本編が終わって、ラクの話〈番外編〉がつづく。なんの番外かと読み続けると、300ページ余りの話のオチが記されている。野生の少年モーグリがラク(ジャングル)でオオカミに育てられトラ、クマ、ヒョウ、シカ、ヘビやイヌなどの動物を仲間とし、やがて人間とも付き合うようになり、成人になって人間社会に戻る。しかし仕事は森林省のラクでの公務だった。人に戻った彼の特技はもちろん野生動物たちと人間をつなぐことだ。
オオカミに育てられた子どもはいたが、多くは成人になる前に亡くなっていた。人間社会に戻り溶け込むことの難しさを超えた存在になったモーグリ、彼のラクにおける生活の詳細は小説を読んでいただければ知ることができる。ディズニーのアニメも作られたし、映画にもなっている。しかし想像力を逞しく働かせる小説で読むことが最上の方法だと思う。
ジャングルと聞くと地球上のどこのことになるだろうか。アフリカ大陸には動物はたくさんいるが、ジャングルは想像しにくい。ブラジルのアマゾンは熱帯雨林でジャングルとは言わない。では具体的にジャングルがどこに存在するのか。
答えはジャングル・ブックにある。つまりインドにある。ただし100年以上経って現在のインドは変わってしまっているはずだ。ジャングルは現存するか、インドでホンモノのジャングルで映画を撮ってもらいたい、希望します。
ラドヤード・キプリングは1865年英領インドに生まれた。少年時代インドに暮らし、のちイギリスに行ったりインドで新聞記者をしながら小説などを書くようになった。小説家として華々しい活躍をしたが、インドの影響は常に残っていた。
訳文でしか読んでないが(原文はとてもムリ)、生き生きとした描写が想像力を引き出してくれて、画像が浮かび出してくるようだ。あえて言えば映像は必要ない。ジャングルは野生動物の世界だ。動物に人間は残念ながら含まれない。人間は動物を捕獲したりハンティングで楽しむことでしか参画しない。あるいは捕まえてきて動物園で見せ物にする。動物にしてみれば自然の中で生きるのがいいに決まっている。見せ物やショーで芸を披露することは虐待に等しい。見たければこちらから出向いて、ちょっと覗かせてもらうくらいが良いのではないか。モーグリのようになれば動物も文句はないはずだ。
人間と人間以外の生物との共生はできる。モーグリと同じようにすればいい。動物の言葉を使ってコンタクトする。世界中の人間同士の会話はAIでできるようになった。動物との会話も将来きっとできるようになると思う。その際、人間の論理を持ち出さないことが重要だ。なぜなら人間同士の争いが再現されるだけだから。愚かな人間側に来てもらうことはない。
動物には個々の生き方がある。生きるために植物や獣を食べる。弱肉強食は必然の掟だ。なんでも構わず喰らう人間より猛獣のほうがまともだ。必要以上殺しはしない。腹が減ったら捕まえて食べる。それにしても人間は動物界の風上にも置けない。無駄に頭脳を大きくしたのが間違いだったかもしれない。