記録的少雪、ここ数年毎年同じようなことを口にしているような気がするが今年は本当にその傾向が顕著だ。
まるで11月、12月の初冬のような積雪量に藪優勢の山肌。年が明けてそろそろ本気の寒波が来るかと思いきや長続きしない。
そして先週も結局ほとんど雪が降らない状態で週末を迎えることになった。
もう行き先を考えるのも面倒なのと松本のブンリンさんに用事があったので少雪でもそれなりに積雪量が期待できる乗鞍岳に向かうことにした。
こう書くとまるで自分が「仕方なく」乗鞍岳を選んだように聞こえるかもしれないが、自分にとってこの山は特別な思い入れのある山なのだ。一言でいうと山スキーのルーツ。この山がなければスキーも山スキーをやっていなかったかもしれない、自分の人生を運命づけた山のひとつでもある。
自分にとっての山スキーのルーツに関する記事はこちら👇👇👇
そして迎えた2/3の土曜日。乗鞍の天気は快晴予報。今日はガスガスの実の能力を発動するわけにはいかない。
スタート地点となる休暇村の気温は-11℃。標高1600mともなるとそこらの山頂からスタートするようなものなので当然寒い。
半分地獄装備に身を包んで歩き始める。ここ最近雪は降っていなさそうなのでラッセルはない。板もポンツーンではなく滑り重視のHelixをチョイス。今から滑りが楽しみだ。
2月のゲレンデとは思えない藪。雪が少ない。
かもしかゲレンデ手前から高天原と剣ヶ峰を見上げる。モルゲンロートが美しかった。
ピステン後の面ツルゲレンデ。滑りたい欲求を抑えて登る。
これでガスるはずがない。
ツアーコースも雪は多くないが沢は埋まっていた。
位ヶ原。雪崩ポイントなので左から巻いて登る。
森林限界を超えるといつものように大雪原が広がる。
乗鞍が好きなポイントのひとつが森林限界を超えたところに広がる大雪原だ。
延々と続く雪原の先に剣ヶ峰や摩利支天がそびえ立っている。日本でこんな景色が見られる場所はそう多くない。
苗場山の高層湿原や焼山北面台地も広くて素晴らしいがやはり2400mを超えると一味違う。
ここを歩くのも、滑るのも楽しい。繰り返しになるが山スキーのルーツがこの山だったからこそその魅力に取りつかれたと言っても過言ではない。
右手には槍穂。
今回はいつもの肩の小屋~剣ヶ峰を目指すルートとは異なり、高天原方面から南東面を登るルートを試してみることにした。
初めてのルートなので視界が良くて風がそれほど強くないタイミングが良い。そう、今回のようなタイミングだ。
位ヶ原から上は北西の風が強くなってきたので風を避ける意味でも高天原方面から巻いて登る計画はマッチしていると考えた。
高天原と剣ヶ峰のコルを目指して谷筋を登る。適度な斜度とシールが効く雪質で気分よく歩くことができた。
剣ヶ峰直下はカチカチ急斜面なので試練の登りとなった。風もあるので煽られないようにクトーで頑張る
振り返って高天原。美しすぎる。
剣ヶ峰登頂!
雲一つない天気で御嶽山、白山、槍穂をはじめ360°丸見え状態だった。
こんな絶好のコンディションの時は直登ルンゼを滑るしかない。
何度か狙っていたが視界がなかったりカチカチアイスバーンだったり雪崩リスクが高かったりでこれまでチャンスに恵まれなかった。
今日はオールクリア、少し斜面は硬いがエッジはかかる。よし、行こう。
ガリガリだが直登ルンゼへエントリー
中腹から滑走ルートを見上げる。ワイルドな景観だ。
大雪原へ向かって滑り込む。
直登ルンゼ(左)を振り返る。
ツアーコースも脇にパウダーが残っていて快適だった。
ラストは草と戯れて終了。
人気の山域なので登山者や山スキーヤーも多かったが今回のようにルートを選べば全然貸し切りも可能。(ツアーコース以外)
何度行っても飽きることがない乗鞍岳。また来年も再来年も訪れたい。
ルートやコースタイムなど詳細情報はヤマレコへ!