ジュニアテニス備忘録(その4)進路の選択(1) | 柵飯事2~shigaramimamagoto ~

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たまにユーロロックや日常についても投稿してます。

1 これまでの選択
 以前はテニス競技を続けるための選択肢は実に限られていました。小中の時期の頂点のジュニアがIMG等に留学してトッププレーヤーを目指すか,それに準じたジュニアが高校卒業後に企業スポンサーを得てプロとなるのがエリートコース。さらに,4大大会出場の目安は立ちにくいものの,国内の大学に進学し,体育会でプロの可能性を模索しつつ,ダメであっても,大学テニス部OBコネクションを活用して,確実に安定企業に就職というコースもあり,多くのジュニアは,このテニス大学進学を夢見ます。
2 就職のための大学体育会とプロ選択の厳しさ
 プロテニスの大会は,まさにプロレス興行やF1と同じようなもので,トップクラスでは同じようなメンツで世界中を転戦していきます。まさにサーカスライフですね。世界又は日本ではトップクラスの新陳代謝がそれほど活発でない,つまり,強い選手が落ちていかないことから,むしろ若手の方が多く引退に追いやられる厳しい世界です。また,世界転戦には多額の費用を要し,また,他のスポーツほど広告効果がない状況であることもあって,例えばプロゴルフの世界に比べても,競技一本で生活することははるかに困難です(そもそもプロゴルフのように国内賞金で生活することなどありえません。)。大学進学は保険でもありますし,現代であっても,やはり体力・根性の鍛えられた体育会系は企業としては特に欲しい人材であり,就職にもそれなりに有利ですので,大学進学は非常に現実的な選択肢と言えます。
現実路線を選択した大学生プレーヤーで特に有名になったのは元早稲田の田川君ですね。速いテンポでハードヒットするスタイルで学生チャンピオンとなり,全日本選手権でもベスト4となるなど,日本人でトップクラスになることが十分期待されましたが,一方で,本人は世界には通用しないことを自覚しており,卒業後にあっさりと東京海上日動に就職して,今ではこれという目立った競技活動をしていません。ケガで引退する選手も含めて,大学卒業後にテニスコーチやフリー又は企業援助による選手としてテニス競技に従事する者の割合は非常に少なく,男子の多くは企業戦士となるのが現状です(女子の就職先は結構多様です。)。先ほど「保険」という言い方をしましたが,聞いたところですと,最近は就職のためのテニス進学を明言する者も結構いるそうですので,競技部の様子も大分変わりました。
 もちろん,人生は一度きりとして,これという目立った戦績を大学時代に残せずに卒業してもなおテニスへの情熱が冷めずにJOP大会を転戦する選手もいます。アスリートの引退後のライフプランの設計が一時話題となりましたが,こうした情熱がある選手が競技会の下支えをしていることからすれば,引退後の受入れ企業や,相応の収入のあるコーチングスタッフとしての待遇は考えなければなりませんね。
3 大学進学の方法
 さて,大学に進学するには3パターンあるのですが,団体のリーグ戦の上位の大学の競技部に入るのであれば,相当気合い入れてジュニア時代を過ごしているはずですから,一般受験や指定校推薦で入学する者は非常に限られているでしょう。通常は,他の2つの入学方式,つまり,大学からのスカウトか,自己推薦となります。
 前者であれば,全日本ジュニアに出場が最低ラインとなりますが,まれに関東又は近畿予選でスカウトから声が掛かるということとなります。また,自己推薦においては,セレクションと称した実技試験を受けた上で,小論文等のセレモニーを経て入学します。リーグ戦1部の上位の大学はともかくとして,セレクションの参加は比較的門戸が広くなっていますが,ジュニアでの戦績はもとより,大学での伸びしろがあるかで審査されます。全日本の優勝経験があっても,大学で勝てるテニスができると判断されないと入学が許されないことはままあります(ジュニアテニスでは有名な選手なんかも希望する大学に進学できていないんです。)。
4 大学の選定
 大学に進学すると,上位の競技部では基本的に合宿生活が続きます。まさにテニス漬けですね。以前にも投稿しましたが,テニスは対戦競技であり,実践的練習が最も重要ですから,コーチングやトレーニング設備も大切であるものの,やはり練習パートナーのレベルが基本です。現在,早稲田が断トツで強いわけですが,強い大学(=良い練習環境)だから,なお,強い選手が集まるという構図です。この構図,つまり早稲田一強を崩すには,例えば,水泳,自転車,スノーボード等でよくやっている世界を転戦するような選手を大学の顔として所属させる方式にする,スポンサー方式しかないのではないかと思います。
 強い選手がいる体育会の方が練習環境としては断然良い一方で,最上位の選手でないのであれば,就職を考えて団体戦でのレギュラーポジションが取れそうな大学を選択する考えもあると聞いたことがあります。仮にお子さんが大学体育会を選ぼうとしているときは,就職実績や就職活動サポートを大学に確認するのも良いかもしれません。
 また,大学の強豪テニスサークルは,体育会でケガやレギュラー落ちした者が中心メンバーとなっていることがあります。退部の状況やトレーニングが合理的でケガ予防をしているかも考察ポイントでしょう。こうした情報は,選手間で共有されていることが多いようです。ま,スカウトやセレクションが合格で即決する選手も多いようですが,ネームバリューや実績だけではなく,他の要素を含めて選べた方が絶対に良いと思われます。
 
続く