梅雨だとか鬱陶しい季節にはやっぱり、こういう豪快なTenorでぶっ飛ばしてくれるご機嫌なBritsh Jazzに登場願おう。大好きな英国のTenor Sax奏者Dick Morrissey。ピアノにはAllan GanleyのQuartet出身でRonnie Rossとの『The Jazz Makers』でお馴染みStan Jones、ベースにはなんとMalcolm Cecil、そしてドラムスは後にBritish Jazz数々の名演を残すColin Barnesというメンツを揃えたMorrissaeyのQuartetが外連味のない演奏でスカッと爽快な気分を味あわせてくれる。Dick MorrisseyはSonny RollinsやJohnny Griffinを思わせる逞しく男性的なToneでHardにぶっ放すTenorが最高に気持ち良いのである。ぶっとく鳴らしきるTenorでグイノリでガンガン突き進む様は爽快である。英国が生んだTubby Hayesという不世出の天才Tenor Sax奏者同様に剛速球で攻めまくりフレーズも次から次に飛び出してくる男気溢れるプレイを聴くたびに、単純な自分は拍手喝采を送りエネルギーが湧いてくるのである。60年代British JazzのInnovativeでProgressiveな部分とはまた別に、こういった連中も当時のSceneに存在していたことは興味深い。その一方でMorrisseyは、60年代末になるとギタリストのTerry SmithらとIfを結成して一躍British Rock Sceneへ殴り込みをかけるのである。ChicagoやBlood, Sweat And Tearsといった米国のGroupへの英国からの回答みたいな感じか。まあ、それはそれとして、60年代にMorrisseyがFontanaやMercuryに残した4枚のアルバムは、気合を入れたい時や気分が落ち込んだ時に聴くと一発で気分爽快にしてくれる自分にとっては特効薬のようなものなのである。デビュー作となる本作も含めて4枚とも中身ともどもジャケットもイカシテいるのが良い。この時代の英国はJazzもRockも最高で、熱気に満ちたその雰囲気が伝わってくるようである。
『It's Morrissey, Man!』はThe Dick Morrissey Quartetが61年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はご存知Sonny Rollinsの“St. Thomas”。いやあ、この吹きっぷり、最高ですな。
Victor Feldmanと並ぶ英国の才人Bill Le Sage作の“Cherry Blue”。これまたご機嫌な指パッチンJazz。仄かにPastralな香りが漂うあたりが英国的。
軽快に飛ばす“A Bench In The Park”も勢いのあるTenorに惚れ惚れとしてしまう。
続くColeman Hawkinsの“Sancticity”もMorrisseyのQuartet怒涛の勢いは止まらない。ドラムスとTenorのみのかけ合いになった時が最高。かけ声も飛び、ノリノリである。
Johnny Griffinの“Mildew”も圧巻である。高速フォービートにのってMorrisseyが気合の入りまくった吹き倒し。
ピアノのStan Jones作“Puffing Billy”。典雅で牧歌的な味わいが英国らしいJazz。
B面1発目もStan Jones作“Gurney Was Here (Or Blue Waltz)”。まったりしたBluesだけど、Morrisseyの歌心に満ちたフレージングが光る。
鯔背な男前Jazz“Happy Feet”。キレキレのMorrisseyにリズム隊も負けじと盛り立てる。
そして必殺のBallad“Where Is Love ?”。ベタにならず節度をわきまえRomaticながら泣きに走らないあたりが典雅なBritish Jazzらしさ。
Bing Crosbyの名唱でお馴染み“Dancing In The Dark”。淀みなく打ち上げるMorrisseyが最高。
LyricalなStan Jonesのピアノで始まるBallad“Willow, Weep For Me”。
アルバム最後をシメるのはCharles Mingusの“Jellyroll”。ご機嫌な指パッチンJazzに仕上がっている。
(Hit-C Fiore)