重力と呼吸>オリジナルフルアルバム>タイトル:重力と呼吸>アーティスト:Mr.Children>リリース日:2018年 10月 3日>記事作成日:2018年 10月 13日




聴きました!
Mr.Childrenの最新作。小林武史Pから完全に自立してから、初めての作品。
本当はもうちょっと聴き込んでから感想を書きたかったんだけど、なにせ今週末にはもうライブに参戦するので…。ライブで目の当たりにしたらきっとまた違う感じ方や感覚を抱くだろうから、その前の、音源だけから感じた気持ちを今のうちに記しておきたくて。


リード曲『Your Song』から、というかJenさんの魂のカウントからスタート!Jenさんのカウント、ライブやそのDVDなんかではよく耳にするけど、スタジオレコーディング作品に収録されるのって今まで中々なかったのでは。そして、それに追随するように、桜井さんの叫びが。ぼくにはこれが、この作品の開幕を高らかに告げるファンファーレに聴こえました。ストリングスも重なって贅沢な構成ではあるんだけれども、ど真ん中にあるのはあくまでもメンバーのバンドアンサンブル。この曲、決して「これまでのミスチルにはない」って感じの曲調でもないのだけれども、でも、新しいMr.Childrenを感じさせてくれる曲でした。言葉のチョイスと表現はだいぶ淡白ではあるんだけれども、例えば『HERO』のように壮大な愛を歌っている曲だとも感じました。
ビートパンクテイストの『海にて、心は裸になりたがる』。バンドブームの辺りの匂いを感じさせる、新しいのに懐かしい曲ですね。ミスチルがこういうのをやるという事が、とてつもなく斬新。ちょっと前のめりなくらいの現在のミスチルのスタンスを、この曲なんかがよく表しているのではないかと思いました。「冷静に自分を客観的にみる回路を外して」というフレーズなんかが、それを端的に表していると感じました。
ドラマタイアップだった『SINGLES』。ぼくはドラマを観ていないので、本作で初聴き。とにかく、サウンド面が特徴的だった。まずはなによりも、露骨に歪んだギター。ギター始めたてでマルチエフェクター買ったばっかりの少年が、テキトーにツマミを動かして出した音みたいな(笑)衝動性というか、インスピレーションに忠実に作り上げた印象のロックチューン。
配信シングル、『here comes my love』。配信で出た時点で、「壮大なバラードであると共に、骨太なロックンロールでもあるな」という感じがしていました。うねるリズム隊にしても、ヴィンテージ感のあるギターにしても、エモーショナルなボーカルにしても。それが、本作の中で聴くと、より一層ロックに響いてきて。武骨で渋めなこのアルバムにあって、ある種の彩りを加えてくれている、この曲。
キャッチーで柔らかい雰囲気の『箱庭』。いや、「キャッチーで柔らかい」のはあくまでもアレンジのお話。歌詞は、結構痛いぞ…。かさぶたにすらなっていない程にリアルタイムな失恋の曲。この感じの世界観、結構久しぶりでは!?『BOLERO』収録の『幸せのカテゴリー』あたりを想起するような、「ポップなサウンドと生臭い歌詞」という組み合わせ。
『addiction』。洒脱さのあるピアノが聴こえてきたかと思えば突如割り込んでくるシンセとか、いろんな意味で気の抜けないアレンジ。Jenさんのタイトなドラムスと、桜井さんのアグレッシブな歌声とのコンビネーションが秀逸。何かしらにaddictionしている状態の焦燥感とか切迫感のようなものが、アレンジ全体でよく表現されてます。ぼく的には、自分を「音楽」へのaddictと当てはめてこの歌詞を読むと、すごくしっくり来ます。
本作随一のポップチューン、『day by day(愛犬クルの物語)』。犬の名前まで決まってるという、ミスチルにしては随分とシチュエーションを限定してきたなぁと感じるストーリーテリング。あらゆる人が共感する余地を作った作風が、これまではメインだったのに。でも、じゃあこの曲に共感の余地がないのかと言えばそんな事はなくて。例えるならば、これまではノンフィクションものでの共感に近くて、こちらは小説を読んでの共感に近い。サウンド的には、ナカケーさんのベースの存在感があってそこが良かった。クレジットを見ると世武裕子さんがコーラスに入ってるらしいけど、今ひとつ聴き分けられなかった…。
シングル曲『himawari』。シングルで出た曲もかなり重厚なロックバラードだなぁと思ったけど、本作で聴くと更にソリッドでヒリヒリするようなサウンドに聴こえました。クレジットはされてませんが、録り直されてるらしいですね。だから聴こえ方が違うのかなぁ。ぼくは断然、こっちのテイクのほうが好きでした。しかも、シングルで単体として聴くよりも、アルバムのこの流れの中で聴くほうがより心を揺さぶられる感覚があって良かったです。
そしてラストは『皮膚呼吸』。シンプルなアレンジながら、心に迫ってくるもののある曲。どっかのインタビューで「リスナーを信用し切ってはないから歌詞は淡白にしてる」的な事を仰ってましたが…超アツいじゃん!表現は確かに淡白だ(というか飾り気がない)けど、自分の胸の内にくすぶっている炎を再び燃え上がらせてくれるのに充分な歌詞。前曲が、ある種芝居がかっているとすら言えるくらいにアレンジが凝ってる曲だったので、その後にくるこの曲の肩肘張ってない感もまた凄くいい。すっと沁み込んでくる。


そんな、計10曲。
インタビュー等で、「今の自分たちがやりたい音楽をやった作品」というような事を仰っていて。実際に聴いてみると、本当にそんな感じのするアルバムでした。
『エソラ』のような華やかな曲は無かった。『口笛』のような甘いラブソングは無かった。『ロックンロールは生きている』のような怪作は無かった。
でも。でも。
今のMr.Childrenが、あった。剥き出しの感情が、あった。奔放なクリエイティビティが、あった。
とにかくアツくて、前のめりで、そして自由で。「全員から愛される“J-POPの顔”のミスチル」から、「クリエイターとしてのエゴをもさらけ出していく、“いちバンド”としてのMr.Children」へ。エポックメイキングな作品としてはいささか華やかさに欠ける感じはあるけれども…いや、だからこそエポックメイクなのか。「いつものミスチル」を期待してる人にはいささか物足りないかもしれないけれども、長くファンでいる者としては、何とも感慨深い作品でした。
ひとつだけ苦言を呈するならば…もうちょっとコンスタントにアルバムをリリースして貰えませんでしょうか(笑)…音源リリースよりもライブ重視という傾向は、もはや世界的な主流になってるんでしょうがないとは思うんですけどね。




お気に入りは、#01 『Your Song』#03 『SINGLES』#04 『here comes my love』#09 『himawari』#10 『皮膚呼吸』




この作品が好きなら、・『三日月ロック』/スピッツ・『8』/THE YELLOW MONKEY・『THE LAST』/スガシカオなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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