バッドランドの恐竜たち展、ここからは白亜紀前期の時代です。

パンゲア大陸から各大陸が分裂し大陸の移動が顕著になりだした頃で、恐竜たちも新たな種が台頭していく時代になりました。^^

 

まずはテノントサウルスを襲うデイノ二クスたちと、装盾類のアニマンタルクス。

テノントサウルスは基盤的なイグアノドン類でユタ州のシーダーマウンテン層から大量に見つかっており、デイノ二クスなどの中型獣脚類にとっては、格好の獲物・・・

さすがに重装甲のアニマンタルクスを襲うのは厳しそうです。^^

そして、この時代の頂点捕食者アクロカントサウルス、私の好きな肉食恐竜の一つでもあります。^^

アロサウルス類から進化した、初期のカルカロドントサウルス類の恐竜ですが、かなりの大きさで後のギガノサウルスなどが現れる前は向かうところ敵なし状態だったと思います。

このアクロカントサウルスが竜脚類を追いかけるように付けた足跡化石も見つかっています。

せっかくなら、足跡化石も展示して欲しかったところです。

 

そのアクロカントサウルスが追いかけて居たであろう、竜脚類たちも展示されていました。

モアボサウルスとアビドサウルスです。^^

 

モアボサウルスは脳函と胴椎、歯骨などのホロタイプ標本!

当初はカマラサウルス類の生き残りではと考えられていましたが、数体分見つかっている脳函化石の研究から、より基盤的なトゥリアサウルス類だったとのこと。

歯骨に残された歯冠を見ると、カマラサウルスの歯骨歯と少し違います。

モアボサウルスという属名もまだ正式名称ではなく、ワンちゃん会期中に正式記載されたら、嬉しいですね。^^

隠れたお宝標本です。

一方のアビドサウルスもホロタイプの頭骨標本が来日してくれました。

こちらはブラキオサウルス類の生き残りで、若齢個体が数体分みつかっています。

ブラキオサウルス類ですが、歯冠は鉛筆型で食べていた植物はブラキオサウルスとは違った可能性が高いですね。^^

 

特別展最後のコーナーは白亜紀後期の時代の展示です。

ゴルゴサウルスの実物産状標本です。^^

うっとりするほど美しい標本です。

いわゆるデスポーズ状態で保存された標本ですが、立体的に保存されていて、生々しさも感じることがてきました。

所管されているロイヤルティレル博物館では尾椎は収蔵庫に保管されていたそうなので、揃っての展示は福井が初めてだそうですよ。^^

 

続いては鳥脚類の展示が並びます。

サウロロフス類のマイアサウラは科博所蔵の実物標本。

ランベオサウルス類のコリトサウルスは亜成体の全身骨格標本と成体と幼体の頭骨標本で、トサカの成長過程が解ります。

またプロサウロロフスの実物産状標本も展示されていました。^^

皮膚痕も残っている素晴らしい標本で、常設展示のブラキロフォサウルスの”ダコタ”の皮膚痕と是非比べてみて頂きたいです。^^

 

角竜の展示はナストケラトプスとセントロサウルス類の頭骨たちw

頭骨は左からパキリノサウルス、アケロサウルス、ゼノケラトプス、スティラコサウルス。

セントロサウルス類ですべてコンプするあたりが渋いチョイスですね^^

 

続いてはオヴィラプトロサウルス類のアンズーの全身標本

頭骨のみ展示されることの多いアンズーですが、全身の骨を並べてみると、その大きさに驚きました。^^;

 

そしてラストの展示はティランノサウルス”ブラックビューティ”の実物頭骨です。

大阪に来てくれた時って、いつだったったけ?と思うほど、忘却の彼方の頃、デジカメもなく個人で使えるネガフィルムのISO感度では、暗い会場内では撮影は無理でしたので、改めて来日してくれたことに感謝したいです。

ちなみにブラックビューティの全身骨格レプリカは、ミュージアムパーク茨城県自然博物館と福井県立恐竜博物館のダイノラボに展示されていますので、忘れずに見学してください

^^

 

為替の影響で、展示標本を揃えるのは大変だったと想像に難くないですが、それでもこれだけのホロタイプ標本と実物標本を集めて頂けた、博物館関係者には御礼申し上げたいです。

ありがとうございました。

 

以上でバッドランドの恐竜たち展の会場レポは終了です。

会期は11月4日までありますし、10月14日には岡山理科大学の千葉謙太郎博士の講演会「北アメリカ・後期白亜紀カンパニアン期の角竜類」も開催されるので、お近くの方は再度、まだの方は是非見学予定を立てて頂けたらと思います。

ではまた。^^

すでに多くの方々が、ブログやXで会場レポが綴られている福井県立恐竜博物館の「バッドランドの恐竜たち」展ですが、個人的な備忘録として綴りたいと思います。^^

連休前の9月12日に行ってきましたが、福井も夏日でめちゃ暑い状態でした。

開館30分前に着いたのですが、駐車場はまばらで周囲の施設の写真を撮って戻ると、暑さもあって館内で開館の方々が、50名ほど待っていました。^^;

こりゃ多少は混むかなと思いましたが、見学コンテンツが多い福井なので、特別展会場へ向かう方も10名ほどと少なかったです。

会場に入ると三畳紀からジュラ紀前期のパンゲア大陸時代のニューメキシコ州での展示から始まります。

 

特別展名のバッドランドは特定の地域を指すものではなく、化石が産出する荒野(ネイティブアメリカンの不毛な土地を示す言葉)を英訳したもので、北米大陸各地の荒野から産出した恐竜たち1億年を巡る展示とのことでした。^^

 

続いてのコーナーは、パンゲア大陸が分裂し始めたジュラ紀後期の時代・・・

東海大学のディプロドクスや福井博所蔵のカマラサウルスの幼体の全身骨格が迎えてくれます。

 

ディプロドクスの肩甲烏口骨(実骨)やスーパーサウルスの

肩甲烏口骨などが目を引きました。

カマラサウルス.レントゥスの頭骨(実骨)分解標本はありがたかったですね。^^

歯冠をコレクションしている身としては、レプリカでは細かい再現度が分からず、常設展の実骨は保存状態の面で少し残念なので

上顎骨歯、前上顎骨歯、歯骨歯の違いをじっくり観察できました。

おかげて以前手に入れた歯冠が前上顎骨歯であることが判りました。^^

 

竜脚類ではブラキオサウルスの幼体化石の産状標本も展示されています。

常設展の組み上げられた標本と比較するのも、面白いと思います。

 

剣竜類ではステゴサウルスの全身骨格と大腿骨(実骨)、

貴重な幼体の実骨標本が展示されています。^^

 

一方獣脚類ではケラトサウルス.ナシコルニスの部分頭骨(実骨)が・・・

鼻角は結構、厚みがありますね。

以前横浜で大型個体の全身骨格が来ていて、その時の鼻角がこれだったのですか、ちょっと胡散臭さがあったのを覚えています。

上顎骨歯も、その特徴をじっくり確認できました。^^

 

続いてはアロサウルス

今回の特別展ではアロサウルス.ジムマドセニのホロタイプ実骨標本も来日してしているので、楽しみにしていました。^^

アロサウルス.フラギリスの頭骨標本と、その違いをよく確認。^^

サウロファガナクスの末節骨(指先の骨)も重厚感がありました。

 

このコーナー最後はトルボサウルス.タナーリの全身骨格と

ホロタイプの部分頭骨(実骨)。^^

こちらも貴重な標本です。

 

今日はここまで、後編へ続きます。^^

気が付けば9月が忍び寄る23日、和歌山県立自然博物館で開催されている企画展「よみがえるワカヤマソウリュウ」展に行ってきました。^^

会場へ入るとドーンとワカヤマソウリュウこと、メガプテリギウス.ワカヤマエンシスの標本たちが出迎えてくれました。

展示は化石が産出した外和泉層群鳥屋城層の説明から

白亜紀後期のカンパニアン期(8,000万年前)からマーストリヒチアン前期(7,000万年前)の海成層で、昔から様々なアンモナイトが産出する場所です。^^

また、和歌山県を舞台に描かれた漫画「君はスキノサウルス」講談社刊の作者・関口太郎氏の色紙も展示されています。^^

 

そしてメガプテリギウスの全身骨格(実物標本)と生体復元図が、ドーンと展示されていました。

科博2019年の恐竜展が初展示になるのですが、当時は研究中で無名の状態でした。

頭骨は6割程の部分が見つかって見つかっています。

前肢と後脚、首から腰までの脊椎、尾椎の一部など復元に必要な個所が揃って産出している貴重な標本です。^^

背びれがあった証拠と考えらえる椎骨の棘突起の形状や、尾椎の先端側の骨も出ているようです。

上顎の骨はほとんど出ていないのですが、下顎は左右揃っています。

歯の大部分は抜け落ちていたそうですが、歯槽の数が16本あることが分かり、モササウルス類の上顎(前上顎骨歯を含む)の歯の数が下顎の歯の本数+1とのことで、頭骨の復元に役立ったそうです。^^

脱落歯も様々な大きさ、形の歯が一緒に見つかっていて、復元の参考になったとのこと・・・

展示されている脱落歯に白い歯冠のものがあり、どうやら方解石化した化石のようです。

この化石だけ単独で見てみたかったなぁ^^;

 

そして復元された頭骨の展示です。^^

出ている骨とそうでない部分が解りやすい作りで、参考になります。

実物展示では分かりにくかった、上顎の内側にある口蓋歯も出てるんですね。^^

 

続いて他のモササウルス類との違いについての展示

3Dプリンタで製作された頭骨模型は、手に取って観察することが出来ます。※ケース入りの模型は不可

魚竜とオオトカゲとの頭骨比較も分かりやすい展示でした。

 

企画展での展示は以上ですが、常設展示室の方にも化石の展示があります。^^

まずはメガプテリギウスの産状標本です。

サメに食われた痕もあるそうですが、良くここまで残ったなぁというのが、正直な気持ちです。^^;

 

あと和歌山県で見つかっている恐竜化石(歯)の展示もありました。^^

獣脚類の歯冠とスピノサウルス類の歯冠です。^^

時代はメガプテリギウスよりも前の時代、白亜紀前期のものですが、今後も追加標本が期待できる地層なので、新たな発見を心待ちにしたいと思います。

 

最後に企画展の図録と、限定ガチャフィギュア

ガチャは全3種類で、ワカヤマソウリュウの歯がでればコンプなのですが、目当ての2種が引けたので打ち止めにしました。^^

 

会期は9月1日(日)までなので、関西や名古屋圏の方で興味のある方は是非。^^

 

最寄り駅のJR海南駅からバスで15分程度なのですが、博物館最寄りのバス停(琴の浦)が乗り場が4つある(しかも場所が離れている)ので、下調べは必須です。

 

海南駅にタクシーは常駐していますが、帰路にタクシーを拾うのはまず無理なので、タクシー会社の連絡先はチェックしておくのが無難です。

 

ではまた。^^

巨大恐竜展2024の会場レポもラストになりました。

今回は”様々な竜脚類”のコーナーと”巨大恐竜の終焉”のコーナーを取り上げます。^^

 

まずはディプロドクスの全身骨格とバロサウルスの幼体ロボの展示から

バロサウルスロボ(㈱ココロ社)は手前の植物を倒すと、食べるしぐさをするロボットで、土日だと順番待ちになると思います。^^

ディプロドクスの全身骨格は、パタゴティタンと並んで展示しても良かったかなと思いました。

所蔵元が長野県古生物学博物館になっているのですが、それってどこの機関???

 

続いては群馬県博所蔵のアマルガサウルスの全身骨格

普段は神流町恐竜センターの新館に展示されていますが、様々な企画展にお呼ばれする人気の標本です。^^

 

ここからが福井県恐竜博物館所蔵の標本が並びます。

フクイティタンの上腕骨などと生体復元ロボ(㈱ココロ社)

カマラサウルスとエウヘロプスの全身骨格

このカマラサウルスは福井で展示されている実物骨格のキャスト、精巧に作られていますね。^^

エウヘロプスも出張組の中では、状態の良いキャストなのでじっくり見て頂きたいです。

 

しかしながら国内にある標本だけで、これだけの竜脚類を揃えることが出来るようになるなんて、2000年代の幕張を見てきた世代からすると、感慨深いですね。

為替レートを考えると、海外からの標本借り入れも予算超過でしょうし、保険代を考えると青天井で大変だと思います。

 

一方、タイ王国からはジュラ紀後期のマメンチサウルス類の肩甲骨と大腿骨に

白亜紀前期の地層からはプイアンゴサウルスの頸椎、胴椎に

ディプロドクス上科の頭骨の一部(頭頂骨と脳函)が展示されています。

ディプロドクス上科が間違いなければ、結構重要な標本になります。

近いうちに新属新種で記載されるかも ^^

 

そして最後のコーナーへ・・・

旧復元のチンタオサウルスに、鎧竜からは

デンバーサウルスとクライトンペルタが展示されています。

この両名も以前は福井のメイン展示を任されていましたが、展示リニューアルに伴い、出張組に回りました。

 

あと、ブラキロフォサウルスのミイラ標本、ダコタのレプリカも展示されていました。

福井では10年間の期限付きレンタルで、実物標本が展示中です。^^

福井では全方向から観察できるので、頭骨のクレスト(トサカ)も確認することが出来ますので、福井を訪れた方は忘れずに見て行って欲しいですね。

※写真:福井県立恐竜博物館で展示中のダコタの頭骨部分

 頭の上にクレストの隆起が確認できます。

 

以上で巨大恐竜展2024の会場レポは終了です。^^

パタゴティタンの巨大さを感じてもらうだけでも価値のある展示ですので、是非機会を作って頂ければと思います。

 

また2025年夏には大阪へ巡回するそうなので、こちらでの展示も期待したいですね。

 

最後に戦利品です。

※フィギュアセットは事前販売チケットのタイアップ品です。

ではまた。^^

 

 

巨大恐竜展2024のレポも後半です。

いよいよメイン展示”ティタノサウルス類:最も大きな恐竜たちの暮らし”のコーナー。

パタゴティタンへの導入部は、竜脚類としては最後に登場したティタノサウルス類の大きさの秘密や、成長の過程、生活様式が化石標本や体験型(インタラクティブ)展示で知識が得られるようになっていました。^^

※写真はティタノサウルスの大鷹骨

ホロタイプ標本として見つかっている箇所や、パラタイプ標本で見つかっている箇所が解る展示や

ティタノサウルス類の卵の化石で、産卵状況の分かる標本に

映像を使った成長過程の説明は、こどもたちにも解りやすいものとなっています。^^

 

そしてパタゴティタンの部屋に入って行きます。

頭骨は出ていないので、近隣で見つかっているサルミエントサウルスを参考に作られたものです。

前腕部は胸骨、肩甲骨、烏口骨が揃って出ており、寸胴でがっちりした体躯の持ち主であったことが分かります。^^

 

巨大な骨盤ですが、腸骨が見つかっていません。

それでも恥骨と座骨の大きさから、大きなお腹を支えるには十分な大きさがあったと考えられます。

 

前肢と後肢ですが

どちらも指の骨は見つかっていません。

この時代のティタノサウルス類を参考に作られたものです。

前肢はナックルウォーク(手の甲の骨)で体を支える形で再現されていました。

後肢に巨大な爪(末節骨)があるのは、産卵で地面に穴を掘るのに必要だからと考えられています。^^

 

おさわり出来るの頭骨標本もあります。

個人的な感想ですが、あれだけの体躯とは言え、頭骨がここまで大きいかな?と感じています。

ティタノサウルス類の頭骨はそこそこの数が出ていますが、

体とつながって出ている例が少なく、実際のバランスはよく分かっていないのが実情です。^^;

 

パタゴティタンの尾椎には獣脚類にかまれた痕が残った化石も出ています。

生存中に噛まれたものか、死後に齧られた痕かは分かりませんが、サバイバル競争は激しかったと思いますね。^^;

 

その齧った相手かもしれない、獣脚類ティラノティタンの復元頭骨(おさわり可)も展示されていました。^^

カルカロドントサウルス類としては北米のアクロカントサウルスよりも古い時代に生きていましたが、ギガノトサウルス族に分類されている捕食者です。

(”族”レベルの違いを分かりやすく伝えると、ティランノサウルスとタルボサウルスの違いくらいです。)

頭骨で出ている部分は下顎と眼窩の下側の頬骨、脱落した歯冠です。

おさわり標本では分かり辛いですが、図録の方にはギガノトサウルスとの違いを示す特徴が載っていますので、図録は忘れずに購入することを、お勧めします。

 

今回はここまで、ではまた。^^