マイヤー事件１６

お立ち寄りくださって　いつもありがとうございます

前回の続きです。

マイヤーさんの大旅行当日のお話。

第３１回会見　１９７５年７月１７日　木曜日　午前１０時１４分

どうぞ～

＊　　・・・　マイヤー

セム　・・・　セムヤーゼ

セム　　今日は貴方にとって、とても重要な日です。

＊　　　前回の想念伝達で貴方がお話したことを吟味した後で、私もそう考えるようになりました。

セム　　貴方は憂慮したに違いありません。それは予想していました。

　　　　まず大事な事からお話します。

　　　　今回の旅行のある事柄については秘密を守って貰わなければなりません。

　　　　これから体験する全ての出来事を記録することに関しては、後で許可が与えられます。

　　　　後日、報告用の内容伝達の際は、機密事項は全て省略して伝達します。

　　　　いよいよ出発です。

　　　　まず最初に私達は貴方がたの太陽系を旅行します。

（私達は宇宙船へ向かって歩き出した。すると輸送光線によって船内に引き上げられた。

　数秒後、宇宙船は高く浮き上がった。高度５０メートルまでくると、私はカメラを地上へ向け、出発地点付近のスライド写真を撮るために数回シャッターを押した。

　その写真は垂直方向とやや傾斜した方向から撮った。

　私達がゆっくりと昇って行く間、まだ開いている輸送光線の昇降口の垂直空間からこの写真を撮った。

　撮影が終わると、セムヤーゼが昇降口を閉めた。するとあっという間に数キロメートル上昇した。

　私はその反動やその他の変化をいささかも感じなかった。まるで地上の大地にしっかり立っているようだった。

　宇宙船はいろんな方向に急に進路を変えたが、私には何の影響も感じられなかった。

　船が大きな振子のように不規則な運動をしながら飛行するのを舷窓から眺めた。）

セム　　今私達は地球の引力圏から離れます。

＊　　　一体どこへ向かうのですか？

セム　　最初に金星へ行きます。カメラで撮っても構いません。

＊　　　金星人はいますか？金星人の写真が撮れますか？

セム　　冗談がお好きね。すでにはっきり説明したように、この惑星にいかなる人間も存在しません。

＊　　　ええ、知っています。

　　　　ただ貴方がどんな反応を示すか確かめたかっただけです。

セム　　判っています。

　　　　貴方は、金星人と会見したと主張している詐欺師達のことを考えたのですね。

＊　　　その通りです。

セム　　貴方の思考方法は時々理解に苦しみます。

　　　　こちらを御覧なさい。

　　　　この機械は貴方が良い写真を撮れるようにと、私達が作ったものです。

　　　　これで貴方のカメラをこのスクリーンの前に出し、船外の光景を撮ります。

　　　　この透明な物質を通して見ると、あたかもガラス板を通して見るように外界がよく見えます。

　　　　そのそばにある装置は様々な光線を作り出し、被写体の様々な色調を鮮明にさせたり、元の色をしっかりとらえ、それをフィルムが正確に記録するのです。

　　　　これで貴方はとても良い写真が撮れますわ。

　　　　私達はそう期待します。

　　　　私達の方からもカメラを用意しました。

　　　　貴方のものによく似ています。

　　　　もし貴方のフィルムを貸して下されば、私達のカメラで撮ってあげます。

＊　　　ぜひどうぞ。

　　　　前にも一度聞いていましたが、貴方がたの別の面の写真技術に驚きました。突然立派なカメラを持ってきましたね。

セム　　（小声で笑いながら）これは貴方がたの技術です。

　　　　私達の一人が貴方がたの技術を参考にして作ったものです。

＊　　　これは驚きました。

　　　　貴方がたは私達の村や町に入ったことになりますが。

セム　　それがそんなに珍しいですか。

＊　　　貴方はいつも宇宙服を着ていますから、そういう格好で私達の町を歩けないでしょう。

セム　　そうです。でも、地球人の衣服も持っていますわ。

　　　　ですから地球人の間に紛れ込む時は、それを着けますの。

＊　　　それは別に驚きません。

　　　　ですが、何故貴方は私と一緒に一度も出掛けないのですか。

セム　　いつか一緒に出掛けましょう。

＊　　　それは素敵だ。

　　　　しかし私達には警察というものがあって、警察官の機嫌を少しでも損なうと、厳しく取り調べられますよ。

　　　　もし身分証明書を要求されたらどうしますか。

セム　　そういう疑問が起こるかもしれませんが、心配無用です。

　　　　私達はそのような証明書は全然持っていません。

　　　　私達はそういう形式の身分証明書を必要としないからです。

　　　　万一、それを要求されたら、思念力によってうまく切り抜けます。

　　　　その方法は、その警官に私達の想念の力を利用して偽の心象書を作り出し、地球に実在する人物の役を演じて見せるのです。

　　　　そうすると、彼は証明書を手に入れたと思い込み、検査を始めるわけです。

＊　　　それは詐欺です、セムヤーゼ。

セム　　いいえ、違います。

　　　　それはただいわゆる、幻覚を作り出すだけです。

＊　　　それはそうでしょうが、この話はよした方がよいでしょう。