MMA業界の問題点: 契約に関して / 文化が違う?芸能界とも似てる? - 3 | SLEEPTALKER - シュウの寝言
新型コロナウイルスに関する情報について
(最近のUFCでは体重オーバーや病気・怪我よりも、選手かセコンドがコロナの陽性反応が出たという理由で試合がキャンセル・延期になる事の方が多いように思えます。先週の大会に出場予定だった弊社マネジメントのアレクサンダー・ロマノヴ選手も、試合日会場に向かっている時に対戦相手に陽性反応が出た事を知らせれ、試合が二週間後に延期されました)
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花さんら出演者がスタッフからの理不尽な要求に従い続けた背景には、フジ側と交わした「同意書兼誓約書」の存在がある。28項目ある誓約書の中には「演出指示に従うこと」をはじめ、「途中リタイアしないこと」「写真週刊誌などの雑誌に口外しないこと」「(制作側に)SNSのアカウント情報を開示すること」などという文面が並び、これらの誓約条項に違反し、放送・配信が中止になった場合は、出演者が放送回分の制作費を無条件に賠償すると記載されていた。
 
パワハラや名誉棄損問題に詳しい大城聡弁護士が指摘する。
 
「….巨額の損害賠償の可能性をちらつかせた現代の“奴隷契約”とも言える誓約書兼同意書によって出演者個人の意思が制作側に制限される強い支配構造があったといえる。制作側による演出の態様によっては、憲法13条の自己決定権が奪われていたことになる…」
 
週刊文春2020年7月23日号
 
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同じような問題が発生した時、欧米ではどのように対応されるのか?について、少し詳しく書きたいと思います。
 
1)病気や怪我で試合がなくなった時
 
試合の1週間前だろうが1日前だろうが、怪我や病気なら仕方ないので、団体のマッチメーカーは必死に代替えの選手を探します。
ダメなら仕方ないんで、わざわざ診断書とかをチェックするよりも、試合を成立させてあげないと。
マッチメーカーというのは、そう考える人が多いと思うんです。
替りの選手を探して、とにかく試合を成立させる。そしたら約束したファイトマネーを払ってあげるから。
 
選手が手売りしたチケットはどうなるのか?
基本的には、この部分に関してはコミッションが大きく介入する事は極めて稀なんですけど、これもケース・バイ・ケースなんで、実例をもとに説明したいと思います。
 
もうこれは15年以上も前の話になります。
私はアメリカ大陸の真ん中あたりに位置する州の団体でマッチメーカーをしていました。
この州のコミッションのルールでは、選手が手売りするチケットに関しては、団体側が決める、でした。
あの時はまだ紙のチケットしか使ってなかったんで、まず初めに、選手のリクエストに合わせる形で売れそうな枚数のチケットをそれぞれ選手に預けていました。
そして売れたチケットのお金と売れ残ったチケットは、大会の一週間前に団体のオフィスに持ってきてもらう段取りにしてたんで、もしも選手が怪我や病気でアウトなら、売れ残ったチケットとキャンセルとなったチケットを回収して、他の販売網に回し、キャンセルにはならなかったチケットのお金は、団体側の取り分だけは、ちゃんと納めてもらっていました。
怪我でキャンセルになる事もあるけど、その時は返金できないんですよとリスクを説明して代金を貰っていた選手も結構いたので、このキャンセルがでた分のチケットに関しては、当日券でそれなりに捌けてたから、大きな問題になったという記憶はないんです。
 
ただどの世界にも悪い奴はいまして、選手の中にはチケット代金を使い込んじゃうのが時折いるんです。
そういった選手の中には、信じられない言い訳をしてくる輩もいました。
売れ残ったチケットをポケットの中に入れたまま洗濯しちゃった、とか(苦笑)
本当は売ってお金も貰っているんだけど、それは使っちゃったから、売れ残った事にしたいけどチケットそのものは団体側に戻せない、ていうパターンです。
それを言われた時に、私は「ならそのくしゃくしゃになったチケットを持ってきなさい」と言ったんです。
そしたらその選手はくしゃくしゃになった紙の塊を持ってきたんですが..........識別は不可能でした(汗)
団体からしたらチケットがなければ販売もできないんで、そのくしゃくしゃになったチケット分を補償しなさいと言える立場だったんですけど、それを言ってもどうせ払わないと思ったんで、もう二度と君の事は使わないよ言って帰ってもらい、結局ロスは団体側が被ったんです。
やや高めの授業料として納得した、みたいな感覚でした。
 
(もちろんコロナ禍前の話ですけど)最近はネットでの購入して貰うのと、今までと同じく紙のチケットでの手売り。
選手は二通りのやり方で、売れたチケットからのコミッションを手にする事ができる仕組みにしている団体が大半みたいです。
チケット・エージェンシーと組み、選手それぞれのオーダー用のリンクかクーポンコードを設定するから、買って貰う人たちにそれを渡しネットでチケットを購入して貰う。その分のパーセンテージが、試合後に渡されるファイトマネーに加算されて選手に支払われるといった流れになります。
ネットの場合は、一度買ったらキャンセルはできないと購入ステップ中に確認があるから、買ったらそれまで、というのがほとんどです。
紙のチケットを手売りした分に関しては、これは全部のケースを調査して統計をとった訳ではないんで正確な所がわからないんですけど、私の周りにいるNY、NJ、PA州のフィーダーショーで試合をしているMMAファイターたちの最近のケースを見ていると、怪我とかで試合できなくなったとしても会場に僕は行くし、他の試合もあるんで楽しめるから、とうまく営業の際に説明しているのも結構いるみたいです。
 
選手とセコンドの渡航費に関しては、もうこれはプロモーターが負うリスクとして初めから捉えているんで、選手に請求するという考えはないと思いますし、欧米のMMA団体からでた契約書で、そのようなペナルティ項目の入ったものを見た事はありません。
(注:アメリカは広いんで、フィーダー・ショーでもプロモーター側が、運転してくる選手のガソリン代、飛行機でくる選手とセコンド1人まで往復航空券を負担する事が多いです。だから例えば東京の会場で7、8割方、東京近郊またはその近県からの選手をブッキングして行う大会よりも「渡航費」は結構かかるんです💦)
 
2)計量オーバーで試合がなくなった時
 
欧米で、プロモーター側の製作費、つまり煽りVなどにかかった費用を選手に請求する契約は見た事がありません。
大会のリスクはプロモーターが全部背負う代わりに、当たって大きな利益がでた時もそれはプロモーターが全部持っていくんだから、という至極簡単な論理です。
 
もちろんフィーダー・ショーだと、たくさんチケットを売れるジムとか選手が大会自体の共同プロモーターになる事もあります。
ハリウッドの世界で例えると「ホームランド」の主演クレア・デインズはシーズン3から、「セックス・アンド・ザ・シティー」の主演サラ・ジェシカ・パーカーがシーズン5から、それぞれプロデューサーも兼任するようになったのと同じ感じですかね。
こうなると話は別になります。
でも計量オーバーに関しては、プロモーターと選手の結ぶ契約書や試合合意書に書かれているか、コミッションの規則によって処理されます。
それによってプロモーターが被る損害に関しては、この選手が他の共同プロモーターとの間での取り決めないといけない問題で、コミッションがどうこう口を出す範疇の話ではないという見解なんです。
 
それなら欧米ではコミッション管轄の下、みんなが納得するフェアなペナルティが課せられているのか?
残念な事に、必ずしもそうだとは言い切れないんです。
 
この計量オーバーの対応一つをとっても、州(または国に)によりけりなんで…..。
州によっては、計量オーバーした選手のファイトマネーから貰えるペナルティは20%までと上限を設けている所もありますし、州によって、このペナルティの半分をコミッションが持っていってしまう、なんて所もあるんです。
計量オーバーした選手のファイトマネーから20%貰う事になっても、10%しか選手の方にいかない、という事です。
これに関しては、私、声を大にして言いたいんですよね。
なんでこれコミッションが持っていくの!?と。
それなら20%は計量パスした方の選手、それで更に10%を計量オーバーした方の選手から取り上げればいいのに、と思うんですね。
 
コミッションのない国で開催される団体に関しては、契約書に細かく明記されている所が最近は多くなってきました。
 
「1ポンド未満オーバーの場合は、オーバーした選手のギャランティの20%がパスした選手の方に渡り、試合は成立となる。
1から2ポンド未満オーバーの場合は、オーバーした選手のギャランティの25%がパスした選手の方に渡り、試合は成立となる。
2ポンドから3ポンド未満オーバーの場合は、オーバーした選手のギャランティの30%がパスした選手の方に渡り、試合が成立するか否かはパスした選手が決める。試合が不成立になってもパスした選手はギャランティと勝利ボーナスのそれぞれ50%ずつ貰える。オーバーした選手のファイトマネーはゼロ。
3ポンド以上は自動的に試合は不成立となり、パスした選手はギャランティと勝利ボーナス満額貰えるが、オーバーした選手は失格なんで、ファイトマネーはゼロ。」
 
これは、現在は回転休業状態と言える、某アジアの団体の契約書に織り込まれていた計量オーバーに関しての項目です。
 
計量オーバーの場合のファイトマネーの支払いに関しては、欧米ではどのように処理されるのか?
 
これに関しては、場所によりけりと団体側の契約に記してあるケースなど、色々とあるんですが、業界全体のスタンダードは、計量パスして試合日に試合ができる状態だった選手には、ギャランティを満額支払うなんです。
 
これについては後ほど詳しく書きたいと思います。
 
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