朝7:30、朝ご飯を食べる。


眠い。


朝8:30、大浴場の時間が終わってしまっていたので、部屋のシャワーを浴びようとするもお湯が出ない。


寒い。


朝8:40、フロントから、大浴場での入浴を許可され、一人伸び伸び貸切の風呂に入る。


ラッキー。


朝9:50、宿を出発する。


猛烈に眠い。風呂に入るんじゃなかった。



車の後を走るのは眠くなるし、車の運転手の父は方向音痴なので、私が先を走る。


まずは45号を北上し、野田から海岸線の県道へ。


雨がぱらつき寒いし眠い。


気づくと、道の駅のだがあった。


あれ、海沿いの県道は、道の駅の手前の交差点からの分かれ道だったはずなのに…。


とりあえず道の駅に入る。


「間違ってないよ。ちょっと休憩。」


と苦しい言い訳。


ホットコーヒーを流し込み、手前にあった交差点から海沿いへ。


風強い!!寒い、寒いぜ岩手!


海沿いから山道へ入ると、バイクと車の機動力の差がはっきりと出る。


あれー?また見えなくなっちゃった。



再び海に出たら、海女漁北限の小袖海岸。


『海女センター』を見に行く。


でっかい水槽には、かわいいふぐと、おいしそうな魚がうようよ。


海女センターのすぐ隣には、大きな『夫婦岩』が。


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年季の入った夫婦が立ってらっしゃいます。


寄り道はこのぐらいにして、再び北上。


間違わずにたどり着いたのは『もぐらんぴあ』


入り口に、海女さんが!


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海女姉妹。寒そうな表情がある意味リアル。


まずは石油基地についての学習館みたいなのがあって、その奥にお魚さんたちの楽園。



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角質を食べてくれるお魚のいる足湯。


私は靴を脱ぐのが面倒だったから手を入れたんだけど、チュチュチュチュチュチュとついばんでくる。


くすぐったいし、なつこく寄って来るお魚がもう、かわいくてかわいくて。


「行くよ~」と言われたのも無視してついばまれていた。


この子達飼いたいわ。お風呂に飼えば、浸かっているだけで綺麗にしてくれるし、かわいいじゃない。


隣にあった大きな水槽でも魚と触れ合えたのだけど、「ガブッ」って効果音がぴったりな食いつき様。


かわいくないっ!


館内には、巨大蛸や鮫、悪そうな顔の魚、クリオネ、クラゲ…とわんさか。


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けっこうすぐにゴールしてしまったから「これだけ?」と言ったら、


「十分楽しんでいたように見えたけど?」と言われる。


ああ、確かに。贅沢言いました。



寒風吹きすさぶ外に出て、今度は『久慈琥珀博物館』へ。


琥珀博物館に入る前に、昼ご飯。


博物館のすぐ向かいにある小洒落たビストロに入る。


ランチにはこれまた小洒落た前菜が。


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そして、私の頼んだパスタには、平カニがドスンと居座っていた。


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おうおう、何見てんだよ!!


と言わんばかり。


ま、食べるけどね。



お腹いっぱいになったから、博物館へ行きましょう。

北上して向かったのは、田野畑村の北にある『北山崎』


三陸のリアス式海岸を眺める景勝地。


北上するにしたがって、どんどん下がる気温。


つか、17℃って…。


今7月も後半よ?


ガタガタと震えながらも、止まらずに走り続けた。


カーブの続く道も、相棒はブンブン駆けてくれる。


北山崎に到着し、駐車場に入ると、もう到着してた。


1年ぶり、私の家族。


今日は、家族との再会の日だったのだ。



昨年の今日も、北海道から帰宅した。


姉の特別な日。


それに合わせたのか偶然か、何年かぶりの家族旅行。


自宅に帰る一歩前に、家族が集まった。



久しぶりであるのに、全然久しぶりな感じはしなかった。


いつも通り。


「ちぃ~っす!」


いつも通り。


まず観光しに展望台へ。


お世話になったおじさんやおばさんの話をしながら歩く。


かわいこちゃんは私を忘れてはいなかったけど、何となく冷たい(泣)


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眠かったからかな。



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小さな頃に見た、岩の形。


陸を横から見ると、いつもその雄大さに驚かされる。


三陸の険しさは、そのまま美しさになっていた。



北山崎からさらに北上して、普代村にある国民宿舎へ。


ペット不可のため、かわいこちゃんは車で一泊。


か、かわいそうに…。一緒にゴロゴロしたかった…。


親と子で部屋が別々だったけども荷物を置いたら、親の部屋でさっそく乾杯!


母以外はお酒大好き!!


しかし、とどヶ崎が効いてるらしく、眠くなる。


ゴロゴロビール飲んで、夕飯の時間を待つ。


「眠い、腹減った。」を呪いのごとく呟く。


そして、待ちに待った夕ご飯!+またビール。

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ゴージャス☆


この他にもお刺身なんかが付いて、満腹!


食べ終わったらまた部屋に戻って飲む。


でもさすがにみんな眠くなってきたから解散。


「おやすみ。」


姉とかわいこちゃんの様子を見に行って、駐車場で戯れる。


やっぱりちょっとよそよそしい(泣)


そのまま部屋に戻る前に、お酒購入~。


乾杯~!


(圧力がかかったので、この後の状況は伏せておく。)


姉がお風呂に入りに行き、私は面倒だったから風呂は明日…という事にして布団を敷いた。


抗えない、この布団マジック。


風呂から帰ってきたら、残った酒を平らげて、もう寝ることにした。



「おやすみ~」



布団に入るとしゃべりたくなってしまう…。


「うーるーさーいー!!」


と迷惑がられるのが面白くなってしまって、姉の睡眠を邪魔する。


「覚えてろよ~!!」


こわっ。




「おやすみなさい」

晴天。

青過ぎる空。

今日はまず本州最東端へ。

いつになく晴れ渡る空。

降り注ぐ陽射しに照らされた三陸は、胸を締め付けた。

複雑な海岸線に続く海は、豊かな恩恵を含み深く青い。

萌ゆる緑の山々が世界を囲う。

素晴らしい。岩手に生まれ育った事が誇らしい。


最東端のとどヶ崎へ向かう分かれ道から、岬特有のぐねぐね。

やっぱり上達した!

もちろんヒヤっとする事は多々あれど、相棒との一体感がある。

多分アクセルワークが上達したのだと思う。

相棒が、本当に『相棒』になった!!

いやっほー!!

今までで最長のグネグネも、平気でクリア。


そして、何だか特別な予感のする天気…。



まず見つけたのは最東端のキャンプ場。

ホントはここでキャンプする気だった。

様子を見たら、かなりの人出。

サイトはふさふさの草。

ん~、いつかここでしてみよう。

そのすぐ先から、とどヶ崎への遊歩道。

遊歩道も最長で4Kmある。

いざ!!


初めはきつい上り坂。グングン登ると、エメラルドの海が。

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そして、延々続く遊歩道…。


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7月なのに、まだ若い葉色の木々の後ろには、くっきりと空の青、海の青。


気温は高いはずなのに、涼しい。


しかしまあ、例のごとく、景色を見る余裕なんて消え果てて、行のように黙々と歩く。


疲れたと思ってはいけない。速度を緩めてはいけない。進めなくなるぞ…。


『後3㎞』


うそ、まだそんなに…?



それを繰り返し、ついについに本州の突端3ヵ所目、とどヶ崎到着!!



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いえ~!!!


喜びもひとしお!!



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最東端の灯台には登れるようになっていたので、足に鞭打って挑戦。



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果て。


青い青い果て。


巨大な岩が広がって、その大きさを把握出来ない。


この特別な景色を、特別な陽射しで見れた事を感謝します。



最東端の証を貰いに宮古駅へ向かう。


宮古市は、盛岡から106号線一本で来れる街。


ツーリングでも来た事があった。


見た事のある交差点、『盛岡まで98㎞』の青看板。


何より、聞きなれた懐かしい東北弁。


はぁあ…ただいま…


ようやく実感してきた。


そして、今日の約束を果たしに、さらに北上をする。




大船渡から、また北上。


ひたすらに45号線を走る。


そして、改めて気づいた。


岩手、すげえ!!


三陸の入り組んだ海岸線はもちろんの事、なんと山深い事か。


こんな山脈、そうそう無い。


海沿いと思っていた45号線だけど、海3:山7くらい、山を走った。


『本州の北海道』の名は伊達じゃなかった。


とにかく、道しかない。


次の町が遠い。


北海道を走った時みたいに、心細くなった。



20日に、岩手に入る事になって、東北に入ってから、私の緊張の糸はギリギリになっている。


油断するなとさんざん言われ、何度も自分をたしなめて来たけど、地元にしかない店を見たりすると、

もう地元だから…と、どうしても気が緩んでしまう。


そして今、すぐにでも家に帰れる距離。


霞みがかったように、頭が麻痺してくる。


明日が約束の日。


明日なのだ。


もう、明日なのだ。


明日以降も、まだ少し私の旅は続くのに、一つの区切りがもう訪れた様に緊張感が途切れようとしている。



思ったより早く釜石に付いて、本当はキャンプを視野に入れていたのに、ホテルに入った。


ジーパンがぐしょぬれ、とか、天気が不安定とか、頭の中で言い訳を考えたけど、

結局、ゴールが近いから、楽したくなったのだ。


ホテルに入って、テレビをみたら、『めんこいテレビ』がかかっていた。



普通だった。



岩手ナンバーを見ても普通だった。



なのに、私の中の何かが叫ぶ。



足跡は、日本のそこかしこにあるんだぞ、と。



お前の世界は、確かに広がったんだぞ、と。



日本一周の旅を手放したくない自分が抗う。




明日、『約束の日』



私に溢れるのは、ただ、『安心したい』だった。


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松島の展望台から、45号線にで出ると、行列。


料理長が、客が減ったと言っていたけど、十分居るじゃん!!


成長の証、すり抜けで、ぐいぐい距離を稼ぐ。


本当に余裕が無くなってしまったから、岩手まで、とにかく走り続けよう。


松島から、石巻を越えると、本当に車通りが少なくなる。


道の駅上品の郷にて上品に休憩。


ついでに昼飯。


すると雨が降り出したから、上品に雨宿り。


雨が弱くなったから、出発。


弱くなったと思ったけど、気のせいだった。


ビチビチと雨に打たれ、蒸された汗と、雨が入り乱れ、大変不愉快なカッパ内。


しかし、SさんのNさんへの突っ込みなんかを思い出し笑いしながら、ニタニタと走った。



そして、ついに、『岩手県』の看板が。


「あ~、帰ってきたー。」


全然違和感無く、ただいまーとは思ったけど、普通だった。


懐かしいとか、終わっちゃうとか、本当に思わなかった。


実感ないのかな。いや、あるな。分かんない。


けれど、一年ぶりの岩手に居るって言うのは、底の何かがざわめいた。


ので、道の駅高田松原で、意味も無く休憩してみた。


私の、荷物のもっさり乗った相棒に足を止める人は居るけど、もう「岩手からか!」とは言われない。


言われない今の方が違和感。


缶コーヒーをグビ飲みしてまた走り出す。


程なく、大船渡に入った。


大船渡は、幼稚園から、小4まで住んでいた。


高田松原や碁石海岸、浄土ヶ浜に行かなくても、見たい所があった。


小さい頃に、住んでいた家、よく行っていた公園、小学校…。


まずは、45号線沿いにあった、お家。


その当時のまま、古くなった元住まい。


そして、毎日の様に行っていた『台町公園』


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この公園の名前の入った岩、こんなに小さかったんだ。


昔は、これに上るのが大冒険だったのに、今じゃヒョイ。


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これに乗って、よくグルグルして気持ち悪くなってたなあ。


もう小さくて、中に潜るのも大変!


覚えてはいるけど、全然現実感が無い。


小学校も行ってみた。


小さかった。


学校の近くの公園も覚えていたけど、まるで、夢の中を歩いてるみたいに現実感が無かった。



人の記憶って曖昧だけど、忘れないことは確かにある。


でも、やっぱり生き物は『今』のモノで、懐かしむというのは、一時の贅沢。


懐かしいような、夢の中を散策したような、昔過ぎて現実感の無い大船渡。