「怪物」の正体 オレ的映画TOP10 year end chart 2023 第9位 | 別冊さとみつ男児【ホグワーツの謎・ドラクエウォーク】

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何だかんだで遅れましてすみません、オレ的映画TOP10 year end chart 2023第9位は公開前の監督コメントが関係界隈をザワつかせたあの作品!

※当ブログの映画感想系記事は、基本的にモロネタバレは避ける方針ですが、今回は感想の都合上ガッツリネタバレ状態になっておりますので、くれぐれもご注意お願いします!

 

初めに上記の炎上騒動についてサクッと説明しておきますと。

カンヌ映画祭クィア・パルム賞を受賞した際、是枝監督が「(怪物は)LGBTQに特化した作品ではなく、少年の内的葛藤の話と捉えた。誰の心の中にでも芽生えるのではないか」と発言。

この発言が「LGBTQ特有の悩みや苦しみを、誰の中でもある問題として一般化することで、LGBTQ独自の苦難を軽視、あるいは無い物とする誤解を生むではないか?」と、セクマイ界隈から批判の対象になった次第です。

 

 私自身は界隈の懸念はまぁほぼその通り、とは思ったものの、最終的には作品を見てから…という思いもありつつ、劇場公開は見逃し自宅鑑賞を、今回は特に一映画作品としての感想に加え、騒動も踏まえた上でLGBTQ作品としての感想も差し挟んでゆきたい、とか思いつつ、したためてみました。

 

第9位『怪物 是枝裕和監督

 

片田舎町の小学校で起きたささやかな事件の真相を、それに関わった人物・母親担任教師、そして二人の少年達と次々視点を変えながら描き出してゆく…

 

※星川依里役・柊木陽太くんと麦野湊役・黒川想矢くん

 

まず、何と言っても是枝監督は少年をエロ美しく撮るのが本当に上手ですねぇ、「誰も知らない」の柳楽くんなどもそうでしたが…

主人公役の二人の少年は共に超絶美少年、というタイプではないクラスメイト感を持ち合わせた子達なんですけども、ホンマにピッカピカギラんギラんに輝いてます、この子ら観るためだけにブルーレイ欲しくなっちゃうレベル…(笑

 

そして映画の構成としてもなかなか楽しいです、ひとつの出来事を主人公を変え、視点を変えることで、まったく異なる事実が裏にあった事を、一枚、また一枚と明らかにしてゆく独特の展開が面白く、優れたエンタメ作に仕上がっていると思います、多少ネタを盛り上げる為のあざとみ、わざとらしさを感じる部分もなくもないですが…

 

正直、中盤の先生パートあたりまでは「LGBTに特化していない」発言もある意味わかるかも?と思いつつ観てました、この映画キモはソコじゃないのかも?と…

 

 

 

ところが後半の少年パートに入ってみると一転、何これ?ガッツガツのLGBTQ映画じゃん!という展開に…(苦笑

ただ単にゲイが出てる、ってレベルでは全然なく、右往左往の全ての展開の根っこに少年の同性愛感情がある訳で、そりゃクィア・パルム賞も取るよ!って感じだし、これをゲイ作品じゃない、というのはさすがにちょいシンドイなぁ、と思いました。

 

そして一本のゲイ映画としてみた場合、主人公の少年達の死を想像させるエンディングがあまりに古くさいなぁ、と気になりました。

しっかり見直してストーリーやシーンを確認していけば、この映画は少年達が生きているという結末なんだろうな?というのが最終的にはわかるのですが、何だろう、死の可能性を誤解される時点でもうダメ感なんですよね…

 

 

まるで天国かのように晴れわたった空の下駆けて行く泥んこだけども美しい少年達、でも彼らの前に立ちはだかる本質的な苦難は嵐の前とほとんど変わっていない訳で、ハッキリ生存を明記していたとしても、充分含みを残した良いエンディングになったと思います。

 

その点、生きて現実を苦しむ少年達の姿より、死んで天国で幸せに暮らす少年達の姿の方を見たがりがちな観客の期待値チョい甘えしちゃったエンディングのように感じました…うーん、画竜点睛を欠いちゃったなぁ、と…

 

ちなみに、「怪物だ~れだ?」の怪物」の正体は、この作品に関しては割と明白で、LGBTQに対する社会的差別だと思います。

 

少年達を取り巻くいじめ問題とそれを取り巻く様々な誤解、誤解を助長するデマゴーグが事態を悪化させる要因になっており、それらが全て「怪物」と言えなくもないのですが、肝心要のいじめの原因も、同性愛感情で繋がりつつある当事者少年同士の間に生まれる葛藤すれ違いも、全ての根っこにLGBTQに対する社会的差別がある訳ですし。

ただ「怪物だ~れだ」で「犯人捜し」を誘発するような手法は、エンタメ的ミスリードとしては利いてるかもですが、作品の味わい的にはちょい雑味感かな?

 

色々書いてきましたが、非当事者の撮ったゲイ映画としては決して悪くない作品ですし、何より第二次性徴前のLGBTQ少年の恋愛を描いた貴重で挑戦的な作品でもあり、少年像に至っては珠玉です。

一連の騒動を聞いてムッと来てた当事者の方も、とりま一見の価値がある作品じゃないか?と思います。

 

※追記・一連の騒動に関して是枝監督がクィア当事者と対談した記事が出てますので、ご興味がおありの方はどうぞ、有料記事ですが…個人的には、色々謎が解けてスッキリしました(笑

 

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