ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ 2024.6.22 シネマイクスピアリ10 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 クリスマス休暇は家族が集まって祝う大切な時期だ。お正月のようなものですね。日本はなぜかクリスマスまでも導入して祝うように何でも取り入れるけど宗教ぬきでやってる。もちろん少しだけど教会に行く人もいます。私も家のそばの教会に行ったことがある。雰囲気は好き。

 

 そんな大事な行事に行けなくなるのは悲劇でしょう。でもそうは言っても用事とか事故とか、どうしても行けない事態になることはある。このハイスクールの生徒の何人かがそうなった。要するに試験の結果が悪くて、そのままだと落第する。そこで先生が助け舟を出してくれた。

 

 追試するという、これは良かった。でもクリスマス休暇はなくなり、全寮制の学校だから家に戻らず、ここにこもって試験勉強しなければならない。しかも試験範囲が新しい課題となる。それなら落第でもいいか、となりそうだが、卒業後の行先が決まってる。これはどういうこと? 卒業もしてないのに大学が決まってる。アメリカの大学は高校の卒業を確認しないで入学を許可するってのか?

 

 高校もそうだし大学はさらに金がものを言うらしい。寄付の額でなんでも出来てしまう。アメリカの学校は私立ばかりだから金がかかる。金がかかるのは日本以上、日本では国立大学の学費値上げが問題になっている。アメリカはそんなもんじゃないらしい。もっともアメリカの有名大学は格が違う。アメリカのみならず世界各国から入学してくる。学費が高くても先々を考えると元が取れる、そうなってるらしい。

 

 さてほとんどの学生が去って学舎は寂しくなった。マサチューセッツは北部にあり冬は寒く雪が降る。夏に雪の場面を見ると目に涼しく感じる。6月の東京はほぼ夏なのでそう思う。でも実際雪に降られたら寒く凍える。実感を伴うために雪の場面は冬に見るべきだ。あるいは館内に超冷房をかけるのも良い。

 

 4人いた居残りが1人になって、先生、学生、食堂の料理長だけがここでクリスマスを過ごすことになる。ここから俄然面白くなってくる。3人は図らずも擬似家族になって暮らすことになったからだ。

 

 家族は仲良くするのがいいが、そうは行かないことがある。むしろ仲たがいして口もきかなくなったりする。この擬似家族はそうならないどころか本物の家族で失ったものを見つけて、あらたに家族を作ったみたいだ。自分の犠牲を払ってでも助ける。家族なら出来ることだ。

 

 本当の家族がうまくいかず、偽の家族が頼りになる、この矛盾。でも擬似が長引けば本当の家族のようになるでしょう。それで助け合って解決するならいいじゃないか。自分が犠牲になれば助かる人がいる。それでさしあたり解決になるなら、問題ない。

 

 これを悲しい結末と感じるか、4人をまとめて総括すれば悪くない結果と言える。教師は損な役目だ。でもそれも悪くないと当人が思っているようだ。

 

監督 アレクサンダー・ペイン

出演 ポール・ジアマッティ ダイバン・ジョイ・ランドルフ ドミニク・セッサ キャリー・プレストン ブレイディ・ヘプナー イアン・ドリー ジム・カプラン ジリアン・ピグマン テイト・ドノバン

2023年