>ベストアルバム

>タイトル:Mr.Children 2015-2021 & NOW

>アーティスト:Mr.Children

>リリース日:2022年 5月 11日

>記事作成日:2022年 7月 16日






聴きました!


Mr.Childrenの、30周年記念作品!

過去の、肉&骨の時やミクマクの時なんかは、本当にど直球に過去の代表曲を収録しただけのシンプル極まりないものでしたが、30周年の今回は、過去のより抜きライブ音源を収録したDiscが付いていたり新曲が2曲も入っていたり。「過去音源ならば既に聴き倒した」というガチ勢も大喜びの内容ですね。




まずはDisc 1、“本編”から。




『Starting Over』

一曲目から、壮大で力強いロックバラード。今回この曲を聴き直して、やっぱり良いなと思って、今更ですがこの曲が主題歌となっていたアニメ映画『バケモノの子』を(初めて)観ました。そしたら、歌詞が想像以上に物語に寄り添っていてびっくり。何に驚いたかって、こんなにもタイアップ先とリンクした内容なのに、こんなにも独立した作品として説得力のある楽曲に仕上げられる…一体どうなってんだ(笑)


『fantasy』

凄く“分かりやすく”まとめ上げられたポップロックチューン。例えば、『蘇生』や『Worlds End』や『擬態』などのような。それでも、『REFLECTION』関連のツアーやプロモーション活動中にこの曲はそこまでフィーチャーされていなかったような印象があって。小林武史プロデュース時代のミスチルなら、もっとがっつり“リード曲”として扱っていたタイプの曲だと思うんだけど…単純に「曲数が桁外れに多い作品なので、一曲のみにスポットを当てづらい」というのもあったのかもしれませんが、ぼくはそれ以上に、“小林P的なミスチル”からの脱却を図った結果、この曲はそこまでフィーチャーされなかったのかな?と感じています。別に、(この楽曲のクオリティにしろ、小林武史という存在にしろ)良いとか悪いとかの話ではなく、「この曲の存在(そして扱われ方)によって、バンドのギアチェンジが為された事がよく分かる」というお話。

曲自体は、すんごい好きです! 力強く、爽快で、でもセンチメンタルでもある。“全部乗せ”の魅力。


『ヒカリノアトリエ』

この曲は…この時期のミスチルの流れの中で、ポンと浮いてる気がする。『REFLECTION』の空気とも確実に異なるし、かといって次作『重力と呼吸』とも完全に別物(だからこそ、オリジナルアルバムには未収録のシングルという存在になったんだと思うのですが)。強いて言うなら、『虹』や『Thanks Giving 25』などのライブツアーと紐づいていたイメージ。

柔らかくて可愛らしい音…リリース当時はちょっとそれに物足りなさ(?)も無くはなかったけど、こうやってアルバムの中で聴くと非常にいい味を出している。しかも、歌詞がまた素敵なんだよなぁ。説教臭さも押し付けがましさも皆無なんだけど、何というか…自分の内面との対話をしたくなる曲。「どうだい?そっちは今どんな感じかい?」って。


『himawari』

これは…かなりのロックンロールだと、ぼくは思っている。佇まいが、硬質。“堅っ苦しい”という意味ではなく、“凛としている”強い音がする。

シングルリリースの当初は、そこまでハマらなかったんですが…ライブでその音を目の当たりにした瞬間に、完全に虜になりました。イメージとしては、『深海』とか『SENSE』とか『I ❤︎ U』とかが好きな人ならば大好きなんじゃないかなって感じの硬質感。ケンカが強いと評判の半グレのパンチじゃなくて、プロボクサーのパンチって感じ。


『here comes my love』

ミスチルに素晴らしいロックバラードは数あれど、近年のミスチルにおいては圧倒的にこの曲が群を抜いていると思っている。バラードであっても、ボーカルや歌詞に力強さとダイナミズムとがほとばしっているのが近年のミスチル(桜井さん)だと思うんだけど、この曲は、非常に繊細でデリケート。ボーカルの繊細さが際立っているのに、演奏はもうほんとこれ以上ないくらいに力強くてドラマチック。そのギャップに、キュンと来るんだ…。


『SINGLES』

割とハッピーな歌を歌う事の多くなっていたミスチルが、不意に放り込んできた、ギラギラでトゲトゲな曲。

録音状態が悪い訳ではない、演奏が雑な訳でもない…なのに、この曲にはなんか物凄く荒々しさを感じるんですよねぇ。『重力と呼吸』というアルバムは全体的にそんなイメージがありましたが、この曲は中でも突出してその感じが強い。未だにその理由が自分でもよく分かんないんだけれども、物凄く熱くなるし、それと同じくらいキュンと来る曲でもある。


『Your Song』

この曲が聴こえてくると、自動的に、ライブが始まる気持ちになる(笑) それだけ、『Against All Gravity』のオープニングの印象が、鮮烈だったんだなぁ。北海道遠征で観たライブだったので、北海道の楽しさも上乗せされてるのかも。


『皮膚呼吸』

決して派手な曲ではないんだけど、ベスト盤には収録されて然るべきだなぁと感じる曲。この時期のミスチルの、とても素直な、飾らない想いが詰まっているような気がします。小林Pから巣立って自立を始めたバンドの、決意表明のようにも感じる。

ベスト盤の流れの中で聴いても、「アルバムのシメ」って感じになるから存在感が凄いよなぁ。


『Birthday』

この曲、大好き。アルバム『重力と呼吸』は比較的ヘヴィで濃ゆい印象だったけど、この曲はスコーンと突き抜けた軽やかさがあって。「あ、ミスチルが“また”変わった」って当時思った。どこをどう切り取っても、瑞々しさが溢れ出てくる。一方で、音にはズシンとした重みがある。爽やかなのに濃厚って、美味しいところ持って行きすぎ(笑)


『Brand new planet』

この辺ともなるともう最近過ぎて、“ベスト盤を聴いてる”ってよりも“アルバム『SOUNDTRACKS』を聴いてる”感覚になっちゃうけど(笑)

キラッキラのミスチル。それはもう、キラッキラです。そのたった数年前に重力を感じ呼吸を意識していたバンドとは思えないくらいに、無重力で奔放。このレンジの広さが今のMr.Children。


『others』

最初は、テレビのCMで断片的に聴いたんですよね(テレビ観なくなって久しいのに、わざわざCMを観るためにテレビつけて 笑)。そうやって聴いた印象は、「…地味!」で(笑) CMの雰囲気には合ってるけど、ちょっと地味過ぎないか?と思ったんだけど。フルで聴いたら、物凄く物語性の強い歌詞で。2時間の映画でも足らない…全10話の連ドラのサイズ感ですよ。すげぇなって思いました。令和のするめソング!!!

そして、ライブで聴いたらもう…スタジオ音源とは、(失礼ながら)別格の熱量。バンドの音が、熱いんだ…。

なんとなく、「今のミスチルが本当にやりたいのは、こういう音楽なのかな〜」って感じがします。


『Documentary film』

先だっての半エンツアーで、我が子を胸に抱きながら聴いて泣いた曲。

最高!以上!!!


『永遠』

“&NOW”の1曲目。最新の(配信)シングルですね。

楽曲自体ももちろん素敵だけど…ぼくは、“小林武史と再タッグ”というトピックに胸が熱くなりましたよ。ぼく、ミスチルと同じくらいに小林武史という音楽家も大好きなので。今のミスチルもぼくは好きなので、以前のようにベッタリやる必要なんかない…だけど今後とも、節目節目でコラボレーションしてくれたら凄く嬉しいなと、そう思っています。何かのインタビューで、桜井さんが、「自分自身は、ちょくちょくやりとりがあったのでそんなに久しぶり感は無い」的な事を仰っていて、それもたまらなく嬉しかったですね。どういうカタチであれ、2つの才能にコンスタントな交流がある…日本にとって喜ぶべき事実ですよこれは!

閑話休題。

確かに、“あの頃のMr.Children”。美しいメロディに、感傷的な物語に、ドラマチックなアレンジに。やっぱ、小林武史は小林武史だよ(褒め言葉)。


『生きろ』

もう一曲の“&NOW”。

この2曲の“&NOW”は、本当に対照的。いわゆる“小林武史的”な『永遠』と、物凄く“ロンドン的”なこの曲。アナログ感の強い生々しい音で、とにかく一音一音がズシンとぶつかってくるんだ。砂袋を投げつけられる感覚(笑) この感じはもう、完全に、ロンドンチームの音。つまり、“NOW”のMr.Childrenの音。

でもでもでも…『SOUNDTRACKS』の頃からどこかに既視感があって。最近思い当たったのは、「『深海』の頃の音に近いかも!」という事。思えば『深海』もアナログサウンドにこだわって録られた作品ですし、つまりロンドンチームの音って、小林Pを中心に『深海』時代に追求した音の“令和版”なんじゃないかなーって。小林Pとの『深海』が無かったら、ロンドンチームの音を求めていなかった可能性もあるんじゃないかなーと。そう考えるとなんか感慨深いものがあるなと思いました、、、全部臆測(というか妄想)ですけどねー(笑)

最小限の音に、最大量の熱がこもる。込められたメッセージも、シンプルに「生きろ」。コロナ禍、ウクライナ問題、格差社会、凶悪事件、災害、ヘイト…辛い事なら無尽蔵に出てくる。でも、生き抜かなきゃな…と、この曲を聴くと思えるんだ。「強要は良くない」「そうしたくても出来ない人も居る」「個別の事情を推し量るべきだ」「マイノリティにも配慮すべきだ」「個人が決める事だ」「もっと柔らかい表現にすべきだ」「文化や宗教によって解釈は異なる」…………うるせぇ!生きろ!共に生きよう!!!




続いて、ぼくは正直こっちがお目当てだった、Disc 2のライブ音源集へ。




『youthful days』

『TOUR POPSAURUS 2012』より。

非常に洗練されていて、スタイリッシュなこの曲から。田原さんのギターがいい。この曲の洗練され具合は、桜井さんの生み出したメロディと田原さんのスタイリッシュなギターに肝があると思う。

しかし、このライブDVDも散々見倒しているので、中盤の「かんぱーい♪」もこのテイクの桜井さんのテンションで口ずさんでしまうんだなぁ(笑)


『HERO』

『[(an imitation)blood orange]Tour』より。

ブラオレツアー…ぼくの出身地が、DVD(つまりこの音源)の収録地なので、そういうのも含めて感慨深いなぁ。最終盤の、絶叫に近いシャウトが胸に響く。ぼくも我が子に、この曲を真剣に歌ってあげたいものです(需要があるのなら 笑)。


『くるみ』

『DOME TOUR 2005 “I ❤︎ U”〜FINAL IN TOKYO DOME〜』より。

追加イントロのピアノソロが、なんか物凄い存在感。本編はあったかさの中に感傷が滲む曲調だけど、ここのピアノだけは切なさ100%で、初めて聴いた時はまさか『くるみ』が始まるとは思いませんでしたよ。


『Sign』

こちらも『DOME TOUR 2005 “I ❤︎ U”〜FINAL IN TOKYO DOME〜』から。

冒頭の観客の歓声がこの曲の偉大さを物語っている。

小林Pのピアノがなんとも存在感あり。このライブツアーで、この曲だけ小林Pがピアノ弾いたんですよね。そして、その次のツアーから、バンドメンバーとしてツアーに帯同。ぼくはやっぱり、ミスチルに負けず劣らず小林武史という音楽家も好きなので、このメンバー(プラスナオト・インティライミ)によるツアーは神がかってたなぁと改めて思う。


『Worlds end』

『Tour 2018-19 重力と呼吸』より。

冒頭のドラムスから、ヒステリックな程のピアノが一気に“弾け”て、音楽が決壊していくサマが最高に気持ちいい。誰ひとりとして不幸になる事のない、洪水。1Aが始まる前に、既に大興奮。

もちろんこのテイクも良いんだけど、I❤︎Uツアーでのみ披露された、終盤の構成が変わってるあのバージョンもたまんないんだよなぁ。まぁ、どのライブでのどのテイクも、満遍なく最高なんですが。


『しるし』

『“HOME” TOUR 2007 -in the field-』より。

たっぷりと“溜め”るイントロが素敵。反してボーカルは淡々と入るのがなお素敵。お笑いは「緊張と緩和」というけれど、音楽だって緩急が感動に繋がる場合は多い。

転調前のフェイクも、エモーショナルで非常に良い。ギリギリまでテンションがかかり切った“支え”が、ラスサビで決壊する…そのギリギリいっぱいの感じが、良い。グッと来る。正直、スタジオ音源の10倍はグッと来る(ぼく調べ)。


『フェイク』

こちらも、『“HOME” TOUR 2007 -in the field-』より。

いやもう、この、ディスコver.のアレンジ、最高ですよね。ライブDVDで、『Dance Dance Dance』〜『フェイク』〜『Any』という流れの部分が、ぼくが生涯で一番繰り返して観た箇所かもしれない。

でも、でも、でも…出来る事なれば、この曲のあとについでに「その全て〜真実〜♪」と聴こえてきて欲しかった! 『Any』が控えているからこそ、終盤であんなにも「すべては〜!」が強調されているというのに…今回のより抜き音源集はあらゆる時期のあらゆる曲を広く収録しているから仕方ないんだろうけど、ここの流れはぜひ残しておいて欲しかったなぁ。

…というワガママ。

ちなみに、さりげなくシングルリリース順の配置。


『GIFT』

『DOME & STUDIAM TOUR 2017 Thanksgiving 25』より。

まぁ、ある意味で『フェイク』から『Any』に繋がる事でのカタルシスを、この『GIFT』が上手く代替してくれてる感じもありますが。

ぶっちゃけ、今回の半エンツアーのパフォーマンスがあまりにも、あまりにも、あまりにも良かったものだから、今はそれ以外のテイクを聴いても感動し切れない部分は否めない! これはもう、ごめんなさい(笑) “最新が最高”って…最高かっ!


『HANABI』

『TOUR 2015 REFLECTION』より。

何気に、シングルリリース順。

これは『REFLECTION』のツアーの時の音源。桜井さんのコンディションとかその時々の状況もあるんでしょうが、この曲に関してはぼくは原キーで聴きたい派。歌ってて辛いとは思うけど、終始比較的高音域で推移するボーカルラインが、この曲の切迫感を強調して、「それでも前に進む」というメッセージ性をドラマチックに彩っている気がするんです。

という訳で、このテイクは、最高中の最高。

そして、ここもまた、シングルリリース順。


『エソラ』

『STUDIAM TOUR 2011 SENSE -in the field-』より。

スタジオ音源を聴いたって、ライブ映像作品を観たって、こうやってライブの音を録音したバージョンを聴いたって…そつなく、ぬかりなく、どの時のどのテイクも余裕で全然素晴らしいんだ(笑) それ以上に言いようがない。


『365日』

in the fieldじゃないほうの『TOUR 2011 SENSE』より。

別に何かのマウントを取ろうとかする意図は一切無いですが…家族がいる事、愛する人が居る事ってのが、この曲を聴くと凄く自分にとって大事な事なのだと気付くんです。そして、何でもない日常が奇跡で成り立っている事にも気付く。ライブ音源だとそれがなおさら刺さってくる。


『タガタメ』

『Studiam Tour 2015 未完』より。

力強さが、オリジナルの比じゃない…。スタジオ音源を聴いた時点で“迫力”も“迫真”も異次元だとは思ったけど…ライブで目の当たりにすると、それを軽々と越えてくるんだ…。今回の半エンのパフォーマンスも、圧巻だったしなぁ。

こちらのテイクも、映像が無いのに桜井さんの眼光鋭い表情が脳裏に浮かんでくる感じがします。

しかも、このライブ盤はこの曲で終わるのね。どういう意図で曲順を作ったのかは知る由もありませんが…耳馴染みの良いポップチューンが幾らでもあるこのバンドが、この曲で作品を締める事に、なんか意味を感じます。自分の覚悟を、問われているようだ。




そんな、2枚組計25曲。


好きなアーティストのベスト盤を聴くたびに書いてますが…そのアーティストの事が好きな程、ベスト盤は聴かないんだ(笑) なぜなら、散々聴き倒した曲ばかりだから。今回も、そういう理由で、聴くのはもっぱら“& NOW”の部分とDisc 2ばかり。でも、そこを聴いてるだけで、ものすごい満足感。そんなに大きい訳でもゴツい訳でも無いのに満腹感が得られる『1本満足バー』と同じ感じ(笑)


思えば、ミクマクの辺りまでは、“シングルCD”という形態がまだ世の中にあって、ミスチルのベストもそれに沿ってフィジカルでリリースされた曲を中心に収録されていましたが…今回のベスト盤を聴いて、「時代は変わったんだなぁ」とつくづく思いました。本作に収録されているフィジカルシングル曲は、3曲だけ。2枚同時リリースなのでその両方を合わせても、合計7曲(そのうち3曲は、3曲入りのトリプルA面という形態ですしね)。シングルCDという形態は、握手券という文化に破壊されて致命傷を喰らいましたね…。

でも、その分、「へぇ〜、この曲が選ばれるんだ!」とか「あの曲入ってないの⁉︎」とか、別の楽しみ方が出来たとも言えるんだけど。


やはり、Mr.Childrenの歴史は、ニアリーイコールでぼくの歴史です。どの曲を聴いても、「この時の自分はこんな感じだったなぁ」というのがありありと浮かんでくる。






お気に入りは、

○Disc 1

#01 『Starting Over』

#02 『fantasy』

#03 『ヒカリノアトリエ』

#04 『himawari』

#05 『here comes my love』

#07 『Your Song』

#09 『Birthday』

#12 『Documentary film』

#14 『生きろ』

○Disc 2

#02 『HERO』

#03 『くるみ』

#05 『Worlds end』

#06 『しるし』

#07 『フェイク』

#09 『HANABI』

#10 『エソラ』

#12 『タガタメ』






その作品が好きなら、

・『アンコール』/back number

・『フラカン入門』/フラワーカンパニーズ

・『高橋優 BEST 2009-2015『笑う約束』』/高橋優

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
















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