GOTHIC / Kaya | 安眠妨害水族館

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GOTHIC(A-type)/Kaya
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1. Gothic Elements (Instrumental) 
2. Vampire Requiem
3. remains of mind
4. Curse of Rose
5. Traumerei
6. PENDEL-drei (Instrumental)
7. Marionetto
8. Coppelia
9. BABYLON
10. PENDEL-zwei (Instrumental)
11. SODOMY
12. Infection 
13. SALOME
14. PENDEL-eins (Instrumental)
15. Memento mori
16. VORWISSEN-null (Instrumental)
17. Danse Macabre

耽美系歌手、Kayaによる3rdフルアルバム。
A typeには、ex-SOFT BALLETの森岡賢さんが手掛けた「Danse Macabre」、B typeには、Kaya自身が初となる作曲を担当した「Tempest」が収録されています。

インスト5曲を含む、全17曲。
本作の題材は、タイトルが示すとおり"ゴシック"とのこと。
「Vampire Requiem」、「SALOME」、「Nocturne」と、原点回帰コンセプトのもとリリースされた三部作シングルにて断片的に示してきたテーマを、1枚のアルバムに集約しています。
上記3枚のシングルについては、カップリングも含めて収録。
それ以外にも、何枚かアルバム未収録のシングルがある中でのこの構成は、あくまでテーマを深堀りすることに重きを置いたという、Kayaさんの拘りが見受けられる。

ゴシックというだけあって、ポップ要素は極力排除し、淡々と様式美的なメロディラインを歌い上げていくスタイル。
そこに、耽美でクラシカル、エレガントという要素も強く押し出した、MALICE MIZER以降の"ゴシック"も付加して味付けをしているあたりは、Mana様にプロデュースされていたSchwarz Stein時代の経緯も知っていれば、なんともニヤリとさせられる。
まるで、決められた役割を忠実に全うすべく、淡々と舞踏会が繰り広げられているような倒錯的な世界観は、艶やかでオペラティックなKayaさんの声質にマッチしていますね。

ひとつひとつは、単色のゴシック音楽。
しかしながら、アルバムとしては、長編のシネマを見終わったようなストーリー性を感じるから不思議なものだ。
それは、場面転換のタイミングでSEを挿入し、メリハリをつけているからという単純な理由だけではなく、単調なメロディラインの中でも、きちんと感情の濃淡を意識して歌い分ける繊細さがあるからだと思います。
ただ上手いわけではなく、演技力もあるというのかな。
演出にまで気を払った歌い方をしているので、飽きが来ない。

もちろん、Kayaさんらしい、デジタルサウンドを前面に押し出した、トランステクノ風のアレンジは相変わらず。
一方で、本作においては、バンド形態での演奏にも魅せ場を作るなど、必ずしも一辺倒ではないところも、魅力的ですね。
完成度の高い様式美、お耽美な世界観を堪能したいリスナーには、自信を持っておススメできる一枚。

ちなみに、作曲者陣は前作に引き続き豪華。
HIZAKI(Versailles/Jupiter)、KALM(ex-VELVET EDEN)、Rookie(A-エース-)、michi.(S.Q.F/ex-MASCHERA)、ミサ(ex-Da'vidノ使徒:aL、ex-バビロン)、Hora(Schwarz Stein)、源依織(cocklobin/ex-Phobia/ex-Lamiel)・・・
なるほどね、という人もいれば、まさかこの人が!?という人もいて、面白い。
名前を挙げるだけでも、どんなコラボレーションになるのかと興味が湧く人も多いはず。
ミサさんの楽曲に、「BABYLON」というタイトルをつけたのは、わざとなのか、偶然なのか、聞いてみたいところですな。

<過去のKayaに関するレビュー>
QUEEN
かや名曲シリーズ1 ボン・ジュール・シャンソン