冷やし麺の季節ですが、いつも昼食で食べる
のは冷やし中華、冷やしたぬきなどでありま
す。で、本日はこれ。
さて、何というそばでしょうか?トッピング
には天かす=たぬきと、揚げが載っています。
つまり狸と狐の化かし合い?というイメージ。
こちらの品名は「冷やしむじなそば」でした。
小泉八雲の怪談に、「むじな」というのがあ
りました。人間をのっぺらぼうの顔で化かす
という妖怪でした。
また、有名な判例で「十文字むじな事件」と
いうのがあります。狸は狩猟の対象にしては
いけないと知っていた猟師が、むじなだと思
って狸を撃ってしまったという事件。
狐と狸の化かし合い。まさに今の政治のよう
な気がしますねぇ!(苦笑)
【時代劇こぼれ話】江戸言葉
(2)手繰る
前回の「山になる」に続き、蕎麦屋ネタであ
ります。江戸っ子は蕎麦を食べる、ではなく
「手繰る」(たぐる)と表現していたようで
す。これは、江戸時代の大工の隠語・符丁か
ら来たもので、彼らは蕎麦を縄に例え、縄を
引き寄せる⇒縄を手繰る=蕎麦を手繰る、と
いう使いかたをしていたようです。
寄席名人伝にこんな場面がありました。大ト
リを勤める真打が寄席に到着します。すぐに
出番を、という席亭に「腹が減っているから、
蕎麦を一杯手繰りたい」と答えます。すると
すぐに膝代わりの芸人に、少し伸ばすように
合図が送られます。蕎麦で腹を満たした真打
は、満を持して舞台に向かうのでした。
ところで、蕎麦というと音を立てて食べるも
の、というイメージがあります。ずずっと啜
り上げて食べることを「手繰る」ということ
と思っている人があります。しかし、手繰る
という言葉を考えれば、啜り上げるのではな
く、箸を使って少しずつ麺を口に運ぶという
姿が思い浮かびます。むしろ、上品な食べ方
こそ「手繰る」に合っているのではないかと
思われます。蕎麦好きの場合、啜るとか食べ
る、というよりも「手繰る」と言った方が粋
な感じがするので、この表現が広まっていっ
たのだと思います。
本日もお読み頂き、有難うございましたm(_ _)m