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バレエショップに行って、店員さんにすすめられたトゥシューズを購入し、発表会の練習タイムになった時に、おそるおそる履いて立ってみたのですが・・・立てない。
脚が生まれたての小鹿よりも、もっと心もとない感じで、バーにつかまっても立てない。
・・・というか、一体どう立つのが正解なのかさえ分からない。中腰でようやくバーにしがみついてる状態です。
しかし私はトゥシューズを履いたということに感動して、
(おおおおおぉぉぉぉ・・・、これが、これが、トゥシューズ!立つだけで命がけとは!) ← 大間違い
と1人でジーンとしていました。
すると先生が「はい、振り移しするから、全員前に来て~。」と集合をかけました。
ん?
前に?
前にとな?
・・・あ、そうか。今は普通に歩けばいいのか。
トゥシューズを履いたら、全部つま先立ちで歩かなくちゃいけないんだと思ってました。
という訳で、普通に歩いて前へ移動し、そして、始まる振り移し。
この日は本部教室や支部教室から人が集まっての合同練習でした。
1人1人にパートが決められて、自分のパートはしっかり憶えて、他の人に教えて下さい、とのことで。
しかし私は、これが全く憶えられなかった。
高校生の上手な女の子が目の前で何度も踊ってみせてくれて、とても簡単なステップなのですが、さっぱりわからない。
しかもステージの上を円になって回る設定なものだから、それだけでもうパニックです。
(円になって踊ったことなんてないよ~。踊るのに必死で真っ直ぐしか進めないよ~。)
高校生の女の子は、根気良く何度も何度も踊って見せてくれるのですが、何回見ても、何回一緒にやっても憶えられない。
やがてこの女の子は今回の発表会で主役を踊る子だという事がわかり、萎縮してますます憶えられない。
そもそも、私は、自分のパートも何も、他の人のパートと自分のパートの違いからして、わからない。
それくらい、なにもかもわからない。
・・・今の私なら、あの頃の私に、(桜よ、それは『舞台用のパデバスク』という名前のステップなのですよ)と教えてあげられるのですが。
(まずは真っ直ぐで練習させてもらいなさい)と。
(そのステップは、おへその方向を変えながら進むから、はじめて踊るときは真っ直ぐで練習しないとわからないですよ)と。
しかし当時の私に、そんなアドバイスをしてくれる人はなく、頼れる人は誰もいない。
それなのに、次の練習で皆にこれを教えなくてはいけない。
・・・ゴクリ。 ← 息をのむ音
後で友達に聞こうにも、友達も自分の振付だけで精一杯。他人の振付まで憶える余裕はありません。
・・・人生であんなに集中したことはありませんでしたが、それでも憶えられませんでした。
家に帰ってからも、同じ作品のプロのビデオを引っ張り出してきて、自分のパートはちょうど振り付けが同じような感じだったので、何度も何度も見ながら繰り返し踊って、復習するのですが、動きが早すぎてついていけず、やはり憶えられず・・・。
次の練習の時、結局私は自分のパートを、「すみません、憶えていません。」と言うことしか出来ず・・・。
振りは先生が代わりにやってみせてくれて、事なきを得ましたが、とても情けなかったです。
今の私なら、(練習で一度もやったことがない振りを、バレエをはじめて1年の人が憶えられなくても当たり前ですよ)と言ってあげられますし・・・
初めてのトゥシューズ、初めての合同練習、初めての振り移し・・・
初めてづくしで緊張していたんだなって、わかります。
けれども当時の私は
(ああ、私は頭が悪いんだ・・・バレエには向いてないんだ・・・)とずいぶん長い間落ち込みました。
そんな訳で、私のレッスンで、様々なステップを1つずつ名前を言いながら教えているのは・・・
ヴァリエーションや1曲とおして踊る時などに、突然初めて踊るステップの連続に悪戦苦闘することのないよう、普段のレッスンであらかじめ出来るだけ多くのステップを踏ませておいてあげてたいという、というこの時の私の経験からきています。
そして、今、レッスンで舞台用のパデバスクが出来なくて落ち込んでいる人がいたら、ご安心を。
私の方がもっと出来ませんでした。
どんな人でも、きちんと練習すれば必ず出来るようになりますからね。
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