EROSIO/sukekiyo
DISC 1
1. Margaret
2. 訪問者X
3. 口に林檎
4. The Hole
5. 愛した心臓
6. MOAN
7. グロス
8. 論外な生き物として
9. 畏畏
10. 変わってくれませんでしょうか?
11. フレームアウトからの
12. 呼吸
DISC 2
1. 愚問(Demo Ver.)
2. mysteryな(Demo Ver.)
3. 触れさせる(LIVE)
4. 黝いヒステリア(LIVE)
5. 本能お断り(LIVE)
6. 猥雑(LIVE)
CD2枚とBlu-rayがセットになったsukekiyoの音源映像集。
Blu-rayには、「MOAN」と「訪問者X」のMV、Live Footageとして2022年10月6日にZepp DiverCityで開催された『sukekiyo TOUR2022「蠢く、首ったけ」-漆黒の儀-』から7曲のライブ映像、official bootlegとして、同ツアーの他公演の様子が収録されています。
現時点では、公式通販限定豪華盤と、公式通販限定盤でのリリース。
過去の実績を踏まえると、後にCDのみの流通盤が発表されるでしょうか。
豪華盤には、スケジュール帳と特典DVDが付属。
タイトルが印刷されたゴールドの封筒に、特殊パッケージのケースが封入されています。
ジャケットのソフビ人形が不気味さと繊細さを兼ね備えていて、本作との親和性を創出。
造型に定評のある暗黒エンターテイメントとのコラボレーションとなりましたが、相性が抜群ですね。
入りやすいが、出られない。
そんなsukekiyoの音楽性を表現しきっているのが、この「EROSIO」なのでしょう。
当初はマニアックな印象が先立って、玄人向けのイメージがあったものの、「SALUS」ぐらいから歌謡曲テイストも取り入れ始め、ほどよいキャッチーさを獲得。
そのうえで、従来からの武器である実験性や変態性も先鋭化。
なんだ、今のsukekiyoって聴きやすいじゃない、なんて足を踏み込んだら底なし沼にハマってしまう仕掛けになっているのです。
先行してMVが公開されていた「MOAN」と「訪問者X」が象徴的。
「MOAN」は、「Candis」の流れを汲むレトロな質感を纏う狙いに狙ったキャッチー路線なのですが、Vo.京さんらしい救いのない歌詞によってsukekiyo基準での中和を図る構成。
一筋縄ではいかないな、と思わせると、「訪問者X」では表現方法をコロコロと変えながらディープで濃厚な世界観を演出していました。
アルバムでは、そんな長尺曲「訪問者X」を2曲目に置く采配も大当たり。
トップに配置された「Margaret」にしても、ラストを飾る「呼吸」にしても、メロディの良さを押し出した歌モノ要素の強いナンバー。
アルバム全体の評価が、最初と最後に引っ張られるなんてことはよくある話ですが、「訪問者X」がここにあることで、決してポップなアルバムだった、という評価にはなり得ないのですよ。
もっとも、それで聴きやすさが損なわれているわけではなく、ある種、"ついていける難解さ"を提示することで、深みに引き摺り込む準備を整えたといったところ。
攻撃的なハードチューンもあれば、変態的なアプローチに全振りした楽曲もあって、そうかと思えば、わかりやすいメロディが展開される、絶妙なバランスを実現していました。
「論外な生き物として」から「畏畏」のコンボは、なんだかんだでテンションが上がるでしょ、と。
どこに重きを置くかに寄るのかもしれませんが、将来的に最高傑作と語り草になりそうな1枚。
せっかくとっつきやすさも完備したのだから、早いうちにライト層向けのリリースがあることを望みます。
<過去のsukekiyoに関するレビュー>