8K 29.97P(30P)撮影に対応したinsta360のアクションカム「AcePro2」。
DJIのOSMO Action 5 Proなどと比較すると同じ条件(4K撮影、同じフレームレート)でもオーバーヒートで停止してしまうのが早いです。
まず、8K 29.97P(30P)で背面の画面を閉じたまま撮影すると、26℃の無風環境では17分程度でオーバーヒートで停止しました... 早いですね。
海外でAcePro2用の箱型冷却ファンを販売しているメーカーのwebでも「16分で停止」と書かれていましたので個体差ではなく仕様がこんなもんみたいです。
背面の液晶画面を開いて熱が逃げるようにしてテストすると...
かなり延びましたが39分12秒でオーバーヒート。
(気温:26.5±0.5℃、湿度55%、無風、空調管理下)
本体背面の最高温度が60℃程度に達したあたりで録画停止しました。

強制空冷するなら背面の面積の大きな部分を狙おうとサーマルカメラは背面の温度変化を記録していましたが、本体前面はなんと80℃近くまで上昇していました...
これまで、他社の4K対応アクションカム(YI4K+やGoPro)ではヒートシンクを貼付する熱対策だけで長時間録画が出来ていましたが、AcePro2の発熱はヒートシンクと自然対流では到底間に合わないペースの温度上昇ですね。
メーカー資料では動作温度範囲が-20~+45℃とありますが、45℃環境では数分で止まりそう...
しかーし、なんとしても8Kで長回ししたい。
というわけで、簡単に脱着出来て運用も楽な冷却方法を検討。
収納や屋外での使用を考えて、40×40mmサイズのUSB電源で動作するファン付きヒートシンクを脱着できるようにすることにしました。
AcePro2側に磁石が付くように、スマホの車載マウント用に市販されているスチールプレート(45×35mm)を貼付。
0.5mm程の厚みなら画面を閉じてカチッとロックできるかなと思ったんですが、カチッとは閉まらなくなりました。
まあ、 長時間録画のためならこの程度のことはあきらめましょう=3
ファンのヒートシンクにマグネットシートを貼付。
本体にポン付け。
強力マグネットシートでしっかりくっつきました。
というわけでテスト開始。
撮影開始からおよそ1時間経過すると、それ以降は本体背面の最高温度が44~46℃程度で安定しました。 これならいけそう...
一晩放置...
1TBカード満タンまで、26時間12分撮影できました。
(気温計ログ:27.1~27.6℃、湿度45~58%、空調管理下)
冷却ファン無しテストの39分のファイルなどいくつか消していなかったのと、条件によっても誤差があると思いますが、ファイルの詳細を見るとCBR(コンスタントビットレート)でしたので、1TBカードで24時間は録画できると考えて良いかと思います。
電源と冷却さえしっかりしておけば24時間回るというのは定点カメラとして戦力になりますね。
(OSMO Action 5 Proは気温25℃程度なら外部冷却無しで4Kで24時間以上回ります)
AcePro2のファイルは15.4GBでの分割で、ファイル名は撮影開始日と時刻、連番部はファイル末尾に3桁でした。
例)
VID_20251001_165030_001.mp4
VID_20251001_165030_002.mp4
また、AcePro2の外部電源ですが、USB-A端子の5V 2.4Aからでは電力不足で、8K録画時はバッテリー容量が減っていきます。
USB-CのPD対応ACアダプターやモバイルバッテリーからのPD対応ケーブルでの給電ではバッテリー容量が減らず、長時間録画が可能です。
定点カメラは放置しといても確実に長時間撮れていてこそ。
1日中続く長いイベントの設営からリハ、本番、撤収までの長回しなど、タイムラプスではなく等速で撮っておけるのは、定点カメラ素材として制作的にも使い勝手が良いですよね。
それから、アクションカメラのカメラマイク音声は最初から使う気が無いので確認していませんが、たぶんファンノイズで使い物にはならないと思います🌪。念のため。
今後、GoProやOSMO Action 5 Proでも実施した温冷庫で35℃以上に加温しての耐久テストも撮影と編集がちょっと落ち着いたらやる予定です。
それから、冷却ファンの消費電力測定やファン速度の切り替え(1~3)テストもやろうと思っていますが、取り敢えず長回し出来ましたのでご報告まで。
2025/10/03加筆 (10/04一部修正)
電源供給について加筆します。
AcePro2の消費電流を測定したところ、9Vでは瞬間最大 1.25Aでした。
USB-AからUSB-Cの変換ケーブル(5V 最大2.4A)では、ACアダプターでもモバイルバッテリーでもケーブルによって外部電源だけで撮影継続できる場合(電流計では5V 2A程度)と、給電スピードが間に合わず本体バッテリーの容量が減っていく組み合わせ(電流計では5V 1.5A程度)があることが分かりました。
QC規格対応や長さ違いなどいろいろなケーブルを試してみましたが、5V供給時に発生する電流不足について原因を切り分けできなかったので(ケーブルの対応規格表示もいまいち信用できないので)、弊社ではAcePro2カメラ本体への外部電源はUSB-C PD (9V)のソースに限定することにしました。
その後のテストで(27℃程度の環境では)冷却ファンは風量最小でも録画継続出来ることが分かったので、1台のモバイルバッテリーでカメラ+ファン(風量1)に電源供給して録画可能な時間を確認してみました。
使用したのはUSB-A 5V、UAB-C 9Vの同時出力が可能な74Wh(3.7V 20,000mAh)仕様のモバイルバッテリー(UGREEN PB312)。
カメラへはUSB-Cから9V、冷却ファンにはUSB-Aから5Vでそれぞれ電源供給しました。
テストの結果は
・録画開始6時間で残量表示「39%」
・録画開始7時間で残量表示「20%」
・録画開始7時間20分で残量表示「16%」 テスト終了
(カメラ本体のバッテリーは100%のままです)
弊社ではこの74Wh仕様のモバイルバッテリーでAcePro2と冷却ファンに電源供給する場合、カメラ本体のバッテリーは完全にバッファーとして6時間を目処に交換することに決めました。
(ちなみにGoPro9は同じバッテリーで14時間使用できますw)
モバイルバッテリーは元々のバッテリー性能や劣化度合いなど機種差や個体差が大きいほか、出力時に電圧変換を行なっている関係で外部機器では電圧で残量を把握することができません。
特に容量が3割程度になって以降や低温環境では急な電圧低下で放電停止してしまうこともあるので、仕様での電池容量やモバイルバッテリー自体の残量表示をあまりあてにせず、実際にテストしたうえで十分に余裕を持った時間での交換をおすすめします。
映像制作/音響制作/制作技術
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