読書記録 -11ページ目

時のおくりもの 2

 この時計が止まるとき、自分の恋は終わる。


 丸いガラスのテーブルの上には、メール作成画面に「さようなら」と打たれて、後はただ送信されるのを待っている携帯電話がある。
 時計が止まったら、それを送信するつもりで、真里子はいるのだ。
 ふと、腕時計に、ぽたりと一滴のなまあたたかい水滴が落ちた。
「いやだ。いやだよ……」
 小、中学校の時は周りのみんなに冷やかされ、デートというデートは数えるほど。高校は、真里子は一緒がよかったが、そうはいかなかった。彼はスポーツで有名な男子校に行ってしまった。
 それでもはじめは連絡を取り合っていたのだが、互いの学校生活の違いにより、ほどなくしてそれも途絶えた。
 最近はたまに、寄ったコンビニで見つけた雑誌に彼が紹介されているのを見たりはする。が、彼の活躍が、彼自身からではなく、雑誌を通して真里子に知れる、それがたまらなく悲しかった。
 どれだけ嫌いになろうと思ったか。だが、真里子は彼が部活に励んで楽しそうに笑っている姿が、夢を追っている姿が好きで、好きでたまらなかった。
 ……終わりにする。
 そうしないと、これ以上、続いているのかさえわからない関係を続けていけば、心がぼろぼろになってしまうのは目に見えている。
 この時計が、止まれば、終わりにできる。もう、傷つかずに、すむ。期待もしないで――
 でもどうしても、こんなに追い詰められた状況にあってさえ、真里子の心の奥底には、期待する気持ちがあった。クリスマスの奇跡が、起きてくれはしないかという。
 そんなことを考えるのはよさなくては。
「10、9、8……」
 なかなかとまらないでいる時計がもどかしく、真里子は試しにカウントダウンをはじめた。
「6、5、4、さ……」
 だが、怖くなってそれもやめてしまった。

続く

時のおくりもの 1

 ワンルームマンションの二階、暖房の効いた一室で、茶色く染めた髪を肩に流した片山真里子は、左手に握り締めたアナログの腕時計を凝視していた。
 その、古いがとても大切に使われていたことがわかる時計の針は、正確な時間より五時間三十五分、遅れている。
――もうすぐこの時計はとまる。
 なにも今日とまると決まったわけではないのに、なぜか真里子には核心めいたものがあった。
 そして真里子は今、その時計が完全にとまる瞬間を見届けるべく、じっとその時計の針を目で追っている。
 その時計をもらった日のことを思い出す。――否、思い出そうとせずとも、その記憶は容易に思い浮かべることができた。
 それは二学期の終業式、クリスマスを明日に控えた日だった。
 教室を出ると、そこには幼なじみで同じクラスの少年が、座って靴を履いている姿が見えた。少年は真里子のほうをちらっと見、また靴に視線を戻してこう言った。
「それ、やる。一日早いけど」
 何のことかと思った真里子は、少年の指さす方向を目で追い、行き着いた先の自分の靴箱の中を見た。
 そこには、青い包装紙に、赤に金のしまがはいったリボンが結わえてある、小さい箱がひとつあった。少年の言葉は短く、端的であったが、彼女には彼の言わんとしていることがなにか、すぐに気づいた。
 その日から、二人はただの幼なじみではなくなった。
「あれから六年かぁ」
 それにしては電池一つで長くもったものである。
 当時小学生だった二人も、今では高校生だ。
 そう。小学生だった。今にして思えば随分ませた小学生だが、当時の二人はとても真剣だった。だからこそ、六年も続いたのだろう。
 だがもうそれも今日で終わりだ。
 真里子は痛みをこらえるかのように、強くくちびるをかんだ。
 この時計が止まるとき、自分の恋は終わる。


続く

いま、会いにゆきます



著者: 市川 拓司
タイトル: いま、会いにゆきます

「ママがアーカブイ星から帰ってきちゃった」
――またこの雨の季節になったら、二人がどんなふうに暮らしているのか、きっと確かめに戻ってくるから――そう言い残してこの世を去ってしまった愛する妻・澪が、そのとおり"ぼく"と"佑司"の前に現れる。けれど、彼女はすべてを忘れてしまっていた……。
   限られた時間の中で、ふたりは再び恋をする。


はじめのほうはのんびりした文体で読み進めにくいのですが、一人称になっているので"主人公――ぼく"こと巧さんの性格がつかめてきてからはすいすい読み進めていけて、"澪"が登場してからは読むのを止められなくなっていました。この巧さん、ずいぶんおっとりしていてとぼけた性格をしていて、それが文に出ているので、受けつけない人は受けつけないかも。私は大丈夫でした。
出てくる人物がすごく魅力的で、愛すべき人たちです。やっぱり恋愛モノは「なぜ相手が好きなのか」に共感できないと入り込めませんが、その点にいたっては全くもって問題ありません。みんな大好き。("セカチュウ"は、好きなんだけどここがちょっと自分的に魅力を感じなかったんだなぁ。今書きながら気づいた)
記憶のない澪に二人の出逢いから話していくところや、話を聞いていくうちにだんだんと心を許していく澪と、三人のいる"現在"の生活が、穏やかなんだけど切なくて、好きです。
そしてやっぱり最後のあのからくりがもう。涙腺ゆるみまくりでした。
いたるところに伏線があって、巧いなぁ。恋愛、とひとくくりにしたくないものがあります。これはもう、最後まで読まなとわからないです。


家に一冊ほしいなぁ~(図書館で借りたので)。クリスマスプレゼントは、これか、ダレン・シャンがほしい~~ッ。

ダレン・シャン8―真夜中の同志



著者: ダレン・シャン, 絵:橋本 恵
タイトル: ダレン・シャン 8―真夜中の同志

バンパニーズ大王を倒す大王ハンターに選ばれたダレン・シャンは、クレプスリー、ハーキャットらと共に再びクレプスリーの故郷へと訪れる。
そこでダレンを待ち受けていたのは悲惨な事件となつかしい人たちとの再会、そして――!?


読み応えのある一冊です。内容量ではなく、中身が。なつかしい人たちがたくさん出てきます。そして、読者を2度3度と裏切ってくれる(勿論いい意味で)展開は、見ていてハラハラ。次はどう転ぶのか、予想ができないからついついページをめくる手が早くなってしまいました。
はやく9巻が読みたい!


ちなみに12巻が最終巻で、12月21日発売だそうです。私は図書館で借りて読んでいるので、最終巻が読めるのはずいぶん先になりそうだなぁ(^^;)

キッチン(著:吉本ばなな)



著者: 吉本 ばなな
タイトル: キッチン

唯一の肉親である祖母を亡くし家を出なければならなくなったみかげの前に、祖母と仲のよかった雄一が現れる。流れるままに彼とその母の家に同居することになったみかげは、しだいに2人の人柄とその場所に居心地のよさを感じるようになる。だが、彼女はここを出て行かなければならない――
キッチン、満月―キッチン(2)、ムーンライト・シャドウ 収録


とてもよかった。心に響く言葉がたくさんあって、みかげの心を追いながらも、色々考えさせられました。淡々とした一人称が、逆に余分なことをまぜることなく、主人公の心情を胸に届け、それがすんなりと心の中に溶け込んだ、そんな感じで読みやすかったです。えり子さん、素敵なひとだなぁ。
ムーンライト・シャドウはキッチンとは別の話だけれど、こちらにも死のにおいがあります。こっちも好き。
私が読んだのは図書館で借りた、ハードカバーの結構古めの装丁のものだけど、文庫本一冊、家にほしいなぁ。他の吉本ばななさんの著作本もっと読みたいです。

ブログ名とジャンルの変更

このブログの方向性が見えてきたので、それに伴いブログ名とジャンルを変更しました。
今後は、読書記録の他にも、自サイトに載せている小説を再連載したりする予定です。
これからもよろしくお願いしますっ。

天然理科少年



著者: 長野 まゆみ
タイトル: 天然理科少年

父親の放浪癖につき合わされ、各地を転々とする岬は、いつものようにやってきた町で、不思議な少年と出会う。
転校先の中学校で再会するが、どうやら彼はクラス中から疎外されているらしい。
その理由とは…?


文章も、物語の世界も魅力的で、すいすいと引き込まれてしまいます。
最後まで不思議な空気を身に纏った本でした。最後まで読めばわかる真相もありますが、読むたびに味が出る本だと思う。
また機を見計らって再読したいな、と思います。
あと、この本に登場する「さまよえる湖」という本も気になったので、いづれ読んでみたいな。

水彩紙風味。

私の愛用するお絵描きソフトのオフィシャルサイトportalgraphics.netの講座で、水彩紙テクスチャの作り方(と塗り方)が紹介されていたので、それを参考に私も作ってみました。
これは落書きですが、いつか本気絵で使ってみたいです。なかなかアナログに手をつけられないのでアナログ風味は素晴らしい。
なんとなくくの一。

このブログのジャンルを考えてみる。

いちおう、今現在は「日記・blog」というジャンルにしてるわけですが。
絵を描くから「映画・音楽・アート」なのか。
いや、読書感想も書くから「本・書評」?
「漫画・アニメ・ゲーム」というジャンルもあるけど、自サイトはおもいくそ創作(オリジナル)中心だから、入りづらい。





やっぱり総合的に考えて「日記・blog」でいいか。
………ジャンルに「エンターテインメント総合」希望。

いや、私がちゃんとひとつのジャンルに絞れば問題ないんですが、ブログの用途を自分自身、計りかねているので。
どう転ぶにしても総合があればそれに収めれていいかな、というのが正直なトコロ。
要望を送ってみるのもいいかもしれないけれど、それをするにはまだ使い始めたばかりだから気が引けるし、他の人の意見も聞いてみたい。



まず、この要望の前に、オフィシャルサイト内に意見交換掲示板みたいなのを作ってもらうほうが先かも。

つくっちゃった

ちまたで話題のブログといふものを、つくってみました。
ちょっとまだ使い慣れないー。
とりあえず使い慣れるまでは日記と並行して、様子見したいと思います。

長所
・アマゾンのアソシエイトサービスが使える(別館更新疎かだからいいかも)
・テーマ別にリンクが貼れる(過去のが見やすくて便利そう)

短所
・デザインをhtml(css)でカスタマイズできない(サイトデザインと浮く)
・ちょーーっぴし広告が邪魔

今のところはそれぐらい…かなぁ。
使っていくうち長所、短所増えるだろうな