まなちゃんを救う会 -4ページ目

食べる喜び

 1月27日 皆様、いつも温かい励ましの言葉をくださり、本当にありがとうございます。


 おかげさまで、愛は明日で1歳7ヶ月になります。愛は先々週から、夕食も少しずつ食べるようになってきたため、一日三回のフィーディングと合わせると、一日中食事をしているようなスケジュールになってしまっています。愛の食事に追われ、せわしない毎日を送っていますが、Gチューブを着けたばかりの九月、十月頃は、フィーディングの度に吐いてばかりいて大変だったことと比べれば、管理の大変さを考えても、親としては喜ばしいことだと思っています。実際、体も少しずつ大きくなってきたようで、まだ歩くことのできない愛を、何かにつけて抱っこすることが大変になってきました。体の成長は、心臓の状態のバロメーターでもあり、今の愛の様子では、おそらく安定した状態を保っているのだと思います。今のところ愛をはじめ、家族全員が風邪を引くことも無く過ごしていますので、この調子で冬を乗り切れることを願っています。


 先週は久しぶりに摂食リハビリの外来がありました。愛が得意げにスプーンを持って食べる姿を見て(正確には、スプーンを持って食べさせてもらっているのですが)、リハビリ指導の先生方も大変喜んでくださいました。食べる量は目標までまだまだ届きませんが、食べることを楽しむことができるようになったことが、今の愛にとっては大きな成長の証なのだそうです。毎日食べさせることばかり考えている親にとっては、食べたか食べないかばかりに気をとられがちでしたが、これからは愛がどんな表情で食べているかを見ながら、なるべく楽しく食事ができるように心がけていこうと思いました。リハビリを通して改めて思い返してみると、確かに愛は、他の人が食べているものに興味を示すようになりましたし、以前は口にしなかったようなものも、少しずつ舐めてみるなど、口に入れるようになってきていました。朝夕には自分から食事用の椅子に近寄って、食事を催促するようにもなりました。自ら食べようとする姿に、愛の中で生きていこうとする意志が生まれたようにも感じている今日この頃です。歩くことも食べることも、まだできないと言ってしまえばそれまでですが、いつかできるようになるまで、愛のゆっくりとした「頑張ろう」というペースを見守っていきたいと思います。


 愛が自分の足で大地を踏みしめ、前へ前へと歩き始めるのはいつになるのでしょうか。それでも、立ち上がった時に見える、今までとは違う新鮮な世界との出会いは、愛にまた新しい生きる力を与えてくれると信じています。今、愛は皆様にいただいた生きるチャンスを、確実に未来へと繋げていこうとしています。これからも温かく励まし、見守ってくださいますよう、お願い申し上げます。


                                                 光一・玲子

新しい年

 1月6日 皆様、いつも温かい励ましと応援をくださり、本当にありがとうございます。


 更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。私たちは、年末ぎりぎりまで外来診察やリハビリをこなしていたため、気がつけば新年になっていた・・・と思うほど、忙しい毎日を過ごしていました。12月26日にはシナジス、28日にはインフルエンザの予防注射をやらなければならなかった愛は、病院に行くたびに痛い思いをしていましたので、とても不機嫌にしていましたが、診察の結果はいつもと変わらず安定したものでした。26日には久しぶりにレントゲン検査をしました。その結果、前に検査した時よりも明らかに心臓が小さくなってきたことが判りました。主治医の先生は「ゆっくりではあるけれども、確実に心機能はよくなってきているのでしょう」と仰ってくださり、年明けを前にして、私たち家族にとって何よりも嬉しい出来事でした。ロマリンダから帰国してきて2ヶ月が過ぎましたが、初めて「よくなっているんだ」と実感することができ、私たちも愛の回復に改めて希望を持つことができました。次回の診察時に心エコーの検査を行う予定ですが、そこでもよい結果が出てくれるといいなと期待しています。愛は連続の予防注射がよほど辛かったのか、看護師さんや主治医の先生を見るだけで「バイバイ!」と叫んで泣くようになってしまったので、これから病院に連れて行くのが大変になりそうですが。


 思い返せば、2006年は私たち家族にとって夢のような出来事の連続でした。愛が余命宣告をされた1月から、多くの方のお力添えで募金活動を始めた2月、そして、私たちの思いを汲んでくださった全国の多くの方々の大きな善意に支えられて渡米が実現した4月。冠動脈修復の手術を受け、愛が満一歳の誕生日を迎えることができた6月。渡米半年で帰国することができた10月。愛の命が確実に明日へと繋がっていく可能性を見出すたびに、私たちは本当に幸せ者だと、まるで夢のようだと思っていました。このままこの幸せがずっと続いていけばいいと私たちは毎日願っています。でも、多くの方に支えられ、愛に生きるチャンスをいただいた私たちは、ただ願うだけではなく、幸せが続いていくように最大限の努力をしていかなければならないのだと、新しい年、2007年を迎えて思っています。まだ愛は心不全の状態であることに変わりは無く、大きな感染症はもちろん、風邪にかかってしまうだけでも、その心機能は一気にダメージを受けて悪くなってしまいます。年末にせっかくよい兆しが見えてきた今、そのようなことにならないよう、愛が生きている現実が「夢のようだった」と終わってしまうことが無いよう、気を引き締めて愛の健康管理に努めていくつもりです。これからも私たち家族を温かく見守り、励ましてくださいますよう、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 愛はリハビリの成果が出てきたのか、最近お粥を食べる量が増えてきました。明日は七草粥を食べる慣わしがありますが、愛にも食べてもらって、また少しでも心機能が回復することを願いたいと思います。


                                                  光一・玲子

リハビリと外来

 12月17日  皆様、いつも温かい励ましと応援をくださり、本当にありがとうございます。


 先週は外来の診察と口から食べるためのリハビリがあり、週の頭から忙しくしていました。リハビリはおよそ一ヶ月ぶりで、二回目になります。一ヶ月自宅で訓練してきた成果を見せることができればよかったのですが、リハビリの時間が愛がいつもお昼寝をしている時間と重なってしまったためか、眠さから非常に機嫌が悪くなってしまい、泣いてばかりでリハビリを進めることができませんでした。リハビリのできる病院が限られていることもあり、愛も一ヶ月に一度しかリハビリを受けることができないので、このようなことになってしまうと、親としてはとても残念で、歯がゆい気持ちになってしまいます。でも愛は、言って聞かせてわかる年齢ではないので、次回は何とか機嫌よくリハビリが受けられるよう、その時間に眠くなってしまわないよう、親がその日のスケジュールを工夫してみたいと思います。


 診察の方では、愛が風邪も引かずに元気にしていることを先生に褒めていただき、この調子で体調管理に努めていくように言われました。また、ニュースでも話題になっていますが、ノロウィルスやRSウィルスなど、愛が感染すると大変なことになる病気が流行っているので、このまま体調がよいようであれば、外来診察の間隔を二週間に一度に変えていくことにしようと先生と話し合いました。もちろん、風邪等の症状が見られれば、すぐに診察にかからなければなりませんが、そのようなことが無いように心がけて生活していこうと思います。


 愛は最近小児科外来で出会うほかの子どもたちへの関心が高く、自ら近寄っていこうとすることが多くなりました。感染症にかかってはいけないということが無ければ、どんどん関わりを持たせてやりたいところですが・・・。日常生活の中では、まだやってはいけないことが多く、愛の好奇心はなかなか満たされることがありません。でも、年が明けて温かい季節になる頃には、少しずつ外に出て、いろいろとできるようになればいいなと期待しています。土の中でじっとしながら春を待つ生き物と同じように、愛も今はじっと我慢の時かもしれません。


                                                   光一・玲子

予防接種

 11月30日  皆様、いつもたくさんの温かい応援と励ましの言葉をありがとうございます。


 今週の火曜日は、診察と心エコー、心電図検査がありました。検査の結果は相変わらずよいとはいえないものでした。一体いつになったら愛の心機能は回復してくるのだろうか・・・と検査のたびに不安になってしまうのですが、「愛ちゃんのコンディションはよいのだから、回復することを信じて、焦らずにやっていきましょう」と先生も仰ってくださるので、私たちも愛の頑張りを支えつつ、気持ちを前向きに頑張っていこうと思っています。

 そして今回は、RSウィルス感染を予防するためのシナジスという予防接種を受けました。愛は心機能がまだあまり回復しておらず、今も心不全を起こしている状態なので、風邪等の感染症が心筋炎を起こすことになると命に関わる問題になってしまいます。そのため、普段から感染予防に努めることはもちろん、予防接種できるものはすべてやっていくことになるのです。先週はインフルエンザの予防接種も受けていましたし、普段から注射慣れしている愛は、こちらが思っているほど嫌がる様子は無く、注射の痛みもよく我慢していました。これからまだ予定されている予防接種がたくさんありますので、そういった治療に慣れてくれていることは親としてありがたいと思う反面、愛はこれまで長い間、本当にたくさんの診察や治療を受けてきたのだなあと改めて思い知る出来事でした。


 最近の愛は、人の様子をよく見ていて、真似をすることが多くなりました。母親の歌声に合わせて声を出して歌おうとしたり、電話をかけようとしてみたり。中でもおもしろいのは離乳食を食べさせようとする母親の口に、自分の方が食べさせようとしてスプーンを運んでいこうとすることです。本当は私たち両親が食べる姿を見て、自分も食べる!と真似をしてくれれば一番よいのですが、経口摂取の方はなかなか思うように進まず、苦労しています。心機能の回復同様、こちらも焦らず気長にやっていくしかないのでしょうが、乳離れが進んできたこともあり、どうしても食べさせようと焦る気持ちが出てしまう私たちです。それでも、私たちの悩みが、「この子は、いつまで生きていられるのか」だった去年とは違い、一般的な子育てに関わるようなものになってきていることは、とても幸せなことです。皆様のお力添えが無ければ、今日の私たちの生活は無かったのだと思うと、私たち家族を支えてくださった多くの方々への感謝の念が尽きることはありません。改めて皆様には感謝申し上げると共に、今後とも私たち家族を温かく見守ってくださいますようお願い申し上げます。


                                                      光一・玲子

定期検診

 11月21日 いつもたくさんの応援をありがとうございます。

 先週は、頑張らなければならない両親が熱を出してしまいました。特に父親は2日ほど寝込みました。熱が出ただけでしたので、家に帰って来ることができて気が緩んだのかもしれません。幸い愛は体調を崩すこともなく元気に過ごしていました。
 今日は、定期検診のため、日本医科大学多摩永山病院に行ってきました。体重が先週よりも300gほど増えていたので、また浮腫んだのではないかと疑われましたが、診察の結果、特に問題はなく、成長したということでほっとしました。身長は73.5cm、体重は8.6kgになりました。このまま順調に成長してくれることを願います。

                                 光一・玲子

帰宅して1週間が経過しました

 11月14日 いつもたくさんの応援をありがとうございます。自宅に3人で戻って1週間が経ちました。家に戻ったことで、再び環境が変わったためか、愛は何度か嘔吐と微熱を繰り返しましたが、日曜日ぐらいから体調も良くなってきたようです。


 月曜日は、愛の今一番の課題である「口からの栄養摂取」に取り組むため、オキュペーション・セラピー(OT)を受けました。今までなんとか愛に食べさせようと懸命に格闘してきた私たち両親ですが、なかなかうまく食べさせてあげることができませんでした。ロマリンダでもOTは何回か受けましたが、やはり日本語で具体的に教えていただけると良くわかりますし、そういった介護のための細かい用具についても、日本のほうが充実していると痛感しました。現在、愛はGチューブから栄養剤を一日750ml(=750kcal)摂っているのですが、これでは一日中満腹のままなので、口からものを食べたいという欲求が発生しません。まずは食べることを嫌いにならないようにこれも気長に取り組んでいきたいと思います。


 今日は、外来で診察と心エコーの検査を行ないました。退院前に行なった心筋シンチグラフィの検査結果では、冠動脈の血流は良好でしたが、心筋の動き自体はまだあまり回復していないとのことです。左室の駈室率(EF)は、相変わらず20%前半でした。回復には時間がかかると理解はしていながらも、見た目の回復に対してデータ的な結果が伴わず、両親も主治医の先生もちょっとがっかりする結果でした。


 一方で、愛は体調が戻り、元気が出てきたのか、家でははいはいをするポーズをとるようになってきました。「そう、その調子!」と声を掛けるのですが、前には進まずズルズルと後ろに後退してしまいます。もう少し時間がかかるかな、と様子を見ていると、今度はお座りしたまま前に進みだしました。こちらも、今まではズルズルと後退して行くばかりだったのですが、全身をひねりながら少しずつ行きたい方角に進めるようになった様子です。今日は気づくと部屋中を移動して、自分の手の届く高さにあるものを手当たり次第に引っ張り出していました。帰国後もなかなか家の中が片付かなくて苦労しているのですが、娘の成長に喜びながらもますます頭が痛い問題が増えてきました。なかなか課題の多い娘ですが、少しずつ成長していく姿に喜びを覚えるとともに、支援してくださった皆様に感謝しつつ、これからもがんばっていきたいと思います。


                                                光一・玲子

帰宅しました

 11月7日 いつもたくさんの応援をありがとうございます。


 本日、日本医科大学多摩永山病院を退院し、帰宅いたしました。帰国直後に出た熱は下がったのですが、その後も微熱と嘔吐が少しあり、風邪の症状が見られました。しかしながら、大事にはいたらず、その間に検査と日本の薬への移行は順調に進みました。従来からのACE阻害薬とベータブロッカーに加えて、アンジオテンシン受容体拮抗薬の投与も始められました。先週の血液検査の結果から、BNP(心臓が肥大している状態で増加する心筋を保護するためのホルモン)の濃度が397pg/mlであることがわかりました。手術前のBNP値が2500ぐらいでしたので、ずいぶんと減ったことに喜びました。もっとも、健康な人のBNP値の目安は20以下で、心不全の患者さんは、200以下を目指して治療をするようですので、愛の結果は決してよいものではありません。しかしながら、これも心機能が回復してきている証と前向きに考えて今後の治療に臨みたいと思います。今後は、毎日の投薬と栄養剤の注入に加えて、通院(当面は週1回の予定です)と、愛の課題である口からの栄養摂取が行なえるようにリハビリ施設に通うことになります。


 約7ヶ月ぶりの家族3人揃っての我が家に、私たち両親もようやく一区切りがついたという安心した気持ちになりました。もちろん、これですべてが終わったわけではなく、まだまだ私たちの病との闘いは続くのですが、自宅に帰って来れたことにより、少し通常の生活に近づけそうです。ここまでたどり着けたことをあらためて皆様に感謝いたします。本当にありがとうございました。そして、今後とも私たちを見守ってくださいますようお願い申し上げます。


                                                    光一・玲子

帰国後1週間

 10月27日 いつもたくさんの応援をありがとうございます。帰国後1週間が経ちました。この間、本当にたくさんの方から、「無事帰国ができて良かった」、「このまま元気に回復して欲しい」といった心温まるメッセージをいただきました。慌しい帰国でしたが、こうして家族3人無事に帰国できた喜びを心深く感じさせていただいております。どうもありがとうございました。

 愛は、病院に到着後高熱をだしましたが、2日後にはすっかりひきました。やはり、長時間の移動で疲れが出ただけのようでした。大事に至らずほっとしております。実は、愛に合わせるように母親も熱を出してしまいましたが、こちらも愛の横で、ぐっすり眠ったところ元気になりました。

 航空機による移動は、乳幼児の心不全の患者にとっては、気圧の変化など特に注意が必要となるのですが、今回も心臓への悪い影響は出なかったようで安心しております。24日には、帰国後初めて心エコーによる検査を受けました。渡米前のものと比較しても、心臓自体の大きさなどは、格段の回復があるとは言えないまでも、心臓の動きは少し改善していること、心機能の低下により、大きな負担がかかって膨張していた肺も楽になったようで小さくなっていることなど、久しぶりに詳しく診察された主治医の先生も安心されたようです。

 すっかり元気になった愛は、26日には左手の人差し指から取っていた点滴用のラインを自分で引っこ抜いてしまいました。月曜日には、心筋の回復度を診るための心シンチグラフィや血液検査などを行う予定ですので、またラインを取らなければなりません。愛の静脈は非常に細く、これまでの数え切れないライン確保のための格闘から、愛の手足の血管はボロボロになっており、さらに難しさを増しているのです。それでも、緊急の必要性はないことから、日曜日までは、自由にしてもらいました。両手が自由になり、病院でのストレスも少し解消されたようで、様子をチェックに来られる看護士さんにも愛想を振りまくようになってきました。

 同じ病院とはいっても、やはり言葉が通じる日本の病院にお世話になることができるのはとてもありがたいことです。日本に帰って来れて本当に良かったと感謝しております。退院まではもう少し時間がかかるようですが、今後とも応援してくださいますようお願い申し上げます。

                                                     光一・玲子

お絵かき 本物を持たせると周りが大変なことになるので・・・

帰国しました

 10月21日 いつもたくさんの応援ありがとうございます。

 ロマリンダを出発して20時間後の20日夜9時過ぎに日本医科大学多摩永山病院に到着いたしました。ロサンゼルスから成田まで、日本航空様の細やかなお気遣いにより、大事無く航空機による移動をすることができました。どうもありがとうございました。ただ、やはり長時間の移動によるストレスから愛はなかなか寝付くことができず、移動中ちょっと眠っては泣いてばかりいました。永山病院に到着してからも、環境の激変から落ち着くことができないため、一晩中泣き止むことはなく、朝にはとうとう39度の熱を発してしまいました。咳や鼻水等の症状が見られないことから、疲れによる軽度の風邪と思われますが、脱水症状が見られることから、解熱剤を投与するとともに点滴による水分の補給を行ないました。この処置により、ようやく落ち着きを見せ始め、夕方になって、ぐっすりと眠ることができたようです。熱も少しひいてきました。今夜はぐっすり眠ってくれることを願います。

 日本を発ってからおよそ半年振りの帰国です。心臓移植をすることなく帰ってくることができるとは夢にも思っていませんでしたが、こうして家族3人そろって再び日本の土を踏むことができたことを心より感謝いたします。アメリカに渡ることができなければ、こうして今ごろ笑顔で過ごすことなどできなかったであろうことを考えると、支援してくださった皆様への感謝の気持ちが次から次へと込み上げてきます。この先、愛の心機能はどこまで回復できるのかわからないため、私たち家族の闘いはまだまだ続きますが、必ず回復すると信じ、皆様への感謝の気持ちを大切にして今後とも愛の看護に努めていきます。どうもありがとうございました。そして、引き続き温かく見守ってくださいますようよろしくお願い申し上げます。
              
                                                          光一・玲子

点滴 点滴による水分補給を受けて眠る愛

ロマリンダでの滞在を振り返って

 10月18日 いつもたくさんの応援をありがとうございます。

 いよいよ明日帰国することになります。4月に渡米してからおよそ半年の滞在となりました。
その間、愛の心臓を肥大させていた原因がわかったこと、その修復手術を行なったこと、回復に予想外に時間がかかったこと、必要な栄養が摂取できず、Gチューブを装着したこと・・・尊いドナーにめぐり会えて心臓移植を受けることしか娘の命は生き長らえないと考えていた私たちにとって、これまでの展開は全く考えてもいなかった毎日の連続でした。いつ止まるかもしれない心臓を抱えた娘とともに、通じない言葉と文化の違いに毎日神経をすり減らす思いでした。しかし、そのような私たちの生活を優しく支えてくださったのは、熱心な病院スタッフと日本人コミュニティの皆さん方でした。

 病院スタッフには、私たちのように外国から治療に来る患者を受け入れる部署があります。その中には、私たちの滞在期間中の生活がうまくまわるように、2人の通訳の方がいらっしゃいました。ほぼ毎日、仕事の枠を越えてお二人にはお世話になりました。愛もすっかりなつき、最近はお二人に抱っこしてもらえるのが嬉しくて仕方がないようでした。また、私たち患者と病院の間に入って、患者の生活面を支えるという面では、ソーシャル・ワーカーの存在も欠かせません。常に患者側にたって、患者が困ったことがあれば病院側に交渉してくださいました。看護士やお掃除の係りの人にも愛は可愛がってもらいました。術後回復してくるまで、愛は母親に抱っこしてもらえないと泣いてばかりいました。そんな時にも、集中治療室(ICU)のスタッフの皆さんは、愛の機嫌が直るよういろいろと苦心してくださいました。ただ、ようやく笑顔を見せるようになったのは、退院間際になってからでしたが・・・ 昨日、ICUの皆さんに帰国のお別れに行ってまいりました。皆さん、愛が大きくなった、笑ってくれる、と手放しで愛の回復と成長を喜んでくださいました。

 ALCAPAの術前と退院後の私たちの生活で一番の支えとなってくださったのは、ロマリンダの日本人コミュニティの皆さんです。実生活の面では、マクドナルド・コテージからアパートへの引越を手伝ってくださったり、家具や車の手配までしていただきました。そして、精神面ではいつも愛と私たち両親の悩みや疑問の相談相手になってくださいました。何より、病院暮らしが長く、他のお子さんとの交流がほとんどなかった愛が、はじめて複数の子供たちの輪の中に入ることができたことが私たちの大きな喜びとなりました。愛は、両親とテレビからでは決して得ることができないたくさんの刺激を受けたようで、皆と会ってから帰宅すると一所懸命につかまり立ちの練習をしたがるようになりましたし、最近はコップから麦茶も喜んで飲むようになりました。もっとも、半分以上は口からこぼしているのですが、スタイをびしょびしょに濡らしながら嬉しそうにコップを持つ愛を見ていると、子供同士の世界から得られる「成長力」に感謝してもしきれない思いです。こういった愛の姿を見ることができるのも、支援してくださった皆様のおかげでここロマリンダに来ることができたことに尽きると思います。本当にありがとうございました。愛の心機能は今後どの程度回復していくかわかりませんが、これからも私たちを温かく見守り励ましてくださいますようお願い申し上げます。

 そして、ロマリンダで私たちを支えてくださった皆様、私たちはこれから自分たちが本来生活していく町、支援してくださった皆さんが待っていてくださる所に帰ります。でも、愛にとって、生き長らえるチャンスをくださったこのロマリンダという町を私たちは決して忘れません。再び心機能が悪化し、移植が必要と判断されれば、またここに帰ってくることになりますが、そのようなことにはきっとなるまい、今度この町を訪れるときは、すっかり元気になった愛をお世話になった人たちに見てもらいに来るときだと信じております。本当にありがとうございました。皆様、どうかいつまでもお元気で。

                                                          光一・玲子