民間保険会社に、鍼灸師として、プロバイダーとして登録するには、どういった方法があるか書いておこう。
個人申請と鍼灸師協会申請の二通りがあり、個人申請というのは、読んでそのまま、必要書類を自分で提出する事であり、鍼灸師協会申請というのは、協会に加入すると自動的にプロバイダーになれる。
個人申請だと、40も50も存在する民間保険会社全部に申請する憂き目にあって、深夜泣きながら、書類を揃えていかなければならない。
書類というのは、『はり、きゅう免許証』、『鍼灸専門学校卒業証明書』、『履修証明書』。この三点は、日本語のオリジナルとオーストラリア政府公認の翻訳家による英文が必要。
オーストラリアの『First Aid Certificate』、『損害賠償保険証明書』。保険会社によっては、『保健所に鍼灸院登録を受け手、認可された事を証明する手紙』を寄越せ、などと息巻いてくる。
ぼくがオーストラリアの「鍼灸師会」や「自然療法協会」に入ったのは、二つの理由がある。
一つは、オーストラリア在住の外国人として、鍼を扱う協会に入っておき、自分の身分を担保しようという事が一つ。
もう一点は、保険会社のプロバイダーになるという事。ただ、そうするには、物凄い手間がかかるので、自動的にプロバイダーになれる鍼灸師協会に加入しようと考えるのは、当然の流れだ。この点を詳しく書いてみよう。
一例として、大手の民間保険会社・MBFについて書こう。
MBFが認識している医療従事者としての業種は以下の通り。
鍼師以外に、作業療法士、助産婦、指圧師などもある。
MBFが認識しているという事は、以下の業種の治療を受ければ、還付金が戻ってくるという事だ。ただ、治療家がMBFに登録していないと、患者側は還付金を受けられない。
Acupuncturist
Alexander Technique Teacher
Aromatherapist
Bowen Therapist
Dental Prosthetist
Dietitian
Exercise Physiologist
Feldenkrais Provider
Herbalist
Homoeopath
Kinesiology Practitioner
Midwife
Naturopath
Occupational Therapist
Optical Dispenser
Orthopaedic Shoe Maker
Orthoptist
Psychologist
Reflexologist
Registered Nurse
Remedial Massage Therapist
Shiatsu Therapist
Speech Pathologist
もう少し詳しく書く。
MBFの保険にも、何種類かのコースがある。
単純に比較しやすいように、二つのコースとして、例を挙げるが、保険料と業種については、あくまで参考なので、違うかも知れない。
A…全部の治療が適用(保険料・$200/月)
B…鍼、作業療法、漢方が適用(保険料・$80/月)
例えば、ぼくが、Bコースの保険に入っていたとする。そして、シドニー市内のクリニック(MBFの指圧師として登録している事を謳っているクリニック。鍼は登録していない)に行き、指圧を受ける。そして、お金を払い、領収書を受け取り、それを持って、MBFの窓口に行って、還付金を受けようとしても、自分の入っている保険のコースには、指圧は該当していないため、いくらMBFに登録してある指圧師でも、還付金は出ない。
もう一つの例。Aコースを利用する。同じクリニックに行き、鍼治療を受けたとする。そして、領収書を貰って、MBFの窓口に行く。しかし、還付金は出ない。自分の入っている保険のコースが使えても、治療家が鍼師として、登録していないと使えない。
つまり、鍼治療を受けて、患者側が還付金を受け取るようにするには、鍼が適用されるコースに入る事と鍼師として、MBFにプロバイダー登録しているクリニックに行かなければならない。
上のAとBの二例でお分かりのように、指圧も受けられるコースというのは保険料が高く、鍼治療だと安い。しかし、その分、鍼師としての登録は容易ではない。
オーストラリアの民間保険で人気の高いのは、Medibank Private、HCF、MBF、NIBなど。
MBFは、ATMSに入っても、ANTAに入っても、プロバイダーになるためには、直接申請しなければならない。それは、HCFについても同じ。従って、ATMSから鍼灸師として公認を受けているなら、ANTAに入る必要はあまりない。
最大手のMedibank Privateについては、来月からATMSに登録しているメンバーなら、プロバイダーとして、登録される事になった。思いもかけない僥倖だ。
では、MBFのプロバイダーになる方法を原文のまま列挙する。鍼灸師にとっては、ANTAなどに加入するより、Medibank Private、HCF、MBFなどのプロバイダーになる事は、仕事をする上で、有効に作用する。
As part of MBF’s recognition criteria, applicants for Acupuncture must have
completed as a minimum, a recognised 4 year full-time or equivalent (approx
2000 hours) Advanced Diploma or Degree course.
In addition, the following requirements are mandatory:
Professional Indemnity Insurance of $1,000,000 minimum, per claim
Senior First Aid certificate (or equivalent)
In addition to the requirements detailed above, all qualifications must
include an adequate emphasis on practical application of the treatment
concerned, including demonstrated and proved capacity to carry out the
treatment in a safe way to an acceptable level of competence.
Before you begin, have the following details ready:
ABN
Membership details ?
including the association, level of membership and date of registration
Indemnity insurance ?
including the company, amount of cover and expiry date First aid training (if applicable) ? including the company and expiry date of the certificate
Educational qualifications ?
including the year and title of the award, institution and course duration
Continuing professional education (if applicable) ?
including the year and title of the award, institution and duration
Complementary Therapies Criteria
For information on how to become recognised by MBF for benefit purposes
please select from the following modalities:
ここにも「Advanced Diploma or Degree course」が出てくる。また鍼灸経験も重要になってくる。
厳格ともいえるMBFだが、AACMAに入れば、プロバイダーになれる。HCFについては、保健所からの開業許可証が必要になるため、また難しい。保健所からの開業許可証を取得するには、何が必要になるかは、また後日書こうと思う。