婚礼 1993.3.25 岩波ホール | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 字幕でこれが詩人、この人が主人などの説明があり、要するに説明解説がないと理解しにくい映画ではないか。それは私の理解力の低さもあるだろうが、そもそも難しい作りになっている。特にポーランドの歴史を知っていないし、監督がそれぞれの人物に何を託しているのかでさえ、掴めない体たらく。私が理解できるような映画ではないのだ。

 

 だけど、同じような例では、「こうのとり、たちずさんで」がある。あれは分からないなりに、分かった。それは映像の持てる力に大いに関係があるようで、アンゲロプロスは映像作家なのだ。かたや、ワイダはこの映画の場合、映像では勝負していない。セリフを逐一吟味してゆけば、少しは理解できるきっかけくらいは見出せただろうに、ビデオでない通常の映画の早さには乗せ切らない情報の量にあっぷあっぷしてしまった。

 

 ポーランドが近隣の諸国に占領され、ポーランドという国が一時消えていた頃の話。祖国がなくなっている状態は想像できない。侵略する方の国も嫌だけど、侵略されるのももっと嫌なことだろう。特にポーランドは歴史的にいつの時代も完全な独立はなかったと聞くと、現在のポーランドを思わないわけには行かない。

 

 やっとどこからも開放され独立出来たのに、今度は内部がばらばらだ。傷ついた小鳥がゆっくりと羽根を休める場所がない。今はポーランドに限らず、あそこらへんの国が抱えている問題は共通している。だから小異を捨て、大同に付くことこそ今必要なことなのに、こういう時にもそうはなれない。長年に渡るきしみのようなものが今どうしようもなく絡まってしまっていることに思いを馳せなければならないだろう。この映画を見て、こんなことくらいしか思い浮かばなかった。

 

監督 アンジェイ・ワイダ

出演 ダニエル・オルブリフスキ エヴァ・ジエンテク アンジェイ・ワビツキ フランチシェク・ピェチカ マレック・ヴァルチェフスキ イザァ・オルシェフスカ マヤ・コモロフスカ ミエチスワフ・ウォイト エミリア・クラコスカ マレック・ペレペチコ

1973年