大竹司法書士@法律ってなんだろう!? -11ページ目

グレーゾーン金利廃止の余波

最近こんな℡相談がありました。


大手金融会社から借り入れをしているというAさんです。


自営業者の方で、借入金は事業資金に使っているようですが個人名で借り入れしているようです。




Aさん 「実は今借りている金融会社のカードローンで、使える枠はかなり残

っているんですが、

突然返済のみになってしまい、追加融資を受けるこ

とが出来なく なってしまいまし。何とかならないでしょう

か?」



私   「それは最近の金融庁の行政処分に絡んで、融資の審査基準が厳し

くなり、今以上の融資は出来なくなったんじゃないでしょうか」




Aさん 「それでもどうしてもお金が必要なんです。何とか方法はないでしょう

か。」





私   「利息制限法や出資法の改正もほぼ確実になって、融資できる基準

もかなり厳しくなっているようなので、残念ですが今後はそのような

ところがどんどん増えて行くのではないでしょうか。現状では金融

会社に説明を求める以外に方法はないかもしれません。」




私   「でも一つだけ注意してください。お金に困っても絶対に怪し

いところや質の良くないところからは借りないでく

さいね!返済に困ったら私のところに法律相談に来てください。」




Aさん 「実は困ってしまい、

すでに○○○から借りてしまいました・・・・・





○○○・・・・・、聞いたこともない名前です(¨;)





私   「○○○には出来る限り早く元金を返して、手を切ってくだ

さい!」






その後、しばらく相談を受けた後、Aさんは取り引きしていた金融会社に再度相談に行くといって℡は切れました。




こういう相談は最近は他にも何件かあります。




利息制限法や出資法が改正され、上限利息が下がれば、債務者の金利負担も確実に減り返済金額は少なくなります。破産者や多重債務者の人数も将来的には確実に減るでしょう。





これには私も賛成です。





しかし、金利が下がった分貸す側としてはリスクが増えますので、当然融資できる人の範囲は狭くなってきます。





Aさんのように、現在取引中の人でも、リスクの度合いに応じて融資額が減額される人も、今後は数多く出てくるでしょう。





大手金融機関の1社で融資が受けられない人は、他の大手金融機関でも借りられない可能性も高くなります。




自民党の金融調査会と貸金業制度小委員会の改正審議の中でも、「借りられなくなった人がヤミ金融に行ってしまい、ヤミ金融がはびこる」という意見も多数出ていると聞きます。





上限利率の改正と同時に、現在借り入れがある債務者のケアも同時に考えないと、世の中は大混乱してしまうと思います。




政府はその辺りの対策はどうするのでしょうか?




対策がまったく公表されていない現状で、今までまじめに取引を続けてきた方たちのことを思うと、今後の上限利率改正の動向に私は一抹の不安を感じます。

グレーゾーン金利

最近何かと話題になっているグレーゾーン金利



7月5日の自民党の金融調査会と貸金業制度小委員会の会議で、出資法の上限金利(年29・2%)を引き下げて利息制限法の上限(年15~20%)に一本化することで合意がされました。


この法案が秋に国会で可決されれば、金利のグレーゾーンはなくなります。




なぜグレーゾーンといわれるのか?




最近はいろいろな騒動があり、一般の方でもご存じの方がだいぶ増えましたが、中心となる法律は利息制限法と出資法の2つがあります。




利息制限法では、金利の上限を貸した額によって区分し、年15~20%の範囲内で定められています。


この上限金利を超えて貸し付け等をしても法律上の罰則はありません。




次に出資法ではどうかというと、金利は年29・2%が上限となっています。


この法律では、上限を超えた金利を受領したり、支払いを要求したりすると罰則があります(5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金)。



日本では、銀行以外の金融機関のほとんどは、無担保の場合、この出資法の範囲内の金利で融資を行ってきました。



この利息制限法の上限金利と、出資法の上限金利の間の罰則を受けない部分がグレーゾーンと呼ばれる部分です


このグレーゾーン金利に該当する部分は、債務者からの任意の弁済が認められる場合には有効とされてきましたが、



今年1月に最高裁判例により、弁済の任意性が否定されて以来、世論も含めてグレーゾーン廃止の方向へと進んでいます。




株主総会

株主総会 = 株主を構成員とする、株式会社の意思決定機関



簡単に言うと、株式会社を所有する人たちが、会社の重要な事項を決める最高の機関のことです。


例えば、定時株主総会で決算書類の最終承認(上場会社等は除かれます)、定款の変更、取締役の選任や解任をすることだって出来ます。


中小会社の場合には、 株主 = 取締役 と思っている方がよくいらっしゃるようですが、法律上はまったく別の機関となります。


株主はAさんとBさん、取締役はC、D、Eさんということも会社によってはあります。


「特例有限会社」の場合には、旧社員(株主)の人がこの機関の構成員にあたり、上記と同様取締役とは別の機関になります。



では、日常の会社の経営は誰がするのか?


これは皆様もご存じのとおり、取締役や代表取締役が行いますが、


経営がおもわしくないときなどは、やはり株主から厳しく経営責任を追及されたりしてしまいます。


今年の会社法の改正でも、取締役の解任要件などが緩和されたりと、株主のチェック機能が一部強化されました。


会社の中での最高機関は、株主総会なのでお忘れなく!!


定時株主総会の決議に注意!?

今日は午後から、東京法務局に登記の相談に行ってきました。


5月に新会社法が施行されてから、法務局では相談者が激増して、かなり混乱しているとは話に聞いていたのですが、その相談者の多いこと・・・・・  ビックリしました。


私が法務局に到着したのは13:40頃、すでに18人待ちの状態でしたが、私の相談が終わる頃(私も約90分程待ちました)には30人以上の待ち状態。


相談自体は5分で終わりましたが、相談をするにも一苦労な状態です。


ところで、譲渡制限会社は10年まで役員の任期を伸ばせるようになりましたが、今回の定時株主総会の終結をもって役員の任期が満了する会社は、今回同時に定款変更をし、任期を伸長するところが多いのではないでしょうか?



任期についての前回記事

http://ameblo.jp/shinanomachi/entry-10013038215.html




定時総会で新しい役員を選任し、同時に任期10年の定款変更して、次回の役員変更は10年後・・・・・・・





違います!!





それでは登記出来ないかもしれません。





例えば、平成16年6月20日に現取締役が就任していたとします。




定款の定めは「取締役の任期は、就任後2年内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結の時までとする。」とあった場合。




通常でしたら平成18年の定時株主総会の終結をもって任期満了退任します。





しかし、同総会で任期伸長(10年)の定款変更をすると・・・・・






現任取締役の任期は、平成26年6月の定時総会までとなり、今年の総会では任期満了とはならないんです。




どうしてか、




定時株主総会の終結をもって任期満了のはずなのですが、任期の切れる前に定款変更決議をしたことによって任期伸長の効力が発生してしまい、現任取締役の任期も10年に変更になってしまうからです。


微妙な法的効力発生の順番の問題なのですが、わかります??




今はまだ、法務局の対応も追いついてない状態で、登記がそのまま通ってしまうこともあるようですが、法的効果からいくと、このようなケースの場合、これからは登記申請をしても登記できないかもしれません。



会社の法務部や総務部の方も、この記事を読んだら、自社の議事録を気をつけてチェックしてみて、法務局に一度相談してから登記申請してください。



相談窓口でかなり待たされるかもしれませんが・・・・・・・。

破産手続きの時に

私の心の中には、ずっとわだかまりとなって残っていることがあります。


それは3年程前に受託した債務整理に関することで、そのクライアントに費用を一部返してあげたいんです。


クライアントはOLの方。


負債総額は約800万円ほどあり、不動産等の換価可能資産も特になく、自力での再生は困難との判断から、破産の手続きを選択しました。


通常の破産手続き(同時廃止)の場合には、


1.破産の申し立て

  ↓

2.審尋

  ↓

3.破産宣告

  ↓

4.同時廃止

  ↓

5.免責申立(通常は破産申し立てと同時にしておきます)

  ↓

6.審尋

  ↓

7.免責決定

  ↓

8.すべての手続き終了


という流れで進みます。



この1回目の審尋の為に、クライアントが裁判所に行った際、私宛に℡がありました。



私       「審尋は無事すみましたか?」




クライアント 「実は・・・・・ 裁判所の人が、代理人として弁護士をたててくださいというんですが」




私       「申立書は司法書士事務所が作成したと言いましたか?」




クライアント 「はい、言いました。」




私       「お金に余裕がないので、自分で手続きを進めたいと言ってみてください。」




クライアント 「はい、わかりました。」




しばらくしてからまた℡がありました。




私       「どうですか、裁判所はなんと言いましたか?」




クライアント 「やはり弁護士をたててくださいと半ば強制的に言われました・・・・・・・・。」





私       「そうですか・・・・・・、では一度お戻りいただいて、事務所で対策を練りましょう。」





その後、クライアントに会って、裁判所と話したときの状況を聞いてみると、弁護士をたてないと手続きを進められないというような感じで言われたそうです。



自分一人で破産手続きを進めることが出来ないのはどうなのでしょうか?




ちなみにこのクライアントの債権者は、すべて法定金利内の大手金融機関のみでしたので過払い請求もありませんでしたし、税金の滞納等もありませんでした。



クライアントの中には、なけなしのお金をもって、藁にもすがる思いで相談に訪れる方もたくさんいらっしゃいます。


そのような方に、裁判所が途中から弁護士を付けることを半ば必要的に要求することは、そのクライアントの費用負担が増えると言うことです。



私から裁判所に問い合わせてみたのですが埒があかず、やむなく知り合いの弁護士に途中から引継をしました。(といっても、私が申立書を完璧に作っていたので、やることは2回審尋に行くことだけなのですが・・・)


弁護士選任後は何の問題もなく免責をもらい、その方の債務はすべて消えました。



東京司法書士会からも地裁にその件について、要望書を提出し、協議もしているようです。



その後、そのクライアントに費用を少し戻したい、そのお金を今後の生活に使ってくださいとお話ししましたが、辞退されました。


今でもそのお金を預かっています。



プロとしては甘いといわれるかもしれませんが、今でも私の心の中でわだかまったままです。


権利証にかわるパスワード

前回に続き、権利証の制度に替わる登記識別情報について書きます。


平成17年3月7日以降は、不動産登記法の改正により、登記をしても原則従来の登記済証(権利証)は発行されなくなりました。


ただし、全国一律にすべての登記所で、この日から登記済証(権利証)が発行されないわけではないのです。


登記済証(権利証)が発行されなくなり、登記識別情報に切り替わるのは、その登記を提出した登記所がオンライン指定庁に指定された日以降となります。


 ※オンライン指定庁 → 法務大臣から指定を受けた、オンライン(インターネット)で登記申請が出来る

                 登記所


指定日までは、経過措置で、登記済証(権利証)を請求すれば従来と同じものが発行されます。


登記をした際に、法務局の指定用紙にパスワードが記載されて交付されます。


ただし、パスワード自体が重要なものなので、他の紙に書き写したものでも、コンピュータに保存してあったものをプリントアウトしても、パスワードさえわかれば全く効力に問題はないことになります。


頭の中に記憶しているだけでも、権利証をもっているのと同じことになります。



ここまででも概念がちょっとわかりにくいですよね。



正直なところ、登記を伴う不動産取引で、司法書士が介在してればこの辺りの事前案内や確認はやってくれますが(と思いますが・・・)、一般の方が自身で登記をする場合などは、事前にかなり勉強して理解しておかないとトラブルの原因になるのではないかと思います。



また、この登記識別情報には、私たち司法書士を困らせる要因もあります。



このパスワードの確認方法が事実上1つしかないのです。



今まで取引の際には、所有者の方に登記済証(権利証)をお持ちいただき、原本に間違いないか、偽造されたものではないか等を目視により確認できたのですが、登記識別情報はパスワードであるが故に、見ただけでは有効なものかどうかが全くわからなくなってしまいました。


この確認方法としては、その不動産の管轄登記所の窓口でパスワードの有効証明書というものを取得することができますが、取引内容によってはその取得が大変な場合があります。



たとえば、東京都内で、茨城県内の不動産の売買取引をするとします。


通常、決済する際に、司法書士が登記の必要書類がすべてそろっているか、有効か等を確認した上で取引を進めますが、登記識別情報が必要な場合には事前に有効かどうかの証明が必要となります。


そうなると、茨城県の管轄法務局へ事前に行って有効証明書を取得しておかなければなりません。

(このパスワードは、申請により失効させることもできるので、出きる限り取引時間近くに取得しないと事故リスクが高まります)



これを司法書士の側で行くか、所有者に取得してもらうか。



どちらにしても大変な費用と手間がかかります。


司法書士が行く場合には、所有者の実印付き委任状と印鑑証明書が必要になりますので、事前に所有者の方に時間を作っていただいてお会いし、本人確認をした上で署名捺印をいただく必要が出てきます。


取引場所に近い登記所で有効証明書を取得できれば、お客様の負担も減るのですが、現在法務局ではそのような取り扱いの変更はまったく予定していないようです。



私たちは必要があれば、当然現地まで行って取得しますが、遠方での取得であれば、その分のコストはどうしてもお客様の負担になってしまいます。


インターネットでのオンライン申請が普及すれば、このような問題はある程度クリア出来るかもしれませんが、それが5年先になるか、10年先になるか・・・・・。


法改正により早急に改善してもらいたいものです。


権利証が無くなった!

権利証が発行されなくなったの知ってました?


権利証とは、自宅などを購入した際に所有権移転登記をすると、登記所から交付される所有者の権利を証する書面のことで、所有者が不利益を受ける登記をするときに必要となります。


年輩の方たちなどは、仏壇にしまったりして大事にもっていますよね。



この権利証が、平成17年の法改正で原則条文の上からは無くなってしまったんです。



案外この話知らない方が多いようです。



条文の上では、権利証にかわり登記識別情報というものが発行されるようになりました



登記識別情報というのは、英数12ケタのパスワードなんです。




今もっている権利証もパスワードに変わってしまうの?



ご心配いりません!今お持ちの権利証はこれからも有効なものとして使えます。

また、権利証をお持ちの方は不動産の名義を変えたりしない限り、登記所から一方的にパスワードに切り替えられることはありませし、権利証と重ねて発行してもらうこともできません。



この制度の変更は電子政府政策の一環で、インターネットで登記申請をできるようにとの趣旨で法改正がされました。



この制度が結構厄介なんです・・・。



次回に続く



会社の赤字解消の具体的方法

しばらく仕事に追われ、更新を怠ってました。すみません。


前回の続き、会社の資本を減少して赤字を解消する具体的方法です。


前回の記事


会社の資本を減少して赤字解消!?

http://ameblo.jp/shinanomachi/entry-10013881601.html



まず、株主総会を開催して、資本減少決議をします


  この決議は、原則、特別決議が必要となりますが、定時総会決議で欠損金の範囲内の減少の場合には

  普通決議ですることができます。



次に、官報(国の広報誌)に、資本減少に異議があれば一定の期間内に会社に対して申し出てくださいという内容の公告をします


  この期間は1ヶ月以上必要です。




更に、会社債権者(金融機関や取引先)がいれば、上記公告と同じような内容の催告書を送ります




この公告及び催告期間に債権者から異議が出なければ、手続きは終了。


後は法務局に登記申請するだけです。



ただし、注意点があります。




減資公告をする際に、事前に会社の決算書類を公告又はホームページに掲載しておかないと手続きを進めることができません。


株式会社は、すべての会社が決算公告の義務があります。(特例有限会社は除く)



知らなかった?、全然していない・・・・。




でも大丈夫です!! 方法はあります。




減資公告と同時に決算書類を公告してしまえばクリアできます




以上をクリアしても、銀行や取引先に通知したくないという方もいらっしゃるでしょう。




これも大丈夫!!



ちゃんと通知しなくてもできる方法もあるんです。




この資本減少手続き、もちろん会社の現金も一切動かさず、計算書類の数字を動かすだけですることができます。


もちろん100%合法な手続きです。



ただし公告費用や登記費用だけはかかってしまいますが・・・・・。



前回記事の訂正

前回掲載しました 会社の資本減少をして赤字解消!?  について、夢☆税理士様から表現の間違いのご指摘をいただきましたので訂正いたします。


> 1,000万円の資本金の株式会社が、800万円の処分前利益があったとします。

この表現ですと、資本の部の合計が1,800万円なってしまいますので、夢☆税理士様の表現をお借りして、



  『1,000万円の資本金の株式会社で、資本の部合計が800万円だったとします。』



と訂正いたします。



皆様にはお詫びを申し上げます。


そして、ご指摘いただきました夢☆税理士様、ありがとうございました。

会社の資本減少をして赤字解消!?

株式会社の資本を減少して赤字を解消することができるんです。



会社法の改正にともない、最低資本金額の撤廃に伴い、資本減少額の制限なく1円まで資本金・法定準備金等を減少させることが出来るようになりました。

(旧商法の時は、株式会社 1,000万円、有限会社 300万円が必要でした)


1円で株式会社をつくれることになったので、当然、既存の会社も資本の制限に縛られなくなったのです。


これはどういう場合に有効かといいますと、現在の資本の額を1,000万円以下(とりあえず未処分損失に対応する額)に減少して当期の損失を消すことができるのです。



たとえば、1,000万円の資本金の株式会社が、800万円の処分前利益があったとします。



BS(貸借対照表)上では、資本金は会社に留保すべき金額となるので、800万円-1,000万円= -200万円の損失となります。



この会社は赤字会社です。



ここで資本の額を200万円減少する手続きをし、資本金を800万円にしますと、


800万円-800万円(資本金)= 0 円



となり、未処分損失が相殺されたことにより、赤字が解消されます。



数字のマジックみたいですね!



この手続きは、現金等を一切動かさないですることができます。



具体的な手続きにつきましては、また次回お伝えします。