前回の内容が長くなってしまったので、

前・後編と分けました。

こちらは後編で前編からの続きです。

 

前編はこちら↓

 

なお、前編は、弁護士の

萩田先生の記事のリブログです。

別ウィンドウでは↓

 

 

5 相続登記は自分でできるのか?

 

(この項目の途中まで前編で書きました。)

 

別に、司法書士への依頼に誘導しようと

いうつもりはありませんが、

私自身が各種の相談会で感じた

印象としましては、若干、

萩田先生のご見解とは

違う部分があります。

 

先生のご指摘のように、

ネット時代となり、法務局のHP、

司法書士のHPなどに、

説明や書類見本も豊富に出ていますから、

これを利用して書類の作成や、

添付書類の収集の情報は得られます。

 

ただ、やはり一般の方ですと、

こういう事務仕事に慣れている方と、

全く経験がなく苦手、嫌い、

という方がいます。

 

ですので、自分でとりあえず

着手して、もしも、

「これは無理」と思われたら、

それから司法書士に依頼されても

良いとも思います。

 

私が相談した中で、

一般の方が感じるネックは、

以下の3つではないかと思います。

 

(1)戸籍の収集

最近の役所(戸籍でしたら

本籍地の市区町村役場)は親切で、

「相続に必要」と言えば、

その役所で取れる関係戸籍は

全部出してくれると思います。

 

ただ、以前の戸籍は遠方の郷里、

という場合、別の市区町村の分は

発行できないので、

小為替を郵便局で買って、

郵送申請するしかないのですが、

これが難しいと感じられる方もいます。

 

(こういう場合でも、どの郷里の役所に

請求すればよいかを案内してくれる

窓口も多くなりました。親切ですね。)

 

※ 小為替についての関連記事はこちら

 

 

 

 

それでも、一般の方ですと、

普段戸籍など見慣れていないだけに、

その前の戸籍はどれなのか

(筆頭者や本籍はどれなのか?)、

取得済みの戸籍を見ても

色々書いてあって分からない、

とおっしゃる方もいます。

 

また、兄弟相続の場合、

亡くなった方のみならず、

亡くなった方の両親も、

出生~死亡の戸籍が必要で、

戸籍の量が多く、かつ、

古いものの取得が必要です。

 

(生きていれば相続人になった方に

ついても同様です。)

 

それでなくても、古い戸籍は、

筆書きで、読みにくいものもありますし、

また、縦書きの数字は多角文字と言って、

壱・弐・参・拾などを使っています。

 

まあこういう小さなネックでも、

積り重なると、分からなくなって

しまう方も多いようです。

 

 

(2)不動産の表示方法

これも、法律職でなくても、

多少の知識があれば難しくはないのですが、

初めての方は意外と戸惑うようです。

 

登記申請書や遺産分割協議書には、

どの不動産が対象なのかを

明らかにするために、

不動産の表示を書くことになります。

 

まず、戸建ての場合は、

土地と建物の登記簿

(今は電子化により登記記録)

がそれぞれあって、

こちらはまだ良いのです。

(現状と違うとか、

難しいことは考えないで、

登記簿の記載をそのまま

登記申請書等の各項目に

書き写せばよい。)

 

が、マンション*の場合は複雑で、

難度が上がります。

(*なお、正式(?)には、

区分建物と言います。

マンションだけでなく、

いわゆる2世帯住宅でも、

区分建物として登記されている

場合があります。)

 

基本的に、建物の登記簿に、

土地のことも載っておりますが、

敷地権という書き方で、

これがちょっと分かりにくいです。

(なお、2世帯住宅などでは、

敷地権とされていない場合も。)

 

また、古いマンションでは、

集会所電気室・ポンプ室などが

別に登記されていることもあります。

 

なお、戸建てでも、建物の敷地が、

登記記録上2つ以上に分かれていたり、

私道墓地などが別途存在する

こともあります。

 

これらを見逃して、

登記が漏れてしまう場合もありますし、

見つけても、これらを一括で

登記できない場合もあり、

どう扱っていいのか

困ってしまうようです。

 

それから、マンションの場合ですと、

民間業者では、後日の登記の手間を

考慮してか、建設前の多数の土地を

1つないし3つ程度にまとめて

いることが多いですが、

なんとか公団建設のマンションは、

土地をまとめる作業をさぼって

土地が20くらいあるものがあります。

こういう場合は難度が上がります。)

 

※ 何か見本はないかと思い

「不動産の表示」で検索したら、

なぜかトップは法務局ではなく、

裁判所のHPでした。

ただ、登記関係でも同じ表記です。

 

 

(3)登録免許税

これは登記の税金で、

一般の方が自分でやる場合には、

収入印紙で納める、と考えて下さい。

 

これについては、領収証のように、

貼った収入印紙に割印を

しては絶対いけません。

(法務局によっては救済してくれる

 場合もありますが、

 原則は割印するとアウトです。)

 

しかし、登記申請書と、

収入印紙を貼った紙とは、

申請書に押した印で割印をします。

 

この辺もなんだか面倒くさいところですが、

相続の場合、登録免許税は、

固定資産税評価額の0.4%

(4/1000)と決まっています。

 

この部分は単純ですが、

端数整理(課税価格(≒評価額)は

1000円未満切り捨て、

税額は100円未満切り捨て)とか、

どれが固定資産税評価額なのか

書類の見方がよく分からないとか、

他の税金の知識(路線価とか取得価格など)

と混乱されている方も多いです。

 

また、私道がある場合は、

近傍の宅地の評価の3割とされますが、

固定資産税上の書類は非課税とされていて、

これも分かりにくいし、

近傍宅地の1平米単価を出して、

私道の面積を掛け、3割にして

(共有の場合は持分をさらに掛ける)

など、結構計算が面倒臭いです。

 

そしてやはり、登録免許税も

マンションでは複雑になります。

 

マンションでは、大きな土地を、

マンション所有者全員で

共有しているわけで、

各人の割合を「敷地権割合」と

表記されておりますが、

土地全体の価格にこの敷地権割合を

掛ける必要があります。

 

 

6 自分でやる場合は

法務局の相談を利用した方が良い

 

ということで、自分で登記を

申請したい場合は、

上記の3つの山場があることを

知っておいた方が良いと思います。

(どこまでこの難儀が続くのか、

と思うよりは。)

 

そして、法務局に相談窓口があるので、

そこを利用する方が良いと思います。

(ただし、予約制です。)

 

ある程度ネット等で調べて、

戸籍等の収集や作成書類を

自分なりに作ってみて、

分からないところを整理してから

(一般的に30分しかないので)、

一度相談してみて、そこで受けた、

不足書類や記載ミス等の指摘を

修正してから、できれば再度、

相談にかけて、修正版を

見てもらうとよいでしょう。

 

(なお、登録免許税の印紙は、

最後に購入して貼りましょう。

一度購入すると払戻できません。)

 

そこで、「一応大丈夫」となれば、

申請書をその場で正式に提出します。

 

そして、もしそれでも不備があれば、

電話が来ますので、

その指示に従って下さい。

 

不足書類については取得し、

書類訂正があれば出向くか、

書類を作り直して送付するなど、

補正の対応をすることになります。

 

(昔の法務局はとても怖くて

厳しかったのですが、

最近は本人申請も増えたためか、

ごく軽微なミスであれば、

電話確認の後、法務局側で

直してくれる場合もあります。)

 

ですので、押印した書類には、

署名の横の押印箇所だけではなく、

捨印と言って、欄外にも、押印全部を

押してあると、印鑑を持参

しなくても直せます。

遺産分割協議書は全員の実印が

押してあるわけで、これは普通は

預かれないと思いますので。

 

 

ということで、DIYではないですが、

比較的事務作業に強い方や、

自分で面倒なことをやってみることが

好きな方で、何度か役所や法務局に

出向く時間が取れる方は、

やってみても良いと思います。

 

逆に言うと、お仕事が忙しくて、

平日に何度も有休を取れない方や、

遠方の親御さんの自宅で、もし要修正と

なった場合に遠方の法務局に

出向くのが大変な場合は、

司法書士に頼んだ方が良いとも言えます。

(相談は提出先法務局ではなく、

近くの法務局でもできるとは思います。)

 

 


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