現場持ち出し用のユーティリティスピーカー。
20年ほど前からYAMAHAのMS101II(以下MS101-2)をよく使っていました。
MS101シリーズは初代から数回のマイナーチェンジを経て30年以上販売が続いている小型モニタースピーカーの定番機種です。
2年ほど前、MS101-4(右)が発売。
前面の比較
MS101-2 2001年発売 (左)、MS101-4 2022年発売(右)
※MS101-2上面の取手は弊社で取付けた引き出しの金具です。
この何年か、仮設のミックスブースや連絡回線用、演者用の手元モニターなど、音質やXLR入力(+4dBu基準)の点で同じくYAMAHAのMSP5STUDIOやMSP3、MSP3Aを持ち出すことが増えていました。
音質は良好なもののユーティリティ用としては本体が重いのと、あわただしい現場の設置・撤収時にツィーターを潰してしまわないかちょっと心配がありました...
YAMAHA MSP3A
(仮設ブースでのコメント収録時のモニターとして)
旧MS101-2ではラインレベルが-10dBV基準のみでしたが、MS101-4では+4dBu基準入力(電子バランス)にも対応し(最大ノンクリップは+24ではなく+20dBuですが)ミキサーから直接ATT無しで接続できるようになっています。
ひとつ前のMS101-3まではほとんど仕様が変わらない型番変更だったものの、MS101-4では+4dBu入力対応のほかにもいろいろと改良されていて良いです。
特に弊社の現場では+4dBu基準のバランス入力対応はとても助かる変更で、電源ノイズが多い現場など、旧MS101-2ではアンバランス接続で長距離伸ばすとノイズの問題がありスピーカー直前にトランスやATTを設置していましたが、おそらくそういった対策も必要なくなると思います。
背面の比較
MS101-2(左)、MS101-4(右)
※MS101-4の電源抜け防止金具は弊社で装着したものです。
重さはMS101-2の 2.5kg から 2.1kg に減少しています。
軽くなっていますがアンプ出力は 10w から 30w にパワーアップしており、D級アンプで(消費電力は音量次第なので)旧機種より全体的には省エネになるようです。
横から
MS101-2(左)、MS101-4(右)
旧型では音量を上げるとすぐ箱鳴りしていた印象がありますが、MS101-4は小型化して軽くなっているものの箱鳴りも改善されているように感じました。
それから、MS101-4では電源コードが取り外しできるようになっています。旧型はリップタイで止めても運搬時にブラブラして面倒だったので大歓迎。
付属の電源コード以外、一般的なC13の3ピンの電源コードが使用できますが、逆にMS101-4付属の2ピンタイプのC13コードは他の3ピンC14の機器には使用できないので注意が必要です。
また、仮設現場で多少でも動く、動かす可能性のある機器にロック無しのIEC電源コネクタでは抜けの心配があるため、(数千の現場を経験するとやはり設営や調整時に機器を動かして数回抜けた経験がありますので)市販の抜け防止金具を取付けました。
元のネジを利用してごく簡単に追加できますので心配な方はぜひ。
本来は機器付属の電源コードを使用するべきですが、弊社ではIEC C13の電源コードは基本的に汎用として機器に対して固定していないためMS101-4の付属コードを専用としても何らかのタイミングで入れ替わる可能性を否定できないので、MS101-4付属の2ピンC13コードはトラブル防止のため現場には持ち出さず、一般的な3ピンのC13コードをセットにして運搬箱に収納することにしました。
元箱の緩衝材を流用してアルミケースに収納できるようにしました。
現場持ち出しにはケース必須です。
その他、MS101-4ではバスレフポートが背面に移動しています。
背面が壁か空間かでも違いがありますが、一般的にバスレフポートが背面にあるスピーカーではLowが少し遠くぼやけて聞こえる印象があり、個人的にはバスレフポートが前面にあるスピーカーのほうが好みではありますが、なんとこの背面のバスレフポートはメーカーの方に伺うと取手も兼ねているようです。
弊社のMS101-2はタンスの取手を取り付けて持ちやすいようにしていましたが...
(スポンジは共振防止用、逆さまに置けば簡易チルトスタンドとしても利用可能)
MS101-4ではバスレフポートに指を入れて持てます。
これは地味に便利w
MSP3Aでも背面のバスレフポートに指を突っ込んで持てるんですが、ポート部のパーツを壊してしまわないかちょっと不安があるんですよね...
それと比べてMS101-4のバスレフポート持ちはしっかりしていて不安がありませんw
また、MS101-4の底面のネジ穴は、M5のメス2つのほか、3/8メスが追加されています。
旧型ではスタンド固定にはBMS-10Aなど別売の金具が必須でしたが、向きは調整できないものの手軽に3/8ネジのマイクスタンドやカメラ雲台に固定できるのはありがたいですね。
細かいところではMS101-4の音量やLow/HighのEQツマミは楕円になっています。これは触れただけで設定値を把握できるようにという配慮だそうです。
FOSTEXの現行の6301のようなツマミの陥没仕様とか、SIGMAやTOMOCAのようなDC電源駆動とか願望を言い出したらきりがないですが、MS101-4は旧MS101-2と比べると新機種と言っても良いほどいろいろなところが改良されていますね。
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