里山にタニウツギ(谷空木=スイカズラ科の落葉小高木)が咲き始めると、春が終わり山は初夏の装いです。
 里山の沢沿いを歩いていると、両斜面が淡くも燃えるような紅色の花々で延々と彩られていることがあります。とくに雪崩が起きる傾斜地では高い木は成立しにくく、しなやかなタニウツギのような低木類が群落をつくっているのを多く見かけます。その花は群がるように咲き、新緑によく映えて見事です。つぼみの時期はその紅色がとりわけ濃く鮮やかで、間近に見ると実に美しい。
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                      WHITE WATSON F2  / HOLBEIN

 花の盛りの頃は、山火事になったように見えることから、「火事花」と呼ばれるようになったとも聞きます。火事のほかに縁起でもないことと結び付けて、シビトバナ(死人花)、ソウシキバナ(葬式花)などと呼んで、家に持ってきたり、庭に植えることを忌み嫌う風習もあるようです。地方によっては、ヒガンバナを火事花と呼ぶらしい。

  このように美しい花だというのに、昔から縁起の悪い花として扱われてきたタニウツギが気の毒になってきます。
でも、花言葉には「豊麗」、「豊かで美しい」「豊穣」などとあるのがすこしの救いです。
 
    ふるさとの山くれなゐに谷空木 (高橋梓)