大船渡から、また北上。
ひたすらに45号線を走る。
そして、改めて気づいた。
岩手、すげえ!!
三陸の入り組んだ海岸線はもちろんの事、なんと山深い事か。
こんな山脈、そうそう無い。
海沿いと思っていた45号線だけど、海3:山7くらい、山を走った。
『本州の北海道』の名は伊達じゃなかった。
とにかく、道しかない。
次の町が遠い。
北海道を走った時みたいに、心細くなった。
20日に、岩手に入る事になって、東北に入ってから、私の緊張の糸はギリギリになっている。
油断するなとさんざん言われ、何度も自分をたしなめて来たけど、地元にしかない店を見たりすると、
もう地元だから…と、どうしても気が緩んでしまう。
そして今、すぐにでも家に帰れる距離。
霞みがかったように、頭が麻痺してくる。
明日が約束の日。
明日なのだ。
もう、明日なのだ。
明日以降も、まだ少し私の旅は続くのに、一つの区切りがもう訪れた様に緊張感が途切れようとしている。
思ったより早く釜石に付いて、本当はキャンプを視野に入れていたのに、ホテルに入った。
ジーパンがぐしょぬれ、とか、天気が不安定とか、頭の中で言い訳を考えたけど、
結局、ゴールが近いから、楽したくなったのだ。
ホテルに入って、テレビをみたら、『めんこいテレビ』がかかっていた。
普通だった。
岩手ナンバーを見ても普通だった。
なのに、私の中の何かが叫ぶ。
足跡は、日本のそこかしこにあるんだぞ、と。
お前の世界は、確かに広がったんだぞ、と。
日本一周の旅を手放したくない自分が抗う。
明日、『約束の日』
私に溢れるのは、ただ、『安心したい』だった。
