深田久弥の「日本百名山」では、新潟県の山が10座と全体の1割です。県内で最初に取り上げられた越後駒ケ岳(標高2,003m)は、「魚沼駒ケ岳」と書かれています。
 『魚沼三山と呼ばれるのは、駒ケ岳、中ノ岳、八海山である。…私があえて三山の代表として駒ケ岳を挙げたのは、山としてこれが一番立派だからである。』と、深田氏の記述は明快です。

イメージ 1
                                        WHITE WATSON F4/ HOLBEIN
 
 越後駒ケ岳は、標高はそれほど高くないが、東側(水無川側)と北側(佐梨川側)は標高200-300mの山麓まで一気に落ち込んだ天然の大障壁をなし、迫力あるアルペン的雰囲気を見せるのがこの山の特徴の一つです。とにかく人が暮らす里からいきなり2000メートルの山が立ち上がっているような、メリハリのある風景が広がります。
 
 どこから見ても、なるほど堂々とした山容であり、氏の言う「立派」と言うのも自然な感じがします。それを間近に眺めるのにはいろいろと好みがあるが、三山の一つの八海山からもよいように思います。
 八海山の登山コースは、標高1200mまで八海山スキー場のロープウェイ(通年)で一気に上がるコースが一般的で、四季を通じて時々登ります。
 何年か前の2月に登ったときは、スケッチの水や絵筆が凍って記念になる不思議な絵ができたことがあります。
 登山中のスケッチは、息切れや、疲れ、暑さ、寒さ、下山の時間配分などで、いつもじっくりと描けません。快適な時季であっても、この越後駒ケ岳の堂々とした存在感は、自分の水彩の拙い技量と感性ではとても表現できません。いつも打ちのめされた気持ちになってしまいます。
 
 
 あの目にしみるような新緑から、もはやどこを見てもすっかり落ち着いた緑の初夏の装いになっています。降り続く雪であたりは白一色の毎日、刺身のつまの緑の海草にハッとするような、あの気持ちはどこに行ったのでしょうか。
 それでも、海辺での写生で歩いていると、緑の色がない磯やコンクリートの水辺に、打ち上げられているアオサの緑にはやはり懐かしさを覚えます。

イメージ 1
                       WHITE WATSON F4  /  HOLBEIN

 アオサは世界各地で普通に見られるとのことで、海岸に打ち上げられた状態でもよく目にします。成長が早く、時に大繁殖することがあり、とくに中国では海岸一面が芝生に見えるほどの年があるという話を聞いたことがあります。大繁殖したアオサは漁網に絡まったり、沿岸に漂着したものは腐敗して悪臭を発したりして問題になることがあるようです。
 やっかい者のように言われることがあるようですが、実は、海水中の炭素や窒素、リンなどを効率よく吸収するため、海水の浄化に寄与している一面も持つとのこと。また、アオサには40%以上の食物繊維、牛乳の約8倍のカルシウム、ほうれん草の2倍多い、ビタミンA、ビタミンB12も豊富という栄養素の面からは価値が大きい、とwikiにありました。

 以前は、3月頃やわらかいアオサをとりに海辺に出かけることがありましたが、最近はスーパーで買ってきて春の色を楽しんでいます。
 
  
  里山にタニウツギ(谷空木=スイカズラ科の落葉小高木)が咲き始めると、春が終わり山は初夏の装いです。
 里山の沢沿いを歩いていると、両斜面が淡くも燃えるような紅色の花々で延々と彩られていることがあります。とくに雪崩が起きる傾斜地では高い木は成立しにくく、しなやかなタニウツギのような低木類が群落をつくっているのを多く見かけます。その花は群がるように咲き、新緑によく映えて見事です。つぼみの時期はその紅色がとりわけ濃く鮮やかで、間近に見ると実に美しい。
イメージ 1

                      WHITE WATSON F2  / HOLBEIN

 花の盛りの頃は、山火事になったように見えることから、「火事花」と呼ばれるようになったとも聞きます。火事のほかに縁起でもないことと結び付けて、シビトバナ(死人花)、ソウシキバナ(葬式花)などと呼んで、家に持ってきたり、庭に植えることを忌み嫌う風習もあるようです。地方によっては、ヒガンバナを火事花と呼ぶらしい。

  このように美しい花だというのに、昔から縁起の悪い花として扱われてきたタニウツギが気の毒になってきます。
でも、花言葉には「豊麗」、「豊かで美しい」「豊穣」などとあるのがすこしの救いです。
 
    ふるさとの山くれなゐに谷空木 (高橋梓)





 
 春はことのほか季節の進みが早い。初めの頃は時々雪が降り、そのうち夏のような日もでてくる。
 野外でのスケッチにはよく出かけるが、緑や花々の変化、残雪のなくなり方など、あっという間である。とくに、桃などの花は、受粉の関係から花期が短く、写生にちょうど良い時期はほんの数日間のような気がする。

イメージ 1
                       WHITE WATSON F4  /  HOLBEIN

 この絵の信州の桃源郷とも言われる「丹霞郷」(たんかきょう)の桃畑には、数年前に行きましたが、日がとれずにやはり開花の直前でした。鉛筆スケッチだけして、翌春ベストの時期に10号か20号を楽しもうと思っていました。
 ところが、その後も花の時期とこちらの都合が合わず、とうとう今年も行けませんでした。この日の2枚のスケッチは、未完成のままいつまでも決まりがつきません。そこで、こちらの小規模ながらの桃畑の様子を参考に、桃の花真っ盛りの丹霞郷をイメージしながら彩色をしてみました。
 
 真ん中の飯縄山(1,917m)の残雪はこれくらいだっただろうか。右隣の戸隠山(1,904m)、黒姫山(2,053m)などはどうだろうかなどと、部屋の中でイーゼルに向かっていても、何かいまひとつ楽しくありません。来年の春こそ日を合わせて、ぜひ現場で心ゆくまで描いてみたいと思います。
 ちなみに、丹霞郷については次のような説明がWEBにありました。

 「丹霞郷」(たんかきょう)は、長野県飯綱町の南部に位置する桃畑である。約10haの広さに1,500本の桃木がある。丹霞郷の名前の由来は、1933年(昭和8年)春、桃の花の満開のころ、洋画家 岡田三郎助がこの地を訪れたところ、「まるで丹(あか)い霞がたなびいているようだ。」と言ったことから命名された。毎年5月の連休ごろ、地元住民主催により「丹霞郷花まつり」が開催される。



 
 新潟県妙高市にある妙高山(2,454m)は、日本百名山、北信五岳の一つであり、弥彦山と並び新潟県を代表する名山です。 古くから越後富士(えちごふじ)とも呼ばれてきました。 
 連なる火打山(2,462m)、新潟焼山(2,400m)などの「妙高連峰」「頸城三山」の中ではこの妙高山が最高峰です。美しい景観、豊富な高山植物、ニホンライチョウの生息地などとして貴重な自然の宝庫とも言うべきこの山塊は、1956年、上信越高原国立公園に指定され、2015年には分離して「妙高戸隠連山国立公園」となりました。

イメージ 1
                       Stillman&Birn    14X22  /  HOLBEIN
  この三山は標高もかなり高く、魚沼地方の里山の頂上などからも南西約80キロの彼方にに望むことができます。遠いだけにさすがに小さく見えますが、空気が澄んでいるときには意外とはっきりと見ることができます。
 御嶽山(魚沼市)の頂上で、双眼鏡の視野に夕焼け雲を背景に妙高三山が浮かび上がります。やはり高いな、などと思いながらスケッチをしてみました。夕方のため、絵の具が乾かず色がすっかり濁りました。右手に筆、左手に持つ古い10倍の重い双眼鏡の視野はブルブル震え、日没にせかされてのスケッチでした。
イメージ 2
 
 帰宅してカシミールというソフトで、面白半分に試しに自分のデッサンと実際の景色を比較。デフォルメと意識したわけではないですが、やはり距離と標高だけに気持ちが行ってしまい、山の形などが実際とだいぶ違っていました。ま、絵だからいいかということにしました。