Feels Good To Me/Bruford | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Bruford名義のこのアルバムが出た当時、世の中にはFusionと呼ばれる音楽が氾濫していた。Punkの波が世界各国に押し寄せた77年、一方で映画『Saturday Night Fever』が大ヒットしDiscoやFleetwood MacPeter Framptonといった中庸のRock MusicがChartを賑わせる中、Bill Brurordの1stソロ・アルバムとなる本作がリリースされる。YesKing Crimsonに参加した後、GongNational Healthを渡り歩いたBrufordは前年の76年Genesisの北米/欧州Tourに参加した後、John WettonとYesのRick WakemanとTrioを結成するも頓挫、一時的にNational Healthに復帰している。そして77年にNational Healthの鍵盤奏者Dave Stewartと、Soft MachineThe New Tony Williams LifetimeGongのアルバムに参加していたギタリストAllan Holdsworth、当時新進気鋭の凄腕Bassistとして知られていたJeff Berlinを迎えて本作を録音するのである。FlugelhornでKenny Wheeler、ギターでBrand XJohn Goodsall、VocalでAnnette PeacockもGuest参加した、ありふれたChord ProgressionとRhythm Arrangements、先の読める展開のFusionとは一線を画した真の意味でProgressiveでジャンルを超えた作品となった本作は時の試練に耐えうる名作となった。BrufordとHoldsworthはJohn Wetton、Eddie JobsonUKを結成するにも関わらず、アルバム1枚を残して脱退し、National Healthを脱退したDave StewartとBrufordを結成するのである。煩雑なメンバーの入れ替わりがあり非常に分かりにくい、この辺のバンド状況だが、少なくとも本作で集結したメンバーからBrufordというバンドが誕生した事実は重要である。そしてReasonably Advanced Harmonic AdviceとCreditされているようにDave StewartによってBrufordの作曲の才能が開花されるのである。Stewartとの共作3曲を含み、アルバムは全てBrufordが作曲に絡んでいる

 

 『Feels Good To Me』は77年にBill BrurordがPorydorからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Beelzebub”。スリリングなイントロから変拍子が炸裂、Allan Holdsworthのギターが唸りを上げる。

Back To The Beginning”は幻想的で夢見心地なイントロから、ギターがHardに切り込むとAnnette Peacock姐さんのEccentricなVocal妖しさをふりまく。Allan Holdsworthのギター・ソロも静かに始まったかと思えば怒涛の弾き倒し

Seems Like A Lifetime Ago (Part One)”もAnnette姐さんのVocalが妖しさ満点Kenny WheelerFlugelhornソロもイイ感じ。

Seems Like A Lifetime Ago (Part Two)”は変拍子が気持ち良いナンバー。Synthesizerにエレピと、めくるめく華麗なDave Stewartの鍵盤さばきが素晴らしい。

Sample And Hold”はDave StewartとBrurordの共作で複雑な和声とCanterburyなMagicalで先の読めない摩訶不思議な構成の妙に脱帽。理知的で洗練された楽曲RockのDynamismを注入するHoldsworthのEmotionalなギター・ソロも素晴らしい。

タイトル曲“Feels Good To Me”はタイトル通り高揚感を感じさせるナンバー。

Kenny WheelerFlugelhornソロが光るEither End Of August”はピアノとSynthesizerの見事な使い分けもお見事。Holdsworthのギターも速弾きだけではなく見事に歌っている。

Jeff Berlinのベースが本領発揮のDave Stewartとの共作“If You Can't Stand The Heat...”。Holdsworthの弾き倒しもカッコイイ。

ピアノをバックにKenny Wheeler切ないFlugelhornソロがたまらないSpringtime In Siberia”もStewartとの共作。

SpacyなSynthesizerが雰囲気タップリの“Adios A La Pasada (Goodbye To The Past)”。Berlinのベースもスゴイ。Annette Peacock姐さんの語りもイイ感じ。

(Hit-C Fiore)