今、山スキーメーリングリストではヘルメットの話題で盛り上がっている。
山スキーでヘルメットは必須か否か・・・いや、そもそも登山でヘルメットは必要なのか。
2014年9月27日、御嶽山の噴火事故が発生した。
噴火というより水蒸気爆発とされており、多数の噴石が空から降ってきたという。
あの事故以来、世の中は少なくとも火山に登るときはヘルメットを装着することが望ましいという空気に変わったと感じている。
自分もそれまでは暑いので帽子をメインに使っていたが、今は普通の登山でもヘルメットをかぶるようにしている。
まして山スキーでは転倒したり、滑落したり、木に激突するといった事故に遭遇する確率が格段に上がる。
ということで、個人的には山スキーにヘルメットは必須であると考えている。
ではどのようなヘルメットが山スキーにふさわしいのか。
ヘルメットと一言で言っても「工事用」、「自転車用」、「スキー用」、「登山用」といった、様々な種類のものが存在している。
ここでは「スキー用」と「登山用」を対象に比較(個人的な見解で)してみたいと思う。
◆スキー用ヘルメットの特徴
・後頭部まで覆われており、守備範囲が広い。
・耳当てが着いているモデルもあり保温性が高く、通気性も最低限。
・ゴーグルが装着できるようになっている。
・滑走用にできているので重い。
山スキーでは当然登っている時間が長く、汗もかくので「重い」というのと「保温性が高い=暑い」というのはマイナス評価である。
またゴーグルは考慮されているがヘッドライトの使用が考慮されていない点も課題となる。
スキー用ヘルメットはクリップがないのでヘッドライトを装着するのが困難
ゴーグルを装着するための機構は何かしら用意されている
◆登山用ヘルメットの特徴
・汗をかくことを想定して通気性が高く涼しい。
・重量も軽いものが多い。
・転倒や落石を想定しているものが多い。
・夜間歩行を想定し、ヘッドライトが装着できるようになっている。
登りのことを考えると登山用ヘルメットが山スキーには一番合っているのではないかと考えている。
問題は滑走でスキー用のものと比べると後頭部など守備範囲が若干狭く、ゴーグルの装着も考慮されていないことだ。
登山用ヘルメット。ヘッドライトを装着する爪が着いている。
後部はゴーグルを固定する機構はない。
(この写真のヘルメットは筆者が多少細工をしている)
また、厳冬期の山では厚手の手袋で行動することが多いため、ヘルメットの着脱も簡単にできることが望ましい。
一般的な登山用ヘルメットではあご紐の着脱がしづらいものが多い。
一般的なあご紐。分厚い手袋では着脱がしにくい。
リサーチした結果、自分はワイルドカントリーの「フォーカス」という登山用ヘルメットをカスタマイズして利用している。
このヘルメットは230gと軽量で、あご紐の着脱も非常にしやすい。
問題はゴーグルだが、女性のヘアゴムとプラスチックの壁掛けフック、滑り止めシールを使ってDIYにトライしてみた。
ワイルドカントリーのフォーカス。
登山用ヘルメットなのでヘッデン用のクリップは標準装備。
縁の白い滑り止めシールを装着してヘッデン、ゴーグルがずり落ちないように工夫した。
後部はヘアゴムと壁掛けフックをボンドで固定して滑り止めシールと組み合わせてゴーグル対応した。
こんな感じで地獄ゴーグルを固定。
ヘッデンももちろん問題なし。
このヘルメットの目玉であるあご紐はマグネット式となっていて、片手でも着脱可能な優れものだ。
ということで、多少の細工はした方が便利だが今のところこのヘルメットが総合力としては一番気に入っている。
こういった優れた道具が廃版にならなければいいと願っているが、得てして良い道具ほど改悪されてしまう傾向があるというのは悲しいことである。