大人がバレエを習うということ⑨ ~そのプライドは必要ですか?~ | サクラバレエ 

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サクラバレエは岡山市にある“大人からはじめる本気のバレエ教室です。
ワガノワメソッドに基づいた大人向けカリキュラムで段階を踏んで上達
出来るよう1人1人丁寧に指導しています。未経験の方ぜひどうぞ!
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毎週火曜日に連載中の『大人がバレエを習うということ』シリーズ

9回目となる今回のテーマは、

『そのプライドは必要ですか?
      ~あなたの人生は輝くためにある~』



(バレエを習ってみたいな。)

(バレエを習ってみようかな?)

(大人からの本気のバレエ。面白そうだな。やってみたいな。)

…そんな風に思ってくれている人が最近増えてきているようです。

けれども、それと同時に、こんな風に感じてしまう人も多いようです。

(いやいや、この私がバレエを習うなんて…)

(しかも、この歳でバレエを習うなんて…)

(ムリでしょ。)

(もともと、バレエってキャラでもないし…)

(身体も硬いし…)

(バレエと言えば、お嬢様の習い事でしょ?私、お嬢様じゃないし・・・)

(バレエを習いたいなんて、人に話したら、笑われちゃうんじゃないかしら・・・)

(しかも、本気でバレエを習いたいなんて、「どうしたの?熱でもあるの?」と言われてしまいそう・・・)

このように、

「大人からバレエなんて、私には似合わない」

「大人からバレエなんて、誰かに笑われるんじゃなか」

そう考える人が多いようです。

けれど、私はこう言いたいのです。

「笑われたっていいじゃない。」

そもそも、(誰かに笑われる)の(誰か)って、誰です?

その人は、あなたにとって重要な、大切な人でしょうか?

きっと、そうではないと思います。

なぜなら、大切な人なら(誰か)という表現の仕方はしないからです。

○○さんに笑われちゃう、というように、個人が浮かぶはずです。

その誰か、が不特定多数の人であり、今のあなたにとって大切な人ではないのなら、いいじゃないですか、どう思われたって。

笑われたっていいじゃない。

笑ってもらっておけば、良いと思います。

「へんなの~」って言われたら、

「へんよね~」って言っておきましょう。

「え~、似合わないよ~」って言われたら、

「そうだね~、似合わないね~」って返しておきましょう。

「いい歳して、よくやるね~」って言われたら、

「そうなの~、いい歳してよくやるでしょ?」ってサラッとかわして、ウインクしておきましょう。

そういう人達の声は、あっさりと、振り切っちゃいましょう。

人生は一度きりです。そして、とても短いのです。

そんな言葉につきあって、いちいち傷ついてあげる必要はありません。

大人はそんなにヒマじゃありません。

振り切って、楽しんで、輝いちゃいましょう。

楽しみながら、何かをしている時。

一生懸命何かをしている時。

人は輝きます。

輝いている人を笑ったり、バカにする人は、幸せではない人です。不幸な人です。

放っておいてあげましょう。

そして、自分自身がサッサと先に進んで、輝きながら、その人の行く道を照らしてあげましょう。

こっちだよ、と。

よかったら、いつかおいでね、と。

あなたが好きなことをして、楽しんでいるのを見て、喜んでくれる人や、応援してくれる人は、あなたのことを好きな人、あなたを大切に思ってくれている人です。

その人達を大切にしましょう。その人達の方を向いて行きましょう。



さて、次に、バレエを習ってみようかな?と思った人が考えることを検証してみたいと思います。

(レッスンに全然ついて行けなくて、恥ずかしい思いをするのでは?)

(身体が硬すぎて、恥ずかしい思いをするのでは?)

(運動があまり得意ではないので、おかしな動きをして、恥をかくのでは?)

多くの人の頭の中を、こういった考えがよぎるようです。

新しいことを始める時には、あれこれ考えますよね。

心配はつきないと思います。

…ですが、安心して下さい。

どっちにしても、恥はかきます。

なぜなら、あなたが習おうとしているのが、バレエだからです。

よく言われることですが、バレエはむずかしいです。

バレエの教師が言っているのだから、間違いありません。

だから、はじめてのバレエは、笑っちゃうくらい、みんな出来ない。

いや、ついていくのに必死で、おそらく笑う余裕すらないはずです。

人生で初めて足を踏み入れた、クラシックバレエのレッスン場で。

慣れない人達に囲まれながら、やったこともないストレッチをやる訳です。

バーレッスンがはじまると、先生は聞いた事もないフランス語をバンバンはさみながら話しているし(レッスンは日本語ですが、バレエ用語がフランス語なので、はじめての人はチンプンカンプンなはずです)

バレエで一番最初に毎回必ずやる、プリエという動きがあるのですが、初めてやった人には、これがもう、お相撲さんの、「どすこ~い!」という動きにしか見えません。

先生や上手な人がやると優雅なのですが、初心者さん達は、ほぼほぼ、「どすこ~い!」になります。

あれ?私が習いに来たのは、もしかしてお相撲だっただろうか…。
そう思ったであろう人は、数知れず。

それに、さっきまでフレンドリーだったはずの先生からは、(話しかけてはなりませんよ)オーラがビシバシ出ていますし、わからないことを聞こうにも、レッスン中は私語禁止です。

あまりにも困っていると、生徒の中で慣れている人が「こっち」とか少しは助けてくれますが、あまりしゃべると、先生に「コラッ」と言われるし、サッサと動かないと他の人達を待たせてしまうので、全力で空気を読みながら動くしかありません。

センターレッスンと言って、フロアに出て動く段階になると、もはや右も左もわからず、ステップの説明もなく、先生に言われたとおりの動きを前の人を見ながら、見よう見まねでやるしかありません。

レッスンの最後はクロスフロア、フロアを何人かずつのグループで斜めに横切りながら踊っていくのですが、ステップはわからないが、ついていくしかない。

もう、一か八かの世界です。

そんなオロオロしている自分の姿を壁一面の大きな鏡が映しているのです。

そして、他のグループの人達も見ていたりするのです。

もう地獄ですね。こりゃ。 ← 自分で書いておいてなんだ。

だけどね、バレエを舞台で踊るためには、ここを乗り越えられるくらいの度胸がいるのです。

しっちゃかめっちゃかでも、くらいついて行けるくらいの、根性がいるのです。

舞台の上では、誰も頼れません。

みんなで踊っていても、最後は1人なのです。

誰もあなたの代わりに踊ってくれる人はいないし、なにかあっても(お客さんが観ていますからね)助けてあげられないのが舞台芸術だからです。

そこで、逃げるのか。

それとも、(なにくそ!)と立ち向かえるのか。

これが、バレエを続けられるかどうかの試金石なんです。

バレエを習う人に訪れる、最初の試練です。

バレエを習うためには、どうしてもここを超える必要があります。



さらに、初めてレオタードを着てレッスンを受ける日。

これも、か~な~り!恥ずかしいです。

他人から見るとなんてことないんですよ。ああ、可愛いなぁ、素敵だなぁ、似合ってるなぁ、と思うのですが、本人はなにしろ見慣れていないので、ほとんどの人は

『レオタードを着るのが恥ずかしかった。』と言います。

中には、恥ずかしさのあまり、自分のレオタード姿に思わず大爆笑する人もいるようです。

でも、笑っている場合ではありません。

ここも、超えなくてはならない壁なのです。

バレエのレッスン場では、レオタードになるもの。

レオタードの上にウェアを着ている状態は、プールの中で水着の人達に混ざって洋服を着ているようなもの。

逆にとても不自然ですし、上手になりません。

ここでも、自分がレオタードになることから、

…逃げるのか。

…立ち向かうのか。

バレエはこれの繰り返しです。

誤解をおそれずに言うのなら、バレエのレッスン場というのは、恥をかきに行くところ。

失敗をしに行くところ。

舞台の上で、堂々と踊るために。舞台の上で成功するために。

そのために、練習する場所がレッスン場なのですから。

レッスン場は失敗が許されるところ。

これは、大人にとっては、嬉しいはずです。

大人になると、失敗が許されないことが多くなる。

失敗が許されない環境に身をおくことが多くなるのです。

だけど、バレエのレッスンではそれが許されるのです。

失敗し放題です。

ちなみに、サクラバレエでは、本番でも失敗OKです。

練習不足が原因の失敗は、本人が後悔するので、手放しで褒めてあげる、という訳にはいきませんが、どうして練習不足になったのか、その原因を探ることで、次の成功へと繋がります。

挑戦して失敗したということは、それだけ、“挑んだ”ということです。

“ベストをつくした”“自分の限界に挑戦した”ということになります。

コンクールなどで戦略として完成度を高めたり、本人がその舞台で100%の完成度で踊ることを目標としている、などの場合は別ですが、

基本的に舞台での失敗は、“守りに入らなかった”“挑戦した”ということ。

高く評価されてしかるべきだと思っています。

フィギュアスケートなどでもそうですが、ジャンプの大技を失敗したからと言って、「真央ちゃん下手だな」なんて思う人はいない訳です。

彼女が上手なのは、みんな知っている訳です。

お客さんは、

「今日は調子が悪かったのかな。次は成功すると良いな。」と思うくらいです。

未来のために、今、挑むこと。

これが、とても大切です。

これは、踊りだけではなく、人生の選択や色々なことにも言えます。

何事も、失敗しないと、成功しない。

何事も、失敗しないと、上手にならない。

…ですから、


プライドを捨てないと、絶対に手に入れられないもの。

プライドを捨てないと、絶対に出来るようにならないもの。

プライドを捨てないと、絶対に美しくならないもの。


それが、バレエです。


プライドを捨てて自分自身と向かい合い、欲しいものにまっすぐに進めた時に、人は強く美しくなるのです。

バレエを習いはじめる事は、その最初の一歩なのです。



話が少しそれますが、大人バレエの良さをもう1つ、お伝えしたいと思います。

人は、年齢を重ねて大人になると、出来ないことが減って行きます。

経験や年月を積み重ねるうちに、子供の頃に出来なかったことの多くが出来るようになって行きます。

それと同時に、“初めて”の経験も少なくなって行きます。

“初めて”経験することは、楽しいものです。

海外旅行が楽しいのは、生まれて初めて見るもの、聞くもの、触るもの、体験するものがとても多い、というのが大きな理由のひとつになっていると思います。

ところが、歳を重ねるごとに、そういった“初めて”のことは減って行きます。

人生で“初めて”経験することは、好奇心を満たしてくれますし、

出来ないことが出来るようになることは、達成感や自信を得られます。

ところが、大人になると、こういった達成感や自信を得られる機会や、好奇心を満足させてくれる経験が少しずつ減って行きます。

人生に刺激が少なくなり、色々なことにエネルギーを使って、ヘトヘトになることは少なくなりますが、同じような毎日の繰り返しになって行きます。

大人になると、大失敗して落ち込んだり、出来ないことが口惜しくて涙したり、見たことも聞いた事もない世界で途方に暮れることがなくなるかわりに、

誰かと手に手をとって喜び合ったり、明日が来るのが楽しみで、わくわくして眠れなくなったり、情熱を燃やして熱中したりするような機会がなくなっていきます。

失敗しないけれど、ただ、それだけの毎日。

人の目を気にして、失敗を怖れて、好きなことをあきらめて、自分のプライドが傷つかないように生きていく人生が、幸せだと言えるでしょうか。

そのまま、歳をとり、人生が終わっても、後悔しないと言えるでしょうか。



もしあなたが、今ここで、自分のプライドを捨て、勇気を出して、バレエの世界に飛び込んだなら。

そして、もしあなたが、バレエに夢中になることが出来たのなら。

バレエは、出来ないこと、初めてやることがてんこ盛りです。

やりがいもてんこ盛りだし、ワクワクもドキドキも、情熱もてんこ盛りです。

バレエは、とにかく飽きません。

憶えること、やることが沢山あります。

一生飽きない。

逆に言えば、それだけ幅が広く、奥が深く、目指すところ、頂点が高いのです。

もうね、エベレスト級なんです。

だから、他人の目なんて気にしている場合じゃないんです。

それはまるで、高い岩山に、体当たりで、ガッシガッシと登るかのように。

大人バレエというのは、全力でぶつかり、挑み続ける日々なのです。

傍から見ていると、カッコ悪い姿かもしれません。

だけど、実はこれが楽しくて仕方がない。

「次はあのルートからじゃ~!」

「今度は、勝負靴で挑むぞ~!」

「次は私が先頭をつとめます!」

「あのガイドさんは穴場ルートに詳しい!絶対キープだぁぁ!」

なんて、みんなであーだこーだ言いながら、挑んで行くのです。

時には、

「こっちの方が足場が良かったよ」

「ありがとう。こっちのルートは風が強いから気をつけて」なんて情報交換したり。

また、時には、

「あのチームには負けない!絶対うちが先に着く~!」

「いやいや、うちは期待の新人が入ってきたから、うちの方が先についちゃうよ?」なんて、競争することで、より早い攻略が目指せたり。

メンバーは全員、岩山へ体当たりしているので、誰も他人のことなんて気にしません。

岩山からずり落ちても、はげましてくれる人が必ずいます。

その人も、泥だらけ。

みんな、泥だらけ。

みんな、ずり落ちてる。

この格好悪さを超えないと、バレリーナにはなれない。

岩山を登らずにバレリーナになった人など、1人もいないのです。

全員がプライドを捨てて、岩山に登りはじめるところから、スタートしているのです。

大人は子供よりも生きている年数が多い分、プライドがあります。

そこが、大人バレエのむずかしさでもあります。

大人バレエで大切なことは、プライドを捨てること。

それは、中学生・高校生の時に部活に明け暮れて、毎日毎日練習していた頃に似ているかもしれません。

また、子供の頃、公演の砂場や遊具で一日中遊んだ、それに似ているかもしれません。

大人からはじめた人が、よく自問自答する言葉。

「大人が本気でバレエを習って、何を目指すの?」

この答えが、ここにあります。

…一日中、泥だらけになって遊んだ、あの充実感。

一緒に遊ぶお友達と、(時にはケンカもしながら)協力して、

今までで一番大きな砂山をつくることに夢中になった日々。

いつか、ジャングルジムの一番高いところに登るんだ、とその日を夢見る幸福感。

中学生、高校生で言うならば。

土日も、夏休みも登校して、部活に明け暮れた日々。

一緒に頑張る仲間達と切磋琢磨しながら、「いつか県大会に出るんだ!」と。

野球部なら、「目指せ!甲子園!」と。

情熱を燃やし、充実した日々を送ること。

それが、大人バレエなのです。

だから、サクラバレエは大人に本気でバレエを教えるのです。

なぜなら、これは“健康や美容のためのバレエ”や“楽しい趣味としてのバレエ”では、絶対に経験することが出来ないことだからです。

そのためには、まず、最初のレッスンで、
「どすこ~い!」ってなって、「あちゃ~」ってなることが大切なんです。

ええい、もう、格好がどうの、恥ずかしいがどうの、なんて言ってる場合じゃない!と開き直れることが大切なのです。

プライドなんて、どこかへ吹き飛ばして、

誰がなんと言っても、

誰かに笑われても、

私はこれをやるんだ!と腹をくくること。

それが、大人バレエには、大切なんです。

(笑ってごまかしたり、バレエのユニフォームであるレオタード姿になれないうちは、補欠どころか、ベンチにさえ入れませんよ!)

そうやって、練習に熱中したり、公園で軽やかに楽しそうに遊ぶ人達を見に、多くの人達が集まってくる。

そのうちに、メンバーの中からスター軍団があらわれるキラキラ

ジャニーズで言うなら、SMAPあり、TOKIOあり、嵐あり、関ジャニあり、Hey!Say!JUNPあり、Kis-My-Ft2あり、になる訳です。

そして、その人達を見にさらに人が集まってくる。

それがやがて、バレエの“公演”であり、“舞台”と呼ばれるものになるのです。

さぁ、皆さんも

「どすこ~い!」と、プライドを捨てて。

楽しく、生き生きと、輝いて下さい。



サクラバレエは、今はまだ小さなバレエ教室ですが、

野球で言うなら、甲子園を目指していますキラキラ

大人ばっかりで、甲子園を目指していますキラキラ

本気です。

大真面目です。

なぜなら、サクラバレエもまた、岩山に登っているからです。

代表である私は、とっくの昔に、プライドは捨てました。

今頃、どこかでワンコがくわえて、遊んでいることでしょう。

…笑われても良い。

…バカにされても良い。

「大人バレエ、大変そうだけど、楽しそう!」って言ってくれる人達と。

「ついて行きますぜ、師匠!」と言ってくれる人達と一緒に。

泥だらけになって、山頂を目指します。

…どうせ目指すなら、高い山の方が面白い。

やりがいがあります。

ジャニーズで言うなら、嵐になって、ドームツアーを目指す!キラキラ

公園で言うなら、シルク・ドゥ・ソレイユを目指す!キラキラ

(おお!我ながら、大きくでたな!)

人生は一度きり。

好きなことに、夢中になって、みんなで楽しみましょう!


 

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