ADORATIO / sukekiyo | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

ADORATIO/sukekiyo

 

DISC 1

1. 擬似ネクロマンサー

2. グニャ結論。そして血眼。

3. 襞謳

4. 純朴、無垢であろうが

5. マニエリスムな冷たい葬列者

6. 艶

7. 首吊り遊具

8. されど道連れ

9. 死霊のアリアナ

10. 嬲り

11. 耳ゾゾ

12. 黝いヒステリア

13. 白濁

 

DISC 2

1. mama Collaboration with ガラ (MERRY)

2. in all weathers Collaboration with YUKIYA (Kαin)

3. 鵠 Collaboration with 藤崎 賢一 (Justy-Nasty)

4. elisabeth addict Collaboration with kyo (D’ERLANGER)

5. 斑人間 Collaboration with 福井 祥史 (VINYL, ex.STRAWBERRY FIELDS, ex.D’ERLANGER)

6. 耳ゾゾ Collaboration with KONTA (ex.BARBEE BOYS)

7. maniera Remixed by Daniel Ash (Bauhaus, Tones On Tail, Love And Rockets, Poptone)

 

DISC 3

◆ Music Video

・艶

・襞謳

◆ Live Footage

・sukekiyo 二〇一六年公演「漆黒の儀」 2016年3月20日(日) 横浜F.A.D

1. aftermath

2. maniera

3. nine melted fiction

4. hidden one

5. scars like velvet

6. leather field

7. dunes

8. zephyr

9. mama

10. 烏有の空

11. 斑人間

・sukekiyo 二〇一六年公演「ハロウィン殺しの儀」2016年12月21日(水) SHIBUYA WWW X

・MERRY主催イベント「三月に咲く愚鈍共による錆びたハサミと戒厳令の雨あられ三輪車の花園にて、許しておくんなはれや」2017年3月21日(火) 新宿ReNY

◆ Rehearsal Footage

 

sukekiyoによる音源&映像作品集。
CD2枚と、Blu-rayの合計3枚をパッケージして、ライブ会場と通信販売限定でのリリースとなりました。

何度も聴き返すのだけれど、ふさわしい言葉が見当たりません。
積み重ねてきたV系の歴史を見返してみても、こんな音楽を奏でるバンドはいなかったのではないか、と思ってしまうぐらいに独自性が高いサウンドワーク。
もはや、音楽やライブ映像という概念を超えた、総合アートとしての風格を漂わせています。

どこからはじまり、どこで終わるのか。

そんなこともあまり気にならないほど、1曲1曲がカオティックに変貌。

仮に同じ歌メロが登場するパートだったとしても、ギター、ベース、ドラムのパターンまで一緒、ということがないのですよ。

一度使ったフレーズは禁じ手になるというルールでもあるのかと疑いたくなるくらいで、最初と最後で別の様相になっていることも珍しくありません。

その結果、メインディスクの13曲という収録曲が、1曲のプログレ大作かのような味わい。

音作りにもこだわりが見られ、飽きるなんて不可能なほど、聴き込み要素が満載です。

 

アート性が高いことが、"聴きにくい"ではないのもポイント。

歌謡曲的にキャッチーな部分や、デジタルサウンドで盛り上がりを見せる部分、激しく突き放す部分など、リスナーの琴線に触れるよう、あの手この手を尽くしているのも好印象ですね。

言ってしまえば、難解でマニアックに仕上げるだけなら誰にでもできる。

だが、その音楽性で最大公約数を目指すには、実力とカリスマ、どちらも必要になるわけで、音を聴くだけでビシビシそれが伝わるsukekiyoは、やはり強烈な武器をたくさん持っているのだな、と感心してしまいました。

 

抽象的な表現に終始してしまうが、「純朴、無垢であろうが」は5/4拍子の珍しいリズムなのにさらっと聴かせるのが面白いとか、「死霊のアリアナ」の民族的になるパートに興味が惹かれるとか、一部だけを取り出して具体的に紹介しても、おそらくあまり意味はないのだろう。

こればかりは、体感してもらうしかないのだと思います。

7,500円と、価格は決して安くないですけれど、作品のすべてに触れた後であれば、"妥当であった"あるいは、"安いぐらい"と感じるのでは。

内容もさることながら、単純なボリュームも物凄いのですもの。

 

なお、お約束となってきたコラボレーション。

本作では、京さんにとって後輩となるMERRYのガラさんや、Dir en greyのインディーズ時代のヒット作「JEALOUS」、「-I'll-」のプロデュースを担当したYUKIYAさんらが参加。

藤崎賢一さん、kyoさん、福井祥史さんといった豪華な面々も、作品に彩を添えています。

KONTAさんなんかは意外でしたが、案外、ハマるものなのですな。

 

DISC 1だけを通常盤として、手に取りやすい価格帯で…と無粋にも考えてしまいますが、全部まとめてインプットするからこそ伝わるものもある。

圧巻の一言でした。

 

<過去のsukekiyoに関するレビュー>

耳ゾゾ

VITIUM
IMMORTALIS