日本画の知識:その5・文人画・南画 | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。

テーマ:

中国 の明時代、文人、士大夫達は職務を離れて、「詩、書、画」の

三つをおこなうことで儒教的教養を高めていたといいます。


日本でも中国文人への憧れから
江戸時代中期の太平の時代に

倦んだ
武士や富裕階級の文化人の教養として広まり、その後独自の

発展をしたといわれています。


(陰の声:な~んだ、趣味の絵かぁ 、ごっこスーラと一緒じゃん (^O^  )


違うと思います!

では、アホの”陰の声”はほっておいて、日本の江戸時代の文人達の

美意識を代表する作品をご紹介しましょう。



南画を大きく飛躍させた池大雅(いけのたいが)


池大雅楼閣山水図右隻
楼閣山水図屏風 岳陽楼図(ろうかくさんすいずびようぶ がくようろうず)
18世紀後半・六曲一双の右隻 168x374cm・紙本金地着色
国宝・東京国立博物館蔵
池大雅(いけのたいが)

限りなく広がる空間と豊かな量感を感じさせる。大雅40歳代の黄金期の作品。
大雅は旅をこよなく愛し、ありのままの自然にふれ、その本質を直感的に見抜く
感性が、大胆かつ明るい画面を呼び起こしています。


詩画の両方で活躍した与謝蕪村(よさ ぶそん)


与謝蕪村鳶鴉図
鳶鴉図(とびからすず)
18世紀後半・双幅 133.5x54.4cm・紙本墨画淡彩
重要文化財・北村美術館蔵
与謝蕪村(よさぶそん)

写実的というよりは、自分の心で一度消化し、余韻とともに描いた傑作。
文人画が見せたいのは技術ではなく心なのです。蕪村は俳人として前半生は
活躍し、絵画は50代になってからはじめました。



日本画自画像の嚆矢?岡田米山人(おかだ べいさんじん)

岡田米山人・自画像
自画像(じがぞう)
18世紀後半・一幅 97.6x27.1cm・紙本淡彩
個人蔵
岡田米山人(おかだべいさんじん)

硯の田圃(文筆生活のこと)に不作の年は無く、酔い心地の世界に
いると長生きが出来る、という中国の詩を図上に書いている。
飲酒に溺れる自分を揶揄するように描き、屈折した自意識をやや明
るく表現しているといえます。


日本画では肖像画は古くからありますが、
明治時代になるまで

ほとんど
「自画像」は見られません。

この作品はかなり早い時期の自画像と
いえると思います。


以前ブログのコメントで「
日本で一番早く描かれた自画像は?」と

いう質問をいただきましたが、この絵はかなり早い線をいっていると考えます。


(陰の声:また、独断でいいかげんなことを・・・
(;^_^A )


近代化の美意識に迫る渡辺崋山(わたなべ  かざん)


渡辺華鷹見泉石像
鷹見泉石像(たかみせんせきぞう)
1837年・一幅 115x57cm・絹本着色
国宝・東京国立博物館
渡辺崋山(わたなべかざん)

肖像画の依頼が多かった
崋山の作品には人物が多い。
鷹見泉石は同時代に活躍した蘭学者。明暗法など
西洋画の技法も取り入れた近世画の傑作といわれ、
国宝に指定されています。


まだまだ、谷文晁とか田能村竹田、浦上玉堂など多くの文人画家がおり、

明治時代の富岡鉄斎まで文人画・南画の系譜は続きますが、長くなり

過ぎますのでこのへんで・・・



<日本画ワンポイント>


◎掛物(掛軸)各部の名称

表具名称図
掛軸の種類もいろいろありますが、この例は一番部品が多い大和絵用です。


  <日本画の知識:その5・文人画・南画・了>




スーラ・ウタガワの
私撰:関西名所図絵・美術館のご案内


このブログの各ページで個別に発表した、スーラ・ウタガワ作品の
名所絵を場所別に集め「美術館」と称して再度アップロードしています。


第1室:大阪南部の名所図絵   開館中
第2室:大阪北部の名所図絵   開館中
第3室:大阪湾岸部の名所図絵  開館中
第4室:神戸地区の名所図絵   開館中
第5室:京都地区の名所図絵   工事中

*各展示室へのご入場(アクセス)はサイドバーのブックマークをご利用ください。

以上、ご案内申し上げます。     館長:スーラ・ウタガワ