ROSE / Kaya | 安眠妨害水族館

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ROSE/Kaya

 

1. 花陽炎

2. Spotlight

3. TABOO

4. Madame Rosa

5. FABULOUS -morning ocean mix-

6. Monday Monday -toy mix-

7. Come closer -rose mix-

8. 夢路

9. 禁色

10. NEVERLAND

11. 弟切草

12. ユグドラシル

13. ROSE

14. Pray

15. ここにおいで

 

 

オリジナルアルバムとしては実に8年半ぶりとなるKayaの4thアルバム。

カヴァーアルバム「DRESS」に引き続き、クラウドファンディング盤と通常盤でのリリースとなります。

 

過去のシングル作品も収録しているとはいえ、全15曲の大ボリューム。

前作から8年半の歳月が流れたことにより、故人となってしまった森岡賢さんによる「TABOO」が2022年に再構築されるなど、待たされはしましたが、その分、ドラマ性が増したのかな、と。

他にも、PhobiaのGt.源依織さんが作曲を担当した「弟切草」はFemme Fataleの、Horaさんによる「ユグドラシル」はSchwarz Steinの新曲とでも言えそうな名コンビの共演。

バンドやユニットのファンにもたまらない仕上がりです。

 

また、待ちに待ったコラボレーションも多数実現。

ひととなりのVo.幸福86號さんは、あをいはる名義で「Spotlight」を書き下ろし、メトロノームなどで活躍している福助。さんは、「NEVERLAND」を提供。

ex-Da’vidノ使徒:aL、ex-BABYLONのミサさんが作曲したシングル曲「Madame Rosa」も含めて、これだけでご飯を何杯か食べられそうなラインナップなのです。

 

シーン外で作曲者に名を連ねているアーティストを見ても、「Monday Monday」を共作した鈴木結女さん、アーバンギャルドの浜崎容子さん、前作で「鮫」をカヴァーしたことで交流が生まれた天野月さんと、これまた親和性が高く、絶対に面白くなるぞ、という面々。

加えて、ゲストプレーヤーには、ハイダンシークドロシーのGt.情次2号さん、DのBa.Tsunehitoさん、Psycho le Cemu、THE BEETHOVEN等のDr.YURAサマ、アーバンギャルドのPf.おおくぼけいさん、Unlucky Morpheus、猫曼殊のDr. FUMIYAさんなど、豪華な布陣を揃えており、ひとつひとつ紹介しようと思うと、いくら時間とスペースがあっても語り切れないほど、たくさんの要素が詰まっていました。

 

さて、ようやく内容に入っていくわけですが、テーマは、ずばり"薔薇"。

色とりどりの色彩を持ちつつ、気高く耽美に咲き誇る薔薇のイメージは、まさにKayaさんそのもの。

タイトルが発表された段階で、これは名盤になるだろうな、という予感が漂ってきます。

 

コラボレーションが多いということは、それだけ音楽性やアプローチも拡散的なものになるということ。

事実、テクノにゴス、ニューウェーブ、シティポップにヴィジュアルロックと、様々な音楽性が散りばめられています。

「Spotlight」は、そのままマイナス人生オーケストラで演奏されていてもおかしくないし、リード曲の「ROSE」も、これはむしろ天野月子の復活なのでは、と思わせる月さんのロックマインドが炸裂したナンバー。

オリジナルと言いつつ、様々な食材をどう料理するか、素材は良くても食い合わせの悪いバランスにならないかと、Kayaさんのシンガーとしての力量が問われる構成だったわけですが、凛として咲く薔薇のごとく耽美で芯のある歌声は、杞憂を吹き飛ばしてくれましたね。

楽曲の良さを理解しつつ、独自の解釈をしっかり加えて、「ROSE」の世界観に丁寧に落とし込む。

これは本当に、見事の一言ですよ。

 

バラエティ性に富んで、ボリュームもたっぷり。

それを歌いこなす実力についても、ポテンシャルを引き上げる表現力についても申し分なし。

「ROSE」のキラーチューンっぷりも手伝って、予感が確信に変わるまでに、そう時間は要さないでしょう。

クラウドファンディング、達成されて良かったな、と心から思う1枚です。

 

<過去のKayaに関するレビュー>