Live At Ronnie Scott's 1964/Johnny Griffin | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Johnny Griffinは大好きなTenor Sax奏者の一人であるが、昨年、突如Gearbox Recordsからリリースされた64年の英国はLondonの名門Jazz Club Ronnie Scott'sでのLive演奏とくれば、手を伸ばさずにはいられないだろう。Illinois州はChicago出身の"The Little Giant"というNicknameを持つ男、Johnny Griffinは40年代半ばに、そのキャリアをスタートさせた。そして惜しくもFrance2008年に80歳でこの世に別れを告げるまで、Tenor Sax奏者としてHard Bop道をひた進んできた。高校で音楽を学び、最初はCrarinetを演奏していたGriffinであったが、Oboe、Alto Saxを吹くようになっていた。高校生の時にT-Bone Walkerとも演奏していたという。高校を卒業しLionel HamptonのBig Bandに加入した時もAlto Saxを吹いていたというが、HamptonはGriffinにTenor Saxを吹くように勧め、Arnett Cobbとも共演している。2年間に渡る兵役からChicagoに戻ったGriffinは街でNo.1のTenor Sax奏者として評判を呼ぶようになっていた。Thelonious MonkRiversideのOrrin KeepnewsにGriffinと契約するように奨めたが、GriffinはBlue Noteと契約すると56年には初Leader Albumとなる『Introducing Johnny Griffin』をリリースしている。このアルバムに代表されるように熱く燃え上がるStrong TypeのHard Bopperとしてその名を轟かせたGriffinは翌57年Art BlakeyJazz Messengersに加入しThelonious Monkとも共演。同時にBlue NoteRiversideからLeader Albumをリリースして50年代のHard Bop黄金時代を駈けぬけ、60年代には同じTenor Sax奏者のEddie "Lockjaw" Davisと組んだTenor Battle Comboでも活躍した。しかし、個人的には60年代欧州に渡ってKenny Clarke/Francy Boland Big Bandの一員として存在感を発揮していた時代のGriffinが力技一辺倒でなく大人の余裕と色気を十二分に発揮していて好きなのである。そういう意味では本作は成熟したGriffinの魅力を生で感じ取れるお気に入りの作品となったのである。

 

 『Live At Ronnie Scott's 1964』は2023年にリリースされた64年1月8日Ronnie Scott's Jazz Clubでの演奏を収録したJohnny GriffinLive Album。ピアノに英国Modern Jazz黎明期から活躍した名手Stan Tracey、ベースにはThe Jazz Couriersの創設メンバーでThe Dick Morrissey Quartetでも活躍した鬼才Malcolm Cecil、ドラムスにはThe Joe Harriott Double QuintetやThe Dick Morrissey Quartet、The Stan Tracey QuartetのメンバーだったJackie Douganがガッツリ固めたGriffinのOne Horn Quartetという美味しい編成。

アルバム1曲目は『Introducing Johnny Griffin』にも収録されていたHugh Martin作でFrank Sinatraも歌った“The Girl Next Door”。小粋な指パッチンJazzで始めるあたり、この時期のGriffinらしい。勿論お得意の超高速フレーズを時折織り交ぜながら大人の余裕を感じさせるOpener。派手さはないがTraceyのピアノ・ソロもイイ味を出している。

1910年代に書かれてJazz Standardになった“(Back Home Again In) Indiana”。正に生粋のHard Bopperのために書かれたようなスリリングなナンバーはガッツリBlowしまくるGriffinを楽しめるご機嫌な仕上がり。淀みなく次々に繰り出されるフレーズに心躍らずにはいられない。20分越えの圧巻の演奏に感服。

Griffinの自作曲“Blues In Twos”。Relaxしながらも黒々とぶっ放すGriffinのTenorを心ゆくまで楽しめる。Griffinと丁丁発止で躍動するリズム隊も心地良い。

最後をシメるのはMiles Davis作の“The Theme”。1分少々であっという間に終わってしまうがGriffinの圧巻の吹き倒しに乾杯。

(Hit-C Fiore)