちがいい!!

なかなか良いお湯です。

 

施設の中。8棟だけなのでコンパクト。

その中に目立つのが…「温泉プール」!

さすがに冬はやってませんが、季節だと小さな子どもさんも楽しいでしょうね。

 

では、いよいよ夕食です!

 

食事は中央の食事処でいただくのですが、小部屋になっていて落ち着いた環境でいただきます。

『如月』のメニューは、まず、自家製梅酒の食前酒、笹もち豆腐の先付、前菜は枝豆真砂子豆腐、生湯葉の蟹甲羅あんかけ、カリフラワー峰岡寄せ、芹の白和え、岩蛸と京芋の黒糖煮、和牛の小袖巻。

どれも可愛らしく目にも楽しい前菜です。

 

お造りも可愛らしく、灯りも添えられて。

天然鰤、本鮪そして、鰆の焼霜。

 

蛤と青さの土瓶蒸し。

大きな蛤…よいお出しです。

 

煮物の替わりに蒸し物。甘鯛とお野菜の柚庵蒸し。

 

揚げ物です。筍もちあられ揚げ、辛子蓮根ちぎり、たらの芽、公魚の薄衣揚げ

 

箸休めは、塩レモンのソルベ。

 

そして、いよいよメイン!!

黒毛和牛和王の焼きしゃぶ!

『和王』は熊本県の和牛のブランドだそうで、JA熊本経済連のホームページにょると、「厳選された飼料で育てられた生後月齢28カ月以上の牛で、12段階に分けられる霜降りの度合い(BMS)が6段階以上のものだけが、「和王」となります」ということで、これを読んだだけでももう十分!というくらいですね!?

 

最後のお食事は桜海老の釜めし。

そのまま、出汁を入れてなど食べ方はいろいろ。

 

デザート(水物)は、水信玄と彦岳みかんのブランマンジェ。

『上田屋さん』のシンボルは”金魚”

水信玄にも金魚が泳いでいます。

とにかく品数が多くて、いずれも手が込んでいて見た目にも楽しい!

食材にも恵まれている地域(熊本県)なので、食事は大満足!!でした。ああ、お腹いっぱい。

 

そして、こちらが朝ごはん。

温泉旅館の楽しみの1つが、何といっても、十分な和食の朝ごはんと朝温泉!!

温泉豆腐があるのが何ともよいですね~。

 

そして、朝のデザートです!

 

 

さて、以上は八女の観梅を中心にご紹介いたしました。

時期は遅くて残念でしたが、よい経験でした。それでも年に1度だけのイベントなので、人出は結構あります。

開花状況などをリサーチして、お出かけの判断にされるとよいのではないかと思います。

それから、『平山温泉』は小さな温泉街で、静かで鄙びた場所です。

次は、この日の旅行の続きとして、『平山温泉』と近くの『山鹿温泉街』の散策、そしてプラスαについてご紹介をいたします!

エイリアン:ロムルス

ALIEN:ROMULUS    PG12

 

〔勝手に評価 = ★★★ = エイリアン4の前日譚〕

 

2024年/アメリカ映画/119分/監督:フェデ・アルバレス/製作:リドリー・スコット、マイケル・プルス、ウォルター・ヒル/脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス/撮影:ガロ・オリバレス/出演:ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーレン、エイリーン・ウー ほか

 

【気ままに感想】

 

最初にスッパリ述べましょう!

本作は、『エイリアン』と『エイリアン2』との間を描いた作品…という説明が一応されていますが、実はあの!エイリアン・シリーズ(第1期?)に終止符を打った『エイリアン4』の前日譚でした~!!

おいおい、大丈夫か???

正直な感想です。

 

『エイリアン』シリーズは、

ダン・オバノン、ギーガー、そしてリドリー・スコットという黄金のトライアングル??でできた、SFとホラーを合体させた、大傑作!『エイリアン(1979)』が出発点となったシリーズであることは言うまでもありません。

当時、『エイリアン』の何がすごかったか?というと、それまでもホラーとSFは相性は悪くないので、結託した作品は色々ありました。しかし、ホラーにしてもSFにしても扱いとしては、B級、ゲテモノ作品という感じで、決して一級のものとは扱われていなかった。

それがようやく、我らがオタクの神さまスティーヴン・スピルバーグが『未知との遭遇(1977)』によってSFもA級作品になれる!ということを実証しました。続いて本来オタク向けの低予算映画として作成された『スター・ウォーズ(1977)』が、アメリカン・ニューシネマブームに飽き飽きした国民の思いに絶妙にマッチして、全世代に対して大ヒット!!

ようやくSF映画のクオリティにも社会の注目が集まる土壌が出来上がりましたが、その中で出てきたのが『エイリアン』第1作!

B級扱いされていたSFに、さらにそれ以上の差別?を受けてきた“ホラー”を融合させたのだけれど、クオリティについては上記製作陣は手を抜かず?(一部、当時新人だったシガニー・ウィーバーのお色気に頼っていたところはB級ファンにも目配せ…ちょっと情けないところがオタクのサガ)SFホラー作品がA級作品としても成立することを見事に証明しました。

そのおかげで、宇宙船(とか宇宙の建造物…スタジオで(安く)撮影できるビジュアル)の中にとんでもない“生物”が入り込んで、人間(少数…ギャラはあまりかからない)を襲う、密室型のSFホラーのテンプレートを使った作品が雨後の筍のように濫立する現象を生みました。

一方、本家『エイリアン』シリーズは、当時新鋭のクリエイタ、ジェームズ・キャメロンがまさかの路線変更!!戦争アクション映画『エイリアン2(1986)』にしてしまって、しかもさらに大ヒット。『エイリアン』の名を不動のものとするとともに、こちらのSF戦争アクションも立派なブーム(フォロワー)を巻き起こす。

ここまではよかったけど、本家の方は、変に宗教性を強調し過ぎてぶっ飛んだ設定にして興行的に惨敗したデヴィッド・フィンチャーの『エイリアン3(1992)』(作品としてはよかった。フィンチャーがすご過ぎて、時代が着いて行かなかった)に。

その反省から?

あまり精神的に凝り過ぎた作品でファンが離れてしまったことがトラウマになったのか、今度は逆に極めて俗っぽくて、いかにもなSF作品『エイリアン4(1997)』ができました。

ちょっとシャレてロマンティックなところがあるフランス人監督ジャン・ピエール=ジュネがハリウッドで初めて撮った『エイリアン4』は、恐い、ハラハラ…というよりウィットがあって、それでいてグロテスク。どこかあっけらかんとした明るさとエログロが混じった、何ともキッチュな作品になりました。

で、この『エイリアン4』で特徴的だったのが、人間に従順な女性型の(良い)アンドロイド(ウィノナ・ライダーが好演)の登場と人類の科学を活用した遺伝子操作による新たなエイリアン種の開発という2要素。

第1作では「完璧な生命体」だったはずのエイリアンも、時代が過ぎると飽きて物足りなくなるのでしょう。

「もっとイイのができないか???」

すっかり、物語は人間の欲望だらけ…の作品となってしまいました。

そのため、『エイリアン4』のエイリアンは、未知の宇宙生命体というよりも、人間の実験失敗による不良品になっています(『リプリー8号』という成功作もある!)。

この大衆迎合的な路線変更は結局はウケなかったのですが、意外に?作品としては良い部分もあって、平凡にしたことで、かえって設定がすっきりして、物語が分かりやすくなったり、ベンチャー企業や科学技術の危うさと言った現代的課題もちゃんと描いていた作品にはなっていました。

シリーズがいったん中止したのは、主人公シガニー・ウィーバーの年齢的なものもあったかもしれません。

 

前置きが長くなってしまいましたが、そんな忘れられた存在…というかあまり人が観に行かなかった作品…の(まさに)DNAを引き継いだのが本作だった!!…なんて…。

正直、驚いてしまいました~!!

未知の星が舞台の『プロメテウス(2012)』『エイリアン:コヴェナント(2017)』から、再び宇宙の建造物(宇宙ステーションと宇宙船)という狭いスタジオ・セットへ。

アンドロイドも大人しくていじめられっ子で人間の味方のデヴィッド・ジョンソン(役名はアンディND—255)が。

エイリアンも人間が増殖方法を失敗した(あるいは増殖は成功したけど制御に失敗した)人工物です。そして、色々と遺伝子操作によるハイブリッドも出て来る。

 

『エイリアン3』が宗教をテーマの背景にして、辛気臭くなってしまったのを、科学的に振り戻してできたのが『エイリアン4』

一方、人類の起源やキリスト教などをテーマとして、やっぱり中途半端に辛気臭くなってしまった『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』と続いたシリーズを、科学的に、かつ、アクション映画に振り戻したのが、本作。

一度目は、前述のとおり、愛すべき作品となったものの興行的にウケなかった『エイリアン4』のリベンジのような、本作。

結構、観る人によっては評価が大きく分かれる作品になったのではないかと思います。

 

無理無理に、というか、『エイリアン2』の根強い人気にあやかって、「『エイリアン2』の前日譚」を“売り”にしたせいで、未知のものに対する得体のしれない恐怖心や生命の神秘、アンドロイド、人間、エイリアンという“種”の軋轢…というシリーズに通底するテーマがどこかに行ってしまい、細かい伏線とかオマージュとかもすっ飛んでしまうほど、アクションにアクションを重ね、グロテスクなシーンもタップリな、雰囲気的にはすっかり“B級作品”の衣をまとったような本作。

何とも不思議な作品だと思います。

いや、アクションとかは良かったけどね!

 

やんちゃな若手俳優で創られた本作での登場人物は、もともとの人物造形が甘いせいで、俳優さんたちは頑張っているものの、これと言って目立つ特徴的な演技が見せられなかったのが残念(演技のアラは目立たなかったですよ)。

主人公とアンドロイド以外は性格分けも曖昧だったし、何より、本作の焦点がアクションと怪物さんたちに当てられていたので、どうしても人間の描写が曖昧になってしまいました。

とはいえ、有名作品のシリーズに出演したのですから、みなさん、次回はもっと実力を示すことができる作品に巡り合えるとイイですね!!

まあ、その中でも目立ったのはもちろん主人公のケイリー・スピーニー。

2024年は、本作と『シビル・ウォー 合衆国最後の日』とで主役を演じて一躍若手のスターに仲間入り。

両作品ともに堂々とした演技を見せています。

結構可愛らしくて美人さんですが、特色…というかクセがない?のが敢えて言えばちょっと欠点かも。

両作品とも演技が一本調子になってしまう作品なので仕方ないのですが、芯のしっかりした女の子を見事に演じています。

 

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品

★★★★  傑作!こいつは凄い

★★★   まあ楽しめました

★★    ヒマだけは潰せたネ

★     失敗した…時間を無駄にした

 

☆は0.5

シビル・ウォー アメリカ最後の日

CIVIL WAR    PG12

 

〔勝手に評価 = ★★☆ = どうしてSF??〕

 

2024年/アメリカ映画・イギリス映画/109分/監督・脚本:アレックス・ガーランド/製作:アンドリュー・マクドナルド/撮影:ロブ・ハーディ/出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モラウ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニー、ソノヤ・ミズノ、ニック・オファーマン ほか

 

【気ままに感想】

 

あの、ガーリー映画の雄(この日本語の表現って、変ですね。あえて言えば『雌』ってことですが、なぜここでジェンダーが…)、キルステン・ダンストが…こんな風な立派な「大人の女性」…というか、まあはっきり言ってしまえば“おばちゃん”になって…。

正直びっくり。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021)』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされるほど実力派女優になっている(とはいえ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は未見。カンバーバッチは何となく食指が動かないので…(汗))し、キルステン・ダンストも40代になっているので、実際にガーリーな女優ではなくなっているのはわかります。

むしろ、キャリアは長いしいくつもの大作に出演していて歳の割には大御所とさえ言える存在ですから、演技力に関しては十二分。本作でもオーラはきっちり感じます。

とはいうものの、逆に貫禄があり過ぎて、その上、“おばちゃん”演技が素晴らしいので(笑)、このイメチェンには度肝を抜かされます(大げさですね)。

キルステン・ダンスト、恐るべし(爆)

 

ところで、よくわからないのが、本作の設定。

タフでストイックな戦場カメラマン(キルステン・ダンスト)…本作では“フォトジャーナリスト”と呼ぶべきでしょう…を主人公にするのだから、当然殺伐とした“戦場”が舞台になるのはわかります。

だけど、それが、架空の、しかも「アメリカ合衆国でのクーデター」…というちょっと起こりそうもない“戦争”を題材にしているのはいったいどういう意図なのでしょう。

確かに、これまでも、悪い人たち(テロリストあるいは宇宙人だったり)が“正義の”大統領(ホワイトハウス)を襲う…というアクション映画はありました。

時には、現代アメリカ社会らしい“分断”によって市民同士が争うこともあるでしょう。

でも、“悪い”大統領が正義の市民から天誅を下されるって、それにしてもイマイチ面白味のない設定です。

言うまでもなく、リアルで深刻な“戦争”が現に各地で起きている世界で、リアリティの欠片もない“お遊び”のような諍いを舞台にするのは、何とも理解ができません。

女性たちのリアルな葛藤と成長の物語を描こうというのでれば、当然ですが背景となる舞台もシビアなものとするべきであった…と思います。

 

今まさに銃弾が飛び交い、ミサイルが降り注ぐ、ガザ地区やウクライナ…でなくても、中東の危険地帯やアフリカの中部、北方の危ない国など、まさに“シビリアン”が危険で厳しい生活を強いられている事例は現に至るところにあるし、まさに世界の危機とも言える時代になっているわけです。

そのような世界の危機、社会の対立に鋭いメスを入れよう…という趣が少しでもあったのであればわかります。

でも、本作では、自国のことばかり考えるようになった感がしてしようがない“ぬくぬくしたアメリカ”が舞台で、物語は、若くて素人に毛が生えたような新人フォトジャーナリスト(ケイリー・スピーニーが演じていますが、実は、こちらが本作の本筋のヒロイン)がベテランのジャーナリストたちに育てられながら一人前になっていく…という、極めてプライベートなお話ばかりで、本作における“戦争”は、単に背景化してしまっている。

また、2人の女性フォトジャーナリストとその仲間たちが、危険を押してワシントンDC(ホワイトハウス)に向かうのは、赤裸々に真実を暴き、社会的な何かを弾劾する…といった目的があるわけではなく、

単に「特ダネ(14か月インタビューに応じない大統領に独占インタビューをする)がほしい」だけ。

何とも、ジャーナリストとしてのプライドも倫理観もない、身も蓋もないような動機なので、感情移入もしにくい…という残念な作品になってしまっています。

 

もっとも、見どころが全くない…という作品と評価するのは酷でしょう。

少なくとも、本作が(高潔な理想はないものの)“まじめ”な作品であることは間違いないです。

テーマも“若者の成長”というくくりでみれば良質に作られているのは誰もが感じるでしょう。

そして何より主人公2人の女優が素晴らしい。

冒頭でキルステン・ダンストの変貌ぶりには触れましたが、重複になりますけど、すっかり実力派女優になっているその演技力には脱帽です。

さすがに、色々なクリエイタたちからも注目されてきた人です。

チャラチャラしたところのない、ストイックなベテランのフォトジャーナリストの、堂々とした風貌には、本当にこれがキルステン・ダンスト??と思うこと間違いなし。

男勝りのつけ入るスキのない様子の中に、繊細な女性らしさや戦場の恐怖を伝える心の機微をきっちり演じてみせる、巧みな演技力には全くもって舌を巻きます。

それから、先述しましたが、本作の本来の主人公はケイリー・スピーニーが演じる、駆け出し新米のフォトジャーナリスト…フォトジャーナリスト、というより、「フォトジャーナリストを目指している女子」で、米国の内戦の様子を撮影しながら、先輩方の教えも受けて現場で成長していく…という役。

現代風の女子なのだけれど、どこかしっかり芯があって、生死の境を経験して恐怖にも怯えつつ最後には何となく貫禄もできてくる。

その二人の立ち位置は、おそらく、実際のキルステン・ダンストとケイリー・スピーニーの立場にも重なります。

子役時代から頭角を現していた、ガーリーなキルステン・ダンストが本作で貫禄タップリの先輩を演じるほどの実力派女優となり、同じように、『パシフィック・リム:アップライジング(2018)』で新人デビューしたケイリー・スピーニーが今年公開される本作、そして『エリアン:ロムルス(2024)』で主役を演じて華々しく活躍する姿は、本作におけるベテランと新人のフォトジャーナリストの役柄と重ね合わされています。

しかも、キルステン・ダンストが本作でこれまでのガーリー女優から路線変更して無骨な役を演じているのは、イメチェンを図ろうとするチャレンジであり、年齢の問題も含めて、そうせざるを得ない葛藤や迷いがあったと想像され、その姿は、一見クールなベテランであるように見えながら、死の恐怖を人並みに恐れたり、台頭する新しい才能への嫉妬心や他人との競争に負けることへの不安など、ベテランはベテランなりの苦悩を抱えていることを、本作においても見事に演じています。

また、若手ながら脂がのってきているケイリー・スピーニーも、キルステン・ダンストとの掛け合いの真剣勝負はなかなか見ごたえがあります。決して、先輩女優に臆することなく、若手の軽率とも言える活発さと弱さをきっちり演じていて、なかなかのものです。

 

一方、繰り返しになりますが、その背景が実際の戦争ではなく、アメリカ国内の対立という架空の出来事としたために現実味が欠けてしまって、折角のリアルな成長物語がフワフワとしたものになってしまったのは本当に残念です。

人がリアルに死ぬシーンも無暗にふんだんに出てきますが、どうしてアメリカ国民同士が(大統領が気に入らないからと言って)ここのように殺し合いまでしなければならないのか、何とも分かりにくいので、単にグロいシーンが続くことに対する不快感ばかりが先に立ってしまいます。

おそらく、今後の選挙による社会の分断…ということも念頭に置いて比喩しているのでしょうが、そのことや対立点すらも曖昧にしている(なぜ大統領が気に入らないのか明確でない)ので、どうしてもファンタジックに感じてしまって、締まりがなくなっています。

A24作品…というと、ちょっとシニカルで捻りが利いたイメージがするのですが、それが本作では裏目に出て“小賢しい”作品になってしまった…というのが正直な感想です。

 

それでも、現在旬な二人の女優さんたちの熱演については、一見の価値ありの作品ではないか、と思います。

キルステン・ダンスト、ケイリー・スピーニー、二人の今後の活躍は要注目かもしれません。

 

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品

★★★★  傑作!こいつは凄い

★★★   まあ楽しめました

★★    ヒマだけは潰せたネ

★     失敗した…時間を無駄にした

 

☆は0.5