日本政策投資銀行と日本銀行
公的セクターの金融危機対策が目白押しですね。内容の是非はともかくフト気になることが。それは国と日銀の違いってなんだろう?という素朴なものです。最近の施策の中でも日経などでも比較的大きく取り上げられたものとして
・CPの買取り
・株の買取り
の 2つがあります。これは日本銀行も日本政策投資銀行(DBJ:一応民営化されましたが)もほぼ同時期に乗り出したものです(株については国は手続がまだの ようですが、近々に実現するでしょう)。ふつうなら政策金融はDBJ、金融政策は日銀がやっているわけですが同じアクションをすると両者の切り分けは何だ ろう、と。ここでは負担の違いという点で少し整理してみます。
通常、政策金融の原資は財投資金で元をたどれば税金であり、最後の負担 は国民(納税者)になります。日銀の場合はリアルな財源は不要ですがその分通貨の信認が毀損するというコストが生じます。もう少し考えると、DBJによる アクションも補填資金を国債増発で賄えば潜在的なインフレ懸念となって長期金利の上昇と通貨価値の下落につながります。CPや株式の発行企業が破綻して信 用リスクが実現してしまった場合は、DBJ経由の場合は上述のように納税者の損失になります。日銀の場合は以下の可能性があります。平成20年3月末BS をみると資本勘定が3兆2,237億円あります。このうち法定準備金2兆5,892億円、当期剰余金6,407億円でほとんどを占めています。CPなり株 式で損が出たら引当金の取崩で処理して、それでもカバーできなければ特別損失で処理することになるでしょう。日銀は通常の法人税とは別に当期剰余金のほと んどを国庫納付することになっていますから、法人税の減少か国庫納付金の減少という形で結局国が負担することになります。なお、そもそもCPや株を当初 買ったときは、
借方 CPまたは株/貸方 金融機関当座預金
となりますね。借方で他の資産を処分して買ってもいいのですがそれでは短期市場から資金を吸い上げてしまうことになるので無意味です。
こう考えると、究極的な負担は国(納税者)という点で同様ではあるものの、決定プロセスに議会の承認を必要としない日銀による政策金融の発動は、機動性という点で優れているといえるかもしれません。
・CPの買取り
・株の買取り
の 2つがあります。これは日本銀行も日本政策投資銀行(DBJ:一応民営化されましたが)もほぼ同時期に乗り出したものです(株については国は手続がまだの ようですが、近々に実現するでしょう)。ふつうなら政策金融はDBJ、金融政策は日銀がやっているわけですが同じアクションをすると両者の切り分けは何だ ろう、と。ここでは負担の違いという点で少し整理してみます。
通常、政策金融の原資は財投資金で元をたどれば税金であり、最後の負担 は国民(納税者)になります。日銀の場合はリアルな財源は不要ですがその分通貨の信認が毀損するというコストが生じます。もう少し考えると、DBJによる アクションも補填資金を国債増発で賄えば潜在的なインフレ懸念となって長期金利の上昇と通貨価値の下落につながります。CPや株式の発行企業が破綻して信 用リスクが実現してしまった場合は、DBJ経由の場合は上述のように納税者の損失になります。日銀の場合は以下の可能性があります。平成20年3月末BS をみると資本勘定が3兆2,237億円あります。このうち法定準備金2兆5,892億円、当期剰余金6,407億円でほとんどを占めています。CPなり株 式で損が出たら引当金の取崩で処理して、それでもカバーできなければ特別損失で処理することになるでしょう。日銀は通常の法人税とは別に当期剰余金のほと んどを国庫納付することになっていますから、法人税の減少か国庫納付金の減少という形で結局国が負担することになります。なお、そもそもCPや株を当初 買ったときは、
借方 CPまたは株/貸方 金融機関当座預金
となりますね。借方で他の資産を処分して買ってもいいのですがそれでは短期市場から資金を吸い上げてしまうことになるので無意味です。
こう考えると、究極的な負担は国(納税者)という点で同様ではあるものの、決定プロセスに議会の承認を必要としない日銀による政策金融の発動は、機動性という点で優れているといえるかもしれません。
一般企業に公的資金
「一般企業に公的資金 政府が注入制度 経済安定へ安全網」(日経2009年1月24日)
政府が政策金融公庫などを通じて政策投資銀行などに資金を貸し付け、政投銀が一般企業の優先株を引き受けたりする模様です。対象企業の選定が重要ですが、この点については
「新 制度を慢性的な経営不振企業を存続させる「保護主義的な手段」として使わないよう、政投銀は企業の成長性や重要性を見極めて支援対象を選ぶ。具体的には関 連産業のすそ野が広く、破綻すると地元経済への悪影響が大きいとみられる地域の中核企業や、技術力があり成長性が見込めるのに一時的に資本不足に陥った企 業、M&A(合併・買収)に積極的な企業などが想定される。」
とあります。素朴な疑問:
1.もし上場大企業で成長性や重要性がある企業なら民間で足りるのではないか。足りなければ
(言い方は乱暴だが)民事再生があり、ディストレスト資産への投資専門のファンドやM&Aの出
番になる。
2.成長性や技術力はあるが企業規模が十分でない、非上場である、などの場合は中小企業金
融対策でカバーできるのではないか。
3.産業再生機構があったときになぞらえる向きもあるが、再生機構は中立的な機関の下、「過剰
債務企業の抜本的な改革または破綻の選択」という明確なロジックをもっていた。技術力や成長
性の評価という部分を前面に押し出して役所や公的金融機関が審査するのはとても困難。また
再生機構のときは2年間かけて41件の支援を決定したが、40件程度という数字を多いとみるか
少ないとみるか。所期の効果が見込めるのか。銀行が保証協会付融資を利用するのと同じ行動
原理で、「駆け込み寺」となるおそれがあるのでは。
4.地域の中核企業、という位置づけを言い出すと各都道府県に存在する建設・建材・不動産・小
売・卸売・交通・運輸・メディアなどが対象に入ってくるが、これらは構造不況業種でもあり、資本
注入したから1-2年で業績が飛躍的に回復するのかどうか・・・。また「地域」というキーワードを
入れると政治的な思惑も入ってくるのではなかろうか。
5.公的資金を注入するということは、経営側には対納税者責任が伴うと考えるのが普通だが、そ
の厳格性をどうするのか。
ざっとした感想はこんなところです。
個人的心情としてはいろいろな企業や雇用が守られるのは同感する部分もあるのですが、社会的にみるとどうなんでしょう、この政策。
政府が政策金融公庫などを通じて政策投資銀行などに資金を貸し付け、政投銀が一般企業の優先株を引き受けたりする模様です。対象企業の選定が重要ですが、この点については
「新 制度を慢性的な経営不振企業を存続させる「保護主義的な手段」として使わないよう、政投銀は企業の成長性や重要性を見極めて支援対象を選ぶ。具体的には関 連産業のすそ野が広く、破綻すると地元経済への悪影響が大きいとみられる地域の中核企業や、技術力があり成長性が見込めるのに一時的に資本不足に陥った企 業、M&A(合併・買収)に積極的な企業などが想定される。」
とあります。素朴な疑問:
1.もし上場大企業で成長性や重要性がある企業なら民間で足りるのではないか。足りなければ
(言い方は乱暴だが)民事再生があり、ディストレスト資産への投資専門のファンドやM&Aの出
番になる。
2.成長性や技術力はあるが企業規模が十分でない、非上場である、などの場合は中小企業金
融対策でカバーできるのではないか。
3.産業再生機構があったときになぞらえる向きもあるが、再生機構は中立的な機関の下、「過剰
債務企業の抜本的な改革または破綻の選択」という明確なロジックをもっていた。技術力や成長
性の評価という部分を前面に押し出して役所や公的金融機関が審査するのはとても困難。また
再生機構のときは2年間かけて41件の支援を決定したが、40件程度という数字を多いとみるか
少ないとみるか。所期の効果が見込めるのか。銀行が保証協会付融資を利用するのと同じ行動
原理で、「駆け込み寺」となるおそれがあるのでは。
4.地域の中核企業、という位置づけを言い出すと各都道府県に存在する建設・建材・不動産・小
売・卸売・交通・運輸・メディアなどが対象に入ってくるが、これらは構造不況業種でもあり、資本
注入したから1-2年で業績が飛躍的に回復するのかどうか・・・。また「地域」というキーワードを
入れると政治的な思惑も入ってくるのではなかろうか。
5.公的資金を注入するということは、経営側には対納税者責任が伴うと考えるのが普通だが、そ
の厳格性をどうするのか。
ざっとした感想はこんなところです。
個人的心情としてはいろいろな企業や雇用が守られるのは同感する部分もあるのですが、社会的にみるとどうなんでしょう、この政策。
のれん代の発生
「葵プロ のれん代が発生へ 買収企業の業績悪化」(日経2009年1月10日)
・M&Aの買収時に発生するのが普通の感覚ですが、トランザクションまでに時間があると新たに発生することも実際にあるんですね↓
「テ レビ広告製作大手の葵プロモーションは買収した企業の業績の急速な悪化に伴い、新たにのれん代が発生する見通しとなった。二〇〇八年三月期末の状況を基に 同年九月に買収で合意したが、急速な景気後退で対象企業の〇八年九月中間期の最終損益が大幅な赤字に転落。純資産が買収合意時点を大きく下回ったため、想 定外の買収費用が発生する。
買収したのは同業で未上場のシースリーフィルム(東京・港)。昨年九月二日、同社の当時の筆頭株主から、発行済み株 式の九七.四%を四千百万円で買い取ることで合意した。買収額は〇八年三月期末の純資産とほぼ同額だった。〇八年九月中間期の最終損益もほぼトントンを想 定し、のれん代は発生しないことを見込んでいた。
しかし、景気悪化で広告製作業務が急減。九月中間期の最終損益は二億円強の赤字で、実際に買収が完了した十月時点では純資産が大幅なマイナス(債務超過)に陥った。」
・M&Aの買収時に発生するのが普通の感覚ですが、トランザクションまでに時間があると新たに発生することも実際にあるんですね↓
「テ レビ広告製作大手の葵プロモーションは買収した企業の業績の急速な悪化に伴い、新たにのれん代が発生する見通しとなった。二〇〇八年三月期末の状況を基に 同年九月に買収で合意したが、急速な景気後退で対象企業の〇八年九月中間期の最終損益が大幅な赤字に転落。純資産が買収合意時点を大きく下回ったため、想 定外の買収費用が発生する。
買収したのは同業で未上場のシースリーフィルム(東京・港)。昨年九月二日、同社の当時の筆頭株主から、発行済み株 式の九七.四%を四千百万円で買い取ることで合意した。買収額は〇八年三月期末の純資産とほぼ同額だった。〇八年九月中間期の最終損益もほぼトントンを想 定し、のれん代は発生しないことを見込んでいた。
しかし、景気悪化で広告製作業務が急減。九月中間期の最終損益は二億円強の赤字で、実際に買収が完了した十月時点では純資産が大幅なマイナス(債務超過)に陥った。」
新年のごあいさつ
明けましておめでとうございます。
遅くなりましたが、ごあいさつ。
旧年中は本当にいろいろな方々に助けられてなんとか業務を回すことができました(汗)。
本年も精進してサービスの向上に勤めますので、よろしくご指導をお願いします。
12月はまたバタバタしてブログの更新もちょっと滞ってしまいました。今年も力み過ぎずユルすぎないペースで続けていきたいと思っています。
よろしくです。
遅くなりましたが、ごあいさつ。
旧年中は本当にいろいろな方々に助けられてなんとか業務を回すことができました(汗)。
本年も精進してサービスの向上に勤めますので、よろしくご指導をお願いします。
12月はまたバタバタしてブログの更新もちょっと滞ってしまいました。今年も力み過ぎずユルすぎないペースで続けていきたいと思っています。
よろしくです。
優先株の発行が大幅増
「東証上場企業 優先株、発行額2.9倍 7‐12月前年同期比 希薄化防ぐ社債型増」
日経 2008年12月23日
東京証券 取引所の上場企業の優先株の発行額は、二〇〇八年七-十二月に四千二百億円超と、全年同期の二.九倍に増える見通しだ。目立つのは銀行や不動産で、業績悪 化などによる資本の目減りを食い止めるのが目的。普通株式に転換できず一株価値が希薄化しない「社債型」も増えている。
優先株は普通株よりも配当などが優先的に受け取れる代わりに、議決権が制限される株式。一定期間後に普通株へ転換できるタイプが大半を占める。経営再建中の企業が第三者割り当て方式で発行するケースが多い。
急激に企業業績が悪化した今年七-十二月の発行額は一-六月の二.二倍に急増。米金融機関への出資を決めた三菱UFJフィナンシャル・グループは十一月に 三千九百億円、ジョイント・コーポレーションはオリックスを引受先に六十億円を発行した。「九月に株価が低迷しており、まとまった金額を調達したかっ た」(同社幹部)という。
〇九年の年明け後も大京などが発行に踏み切る見通しだ。
ここへきて目立つのが、普通株への転換権がついていなかったり、優先株主などが償還請求権を持つ「社債型」と呼ばれるタイプ。一株あたりの価値が希薄化せず、株価への影響も少ない。三菱UFJのほか、イー・アクセスも今月二十六日に発行する予定だ。
普通株への転換がないため、資本性の是非を疑問視する見方もあるものの「分配可能利益の範囲でしか配当できないため制度上は資本」(会社法に詳しい棚橋元弁護士)という。
優先株は、過剰債務を抱えた製造業が債務の株式化の手法を用いて発行した〇三年前半に二兆円近くに上った。ここへきて「業績悪化で個別企業の潜在的な発行 ニーズは高まってきている」(国内の大手再生ファンド首脳)とされ、引き受け側の余力次第で発行が増える可能性がある。
日経 2008年12月23日
東京証券 取引所の上場企業の優先株の発行額は、二〇〇八年七-十二月に四千二百億円超と、全年同期の二.九倍に増える見通しだ。目立つのは銀行や不動産で、業績悪 化などによる資本の目減りを食い止めるのが目的。普通株式に転換できず一株価値が希薄化しない「社債型」も増えている。
優先株は普通株よりも配当などが優先的に受け取れる代わりに、議決権が制限される株式。一定期間後に普通株へ転換できるタイプが大半を占める。経営再建中の企業が第三者割り当て方式で発行するケースが多い。
急激に企業業績が悪化した今年七-十二月の発行額は一-六月の二.二倍に急増。米金融機関への出資を決めた三菱UFJフィナンシャル・グループは十一月に 三千九百億円、ジョイント・コーポレーションはオリックスを引受先に六十億円を発行した。「九月に株価が低迷しており、まとまった金額を調達したかっ た」(同社幹部)という。
〇九年の年明け後も大京などが発行に踏み切る見通しだ。
ここへきて目立つのが、普通株への転換権がついていなかったり、優先株主などが償還請求権を持つ「社債型」と呼ばれるタイプ。一株あたりの価値が希薄化せず、株価への影響も少ない。三菱UFJのほか、イー・アクセスも今月二十六日に発行する予定だ。
普通株への転換がないため、資本性の是非を疑問視する見方もあるものの「分配可能利益の範囲でしか配当できないため制度上は資本」(会社法に詳しい棚橋元弁護士)という。
優先株は、過剰債務を抱えた製造業が債務の株式化の手法を用いて発行した〇三年前半に二兆円近くに上った。ここへきて「業績悪化で個別企業の潜在的な発行 ニーズは高まってきている」(国内の大手再生ファンド首脳)とされ、引き受け側の余力次第で発行が増える可能性がある。