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影の王国―テイク・サンクチュアリ



タイトル: テイク・サンクチュアリ―影の王国〈7〉
著者: 榎木 洋子 出版社: 集英社コバルト文庫

紫苑こと月哉は、白の王子の血を含んだことにより自分が何者か思い出したパタナによって、水晶の檻から助け出されようとしていた。
また、月哉の身体を安全な場所に預け終えたイヤルドと月留は、瞳の母・マリの生い立ちを知るある人物の元を尋ねていた。そしてその頃、瞳もまた神殿で母の過去を夢見する。マリ――連理と王・百雷との関係とは、マリが地上に降りた理由とは……?


色々と興味深い巻です。前巻に引き続きいろいろなことが明らかになります。特に、王・百雷に深く関わる人たちと百雷との関係性と過去が。これまで憎たらしい敵でしかなかった王が、ここにきて好感の持てる憎みきれない人に。
……憎みきれない人になった途端に、えええー!と声を上げたくなるようなエピローグが。怪しい人見の巫女の陰も見え隠れして、ますます複雑に、面白くなっていきます。

聴罪師アドリアン―すすり泣く写本



タイトル: すすり泣く写本―聴罪師アドリアン
著者: 吉田 縁
出版社: 集英社コバルト文庫

雨の続く日、サラ村のアドリアンの元へ新興貴族エドモン伯の使いがやってきた。招きを受けたアドリアンは、エドモン泊から的外れな歓迎を受けるばかりか、「七月十九日、血も凍るような事件がおき、死人まで出る」という女占い師の予言を告げられ、形ばかりの祈祷をしてほしいと乞われてしまう……。だがその一方で、邸内に仕えるシェトレという青年に時祷書からすすり泣く女の声が聞こえるという。また、遠く離れたサラ村で、ビアンカは無実の罪で斬首された女の夢を見る――

ラブロマンスありの中世ホラー小説、第四弾。若き美貌の司祭アドリアンは、ビアンカが側にいないと死霊の声が聞こえないばかりか聴罪もできないのに、今回は離れ離れになってします。よって危機感倍増。しかも、一巻で出てきた人騒がせな女占い師がまたも絡んでいます。ビアンカはピエモスの余計な言葉に心を乱すし、もう見てられません(笑)。それにしてもアドリアンの母親については、謎が深まるばかりです。何考えるんだろう。

聴罪師アドリアン―血染めの貴石



タイトル: 血染めの貴石―聴罪師アドリアン
著者: 吉田 縁
出版社: 集英社コバルト文庫

黒髪の少女ビアンカの元へ、ピエモスの従者見習いをする少年がやってきた。なんでも、ピエモスがもうすぐ首飾りの贈り物を携えてやってくるという。ピエモスを好ましく思わないビアンカはそれを拒むつもりでいたのだが、思わず受け取ってしまう。
その首飾りから、恐ろしい死霊の声が聞こえてしまったために。その首飾りを、司祭アドリアンから遠ざけるために――


ラブロマンスありの中世ホラー小説、第三弾です。
前作の死霊との戦いの傷が癒えきっていないアドリアンを案じ、ひとりで死霊と立ち向かう決意をしたビアンカ。死霊の存在を理解しない父親に真実は言えず、嫌いなピエモスからの贈り物を受け取ったことを不審がられてまで。うーん、健気です。
新キャラのティドが認識力ある子なので、今後二人のよき理解者になってくれればいいな。
ピエモスは相変わらずトラブルメーカーです。でもビアンカに対する感情の変わりようによってだんだんと好感の持てるキャラになってきているので今後の成長が楽しみ。

緑のアルダ―蒼い雪原



タイトル: 緑のアルダ―蒼い雪原
著者: 榎木 洋子
出版社:集英社コバルト文庫

とうとう王家の人間を連れて守龍探しに出たアルダ・ココたちだったが、三十人を越える仰々しいお供にアルダ・ココもウルファも、当の王女までもが頭を抱えることに。しかも宿にしたとある伯爵家で吹雪で一行は足止めされるわ、伯爵からは筋違いな要求されるわ……。
そんな中、父親の思惑に嫌悪し耐え切れなくなった伯爵の一人娘が行方をくらましてしまい――


まさかこんな問題が待っているとは思いませんでした。アルダ・ココとウルファのラブラブ道中(オイ)に水を差すのは王女ではなく三十三人ものお供だったとは。
けどこの巻を通して王女の成長が伺えて、好感が持てました。カートラム卿もまた、どんどん味に磨きがかかってきています。今後どんなたびになるのか楽しみ。

魔法使いはだれだ



タイトル: 魔法使いはだれだ ― 大魔法使いクレストマンシー
著者: ダイアナ・ウィン・ジョーンズ, 佐竹 美保, 野口 絵美

「このクラスに魔法使いがいる」
魔法使いの遺児や、その他問題を抱えた子どもたちの集まるラーウッド寄宿学校。
その中でも特に問題児の多い2年Y組で、謎のメモは見つかった。
もし本当に魔法使いがいれば大問題。なぜなら魔法は厳しく禁じられ、魔法使いが見つかれば火あぶりになってしまうから。
鳥の歌を歌えば無数の鳥があつまり、夜が明けると講堂の中は靴だらけ。
学校中が騒ぎになる中、「魔法使いだ」と疑われたナンやチャールズの取った行動とは……


魔法使いが厳しく罰せられる世界が舞台です。シリーズ名のクレストマンシーの登場はだいぶ後半なんですが、クレストマンシーが現れるまでの、「だれが魔法使いなのか」という謎や、だれが魔法使いかわかった生徒たちの行動、自分が魔法使いだと気付いた生徒の行動など、どこまでも楽しめる演出がにくいです。そして、おもての行動と共に、「日記の時間」につけられる生徒たちの日記で、それぞれが何を考えているのか覗くことができ、それがまた楽しい。
ラストは意表を突く展開。

影の王国―コッパー・ラスト



タイトル: コッパー・ラスト―影の王国〈6〉
著者: 榎木 洋子
出版社: 集英社コバルト文庫

イヤルドを裏切った精霊は、月留たちからはぐれてしまった瞳をだまし、ある場所へと連れて行こうとする。だが、キャラバン隊の馬車に乗せてもらった瞳は、人見の力によって、自分たちが人買いに売られようとしていることに気付く。
そのころ、魂の抜けた月哉の身体を隠す場所へと向かう月留とイヤルド。だが、なにも話さず不審な行動を取るイヤルドに月留は刃を向ける――!


やっと、イヤルドの過去と瞳の母との関係が明確に。瞳母のとった行動はわかったものの、まだその真意は明らかになっていません。気になるなぁ…。「人見」についてのことも徐々にわかってきて、でもわからないこともまだまだあります。
というかこの巻、これまでで一番いろんなことがわかって、いろんなことが謎な巻。いや、そこが面白いんですけど。

2004年、出会えてよかった本~小説版~

この1年読んだ170冊の中で極めて印象に残った本、
借りて読んで、「買って手元におきたい」と思った本を紹介。


楽園の魔女たち~楽園の食卓〈後編〉~(シリーズ最終巻)
著者: 樹川 さとみ 出版社: 集英社コバルト文庫
~賢者からの手紙~からはじまり、~楽園の食卓〈後編〉~で幕をおろした長編シリーズ。この作品をきっかけに小説を読む楽しさを覚えた私にとって、完結はとてもショックなことでしたが、ラストは期待を超えた大満足のものだったのがうれしかったです。

十二国記シリーズ
著者: 小野 不由美 出版社: 講談社ホワイトハート
しっかりとした世界設定、よく描かれた人間描写、胸躍る展開、読めば読むほどに世界に入ることができ、夢中で図書館から借り、また自分自身でも集めだしたシリーズです。"泰麒"の日本での出来事を描いた「魔性の子」もあわせて。

暗いところで待ち合わせ
著者: 乙一 出版社: 幻冬舎
はじめは怖い話なのかと思えば、どこかおだやかでやさしく、せつなくもあたたかいお話でした。殺人犯として追われるアキヒロと、盲目のミチル、二人の奇妙な同棲生活が、少しずつ色を変えてゆくさまがよかったです。

いま、会いにゆきます
著者: 市川 拓司 出版社: 小学館
恋愛、とひとくくりにしたくないものがある。人物が魅力的で、話の進み方やちょっとした伏線、最後のからくりまで、とにかく大好きです。人が人を想う深さが真摯に描かれていると思います。

*次点*
・童話物語(上・下) 向山 貴彦
・キッチン 吉本 ばなな
・ダレン・シャン(シリーズ) Darren Shan
・星々の舟 村山 由佳

影の王国―ブラインド・アレイ



タイトル: ブラインド・アレイ―影の王国〈5〉
著者: 榎木 洋子
出版社: 集英社コバルト文庫

身体から抜かれた月哉の魂は王の手によって月の国へと連れて行かれてしまった。水晶の檻に魂のみ閉じ込められた月哉は、白の王子の母、白妃にありったけの恨みの言葉を聞かされる。そして、白妃の去った後、月哉の目に映ったのは長い柄の鎌を持った死神の幻影だった――。
いっぽう瞳と月留は、イヤルドという意外にして強力な助力を得て、月哉を救うべく月へと向かうが……。


月哉の魂を取り戻すため、やっとというかとうとうというか、瞳は月の王国へと向かいます。ここにきてイヤルドの思惑が見え隠れしてきます。人間関係もますます複雑に。その、複雑になってゆく人間関係や、ストーリーの演出がもう、好きです。こういうところ巧いなぁ。

影の王国―ファントム・ペイン(2)



タイトル: ファントム・ペイン(2)―影の王国〈4〉
著者: 榎木 洋子
出版社: 集英社コバルト文庫


自分が全くかなわない者がいる――とうとう自分記憶の一部がなにものかに消されていることに気付いた瞳。怯え、一歩も動けなくなった彼女の前に、心配で迎えに来た月哉が。どうにか落ち着きを取り戻した瞳だったが、二人が八重垣町へもどると町は雪で覆われていた……。

ようやく自分の気持ちを認める瞳ですが、ラブラブモードに突入する日は遠そうです(笑)。前回瞳のピンチを救った「こと」さんが何者なのかや、月哉の母親と義父の出会いなどが語られできます。謎の強敵の正体も明らかに。そしてまたもや月哉が最大の窮地に陥ります。
これまでで一番面白い&続きが気になる展開。月哉はどうなっちゃうのー!!

暗いところで待ち合わせ



タイトル: 暗いところで待ち合わせ
著者: 乙一
出版社:幻冬舎文庫

他人と接することの苦手なアキヒロは会社での人間関係に悩み、松永トシオに対し次第に殺意を抱くようになってゆく。そして、駅のホームで起きた殺人事件。アキヒロは追われ、視力がなくひとり静かに暮らしているミチルの家へとあがりこんだ。住人に気づかれないよう静かに身をひそめるアキヒロと、平穏だった暗闇に訪れた違和感に戸惑うミチル。
奇妙な同棲生活がはじまった――……。


もう、巧いとしか言いようが。伏線に気づかずに、後になって「アッ!」と思うことが何度か。視点がミチルとアキヒロ、交互に入れ替わるのもまたいいです。はじめは気を張り詰めていた両者が少しずつ相手に気を許すというか、思いやる気持ちを持っていくところが、本来ならありえそうもないのに自然に描かれていて、やさしい空気がすごく居心地いいです。そしてお互いのお互いに対する気持ちの変化と同じに、二人の「外側」へ対する心の変化もいいです。ただひとつだけ不満が。
…………この表紙、なんとかならないものか。不気味すぎ。


表紙に怖気づいてなかなか読めずにいましたが、これ、すっごく好き。これまで何冊か読んだ乙一さんの本の中で1、2を争うぐらい大好きです。絶対買おう。