この人誰?ミレイが描いた「ロンドン塔の王子たち」 | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

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画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。

 

ミレイといってもあの「種をまく人」や「落ち穂拾い」で有名な

 

フランス人のジャン・フランソワ・ミレーのことではありませんよ

 

今回はちょっと前にアップいたしました「オフィーリア」の画家であり

 

ラファエロ前派のイギリス人ジョン・エヴァレット・ミレイさんに再登場いただきます。

 

 

(陰の声:識別するために日本語では「ミレイ」と「ミレー」にしているのかな(^_^;)?

 

 

さて、もうご存知の方にはこんな前置きはお邪魔でしょうから

 

早速、今回の作品をご紹介いたします。

 

 

 

ミレイが描いたこの人誰?「ロンドン塔の王子たち」

 

 

 

「ロンドン塔の王子たち」

1878年・油彩・ロイヤル ハロウェイ ギャラリー(ロンドン)

 

 

今回 は2人の美少年の登場です。

 

でも、不安そうな表情であたりを見回している様子はただ事ではありませんね。

 

イギリス人ならこのシチェーションで、もうこの2人が誰かわかるそうです。

 

 

(陰の声:ごっこスーラもまったくわからないので調べていたよ((>д<))

 

 

 

はい、発表します。

 

このお2人の美少年は、恐れ多くもイギリス国王エドワード5世陛下(13歳)と

 

その弟君のヨーク公リチャード殿下(11歳)なのです、

 

美少年好きの熟女のみなさまのために、お顔を大きくしてみましょう・・・

 

 

 

「ロンドン塔の王子たち」 部分

 

いかがですか? でも、可愛いけど何かおびえている緊張感のある

表情ですね。何があったんでしょうか?

 

 

時は1483年、場所はイギリス王国の首都ロンドンのテムズ河畔に建つ

 

ロンドン塔の中なのです。

 

ヨーク家とランカスター家の王室同志の内紛、薔薇戦争の真っ最中に

 

時の国王エドワード4世が崩御すると、息子のこの美少年エドワードが5世として

 

国王に即位しましたが、わずか2ヶ月後に叔父のリチャード3世に弟ともども

 

ロンドン塔に幽閉されてしまったのです、

 

 

まあ、よくあるお家乗っ取りというやつですが、このお二人がロンドン塔に

 

連れられて来た場面をミレイは描いているようです。

 

そしてこのあと、お2人を見た人は誰もいなかったのです〜(x_x;)

 

 

詳しく知りたい方はシェイクスピアの劇作「リチャード3世・第3幕」をお読みください。

 

 

(陰の声:ハムレットの一場面「オフィーリア」もそうだけどミレイはこのように物語の

 

場面を見て来たように描くことでとても人気がありましたv(^-^)

 

 

 

ロンドン塔(>_<)

 

では、ロンドン塔とはどういうところでしょうか?

 

 

「ロンドン塔」 イギリス・ロンドン

 

 

ロンドン塔 と言っても塔が1本だけではなく、元々は国王の

 

宮殿兼要塞として11世紀頃に建てられた建物です。

 

ところが要塞としての無骨さが嫌われたのか、

 

いつのまにか、王に不満を持つ身分の高い人を強制的にご招待する場所に

 

なっていました。(現在は博物館)

 

 

ここに招待されて帰ってこない人達は、ヘンリー8世の2番目の妻で

 

エリザベス1世のお母さんであるアン・プーリンなどいっぱいいらっしゃいます。

 

 

(陰の声:要は処刑されたんだよね、でもその人たちは処刑された記録が残って

 

いますが、王子2人は何にも記録なし・・・

 

 

え、ブログが長い! それが何か!?

 

ダラダラブログですからまだまだいきますよ(陰の声:開き直っているね ^ε^)♪

 

では、2人の王子を消した容疑者の「リチャード3世」とはどんな人物だったのでしょう、

 

 

 

リチャード3世( ̄^ ̄)

 

 

シェークスピア劇中のリチャード3世

 

シェークスピアの時代はリチャード3世を破って即位した

テューダー朝の王室なので、敵のリチャード3世は悪役にされており

少し背中が曲がっていたらしいのですが、それを強調して

「背中の曲がったヒキガエル」とシェークスピアに書かれており、

その悪役イメージが定着したようです。

 

(陰の声:シェークスピア劇ではピカイチの悪役にされています

ただ、それだけに役者のやりたい役だそうです(><;)

 

 

 

しか〜し、2012年にレスターの修道院からリチャード3世の遺骨が

 

発見され、顔の復元が行なわれました、

 

 

リチャード3世の復元像(左) 右の方は制作者かな?

 

その結果 はヒキガエルではなく、結構イケメンだったということです。

 

(陰の声:だからフィクションは信じたらだめだよ(´ε`;)ウーン…

 

 

また、英国とは面白い国で、リチャード3世は2人の王子を消したのは

 

リチャード3世ではないと名誉挽回をはかる団体もあるようです。

 

 

彼らの言い分は、リチャード3世は2人の王子の両親の結婚は無効とし

 

嫡流から庶流に落としており、自分は嫡流だからこれ以上殺す必要がない。

 

それよりも、リチャード3世をボスワースの戦いで殺したランカスター家の

 

リッチモンド伯ヘンリー・チューダー(後のヘンリー7世)こそ

 

傍流も傍流で、平時ならとても王に登位できる家柄ではないので

 

庶子といえども、まだ格上の2人の王子を殺す必要があったのだ。

 

と、主張しているそうです。

 

 

(陰の声:この団体はヨーク家関係の人達かな? ヒマな国ですね(゚_゚i)

 

 

熟女のみなさま、美少年のお話はいかがでしたでしょうか?

 

ごっこスーラはやはり皆様のような( ̄ー☆ 美女のほうが好みです・・・

 

 

あ、最後にこの王子達と思われる子供二人の遺骨が失踪の150年後に

 

ロンドン塔のひとつブラッドリータワー(血塗られた塔)で発見された

 

という記録はあるそうです(アーメン >_<)

 

あまりの猛暑に少し涼しくなる話を選んでみました。

 

 

 

<この人誰?ミレイが描いた「ロンドン塔の王子達」・了>

 

 

 

 

 

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