古写真で見る幕末明治 萩の人物編
新年早々、1月2日から始まる次回の萩博物館企画展「古写真で見る幕末明治 萩の人物編」のメインビジュアルが完成した。今回は、萩ゆかりの人物の古写真を50枚、パネルで展示するというのがメインになる。これらのオリジナル(原本)は、大半が名刺くらいの大きさであるため、そのままだととても見にくいという難がある。そこで、何倍もの大きさに拡大し、見やすいパネルにして展示することにした。その一方で、萩博には近年も新たに古写真の寄贈が続いており、その一部についてはオリジナルを初公開することにしている。井上馨や柴田家門の古写真は、いずれも新出の古写真として注目に値する。ぜひこの機会にご高覧いただきたいものである。最近は、明治維新を、とくに薩長主導の維新政府を、どちらかというと否定的にとらえる見方が強くなってきており、長州萩藩のご当地である萩市としては、大変肩身が狭い。たしかに、近代化には光もあれば影もあり、そういうもろもろも含めた総体として歴史をとらえることが肝要だ。よって、できるかぎり客観的に、冷静に歴史を見るということに、僕自身はつとめてきたつもりであるが、浅学菲才のため、まだまだ至らないところが多いと自覚する。そういうところも背負いながら、今回の企画展では、ありのままの歴史上の人物の姿をご覧いただければと考えたしだいだ。それと、これだけの人物の写真を揃えたといっても、それには限界があって、萩ゆかりの人物を網羅的にお見せできるかといえば決してそうではない。あの人物がいない、この人物がいない、と抜けもあろうかと思う。写真が見つかっていない人物も、なかにはあるかもしれないからだ。まだまだ古写真の蒐集は継続していかねばならない。などと、ややネガティブなトーンになってしまったが、しかし、今回展示する古写真はすべてが萩博の所蔵で、借物はいっさいない。昭和34年(1959)の萩市郷土博物館(萩博物館の前身)開館以来、60年以上もの長きにわたって資料収集活動を続けてきたからこその賜物である。その恩恵をかみしめつつ、市民や観光客の大勢の皆さんに、萩博の底力をご覧いただければ幸いである。