感想編はだいぶ批判的なノリでしたが、考察編は前向きにやります。他作品との繋がりを補強したのは非常にいい仕事だったと思います。この辺は、堀井氏の監修部分なんでしょうけどね。
(1)聖竜の系譜
元々、聖竜の末裔が竜の女王であり、竜王であるということは11で示唆されていましたが、1で竜王をロトの剣で倒す際に聖竜の約束が果たされた演出が入り、実際に伏線は回収されました。また、竜王は(おそらくニズゼルファの)闇の力を得ているために光の玉を取り込めず、聖竜としての力を全て取り戻せずに終わり、竜王のひ孫がそれを果たすことで力を取り戻し(その姿はほぼ「はくりゅうおう」)、ロトの剣に光の玉の力を与えてロトの竜剣(=勇者のつるぎ・真)にするという演出は完璧でした。1のエンディングの後、光の玉はどうなったかという当時からの疑問も、闇の力が届かない場所に隠していたというのは良かったと思います。
一方で今回のリメイクでもわからなかったのは、竜王の子と孫は何だったのかということです。正直原作通りひ孫にせずに子にしちゃえばよかったのに、とさえ思いました。設定上、聖竜は子が実質生まれ変わりという扱いになっていたので、竜王が倒された後、更に2回竜が死んでいるということになり、そこで何かあったんじゃないかという気がします。ハーゴンが闇の支配抜きで味方に入れようとして失敗して戦いの末に倒されてしまったとかありそうです。
ルビスとの関係も謎で、ルビスが1の後自らを封印したのは、竜王のひ孫に世界を任せたからだと解釈できなくもないのですが、全く連携を取っている気配がないので、本当に不干渉だったんだと思います。竜の神と人の神の関係は、未だに謎のままです。
(2)ルビスの足取り
ルビスは3の後、別の世界に移動していて、戻ってこれなくなっていたことが1で明かされました。これは6の世界に行っていたということで間違いないでしょう。2の世界の思い出では、ルビスが転移したのは別の世界を創造するためとされていましたので、6の世界を創造したのもルビスでほぼ確定です。6の世界の聖なるほこらでは、クラウド城に行くために伝説の装備の紋章を揃える必要がありますが、その他に2の紋章のマークが外れマークとしてありました。これも、実はルビスを6の世界に召喚する装置でもあった可能性がありますね。
一方で1から2の間は、かつてゾーマにされたような干渉をされないように自ら封じていたことになりました。3でルビスが石化されていたのは、世界の創造者を封印することでアレフガルドを闇の世界にするためだったと言え、1でも竜王によってそうなりそうなところ、ルビスが帰還することで阻止したということになります。ルビスの存在意義は世界を護るためにあり、魔王に直接対抗する力があるわけではないようです。それは竜の役目なのだと、天空シリーズ(特に4)を見る限りは思うのですが。
そういえば、リメイク版では2の世界すべてを指して「アレフガルド」と表現されており、1の世界の部分のみをアレフガルドと表現する台詞がなくなっていまいた。これによりアレフガルドという名称は国の名前なのか世界の名前なのか問題は、世界の方だという結論が出たことになります。ただ、1の世界の外側の部分はいつからあったのかというのは謎のままです。
(3)竪琴とフルート
1でルビスを召喚するために、5つの紋章と共に使用するのが妖精の笛と銀の竪琴でした。3では妖精の笛のみで石化を解除し、2では5つの紋章と妖精の笛だけで呼び出したので、別世界から呼び出すには竪琴も必要なようです。笛と竪琴と言えば、11でケトスを覚醒するために演奏した楽器になります。ケトスとラーミアの関係はいまだ謎のままですが、なにか意味がありそうです。2でラーミアを呼び出すのに妖精の笛と銀の竪琴が必要だったらエモかったんですけどねぇ。演奏する人が足りないのでサマルトリアの王女あたりに頑張ってもらわなきゃいけなくなりますが。
(4)ラーミアと8の世界
ルビスが6の世界に行っていたように、ラーミアが8の世界にも行っており、その後2の世界に帰ってきたことになるようです(子供を伴っている描写があるため8のエンディング後と思われます)。ラーミアの子はレイアムランドのほこらに帰っていった描写がありますが、もしかしたら12の伏線なのかもしれません。
8との関係という意味では、竜人族と竜王の関係も以前考察しましたが、今回の設定を考えると、とりあえず竜の女王や竜王の血族であるという可能性は薄そうです。繋がりがあるにしても、11と3の間に竜の血族が分派した可能性があるくらいですね。竜王の子か孫が8の世界に行ったと妄想できなくもないですが、時系列的にそれでは遅すぎる気がします。
(5)妖精と人魚
2の世界ではともにルビスを支える存在である妖精と人魚。妖精はこれまで5に、人魚は6と11に出てきましたが、そのどれも世界の神と直接関係はありませんでした。まぁ5の妖精は天空城を飛ばすためのオーブを作った実績がありましたが、6のエンディングで生まれた天空城は多分オーブの力で飛んでたわけではないんですよね…。そもそも妖精は別世界に住んでいる設定で、4や6の世界にはいませんでした。
人魚は6でも11でも単なる亜人扱いだったので、2の世界の人魚が特別ルビスと関係を持っているのだと思います。ドワーフを含め、人間以外の種族は皆ルビスの味方な雰囲気があるので、アレフガルドを創造した際にみんな一緒に連れてきたのかもしれませんね。
(6)ハーゴンとニズゼルファとラプソーン
今回ハーゴンに潜んでいた闇は明らかにニズゼルファ(の意思)だったので、ハーゴンはウルノーガのように支配を受けていたことになります。もしかしたらゾーマの中にも潜んでおり、ゾーマが倒された際に、ギアガの大穴が閉じる前に上の世界に移動し、ハーゴンを宿主に選んだのかもしれません。そしてハーゴンが死亡すると今度はシドーに転移し、マガシドーとなったとも言えます。ただハーゴンを乗っ取った際は闇の衣がなく、ウルノーガもそうだったことを考えると、ニズゼルファは人間に対しては闇落ちさせることができるだけで、自らの依代とするにはそれなりの肉体が必要になるようです。ただゾーマもシドーもニズゼルファとは別個の存在なので、闇の衣を与えて力を増幅させているだけで決してニズゼルファ本人ではないのかなと思います。
今回マガシドーの外見がラプソーンっぽいこともあり、ラプソーンもニズゼルファと関連がある可能性がありますが、似て非なる存在と言うか、シドーを破壊神ではなく暗黒神にしたら見た目もラプソーンっぽくなったという感じなのかなと思います。ラプソーンも闇の衣っぽい力を持っていますが、解除の仕方が違いますしね。
(7)真・竜王とジェノシドー
マガシドーなんて新規のボスを出すなら、ジェノシドーで良かったんじゃないかという意見があります。自分はドラクエ4のリメイクの時に真エビルプリーストの外見はサイコピサロでいいんじゃないかと思ったので、同意できるのですが、多分モンスターズオリジナルとは一線を引いてるんでしょうね。オリジナル強化ボスは批判的な意見もありますので。特にアスラゾーマは不評だと思いますが、今思うとニズゼルファに乗っ取られる前のゾーマとしてならアリだったかもしれません。
同じくしん・りゅうおうについても、今回の明確に闇の力を与えられた竜王なら、更に闇方向に進化したボスとしてあり得たんじゃないかと思いますね。1には裏ボスがいなかったのですが、追加しても良かったんじゃないかという気はします。
(8)ハーゴンの目的
感想編でも触れましたが、3の時点では竜の女王の死因が見守る世界が2つになったことと推測されており、それはルビスがアレフガルドを作ったせいなので、ハーゴンはルビスを恨んでおり、シドーを召喚してアレフガルドを破壊することが目的なのだろうと考えていました。正直このままの設定だった方が、ルビスを目覚めさせて倒すために紋章を集めているという説得力が得られましたし、竜の女王のいない世界だから破壊するというようなヤンデレ設定にならずに済んだと思います。
そのハーゴンの目的はいまいちはっきりしていなくて、竜の女王に会いたいとは言っていますが死んでいるので会えるはずもなく、今の竜王のひ孫にもこだわっていましたが別個の存在です。世界を破壊しても竜の女王に会うことはできないでしょうから、単に精神が錯乱し破滅願望を抱いているだけにしか見えなくなってしまっています。一応光の玉を作ったことで寿命を縮めた勇者を恨んでいることになっており、ムーンブルクを攻めたのもそこからだった可能性が考えられますが、それだとロンダルキアを攻めた理由が不明です。絶壁の地でゆっくりシドーを召喚する神殿を作りたかったんでしょうか。
ニズゼルファの意図から逆算すると、とにかくシドーを召喚させて乗っ取りたかっただけなのかもしれません。だとするとハーゴン自身の目的はほとんどなかったということになりますが、それでは悪役としていくらなんでもあんまりですね…。まぁ、元々2のハーゴンは目的不明の存在ではあったんですが。
(9)勇者の母親の演出の意図
真エンドの最後、主人公たちが勇者の生家にたどり着き、そこにいた女性と出会うことで終わります。その女性は勇者の母親とは似ているものの明確に違う外見に描かれているのですが、3の勇者が地上に戻れなかった以上、勇者の母親の子孫が上の世界に残っている可能性はほとんどありません(再婚して新たに子を設けていない限り)。それなのに似た人物がいて演出を重ねる意図が分からず、血がつながっていないならたまたま似ている人を生家に住まわせているだけということになり、それはそれで感動が薄れてしまいます。
やはり3の勇者は上の世界に帰れなかったと名言しない方が良かったんじゃないかと思いますね。そもそもロトの兜はオルテガの兜なので、地上に帰還できたのは勇者ではなくオルテガの方なわけですし。この演出のために3を先にしたということになりますが、実際は商業的に確実な3を先に売りたかっただけだと思うので、演出は後付けだと考えると、HD-2Dの企画自体に問題があったのかなということになるかと思います。
(10)ローラ姫は何者?
今回ローラ姫はルビスの声を聞くことができる存在と言うことになり、ローラ姫とルビスの台詞の類似性や、1にルビスがいなかった理由については一通り説明できるようになりましたが、そもそも何故ローラ姫にルビスと関係があったのか、という点は謎のままです。ラダトーム王家だからというわけでもないでしょうし。
考えられるのは、6のターニア同様、たまたま(ルビスにとって都合が良いので)選ばれたということなのかなと思います。勇者の行方が分からないので、勇者と結ばれる可能性がある存在、もしくは単に勇者に会える可能性が高い存在に声を授けたのかな…というところです。むしろルビスに裏の予言で「お前は勇者と結婚しろ」と言われてたりしたのかもしれません(笑)。
(11)ロト装備の行方
3の勇者が装備していた伝説の武器防具は、おそらく兜だけはオルテガの墓に残され、それ以外は全て竜王側に奪取されていたということになりました。そのため鎧はドムドーラに、盾は岩泣き島に、剣は(メルキドにあったものが)竜王の城にあったことになります。ロトのしるしは毒の沼地の中から、そこに残っていた精霊のほこらの廃虚に変わったので、当初は妖精がルビスのまもりとして持っていたものが、襲撃された際に失われたというところでしょう。
2でロトの剣の攻撃力が低かったのは錆びたからで、錆びた理由は1で竜王を倒した際にそのまま失われ、竜王の子孫が持ち続けていたからだということになりました。2のそれ以外のロト装備の安置場所は原作通りで、盾はサマルトリア、兜は聖なるほこら、しるしはローレシアにあり、鎧はロンダルキアへの洞窟にあります。当時から、鎧はムーンブルクにあったものが持ち去られ、そこに置かれたものと解釈できます。稲妻の剣もどこかにあったのかもしれませんね。
余談ですが2のロトの兜をもらうにはロトのしるしが必要なため、実質的にはローレシア(に認められた者)経由でしか手に入れられないことになっています。本来聖なるほこらにあった虹のしずくをラダトーム王が持っていたあたり、ラダトームと聖なるほこらとローレシアの間で何らかのやり取りがあったものと推察されます。
また、竜王のひ孫がロトの剣をロトの竜剣にしてくれますが、これは勇者の剣の再現であるため理解できるものの、同じタイミングでロトの盾をロトの聖なる盾にしてくれる理由は謎です。11の勇者の盾は特に聖竜の加護を得ていませんでしたし(そもそもメダル王の景品…)、天空装備オマージュだとしても盾だけクローズアップされたことはありません。単に赤いロトの盾を商品化したかっただっけのように思えますが(剣だけだと赤くする部分が少ないため違いが分かりにくい)、赤いロト装備は「ロトの紋章」的にはネガティブなイメージが先行するため、別の色(緑色とか)の方が良かったんじゃないかな…という気がします。
(12)ロトの子孫の行方
今回3の勇者が上の世界に戻れなかったことを確定させてしまったため、1の勇者は3の勇者がアレフガルド内で残した子孫ということになりました。しかし3のアレフガルドに勇者と子孫を残せなそうな人物は作中にはいないため、共に戦った仲間との子孫と考えたくなるところです。全員男または女のパーティは否定されることになりますが(笑)。1の勇者がどこから現れたのかは不明のままですが、小説版の設定のようにドムドーラ出身と考えた方が、ドムドーラだけ真っ先に滅ぼされた理由の説明にはなりそうです。
2の主人公たちはまずローレシアができて、その後子孫がそれぞれ国を作ってサマルトリアとムーンブルクができたというのが明示されていますが、ローレシアはローラ姫直系の家柄であるはずなのに王子が呪文を使えないこと、サマルトリアの王子が一番勇者に近い能力を受け継いでいること、ムーンブルクは国全体に魔法の使い手が多いことを踏まえると、ローラ姫=ラダトーム王家の系譜を引き継いでいるのがローレシア、1の勇者の血筋を最も強く受け継いでいるのがサマルトリア、魔法に特化した血筋(3の勇者のパートナー?)を受け継いでいるのがムーンブルクと言えるのかもしれません。またローレシアの王子は黒髪らしいので1・3の勇者の髪質を受け継ぎ、サマルトリアの王子・王女は茶髪でローラ姫の髪質を受け継いでいますが、ムーンブルクの王女の紫色の髪は既存キャラには存在しないので、3の仲間で勇者の相方になるキャラの髪色を紫色にするとそれっぽくなると思います(公式イラストだけで考えると、該当するのは女戦士のみ、だがそうなると呪文を使えない…)。そうでないなら、1の勇者の子孫の系譜の中に、紫色の髪の人間が混じったということにはなります。
(13)カンダタとオリハルコン
今回のリメイクでは3でアレフガルドでカンダタが明確に子分とともに活動しており、1にカンダタの子孫や後継者を名乗る人物が複数いることが語られ、はっきりとは描かれませんがデルコンダル王はカンダタの子孫という小説版設定が拾われるなど、カンダタ方面はかなり掘り下げられました。クローズアップしすぎなような気もするのですが、思い返すと3は船を手に入れるまでボス敵がカンダタしか存在せず(追加のナイルの悪魔を除いた場合)、人間キャラとしては勇者のライバルに近い強キャラであったことが伺えます。FC版でも盗賊を追加する予定だった名残なのかもしれませんが、それだけのキャラならクローズアップされてもおかしくないとは言えます。
そのカンダタですが、2でロトの剣を修復するために使うオリハルコンを秘匿していたことも設定されました。オリハルコンは11設定を踏まえると天空の古戦場由来で、アレフガルドには存在しない金属であるはずなので、カンダタが上の世界から持ち込んだことが考えられます。3でドムドーラにおもむろに落ちているオリハルコンも、カンダタが落としたか一時的に隠していたものなのかもしれません。カンダタは3でバハラタ以降ラダトームまで姿を見せませんが、その間にオリハルコンを入手していたことになり、それなりにお宝を探していたことが分かります。
以上、とりとめのない考察ですが、色々と妄想の幅を広げることはできました。世界観を広げることに関しては、HD-2Dリメイクはいい仕事をしたとは思っています。納得できない部分も一部はありますが、特に他シリーズとの接点については、ある程度納得の内容でしたね。天空シリーズをリメイクするときも、もう少し作品間の接点をちゃんと作ってくれるのでしょうか…。