今回は北部白山のルートの中でも長大な中宮道を紹介したいと思う。
中宮道は石川県の中宮温泉を起点とし、間名古の頭やお花松原を通って御前峰を目指すルートで、全長18km、コースタイム14時間という超ハードなルートである。
アップダウンも多くメジャールートと比べてワイルドなのであまり安易な気持ちで分け入らない方が良い。
ただし、加賀禅定道や楽々新道とは違った味わいのある素晴らしいルートでもあり、苦労してでも何度でも歩きたいという気持ちにさせてくれる。
中宮温泉の登山口。ここからしばらく林道を歩く。
この橋を渡ったら本格的に登山道となる。
いきなり急で長い階段からスタートすることになる。
ハッキリ言って初めて訪れる場合はかなり登山口が見つけ辛い。
出だしは標高も低く、樹林帯の尾根の急登となるため夏場は汗だくになるかもしれない。
中宮道には小屋が2軒建っている。「シナノキ平避難小屋」と「ゴマ平避難小屋」である。
どちらも素晴らしい小屋ではあるが、シナノキ平は少し中途半端な位置にあるためゴマ平避難小屋の方が拠点としてよく利用されている。
森の中に佇むシナノキ平避難小屋
シナノキ平~ゴマ平の森は素晴らしく、ブナの紅葉は黄金の森となる。
たまにマムシが日向ぼっこしているので注意
2軒目の小屋であるゴマ平避難小屋。北縦走路との分岐に位置している。
中宮道の水場は主に2か所。
シナノキ平避難小屋の手前の沢とゴマ平避難小屋の裏にある沢だ。
前者はたまに枯れることがあるが、後者のゴマ平の避難小屋はまず枯れないし冷えていておいしい。
ゴマ平避難小屋の裏にある水場。まず枯れることはない。
ゴマ平避難小屋を過ぎて2077ピークの巻きに入ると一気に視界が開けてボーナスステージ突入となる。
森マニアはゴマ平までの区間も楽しめると思うが、自分のように森林限界を超えたいタイプの登山者にとってはここから先が天国となる。
うぐいす平
地獄覗。その名の通り地獄谷の展望台だ。
まさに地獄の景色
「北弥陀ヶ原」まで来るとボーナスステージもクライマックスとなる。
花、紅葉、池塘、庭園、眺望など、どれひとつとっても一級品である。
北弥陀ヶ原。コバイケイソウやニッコウキスゲが出迎えてくれる。
ニッコウキスゲは北弥陀ヶ原のシンボル
美しい池塘とお花畑が広がる
同じ場所でも秋には素晴らしい紅葉で彩られる。
日本庭園とハクサンコザクラの花畑
剱岳、立山や御嶽山、乗鞍岳、槍ヶ岳など、北アルプスもすべて見通すことができる
運が良ければ北縦走路にかかる雲海や滝雲が見られるかもしれない
北弥陀ヶ原を過ぎると次のアトラクションである「お花松原」に至る。
中宮道を下から辿るとなると前述の通りかなりハードな道のりとなるが、お花松原だけであれば室堂や御前峰からアプローチすることも可能となり、実際この場所を目当てに上から訪れる登山者も多い。
お花松原上部から眺める剣ヶ峰と大汝峰。
秋にはこの素晴らしい紅葉が待っている
お花松原の標柱
お花松原といえば「クロユリ」。
この一帯だけすごい匂いが充満している。
お花松原の周辺はナナカマドが多く、当たればこんな景色を見ることができる。
お花松原からヒルバオ雪渓にかけてはナナカマドの森となる。
この一帯は雪が多く、7月を過ぎてもまだ多くの雪が融けずに残るため他の場所と比べると葉の痛みも少なく紅葉も素晴らしい。
ヒルバオ雪渓の紅葉
ヒルバオ雪渓から剣ヶ峰・大汝峰を望む
山スキーヤーにとって春のヒルバオ雪渓は格好のゲレンデとなる
ヒルバオ雪渓から大汝峰にかけて最後の急登が待ち構えるが、ここをクリアしたらいよいよ中宮道も終点となる。
室堂で一泊するのもよし、楽々新道や加賀禅定道へ周回するのもよし、色々なバリエーションを楽しむことができる。
下山したら是非中宮温泉のくろゆり荘へ。
源泉かけ流しの温泉やランチで疲れた体を癒しながら至福の時間を過ごそう。
下山後は中宮温泉のくろゆり荘へ
露天風呂はないが飲める温泉がここの売り。おいしいです。