2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、偏りはあるものの、かなり各チーム均等に観戦できるようになりました。
その中で、I神戸の試合に関してだけは、それまでもTV放送・web配信されていましたので、対戦相手も比較的万遍なく網羅したデータが、2015年以来採れていて、
2021-2022シーズンも9試合36本のデータが採れています。
 
以下にI神戸の2021-2022のコーナーキックの状況の概容と、2022-2023の予想を記載していきますが、原則下図のような配置を基に述べていきます。
 
 

  青字:15試合以上先発した選手         青字:新加入選手
  緑字:15試合以上出場した選手         緑字:2種登録 
  橙色:10試合以上出場した選手
  赤字: 5試合以上出場した選手
  黒字: 上記以下の選手
  下線:引退・移籍など
  * :冬期入団選手

 

他チームに関してはWEリーグ2022-各チーム戦力予想 2022/08/09 を参照。

 

攻守の配置の1例を示します。

 

 
 
 
(1) 2021-2022シーズンの全般傾向。
 
2021-2022リーグ戦は3得点と並みやや上、0失点。
 
2018年中盤以降低調な攻撃を繰り返していたが、2020年から上向き、
2021-2022はやっとシュートを打った率が27.8%(全データ平均24.2%)と平均を上回った。
 
 
 
レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。
 
① 高さ関係:平均以上になった(C+)
 
10人平均で161.5cmは 7 位。G前で競る5人平均で 166.2cmは 4位。
竹重選手(172cm)の台頭で2021-2022シーズン中位やや上まで盛り返した。

 

② 軸になる攻撃:ニアで田中・三宅・杉田選手を交代で使ったのだが・・(C)
 

・例年の通りニアポスト前より近い目(53.6%/全データ平均47.0%)にキックを集めていた。

・田中選手と杉田選手(シーズン前半)・三宅選手(シーズン後半)をニアに走らせていたが、

先着率33.3%(全データ平均33.9%)で並みの結果。

・強さ・高さで脅威となるヘディングのスペシャリストが居ない。
 
 
③攻撃の工夫・戦略:手詰まり状態が続いている(D)

2018年春にショートコーナーなどピッチを広く使って、9得点を上げた。

だが、対戦相手がキッチリ決まり事を作って対応するようになり、効果が薄れる。
以来2019年は苦戦が続いている。
 
④守備力:改善したのだが・・(B)
5人をゾーン固定配置したマンツーマン(MIXディフェンス)を2021-2022は採用。
無失点に抑えている。
また、フリーで先着を許したのが13.9%(同16.7%)とまずまず。
 
だが、シュート被弾率36.1%(全データ平均24.2%)と悪化している。
マンツーマンで付いている5人の選手が最後まで頑張り過ぎているように思う。
自分より強いマーク相手とヘディングで競っても勝てないので、ゴール前約5mに並んだ(田中・三宅・竹重3)選手に任せるべきところは任せる、そう言った引き継ぎが出来ていなかったように思う。

 
(2)データ
 
A.なでしこリーグ・リーグカップ公式記録より
 
 
 
B.独自収集データより
あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。
①集計表とシュート率・被シュート率のグラフ2枚
②左右CKの集積図
 
 
 
 

 
 

 
 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 
A.攻撃詳細
 
2021年リーグ戦は3得点。
 
決めたのは、西川選手2点と成宮選手。
 
 
a)ニアでの合わせ(C+)
 
・2021-2022リーグ戦では、ニアへ先頭で走ったのは田中選手10回(ターゲット3回/先着1回/シュート/1本)・杉田選手8回(3/2/1)が主体だった。
だが、相手から見て脅威と言うほどの数字では無い。
・キッカー中島選手は、ニアに蹴る傾向が有って、53.6%(全データ平均47.0%)。
使っている割に先着できていない。
 
・三宅選手をニアサイドに出すのは、2018年シーズン後半からだが、マークを引き剥がせず、ボールに先着しても、流したところをブロックされていた。
が、2020年ラッシュ&ピックA(リンク参照)でマークを相手ゾーン固定選手に当てる技術を得たようで、信頼に値すると私は評価している。
 
 
イメージ 1
 
b)中央からファーでの競り(B+)
 
竹重選手の加入で高くなった。まだ、叩き込むほどの技術は無いが、競り勝って落とす所までは、かなり期待できる。
西川選手の浦和戦のゴールもそうやって生まれている。
また、西川選手・髙瀬選手も主に正面~ファーサイドに居るので強く、母数が少ないとは言え先着率46.2%(全データ平均33.1%)は優秀。
 
だが、中島選手はニア狙いで蹴ることが多く、「強いのだけど使われていない」状況。
 
c)ショートコーナー・ローボール(C-)
 
2018年春は特に左コーナーキックが無双だったが、秋には手詰まり。
2019年・2020年と企画数は減少傾向だったが、2021-2022は19.4%。(全データ平均12.0%)と再び増えている。が、シュートは打てていなくて16.7%。(全データ平均21.8%)。
守備の目先を変える程度のプレーは効果的とは言えなかった。
 
ただし、クイックで始めた成宮選手のゴールは素晴らしかった。
私は2021-2022ゴールランキングの2位にしている。
 
 
d)キッカーと戦術選択(B)
 
ほとんど中島選手(左10/右19本)が蹴っている。次が阪口選手(1/3)。
中島選手は精度・球質・戦術共にリーグSクラス。
相手守備にマーク漏れがあると、しっかり見つけて合わせられるのも立派。
だが、ニアに固執しすぎの傾向があって、そこは、少し見直すべき。
 
e)ピックプレー(D)
 
・8回確認しているが、1プレー平均0.36回と頻度は平均(0.56)以下。
あまり積極的に使ってはいない。
・前述の通り、三宅選手がニアサイドへ出る際に多用していたが、2021-2022シーズン前半はセーフティで下がっていたし、後半になっても、ほとんどニアへ走っていない。
 
 
f)ゴール前密集隊形(D)
 
・2020年は私は確認していないし、2021-2022シーズンも確認できたのは1回。
ただし、人を集めて混戦からの偶然を期待しているだけのレベル。深い戦略は無い。

 
g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(C→A)
 
浜野選手がシーズン前半はGK脇にセットしていたが、ほぼ場所取りをしない。
シーズン後半になって、浜野選手の出場機会が減って、一時期誰も立たなくなったが、
11髙瀬選手が入るようになった。
めちゃくちゃ強いし、意識も高い。
 
h)その他

攻撃における歪みが有る。
主にセーフティーで下がっているのは、守屋選手か三宅選手。
守備力と走力でのチョイスなので仕方が無いのかも知れないが、
攻撃的には身長の有る選手を(ある意味)無駄にしている。
 

B.守備詳細
 
a)基本守備体系
① 基本は、マンツーマン中心。5人のゾーン固定配置。いわゆるMIXディフェンス。
 
・固定配置するのは、中島選手がニアポスト脇、ゴールエリア枠線上に田中選手・三宅選手・竹重選手を並べ、PKスポット周辺に伊藤選手を配置していた。
 
②ショートコーナーには、相手の力に合わせて対応。
積極的に対応したり、しなかったり。
 
③ゾーンディフェンスは基本的にはやらない。
 
・2019年までは、相手攻撃側陣がゴール前に集まって密集を作って来たら、ゾーンディフェンスに切り替えていた。
 
なお、相手が一旦密集を作った後に散開すれば、そのままゾーンだった。
実戦例は2018年度皇后杯決勝の日テレ戦の1度だけ。
このゾーンの一般的な(普通に4人程度走り込む)攻撃への強度は不明。
2020年以降は切り替えていないで、マンツーマンのまま。
 
 
b)各選手の傾向・特徴
 
・高瀬選手・守屋選手・杉田選手は厳しい密着マークを行っている。
 
・三宅選手が距離を取ったマークをすることが多いのだが、MIXディフェンスになってマンマークしていない。
 
 
c)マンツーマンのマークの強さ(C)
 
・全体的にマークが強いはず。
身長で負けていても、容易にはボールに先着させない。
能力の高い選手を集めているだけある。
 
・相手のエースを、高瀬選手がしっかり押さえている。
 
・だが、私のマーク状況の記録によると、2021~2022の平面戦のチーム平均は5.1で、全体平均(5.2)で、やや平均値を上回る。
また、フリーで先着を許したのが13.9%(同16.7%)とまずまず。
 
しかし、シュート被弾率36.1%(全データ平均24.2%)と悪化している。
マンツーマンで付いている5人の選手が最後まで頑張り過ぎているように思う。
自分より強いマーク相手とヘディングで競っても勝てないので、ゴール前約5mに並んだ(田中・三宅・竹重3)選手に任せるべきところは任せる、そう言った引き継ぎが出来ていなかったのではないか?
 
 
d)ゾーン配置選手(ストーン)の強さ(B)
 
田中選手・三宅選手・竹重選手の3枚は強い。
 
 
e)逆襲力(C)
基本10人守備だから、逆襲はあまり期待していない。
ただ、成宮選手が走る状況になれば、突破を期待できる。
 
f)統制(A)
良く統率されている。
・一本目や交代後に、マークミスでフリーの選手を出すこともない。
山下選手・三宅選手あたりがまとめているのだと思われる
 

(4)過去の傾向・推移
 
A.個人の力の増減

a)キッカー
川澄選手と中島選手の併用から、川澄選手が抜けた。力量的には変わっていない。
中島選手のほぼ専任になって、戦術的には1人で考えられるので向上しているはず。
なお、2020年は右CKを杉田選手が蹴って併用になった。
2022年夏に中島選手が移籍で抜けて、阪口選手がメインキッカーになる。
 
b)ヘディング力
主力メンバーで高瀬選手は変わらないが、ベブ(ゴーベル・ヤヌス)選手、
澤さん、甲斐さん、田中明日菜選手、道上選手らが抜け、高さ・強さという面では弱体化した。
2020年、田中選手、西川選手が移籍加入して少しは戻し、
2021-2022に竹重選手が加入。平均以上になった。
 
c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー
2015年までは明らかに澤さん中心だったが、引退以後、絶対的な軸は居なくなった。
 
d)ピックプレー
澤さんは個人的に臨機応変に使っていた。
2016年以降は、ブーム的に使われることが有っても、文化と呼べるような継続性は見られない。
・2014・15年は田中明日菜選手がクロス(2-4:リンク参照)を見せていた。
・2020年は三宅選手がニアサイドに出る際にラッシュ&ピックA(リンク参照)を多用した。
・この
 
 
e)守備の統制
甲斐さんが指揮をしていたが、三宅選手が一本立ちし、問題なくリーグトップクラス。
監督が替わっても、よく練習していると推測する。
 
 
(5)2021年シーズンの予想など

 

星川監督から朴監督になった。コーチからの昇格なので、基本は変わらないと思われる。

 
西川選手と土光選手が実質トレード。高さ的にはほとんど同じ。
ただ、中島選手が移籍したので、阪口選手がメインキッカーになる。
精度的にはあまり変わらないと思うが、球種が減る。
 
私は正面~ファーサイドを狙うべきだと前述したが、それには一般的にパンチの効いた球種の方が向く。
阪口選手はその面ではあまり向いたキッカーとは言えない。
移籍で獲得した脇坂選手の方が、精度は劣るが現状チームには、適性が有るように思う。
 
 
履歴
 2019/01/29 作成(アーカイブ)
 2020/01/11 更新(アーカイブ)
 2021/03/19 更新(アーカイブ)
 2022/09/03 更新
 
 
 
以上です。

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