読書記録 -10ページ目

囚われの錬金術師



著者: 荒川 弘, 井上 真
タイトル: 小説・鋼の錬金術師〈2〉囚われの錬金術師

元の体に戻るため賢者の石を探して旅をするエルリック兄弟は、辺境を走る列車の中で偶然、東方司令部の司令官、ロイ・マスタング大佐らと再会する。連日のように起こる爆弾テロの捜査で忙しい東方司令部の中で、ロイは密かに時を同じくして起こる連続誘拐事件との関連性を調べていた。そんな折、なんとエドワードまで誘拐されてしまった――!?

小説版ハガレン第二段です。うーーん、1よりかはだいぶ、セリフの違和感なんかが拭えてきている気はするけれど、やっぱり所々気になります。文章にも表現力のなさが伺え、自分の見ているものを読者に伝えよう、という意思もあまり伝わらず、背景が脳内で描けない。荒川さんのキャラクターの魅力が読ませる要因になっていますがそれがなかったら全然のめり込める要因がなくなってしまう。「できのいい同人誌」の域をでないものになってしまっています。
エドが誘拐される、とか、ネタは面白いのになぁ。ラストや、テロの犯人も微妙。1は偽兄弟のキャラクターがよかっただけに勿体無いです。3巻に期待。

影の王国―ファントム・ペイン



タイトル: ファントム・ペイン―影の王国〈3〉
著者: 榎木 洋子
出版社: 集英社コバルト文庫

今年最後の満月が近づく12月のある日、名倉月留は悪夢にうなされる。それは、弟王子を逃がしたとして父王の前に引き出された兄王子が、父王の手によって胸を刺される――というむごたらしいものだった。弱りながらも王を倒す計画を月哉に打ち明ける月留。月哉の返事は?一方瞳は「きみが望むもの――賢者」だと名乗る白い服の男に近寄られて――

第3巻。これまで謎は残しつつもキリのいいところで終わっていた影の王国シリーズですが、これは4巻「ファントム・ペイン2」に続いています。続けて読むことをオススメします。(3巻まで一気に読んだのに4巻借り損ねて続きが気になっている私。orz
今回は本当にそれぞれが危機に見舞われています。月留に起きた現象は?現在の王国の現状は?13年前に起きたこととは、瞳の母の身に起きたこととは?白い服の男は何を考えているんだーッ!謎も一気に増えて、ラブ要素もほんのちょっと増えて、続きがものすごく気になります。ああ、夢に出そう(笑)

影の王国―エスケープ・ゴート



タイトル: エスケープ・ゴート―影の王国〈2〉
著者: 榎木 洋子
出版社: 集英社コバルト文庫

赤い満月を見た日から、瞳は"ヒトミ"の能力を身につけた。そして再び訪れた満月の日、瞳は胸騒ぎを覚える。再び、何かが起きる――。そして翌日、月哉とよく似た美しい風貌と存在感を持つ転校生が二人の前に現れた。「名倉月留」と名乗る少年は、瞳に何かを感づいているようだが――。

ちょっと表紙が怪しいんですが、中身は全く怪しくありませんのでご安心を(笑)
今回も瞳や新キャラなあの人が危険に晒されています。一巻より痛々しい描写は少なくなっていますが、敵か味方か、何を考えているのかわからない方々が増えているので、緊張感は割り増し。他の月の王子のことなど、解ける謎もあれば、新たな謎も増えています。キャラクターの魅力もあがり、ラブ要素もすこーし増えて、続きが気になり、読み終わった途端に三巻が読みたく。

影の王国―ピジョン・ブラッド



タイトル: ピジョン・ブラッド―影の王国
著者: 榎木 洋子
出版社:集英社コバルト文庫

学校の帰りに赤い満月を目にした瞳は、その翌日から奇妙なものを見るようになってしまった。そこらじゅうの影にはびこる蔦に、向かいの住人の二重に見える影。また、日を同じくしてクラスで目立たなかった"度会月哉"の存在感を強く感じるようになる。――これらは、ペットやカラス、野良猫が次々と姿を消してゆくことに、何か関係があるのだろうか――!?

ミステリーテイスト&現代モノ、です。まさか榎木さんがこのようなものまで書かれているとは思っていませんでした。龍がでてくるものが印象的だからかな、でも面白かったです。不思議な能力を身につけてしまった瞳と、街の異変。異変に気づいている様子がありつつもどこか捉えどころのない度会月哉…彼は一体何を知っているのか、敵なのか味方なのか。謎がいっぱいで明かされるまでにも時間がかかるのに読者をイライラさせない、ちゃんと期待を持たせる書き方はやっぱり巧いなぁ。そしてやっぱり榎木さんのキャラクターは男の子が魅力的(女の子もですが特に)。今後のふたりの進展具合が気になるところです。

聴罪師アドリアン―剣を抱く少女



タイトル: 剣を抱く少女―聴罪師アドリアン
著者: 吉田 縁
出版社:集英社コバルト文庫

死者の言葉を聞きその死者が天国か地獄、どちらへ行くべきかを見極める「聴罪師」である若き司祭アドリアン。彼の元に、領主の息子ピエモスが幼い少女を連れてやってきた。少女は手に剣を持ち、それはどうやっても少女の手から離れないらしい。アドリアンと黒髪の少女ビアンカの目には、少女の手に剣を握らせている女の死霊が見えていた――

ラブロマンスありの中世ホラー小説、第二弾です。どうやっても剣が手から離れない少女と、その背後の死霊。一見子どもを想いすぎる母親の霊かと思うわけですが実は……。アドリアン司祭の聴罪が、ひとりではできない…ということで、危機感たっぷりです。登場人物たちも勝手な動きをしてくれて、うまくいかないから歯痒くてさらにハラハラ感がアップ。少し切ないラストになっています。


今回は意外にもピエモスがいい人っぽくなっていました。だんだんいいキャラになっていくといいな。アドリアン司祭とビアンカは見ていて歯痒い。ビアンカがまだ人を信じきれてなく、独りよがりなところがあるのが気になります。このあたりも、これからどう変わってゆくのか今後が楽しみです。……………進展遅そうだなぁ(苦笑)

聴罪師アドリアン―死者の告白



タイトル: 聴罪師アドリアン―死者の告白
著者: 吉田 縁
出版社: 集英社コバルト文庫

金の髪と金の双眸を持つ若き司祭アドリアンは、死者の言葉を聞きその死者が天国か地獄、どちらへ行くべきかを見極める「聴罪師」であった。だが、自分を導いてくれたヴェネデット枢機卿が亡くなってから、彼は使者の言葉が聞こえなくなってしまった…。彼の新たな赴任先はよそ者を嫌う閉鎖的な村で、そこには昔の自分のように村人から「悪魔憑き」と呼ばれ怖れられている黒髪の少女ビアンカがいた――

ラブロマンスありの中世ホラー小説です。閉鎖的な村、美貌の司祭、奇怪な死に謎の女占い師。性悪な村人と領主の息子、そして忌み嫌われる黒髪の美少女。こういうテイスト、好きです。シリアスが多めで、キャラクターの大半が性格に問題ありなので、読んでてイライラすることもしばしば。でも私、そういうのが読むのすきなんですね、問題が解決されたとき、余計にスカッとするから(笑)。主人公=アドリアン司祭の出生が謎に包まれているので、ビアンカとの恋の行方(?)ともども気になります。続刊アリ。

世界の中心で、愛を叫ぶ

"セカチュー"とよくいっしょくたにされる"いま会い"を読んだので、せっかくなのでこちらの感想も9月6日の日記より抜粋。


著者: 片山 恭一
タイトル: 世界の中心で、愛をさけぶ

中学二年の時に知り合った二人。初めはただの委員長の片割れでしかなかった二人が恋をし、共に歩み、しかし――"彼女"は病を患い、わずか17歳で"彼"を置いてこの世を去る。
深いかなしみと喪失感に囚われた少年の、追憶の旅が始まる――。


「泣く話」的に言われてたのと、映画化、ドラマ化、漫画化とされていたので期待しつつ読んでいたんですが、騒がれているような内容では(自分が感じたところ)ありませんでした。
いや、決して期待はずれだとか、騒がれるほどのものじゃない、とかではなく。
"アキ"という女の子の生きていた頃と闘病生活と亡くなってからの描写がランダムに書かれているせいか"泣き"に入れるところがない、泣くタイミングがつかめない、そんな風になっている節が。(別に泣くために読んだわけじゃありませんが・笑)
さらっと書かれているのでさらっと読みそうになってしまいますが、読みながらや読後、深く考えることによって味が出てくる本なんじゃないかな、と。
ピュアな恋愛が書かれているはずなのに、どこか妙に人間くさいというか、綺麗なのに不思議とどろどろして見えるのが、一歩違えれば嫌悪しそうなのに、好きです。
アキを片仮名で書いてる所とか、一度言った言葉を違う場所で言ってる所とか、骨に関しての所とかも好き。
2人とおじいちゃんのそれぞれの価値観からなる言葉がいいな。
作中に何度も世界とか世界中とかでてきたり、意味のない存在なんてないという言葉が、この世界を構成する物質すべてが世界の中心になりえるのだと言っているように思えました。
そして主人公にとっての"世界の中心"はアキ以外のなにものでもないのだと。
はじめのほう、5ページ目の朔太郎の言葉が好きです。
まぁ、オーストラリアが重要に関わってくるので、場所的には一応そうなんだと思うんですが。私なりの捉え方ってことで。
恋愛小説としての、キャラクターの魅力はあまり感じられなかった。死や病死や残されたものの感情などの描写は、感慨深く読めたけど。

【小説】にクリスマス短編あっぷ。

「時のおくりもの」をアップしました。
丁度一年前に書いたものをところどころ改稿したものです。
なぜ一年前に書いたものを引っ張り出したのか?というと、この続編を、今年のクリスマスに向けて書いているからで。
今年は、この真里子の相手役、部活動にうつつを抜かして大事な彼女をほったらかしにしていた最低彼氏(笑)にスポットを当て、ふたりの6年間をふりかえる話を書いてます。
さすがに6年間とあって、長い。なかなか終わらない。でも頑張ろう。

クリスマスが近づいたら、また少しずつアップしていきます~。

時のおくりもの 4

 真里子は駆け出した。受話器を直すのも忘れて、靴を履くのも忘れて、玄関のドアを閉めることも忘れ、ただ左手にきつく腕時計を握り締めて、下へと続く階段を駆け下りた。
 勢いよく郵便受けを開けて、中にあったものを見て目をひらく。
 青い包装紙。赤に、金色のしまのあるリボン。包装紙の柄一つとっても、六年前のものと全く同じ。
「同じ柄のやつ見つけるの苦労したんだぜ」
 その箱をただ呆然と見つめていた真里子ははっとして、声のしたほうに勢いよく振り向いた。
「なんで……」
 いまになってあらわれるの。そう言いたかったが、のどが詰まって言えなかった。
 目頭が熱くなる。こぼれる水を、そっと不器用に、彼が指でぬぐう。
「いままでごめん」
 なにに対してそういわれたのかもわからず、ただ真里子は首を振った。
 そして、ゆっくり、包みを開ける。
 真里子が手にしていた腕時計の針は、そのとき止まった。
 そして、開けられた箱からのぞく、新しい腕時計の針は、正確な時を、静かに刻んでいた。

END

時のおくりもの 3

 トルルルルルル
 今まで静かだった部屋の中に突然響いた音に、真里子は驚いて顔を上げた。電話は携帯にかかってくるばかりで、今はもうインターネットを繋げるためだけにある電話機から、その音は発せられている。
 時計から目を離したくない真里子は、その音を無視することに決め込んだ。
 ほどなくして電話の音は止んだ。


 が、すぐにまたかかってきた。
 なに、こんな時に。
 仕方なく真里子は、時計から目を離さずに電話機に歩み寄り、受話器を取った。
「……もしもし?」
 普段はあまり不機嫌さを表にださない真里子だが、このときは取り繕うことをせず、不機嫌さをあらわにした声で電話にでた。
「ああ、片山、俺だよ」
 だが、突然の電話の主は、そのことに別段頓着する様子もない声で返した。
 その声はとても懐かしく感じられた。
 真里子は、自宅の電話番号を知っていて、自分を苗字で、呼び捨てで呼ぶ人間を、ひとりしか知らない。
 でも、まさか。どうせ、男友達のいたずらだ。そうでしかありえない。
 だって、だってこんなことって――。
「どちらさまですか?」
「どちらさまってあのなぁ。俺だよ、わかんないのか?」
 真里子はむきになって言い返す。
「おれだよわかんないのかさんなんて人、知りませんが」
 だめだ。期待してはだめだ。また傷つくだけだ。でも、どうしても声が震えた。
 電話の相手は、深く溜息をついて、そっちがそういう態度なら、とつぶやいた。
「一階の郵便受けを見にこい。いますぐだ」
 そういって、電話が切れた。

続く