お腹の中には半沢直樹が住んでいるらしい ~就職オファー編~
金曜日、全英で嵐警報中。この街でも風がゴーゴーうなり、庭にある市のごみ箱がバタバタ倒れている中携帯が鳴った。「はーい、サワ。キャロラインよ。あなたを面接したキャロライン。」うーん。キャロライン。面接?もう日々忘却力の天才の私には誰かわからない。いっぱい説明してもらってやっとわかった。娘の小学校の副校長先生だ。そういえばキャロラインだったなぁ。「あのね、実はハーフターム明け(学期の一週間中休み)から午前中3時間だけ毎日働いてくれないかしら?特別学級の先生なんだけれど。」いやー、そのー、カレッジからオファーをもらっていて・・・ちょっと・・・。と濁してみる。「あなたの働く態度がすばらしいと聞いて。」素直に嬉しくてにやにやしてしまう大アホ。諦めずプッシュされる。色々考えてみた。やっぱりすぐには答え出ない。あのー、ちょっと考えるお時間もらえますか?と言ってみた。「そうよね。休みに入るから今日のお迎えまでに返事もらえるかしら?」と言って電話を切る。えらい急やな。あと2時間しかない。小さな脳みそでグルグル考える。ずっと考えてみた。で、結論出した。まー、娘の小学校だし、朝だけだし、放課後ピアノもしているし補習校の準備だってある。私にはいいオファーだろう。経験も増えるし受けてみよう。カレッジはまだ時間交渉しなくちゃいけないから午後の週2,3回くらいで打診してダメなら辞めておこうかな。ということで、風が「北風と太陽」なみに吹く中学校へ娘を迎えに行くと副校長が待っていた。「どう?」「Yes、お受けします。」と答えると飛び上がるくらいえらく喜んでくれた。おまけに校長まで駆け寄ってきて「サワ~、で、どう?」「Yes,することにしたよ。」校長は先週私の勤務参考書類をカレッジに書いてくれていた。「ほんと?カレッジはどうするの?オファーもらってたよね。」「あー、この小学校好きだから。カレッジには後で伝えます。」「ありがとう。本当にありがとう。」だって。校長も飛び上がって満面の笑みで喜びなさった。えーっと、さすがにアホな私でも冷静に考える。こんなに喜ぶとは何か裏があるのか・・・と。不安がよぎったが、朝の3時間だけだから、きっと大丈夫、と思う私。そしてふと思い出した。実習のクラスの先生から去年の11月に言われた言葉。「あなたの英語じゃ、何校面接に行っても就職できないわよ。時間の無駄になると思うよ。」横にいた外国から移住した補助の先生からも「私はこの学校で3年間毎日ボランティアをしてディナーレディー(給食補助の先生)をしてこの職を得たのよ。」(=サワのように週1の朝だけボランティアなんて少なすぎ。甘い。)と言われた。担任はイギリスで生まれた両親外国人。親切心で私に言ってくれたんだと思う。私自身、私のようなコネも家族も職歴もない外国人がこの国で就職なんてできないと思っていたもん。でもねあの時は体調悪くなるほど凹んだのも事実。忘れない。私が今年に入って小学校で休んだ先生のカバーとして有償で働いているのを知った二人の先生は「私、聞いてないけど。」と一瞬動揺していたのも知っている。同じクラスのTA(補助教員も)ぴきっと顔が引きつっていた。不可能ではなかったよね。無理ではなかったよね。アノ時の先生たちの言葉はきつかったけれどこういう形で私なりの答えを出せたんじゃなかろうか。ちゃんと見てくれている人はいる。ありがたいね。どうやら腹の中には半沢直樹が住み着いているらしい。ニヤリ