Zartong/Zartong | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Zartong70年代半ばArmenia出身のMusicianによって結成されたRock GroupでFranceで活動していたようだ。本日ご紹介する唯一のアルバムを残して消え去ってしまった幻のような存在である。そもそもArmeniaという国の知識に乏しい自分にとって、その欧州とアジアの香りが微妙に入り混じったような、不思議な異国情緒漂う彼らのサウンドを聴いていると、見知らぬ国の若者たちが一生懸命自らのIdentityを生かした独自の音楽を奏でようとしている姿を思い浮かべたりして、どんどん勝手にを想像を膨らませて、いつもの魔境の世界に入り込んでしまうのであった。なんといってもKemantckaSantoorと呼ばれる民族楽器の響きがExoticで神秘的な世界を生みだしているのが良い。KemantckaというのはOriental Violinともいう楽器で、裏ジャケットに写っているのを見ると楽器を垂直に立てて弓を用いて演奏するようである。Santoorというのも裏ジャケット見ると台形のHammered Dulcimerのような姿をしており、Iranの伝統的な打弦楽器だそう。このなんともOrianetalで摩訶不思議な楽器の響きと旋律がZartongというGroupを唯一無比の存在にしているといえよう。Armenia、正式にはArmenia共和国という国は、Black Seaと Caspian Seaに挟まれたEurasia大陸の南Caucasusの内陸国である。91年に崩壊する旧ソビエト連邦から独立した世界最古のキリスト教国でもあり、グルジア、トルコ、アゼルバイジャン、イランの4国に囲まれた古い歴史を持った国で、正に欧州とアジアが交差した独自の文化が育まれてきた国ともいえる。ZartongのメンバーはベースとVocalのFranck Tildian、Kemantckaを演奏するLorys Tildian、ドラムスのRichard Tanelian、鍵盤とSantoorを演奏するStepan Akianの4人。

 

 『Zartong』はZartongがFranceのDOMから79年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“Dzamone ( Part. 1 )”はいきなりKemantckaとSantoorの響きが異国情緒を醸し出す。

続く“Dzamone ( Part. 2 )”はいきなりDiscoなノリでイナタいVocalも登場。ベースが頑張っているのが面白い。

Parhelie”はSpacyで幻想的なSynthesizerにKemantckaが鳴り響き“I Verine ( Part. 1 )”ではKemantckaとSantoorのEnsembleがOrientalなMoodを醸し出す。ここでもベースがイイ味を出している。Vocalもどこか異国情緒漂う感じで魔境へ吸い込まれていくと“Prosopopee”で再びKemantckaとSantoorのEnsembleがExoticに奏でられる。後半はVocalが登場してより摩訶不思議な世界へ引き摺りこまれてしまう。

A面最後はVocalがより宗教的なArmenia聖歌を神秘的に聴かせる“I Verine ( Part. 2 )”。

Toy Narguiz”はSynthesizerをバックにSantoor、Kemantckaとベースが神秘的なEnsembleを聴かせる。

Eveil”~“Kelé Kelé”ではベースが暴れるリズム隊が加わってRockなノリになるもVocalが登場するとOrientalでFolkloreな香りが強まるのが面白い。

Armenian Hore ( Part. 1 )  ”は生命感に満ち溢れた力強い民族音楽風Shuffle。

Dele Yaman”は哀感に満ちたSynthesizerとSantoorが鳴り響くと悲し気なVocalが切々と歌い上げる。

再び活気に満ちたShuffleの“Armenian Hore ( Part. 2 )    ”が登場。

アルバム最後をシメるのはSantoor、KemantckaとベースがExoticに絡み合う“Hoy Nazan”。

(Hit-C Fiore)