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毎週火曜日連載中の「、『大人がバレエを習うということ』シリーズ。
3回目となる今回のテーマは、先週に引き続き、
『バレエを習う覚悟は出来ていますか?
~バレエは気軽に習うものではない~ 後編』
です。
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前回、バレエを習うには覚悟がいる、として2つの理由を上げさせてもらいました。
①バレエという文化・芸術は、日本で言うと“歌舞伎”と同じで習得することが簡単ではないから
②簡単ではないバレエは一度やめてしまうと、(よほどの覚悟がなければ)何度もやめてしまうから
①については、前回書かせて頂いていますので、今回は②についてのお話です。
少し前にブームになったこともあり、最近は大人からバレエを習う人が本当に増えたのですが、その数に比例して、せっかく習ったバレエをすぐにやめてしまう、もったいないケースがとても多いのです。
一番多いのが、レッスン3回目くらいでやめてしまうバターンでしょうか。
それから、3ヶ月~半年くらいで、やめてしまうバージョン。
さらに、3年未満でやめてしまうケースも。
せっかく習い始めたバレエ、やめてしまうのは、もったいないですよね。
やめたことのある人に、その理由をたずねると、一番多いのが
「先生が怖かった。」
次に、
「難しすぎてついていけなかった。」
「お休みがちになって、フェードアウトしてしまった。」
などです。
たしかにバレエの世界では、私達教師から見ても、(う~ん、この先生は必要以上に厳しくしていらっしゃるなぁ)と思うこともありますし、
大人の場合は、子供が中心のバレエ教室に通った場合、大人が受けられるクラス数が少ないため、初心者も経験者も大人も子供も一緒のクラスでレッスンしていたりするため、初心者さんには、あまりにも難しすぎるレベルのレッスンになっているケースも少なくありません。
そのような場合は、思い切ってお教室を変わる、というのも一つの手だと思います。
ただし、バレエというのは基本的に
『バレエの先生は怖くて厳しいもの』であり、
(厳しすぎるのは百害あって一利なし、だと思いますが)
『バレエは難しいことに挑戦していくもの』であり、
『バレエはお休みしたら負け』なものなのです。
これらのことは、バレエの世界にいる人達にとっては当たり前のことなのですが、バレエと言うのは、
(師匠の背中から学べ)
(三歩下がって師の影を踏まず)
という世界ですので、こういったことは本や雑誌などにはほとんど書いていないんですよね。
ですから、これからバレエをはじめよう、という人は、身近にバレエを習っている人がいるか、石橋をバシバシ叩いてから渡るタイプの人でなければ、ほとんどの人が知らないと思います。
だから、気軽にバレエをはじめて、すぐに辞めてしまうというケースがとても多いんですね。
ところが、一度やめてしまうと、それは一つのザセツ体験、になってしまって、心が折れやすくなってしまってしまうのです。
勇気を出して、もう一度違うバレエ教室に通っても、苦い経験がよみがえって来て、またやめてしまうことも多いのです。
このような悲しいケースを少しでも少なくするためには、これからバレエを習いたい、と思っている人は、まずはバレエの世界のことを知っておいてもらうと良いのかな、と思います。
なぜ、『バレエの先生は基本的に怖くて厳しい』のか。
なぜ、『バレエは難しいことに挑戦していくもの』なのか。
なぜ、『バレエはお休みしたら負け』なのか。
そうすれば、バレエの先生が少しくらい怖くても、
「きたきたきた」と思えるでしょうし、 ← 本当に?!
レッスンが多少むずかしくても、そこに果敢にチャレンジしていく自分を素晴らしい!と思えるでしょう。
また、あらかじめ出来るだけお休みせずに通えそうなバレエ教室を探すということも出来ます。
バレエの先生がなぜ厳しいのか、などについては、これから少しずつ書いて行きたいと思いますので、お楽しみに。
◇
さて、『バレエは一度やめると何度もやめる』これは、この世界ではよく言われることです。
その理由としては、一つ目に、これはバレエに限らず、何でもそうですが、一度やめたことにもう一度チャレンジするには、エネルギーがいるからです。
それから、バレエは一人前になるまでに継続して10年以上習うことが必要ですから、一つのことを続ける、というのは、これもまた簡単なことではありません。
さらに、前回述べたように、バレエは習得することそのものが、簡単ではありません。なにしろ、歌舞伎と同じですから。
この場合、一度バレエをやめた、ということは、その人がバレエをやめた理由があるはずですなのですが、その理由がなにか、自分の前に立ちはだかった壁は何だったのか。どうすれば今度こそ、その壁を越えられるのか。それを見極める必要があります。
1人で頑張っても乗り越えられなかった壁は、多くの場合は誰かに助けてもらわないと乗り越えられないものなのですが、ほとんどの場合が、バレエを再開した時に、それを自分1人でやろうとして、同じループに入ってしまうパターンが多いように思います。
この場合は、1人1人にきちんと対応してくれる、“先生”というよりも、その人が“心の師匠”と思える人を持つことが必要となります。このあたりのことは、機会があればまた書きますが、このように、一度経験してやめてしまうと、まったく新しくバレエにチャレンジするよりも、ハードルが高くなってしまうのです。
これからバレエをはじめようとしている方は、せっかくバレエを習うのなら、気軽に始めて気軽にやめてしまうのではなく、ぜひ、最初からある程度の知識と覚悟を持ってはじめてみて下さい。
いつの日か、自分で
(もういいや、私は充分やりきった)と思える日まで。
(ベストをつくしてきたから、ここでやめても悔いはない)と言い切れる日まで。
(バレエよ、先生よ、仲間たちよ、ここまで私を助けてくれて、成長させてくれて、一緒に歩んできてくれてありがとう。私はもう先に進みます。)心から、そう思える日まで。
言ってみるなら、あなたが
“バレエを卒業する日”
…その日まで、バレエを続けるという気持ちで、バレエをはじめてみて下さい。
きっと、沢山の輝いた経験と、充実した人生が、あなたを待っていますよ。
つづく
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