今後の保育待機児対策(区が打ち出している緊急対策について)
先週24日の子ども若者施策推進等特別委員会にて、今年4月の保育待機児童数が昨年より増加した(R5年:10人→R6年:58人※)ことをうけての区の緊急対策が報告されました
※今年度待機児童数58名の内訳:砧地域(1歳児 26 人、2歳児 19 人)、烏山地域 (1歳児 13 人)
区全体の年少人口は微減傾向が今後も続くと見つつも(資料1)、入園申込者数は今後も同様の規模で推移してきた(資料2)を踏まえ待機児童数の見込み(資料5)が打ち出されました
※前提としている人口推計と申込者数の推移:
※※待機児童見込み:
待機児対策としては、既存の活用として3項目:
①区立保育園における定員弾力化(39名分)
➁0歳児枠の空きが出た場合の1・2歳児への振り分け(14人分)
③砧地域の小規模保育→認可保育所への以降(1歳児枠の1名分増加)
上記3項目は、いずれも既存園の活用で生み出そうとするものですし、これまでも同様のことはやってきているので
マイナーチェンジの範囲です
これに加えて、認可保育所の分園を3園新設すると。しかも、来年4月開園で整備できるところに手を挙げてもらうという
報告がありました
世田谷区では、2020年に待機児童数ゼロを達成し3年間ゼロできて、2023年に10名となり、今年は58名と。
コロナ禍での利用控えもあっての「待機児童解消」だったということが見えてきて、
ここにきて、少し新規整備に踏み切らないとという判断になったのは一定の理解をするところでもありますが、
これまで「4月まで1年をきっている」タイミングで、事業者募集・選定・整備・開園とやってきたことはないので
実現可能なのか??と疑問に思います。
また、「足りないからハコを増やす」のは基本的な手法でありますが、
10年前に待機児解消のために大量に新規整備をしてきたフェーズとは状況が異なりますし、
何より「子ども主体」の子ども政策に様々方向転換もしてきているので、そうした要素も踏まえての整備内容に
してほしいところです。また、9月議会にて質疑をしていきたいと思います
保育施設における虐待について
昨日、「保育士逮捕」という衝撃的な内容で、様々なメディアで報じられた虐待事案
私たち区議会の子ども若者施策等推進特別委員会の委員メンバーには、
「第一報」として区議会に保育課から今月頭に連絡がありました。
その際は「現在区としても調査中」とのことで詳細までは知らされず、
その後17日の特別委員会にて、経緯などの詳細を聞きました。
この件以前、4月末の同委員会にて、昨年度(年間)の保育施設での虐待案件として報告があり、
以前から件数が減っていないことに問題意識をもち、今月の本会議一般質問でもこの点について取り上げたところです。
4年前に区立認可保育所での虐待事案が発覚して以降、区では、保育の質の担保のために
様々手を打ってきていて(子どもの人権チェックシートの策定※、研修、また何かあった場合の通報窓口※※等々)、
それでも件数としては昨年度も11件と。
※世田谷区 人権チェックシート(ガイドラインのところの下部にファイルあり)
※※虐待や重要事故等の通報について:
件数の多さもですが、そのうち私立認可保育所など民間の保育施設においてのものとなると、当該保育士が自主退職している場合は、その後区による関与もできませんし(当然ですが)、また履歴書上も何も記載を求められません。
言ってみれば「自主退職したら、その後は追えない」状況について、本会議の一般質問では取り上げ、
園長会での情報共有をより密にする(履歴の見える化に近づける)、面接時の質問方法を工夫する(工夫の内容もまた共有する)ことを求めました。
国では「保育士特定登録取消者管理システム※」を今年度から始めており児童への不適切な行為(わいせつなど)で保育士登録を取り消されたものについてはDB化され、管理されるようになってきています。私の一般質問への答弁でも、「こうしたシステムを活用しながら子どもが安心して通える園を目指す」というような内容でした。
※保育士特定登録取消者管理システム:
ただ、こちらの管理システムは性暴力を対象としているので、
虐待のうち性的虐待のものは含まれるかもしれませんが、今回の逮捕事件のような内容(身体的虐待)は含まれていないので
その辺も区が何等か独自のものを構築できないのか?と考えます(個人情報保護の関係、あるいは労働基準法の関連もありなかなか難しいのかもしれませんが)
これまでも虐待をなくすために取り組んできたことーー子どもの人権への感度を高める・現場での気づきの感度・気づいたことを言いやすくする職場風土・主任や施設長のマネジメント力強化等々では、たちゆかない・防げないところに来ていると思います。
ハードルはあるかもしれませんが、虐待の履歴(保育士側の)を何等か把握できる仕組みなり、これまでより一歩踏み込んだ対策が必要になってきていると考えます。
教育長任命の同意案件について
昨日17日の区議会臨時会、最終日の本会議にて、
教育長任命に対する同意案件が上程され、本会議にて採決をとりました。
※区議会での議論の様子(24分あたりに私が登壇しています):
これは、いままでの教育長(渡部理枝)さんの退任(ご自身から辞意を表明)
をうけて、任命権者である区長が新しい人を定め、議会の同意を諮ったものです。
後任の方は、3月末まで教育政策・生涯学習部長だった知久部長と(その前は障害福祉系や保育の管理職もされています)
区議会議員には先月、4月15日にこの退任と後任人事について第一報が入るものの、
閉会中で常任委員会などもないため、第一報後この件について議会で話題にする場もないまま
今月13日からの臨時会に入っていました
急に提示された人事であり、もう少し前(辞任の申し出があって受理したくらい)のタイミングで知らせないのは議会軽視でもあるのでは?といった指摘や、後任の方に対し「教育のスペシャリストなのか?」「世田谷区の教育の未来へのビジョンはあるのか?」といった疑問の声が、採決前の本会議で多くでました
私のほうは、折しも、先週5月8日―10日で開催された教育総合展(edix)※に伺い、
文科省から渋谷区の教育長へと4月に就任された伊藤さんのセミナーや渋谷区×Microsoft社の教育DX関連ワークショップなど拝見したこともあり、庁内管理職で手を打つのでなく、外部からの人材を検討してほしかったと思います。
※教育総合展(edix)2024 :
また後任の人事案件の賛否以前に、渡部前教育長のこの5年間に進めてこられた内容ーー探究的学び、教育DX、子どもの意見表明の場の拡充、大学連携、キャリア教育、教員向け教育研究等々ーーを振り返るとその穴があまりに大きく感じてしまいます。
今回教育長人事については、外部人材の登用はなされませんでしたが、以前いらした「教育監」のポジションを復活させ、教育を専門分野とする方に来ていただくことはこれからまだ検討できると思いますし、教育の転換期を乗り越えていくためにも、単なる「穴埋め」でなくよりよい「世田谷の教育」のための策をあきらめずに様々提案していきたいと思います。