Softs/Soft Machine | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 

 後期Soft Machineといえば、どうしてもAllan Holdsworthが参加した『Bundles』が脚光を浴びがちではあるが、続く本作も中々素晴らしい。Holdsworthが脱退してDarryl Way's Wolfに在籍していたギタリストJohn Etheridgeが加入した本作は、Karl Jenkinsが主導権を握った後期Soft Machineの、ある意味で象徴的な名作ともいえるだろう。とうとうアルバムからはMike Ratledgeの名前が消えてオリジナル・メンバーは誰一人いなくなってしまった。Elton Deanが在籍し、Machineが最もJazzに接近していた『Fourth』と『Fifth』にBouble Bass奏者として参加していたRoy Babbingtonは『Six』リリース後に脱退したHugh Hopperの後釜となった。Graham CollierのGroupやNucleusでJenkinsと一緒だったドラムスのJohn MarshallRobert Wayatt脱退後の『Fifth』から参加、また本作からGraham CollierのところにいたSax奏者のAlan Wakemanが加わっている。ちなみにBabbingtonはNorma Winstonが参加した73年リリースのIan Carr with Nucleusの名作『Labyrinth』でベースを弾いている。Graham CollierNucleus人脈によるJenkins主導のSoft Machine。時代はJohn McLaughlinやLarry CoryellといったJazzやRockの垣根を超えたギタリストが活躍し、Jeff Beckが『Blow By Blow』や『Wired』でJazzを取り入れたRockギターのInstrumental Albumとして商業的にも成功を収めていく時期でもあった。Machineは75年作の『Bundles』で名手Holdsworthを迎えて、これまでのMinimalで浮遊感漂うJazz Rock路線から一気にギタリストを前面に出したJazz Rock路線へと舵を切っていく。Jazz RockやいわゆるCrossover/Fusion系のギタリストが脚光を浴びていき、Al Di MeolaやLarry Carlton、Pat Methenyらが来るべき80年代に向けて人気を集めていった時代。本作でのJohn Etheridgeは、そんなギタリストたちにも決して負けず劣らずの高いテクニックを披露している。しかし本作の素晴らしさは技巧だけではない。かすかに残った欧州の香りとEnsembleの妙は、ある意味で前作に負けず劣らずといっていいだろう。

 

 『Softs』はSoft Machine76年Harvestからリリースしたアルバム。

アルバム1発目“Aubade”。PastralAcoustic GuitarSoprano Saxの調べが良い。曇り空の下、どこまでも田園風景が拡がるような英国的な詩情が感じられる。2分足らずのInterludeといったところであろうか。

続く“The Tale Of Taliesin”ではJenkinsらしいMinimalでHypnoticなRiffで始まりJohn Etheridgeのギターが唸りを上げ、突如としてTempo Upすると、お待ちかねの速弾きが炸裂緩急自在のMarshallのドラミングも圧巻である。

疾走感に溢れる“Ban-Ban Caliban”ではWakemanによるSoprano Saxソロが良い。そして突如リズム・チェンジするとEtheridge怒涛の弾き倒し

吹雪のようなSEに続きEtheridgeのギターが咽び泣くSong Of Aeolus”。バックのStrings Synthesizerが当時を感じさせてイイ感じ。

ピアノのRiffで始まる“Out Of Season”。Etheridgeの弾くAcoustic Guitarとピアノが典雅であるが、エレキが加わって徐々にスケールが拡がっていく。

ドラムスのJohn Marshall作“Kayoo”はドラムス&Prrcussionの

ソロ

EtheridgeギターとMarshallドラムスのタイマン勝負The Camden Tandem”。

50秒足らずの“Nexus”。ピアノをバックにのEtheridgeのギターが唸りを上げる。

FunkyなJazz RockOne Over The Eight”は5人のメンバー全員の共作ウネるベースSaxソロが気持ち良い。

アルバム最後をシメるのはJohn EtheridgeAcoustic Guitarのみの演奏による欧州浪漫漂うEtka”。重ねられたギターのEnsembleはElegantであるが得意の弾き倒しも顔を出すのが微笑ましい。

(Hit-C Fiore)