自閉症がどういうものか、身近にいないのでわからない。知っていると言えば鋭い感覚を持っていて芸術的センスがあるくらいか、それも映画からだ。
原案と脚本の山野海さんをはじめ、エンドタイトルにも関係者の協力があって、きちんと実態を把握した上で作られている。観客に誤解されることのないようになっている。これは大事なことで、私のようなに簡単に短絡してしまう者にはいくら丁寧に作っても良い。言葉や行動について逐一説明をされているようになっていた。実際私だったらどんな失礼なことを言ってしまうかと見ていて心配になった。
当事者と寄りそう人は常に気を張っているだろうし、と言って彼の言動がもたらす全てに責任があるわけではない。これは振り返れば自分のことでもある。他者にどう思われているかを気にしているようで、無意識に酷いことになっているかもしれない。迷惑をかけるな、という言葉はよく言われるが、迷惑をかけないではいられないのが人間だ。誰もが誰かの助けがあって生きている。重みや力量は違っても助け合っている。出来ることと出来ないことは補っていけばいい。
兄の大貴は自閉スペクトラム症でサポートを受けながら清掃の仕事に就いている。兄妹はそれぞれ独立して暮らしているが、連絡は密にとっていた。
日向希は田澤雅也にプロポーズされて結婚モードに入る。互いの両親に会いに行く。結婚の了解は極端に言えば電話で済む話だ。挨拶に行くのは礼儀だろう。そこには問題がある。兄の存在だ。兄のことは知ってもらいたい。新たな結婚生活に兄の存在を無くすわけにいかないことを。
希の母は亡くなり父とは疎遠になっている。こちらの側はあてにできない。兄と妹は離れ離れになるかも知れない。この問題の解決を早急に出すことはない。でもなんとかする、なんとかなる、明日のことはわからない、それは誰でも同じこと。
監督 小林聖太郎
出演 安田章大、のん、伊島空、高山トモヒロ、谷村美月、福田転球、芦川誠、早織、久保田磨希、河野咲良、高田幸季、武藤凪、林英世、神野三鈴、菅原大吉
2026年